96 / 107
番外編
2
しおりを挟む
「ん……っ」
飴色の髪を掻き上げ、耳の下に唇を押し付ける。
歯を押し当てて強く食い込ませれば、晃が微かな呻き声を漏らした。
刻んだ歯形を舌でなぞった後、柔らかな唇にそっと触れる。
長く突き出している牙の先端に唇を押し付ければ、黒に覆われた肩が微かに揺れた。
「ん、ぅ……」
名前を呼びたそうにしているが、今口を動かしたらおれの唇を傷付けかねない。
もどかしそうな晃に笑って、牙に舌を擦り付ける。
形をなぞるごとに、晃の目に熱が染み出した。
「は、……っ……」
至近距離で食い入るように見つめられて、おれも自然と息が上がっていった。
指を絡め合ったまま手を引き、また長い爪へと唇を押し当てる。
「旭陽……」
控えめに手を引っ込めようとしてくる晃に、引かれた分だけ引き戻すことで否定を返した。
互いの魔力の色が滲んだ爪へ唇を押し当てれば、晃が心配と欲が入り混じった視線を向けてくる。
舌を指の付け根まで滑らせていき、軽く指先に吸い付いた。
「っ……、ッ」
胸の前に立っている膝が、刺激に合わせて小さく揺れる。
感じてんのか。かわいーなァ。
「っぁ、さひ……っ」
指にも歯を食い込ませ、晃の肌に唾液を浸透させていく。
何度も詰まる呼吸を聞きながら、おれより細い指を丹念に濡らしていった。
「っん、ん……ッ」
二本目を濡らし終わった頃、されるがままになっていた指が不意に動く。
薬指に触れていた舌を擽り、開いている唇の中へと伸びてきた。
おれの邪魔をしてくる気配はねえ。
放置して三本目に舌を這わせていれば、鋭い爪先で舌腹を撫でてきた。
傷つけないよう慎重に触れられると、痛みも違和感も湧かずに快感だけが染み出してくる。
「は……っぁ……」
上顎に指の背を擦り付け、舌腹から付け根までゆっくりと辿られていく。
量を増した唾液が唇から零れれば、伸びてきた小指に拭われた。
「ッァ……はっ、ッ……、ふっ、ぁ……っ」
口蓋垂を指先で擽られて、膝から力が抜けた。
喉の奥付近に触れられりゃ、普通は気持ち悪ィのかもしんねえが。
今まで舌にも幾度となく牙を立てられてきた体は、咥内の感度も跳ね上がっている。
舌で舐め回されるのもたまんねえが、指で弄られても感じるようになっていたらしい。
「ッン、ぁ……っ、ぅ、ん……ッ」
「旭陽……」
口腔を指の背や腹で撫で回される。
その分、揺れが大きくなっていく膝が沈む。
震える唇で指先に吸い付きながら、座面に乗っている足へと触れた。
晃の喉が鳴る音を聞きながら、掌で冷たい感触を撫で下ろす。
ンな不安がらなくても、今の晃には似合ってるぜ。
だからこそ――おれの手で剥いでやりたくなる。
「あ、さひ」
指を引っ掛けて、ゆっくりと足元から靴を引き抜いていく。
目を見開いた男が、内緒話のように声を潜めた。
「脱がせてくれるのか」
あー……まあ、そうとも言うか。
殆ど肌が露出しねえだけ着込んだおまえを、おれの手で暴いてやりてえってだけなんだが。
「ふ、」
「っん」
言い方が可笑しくて、つい笑い声が零れる。
また歯を食い込ませれば晃が短く息を飲んだ。
喉を震わせながら、白い足から硬い靴を引き抜く。
軽い力で手中の物体を投げれば、床で跳ねて硬質な音を立てた。
「旭陽」
「ん……」
微かに上擦った声が、おれを呼んでくる。
口を離さないまま視線を上げれば、晃が嬉しそうに頬を緩めた。
「ッン、あっ!」
ぎゅう、と舌を強く指に挟まれる。
腰が大きく震えて、揺れ続けていた膝が折れた。
床に膝が当たり、倒れそうになった体を伸びてきた腕に支えられる。
「っぁ、ふ……っ」
「旭陽、気持ち良かった?」
甘い声が頭上から降ってくる。
見りゃわかんだろ。出ちまったってことくらい。
体を起こしてこようとするのを遮って、晃の膝を押し広げた。
「旭陽? 何して……」
うるせえな。黙って感じてろよ。
問い掛けは無視して晃の両足の間に体を入れ、自分で身を起こす。
晃の股座に顔を寄せれば、触れている体が俄に緊張した。
「あ、旭陽? 本当に何して――ッ、!」
動揺と、隠し切れない期待が晃の声に滲んでいる。
膨らんでいる場所へ下衣の上から唇を押し付ければ、押し殺した吐息が聞こえた。
咄嗟に引こうとした腰へ腕を巻き付け、布を押し上げている熱へ布越しに舌を押し当てる。
「ッく……っ」
ただ触れただけでも乱れ始めた呼吸が、鼓膜を心地良く擽った。
おれにされるなら何でも反応しちまうもんなァ、晃は。
すぐに布を破りそうなほど膨らませていくんだから、ほんと愛いやつ。
何度も舌を押し付けていれば、おれの唾液と晃の先走りで見る見る間に布が濡れていった。
「あ、さひ……っちょ、くせつ、舐めて……っ」
おれが濡らした指が髪に絡んできて、ゆっくりと丁寧な手付きで梳かれる。
素直に強請られるのは心地が良い。
「っん!」
下衣の上から柔く歯を立てれば、不意に強まった刺激に晃が息を飲んだ。
視線を上げなくても、欲情に駆られた眼差しを注がれているのを肌で感じる。
強い視線に見守られながら、ゆっくりとチャックを下ろしていく。
前を緩めるなり、勢い良く飛び出してきた巨大な物体が頬を叩いた。
「んっ」
大量の先走りが顔中に飛び散ってくる。
「あ、ご、ごめんっ」
「……ん……」
慌てた声に視線を上げ、頬から伝い落ちてくる体液を舌で拭う。
おれを自分の体液で汚すの好きなくせに、思わぬタイミングでやっちまうと大抵一瞬慌てるよな。
おまえの欲を浴びせられんの、別に嫌いとか言った覚えはねえんだが。
目を細めてやると、晃の肩が震えるのが見えた。
堪らない、興奮した、って目が訴えてきてる。
「旭陽……」
咥えて。
今にも食らい付いてきそうな目をした男が、甘ったるくねだってきた。
強引に押し込むこともできるくせに、おれからして欲しがっている。
我侭な強請りに喉を鳴らし、口を開いて晃の熱を飲み込んでいった。
飴色の髪を掻き上げ、耳の下に唇を押し付ける。
歯を押し当てて強く食い込ませれば、晃が微かな呻き声を漏らした。
刻んだ歯形を舌でなぞった後、柔らかな唇にそっと触れる。
長く突き出している牙の先端に唇を押し付ければ、黒に覆われた肩が微かに揺れた。
「ん、ぅ……」
名前を呼びたそうにしているが、今口を動かしたらおれの唇を傷付けかねない。
もどかしそうな晃に笑って、牙に舌を擦り付ける。
形をなぞるごとに、晃の目に熱が染み出した。
「は、……っ……」
至近距離で食い入るように見つめられて、おれも自然と息が上がっていった。
指を絡め合ったまま手を引き、また長い爪へと唇を押し当てる。
「旭陽……」
控えめに手を引っ込めようとしてくる晃に、引かれた分だけ引き戻すことで否定を返した。
互いの魔力の色が滲んだ爪へ唇を押し当てれば、晃が心配と欲が入り混じった視線を向けてくる。
舌を指の付け根まで滑らせていき、軽く指先に吸い付いた。
「っ……、ッ」
胸の前に立っている膝が、刺激に合わせて小さく揺れる。
感じてんのか。かわいーなァ。
「っぁ、さひ……っ」
指にも歯を食い込ませ、晃の肌に唾液を浸透させていく。
何度も詰まる呼吸を聞きながら、おれより細い指を丹念に濡らしていった。
「っん、ん……ッ」
二本目を濡らし終わった頃、されるがままになっていた指が不意に動く。
薬指に触れていた舌を擽り、開いている唇の中へと伸びてきた。
おれの邪魔をしてくる気配はねえ。
放置して三本目に舌を這わせていれば、鋭い爪先で舌腹を撫でてきた。
傷つけないよう慎重に触れられると、痛みも違和感も湧かずに快感だけが染み出してくる。
「は……っぁ……」
上顎に指の背を擦り付け、舌腹から付け根までゆっくりと辿られていく。
量を増した唾液が唇から零れれば、伸びてきた小指に拭われた。
「ッァ……はっ、ッ……、ふっ、ぁ……っ」
口蓋垂を指先で擽られて、膝から力が抜けた。
喉の奥付近に触れられりゃ、普通は気持ち悪ィのかもしんねえが。
今まで舌にも幾度となく牙を立てられてきた体は、咥内の感度も跳ね上がっている。
舌で舐め回されるのもたまんねえが、指で弄られても感じるようになっていたらしい。
「ッン、ぁ……っ、ぅ、ん……ッ」
「旭陽……」
口腔を指の背や腹で撫で回される。
その分、揺れが大きくなっていく膝が沈む。
震える唇で指先に吸い付きながら、座面に乗っている足へと触れた。
晃の喉が鳴る音を聞きながら、掌で冷たい感触を撫で下ろす。
ンな不安がらなくても、今の晃には似合ってるぜ。
だからこそ――おれの手で剥いでやりたくなる。
「あ、さひ」
指を引っ掛けて、ゆっくりと足元から靴を引き抜いていく。
目を見開いた男が、内緒話のように声を潜めた。
「脱がせてくれるのか」
あー……まあ、そうとも言うか。
殆ど肌が露出しねえだけ着込んだおまえを、おれの手で暴いてやりてえってだけなんだが。
「ふ、」
「っん」
言い方が可笑しくて、つい笑い声が零れる。
また歯を食い込ませれば晃が短く息を飲んだ。
喉を震わせながら、白い足から硬い靴を引き抜く。
軽い力で手中の物体を投げれば、床で跳ねて硬質な音を立てた。
「旭陽」
「ん……」
微かに上擦った声が、おれを呼んでくる。
口を離さないまま視線を上げれば、晃が嬉しそうに頬を緩めた。
「ッン、あっ!」
ぎゅう、と舌を強く指に挟まれる。
腰が大きく震えて、揺れ続けていた膝が折れた。
床に膝が当たり、倒れそうになった体を伸びてきた腕に支えられる。
「っぁ、ふ……っ」
「旭陽、気持ち良かった?」
甘い声が頭上から降ってくる。
見りゃわかんだろ。出ちまったってことくらい。
体を起こしてこようとするのを遮って、晃の膝を押し広げた。
「旭陽? 何して……」
うるせえな。黙って感じてろよ。
問い掛けは無視して晃の両足の間に体を入れ、自分で身を起こす。
晃の股座に顔を寄せれば、触れている体が俄に緊張した。
「あ、旭陽? 本当に何して――ッ、!」
動揺と、隠し切れない期待が晃の声に滲んでいる。
膨らんでいる場所へ下衣の上から唇を押し付ければ、押し殺した吐息が聞こえた。
咄嗟に引こうとした腰へ腕を巻き付け、布を押し上げている熱へ布越しに舌を押し当てる。
「ッく……っ」
ただ触れただけでも乱れ始めた呼吸が、鼓膜を心地良く擽った。
おれにされるなら何でも反応しちまうもんなァ、晃は。
すぐに布を破りそうなほど膨らませていくんだから、ほんと愛いやつ。
何度も舌を押し付けていれば、おれの唾液と晃の先走りで見る見る間に布が濡れていった。
「あ、さひ……っちょ、くせつ、舐めて……っ」
おれが濡らした指が髪に絡んできて、ゆっくりと丁寧な手付きで梳かれる。
素直に強請られるのは心地が良い。
「っん!」
下衣の上から柔く歯を立てれば、不意に強まった刺激に晃が息を飲んだ。
視線を上げなくても、欲情に駆られた眼差しを注がれているのを肌で感じる。
強い視線に見守られながら、ゆっくりとチャックを下ろしていく。
前を緩めるなり、勢い良く飛び出してきた巨大な物体が頬を叩いた。
「んっ」
大量の先走りが顔中に飛び散ってくる。
「あ、ご、ごめんっ」
「……ん……」
慌てた声に視線を上げ、頬から伝い落ちてくる体液を舌で拭う。
おれを自分の体液で汚すの好きなくせに、思わぬタイミングでやっちまうと大抵一瞬慌てるよな。
おまえの欲を浴びせられんの、別に嫌いとか言った覚えはねえんだが。
目を細めてやると、晃の肩が震えるのが見えた。
堪らない、興奮した、って目が訴えてきてる。
「旭陽……」
咥えて。
今にも食らい付いてきそうな目をした男が、甘ったるくねだってきた。
強引に押し込むこともできるくせに、おれからして欲しがっている。
我侭な強請りに喉を鳴らし、口を開いて晃の熱を飲み込んでいった。
0
あなたにおすすめの小説
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結】白豚王子に転生したら、前世の恋人が敵国の皇帝となって病んでました
志麻友紀
BL
「聖女アンジェラよ。お前との婚約は破棄だ!」
そう叫んだとたん、白豚王子ことリシェリード・オ・ルラ・ラルランドの前世の記憶とそして聖女の仮面を被った“魔女”によって破滅する未来が視えた。
その三ヶ月後、民の怒声のなか、リシェリードは処刑台に引き出されていた。
罪人をあらわす顔を覆うずた袋が取り払われたとき、人々は大きくどよめいた。
無様に太っていた白豚王子は、ほっそりとした白鳥のような美少年になっていたのだ。
そして、リシェリードは宣言する。
「この死刑執行は中止だ!」
その瞬間、空に雷鳴がとどろき、処刑台は粉々となった。
白豚王子様が前世の記憶を思い出した上に、白鳥王子へと転身して無双するお話です。ざまぁエンドはなしよwハッピーエンドです。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる