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【第一章】
第十九話 古代遺跡ウィルベル探索二日目 ~後編~
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地下十階層……。
赤い扉の前に辿り着いた俺達は、中から何か物音と話声が聞こえた為しばし休憩を取ることにした。別のパーティーが入っている間は、後から部屋に入ることが出来ないようになっているらしいのだ。
「先を越されちまったか。ま、いい経験になったけど」
「あら、わからないじゃない。失敗するかもしれないし」
あくまで俺の予想だが、案外ここまですんなりたどり着けたことを思うと、ボスモンスターもそう強力ではない――そんな気がしている。挑戦するチャンスが来る期待は過度に持たない方がいいだろう。
「でも、ここに来るまでも結構色々拾えたね!」
「お宝ざくざくなのです~♪」
リュカとチロルは鞄に入れてある戦利品を眺めてご満悦だ。
装備品の他に、魔道具や、今流通している物とは意匠の違う貨幣などもあった。
「こら、そういうのは全部終わってからな! それに、どうせレイベルさんに渡すんだから金に変わるだけだぞ?」
「そういうこと言わないでよ~!」
「ちょっと位夢を見たっていいと思うのです~」
ぶ~ぶ~言う二人をたしなめつつ、俺は道中で手に入れた一枚の紙を眺めた。
これも宝箱に入っていたものだが、驚くべきことに紙の質が非常に高く、印字された文字もくっきりと明瞭で異常に洗練されている。
もちろん、書いてある意味は分からない、だが、現在俺達の使っている言葉とある共通項があった。
それは数字の存在だ。
所々にちりばめられたそれだけが、俺達の使っているものと変わらない。
「綺麗な文章ね……意味は分からないけど」
「ああ……この人達、きっとものすごい文明を誇ってたんだと思うんだ。なのにそんな記録はどこにもないなんて、一体どうなってんだ……?」
「さあね……突発的な何かで、記録を残すことなく滅んだとか……? 彼らについてなにか痕跡や情報は残っていないの?」
「歴史学者じゃあるまいし、俺もそんなに詳しくは無いよ。しかし、レイベルさんからもそんな話聞けなかったし、まだ何も分かってないのかもな」
揃って首を傾げてみるが、俺たち二人だけでは予想にも限度がある。
レイベルさんに渡せば、しかるべき所で解析し、何かに役立ててくれるだろう……そう思って俺はそれを丸めて丁寧に筒にしまった。
『――内部での戦闘が終了しました。撃破失敗。挑戦して頂けます』
「おっ……終わったとさ。なんだこの精霊、無感情な割に気遣いにあふれてるな」
俺の予想は外れてしまった。
精霊の声が響き、前のパーティーが敗北したことを伝えてくれる。
すると皆の顔が緊張した物に切り替わる。
「挑戦するんだよね。つ、強いのかな……大きいのかな?」
「精霊さん精霊さん、中にいるのはどんな魔物なのですか……? ……だめです、それは答えてくれないのです……」
チロルが虚空に向かって話しかけてみるが、応答はない。
彼らは一体どんな存在なのか疑問は尽きないが、これもいつか分かる時が来るのだろうか。
ともかく、大一番だ……俺達は顔を突き合わせて簡単に作戦を話し合う。
中に入れば臨機応変に対応するしかない……しっかりと意思確認をしておく。
「初見の相手だ。攻撃されても痛みは無いし、命は落とさないらしいけど……なるべくダメージをくらわないように行動しよう。危なそうな時や、この赤いのが半分を切ったら一旦下がるように。ライラはなるべく攻撃の来ない位置を見極めて、回復を優先してくれ」
「わかったわ」
「リュカは凍結が効くようなら足回りを狙って移動を制限。俺が敵愾心《ヘイト》をなるべくとるように立ちまわるから、チロルは落ち着いて魔法で狙っていけ。いいな?」
「おっけーだよ!」「わかりました!」
皆が力強くうなずく。まだ魔力には余裕があるようだが、長期戦になるとそうもいっていられない。俺達もなるべく余計な魔力を遣わせないように気を付けないといけない。
「さぁ、それじゃ中に入るぞ、準備はいいか?」
「うん!」「はいなのです!」「いつでも」
思い思いの言葉を受け、俺は赤い扉に鍵を押し当てる。
扉は鈍い音を立てて開かれ、内部の様子が明らかになった。
まずなんとなく、焦げ臭いにおいが鼻につく。
誰かが火炎系の魔法でも使ったのだろうか……。
そして中央から、シュルシュルと喉を鳴らしながら何かがこちらへと近づいて来る。
ゆっくりとその輪郭が、壁の松明に照らされて明らかになっていった。
「こいつか……!」
――シャアァァァァァッ!
十M以上は有りそうな特大の大蛇が咆哮と共にこちらに牙をむいた。
Dランク――サーペンティンの巨大亜種か!?
だが、何か肌の色が……赤い!?
「とにかく……やるぞッ!」
俺は態勢を整える時間を作る為に松明で殴り掛かる。
横っ面を弾き飛ばし、驚いた奴がぐらりと傾くが、一撃では仕留められず首を振ってこちらに向かって来る。さすがにボスだけあってタフだ。
「リュカ、行けるか!?」
「あいよーっ!」
俺の反対側、奴の死角となる方向からリュカが青いダガーで切りつけ、相手が動き出すとすぐに距離を取る。立ち回りに少しずつ成長が感じられる。
「いくわよ!」「はい! 《ファイアボール》!」
ライラが紫色の魔力の塊を、チロルが一抱え程の火球を大蛇に放つ。
体をくねらせて避けようとする大蛇にファイアボールは躱されるが、魔力球は追尾するように軌道を変え、奴の体を吹き飛ばした。
たまらず奴もいったん後退し、今度は鎌首をもたげて体を膨らます。
深紅の体に、この動作……何だか嫌な予感がした。
「下がれ! ブレスだ!」
部屋に満ちていた焦げた臭いと結び付け、俺が察した通り……火炎の息がその口から放たれる。
――シュゴォオオオオ!
「《偽刀術・カゲサキ》!」
咄嗟に俺は皆を庇うように前に出る。
実体のないものを切る技で火炎を斬り散らすが、完全には防げない。
だが、その余波はライラが魔力の障壁で覆い、ガードしてくれた。
「ありがとな! しかし……」
これではサラマンダーもどきだ……一体何が起こっているのか。
「亜種ってこんなに強いワケ? こんなのなり立ての冒険者で倒せるの?」
「いや……」
ライラの疑問ももっともだ。C級上位のパーティでどうにか倒せるかという相手……新米冒険者に相手させるようなレベルじゃない。
だが、詮索している暇は無い……相手が再度突撃して来る。
「リュカ、もう一度攻撃を仕掛けるぞ! 見たとこ火属性の影響を受けてる……お前の剣が良く効くはずだ! 逆にチロルの魔法は効果が薄い……顔近くを狙って気を逸らせ!」
「なら、これです! 《パワーアップ!》」
力のステータスを増大させる新魔法、《パワーアップ》。
覚えたて魔法を使用したチロルが俺とリュカの力の能力値を底上げさせる。
これにより先程より良く攻撃が通るはずだ。
「守りと回復は任せて!」
「ああ!」
ライラの頼もしい声を受け、二発目のブレスが来る前に、左右に別れ俺達は走り始める。赤蛇がリュカを狙おうとしたので、俺は毒消しの瓶をぶつけて気を逸らした。
すると怒りに任せこちらに牙を剝いてかかって来るが、速さは大したことない……余裕をもってかわす。
「やっ、はっ! ~~~~っ、あ、あにきこいつ硬いよぉ! ろくに傷が……」
「大丈夫だ、しっかりダメージは与えられてる。そのまま攻撃を続けてろ!」
リュカは斬撃を叩きこむが、その皮膚の分厚さに舌を巻いた。
彼女を鼓舞しながらひたすら赤蛇の眼前で挑発し、やつの敵愾心がリュカに向くのを防ぐ。
この類の魔物が行って来る攻撃は決まっている。身体を使っての叩きつけ、巻き付き、噛みつき攻撃……それから……。
「もう一発来るぞ! ライラ、頼む!」
リュカをハンドサインで下がらせ、撒き散らされたブレスに対し俺はもう一度カゲサキを発動する。ノーダメージとは行かないが、持ちこたえるのは容易だ。
「とりゃああ、《スライス》! 《スライス》!」
その隙にリュカが猛攻を仕掛ける。現在のリュカの剣術スキルによる所持技能は……。
《双剣術スキル・獲得技能》
(1 )スライス
(5 )二刀装備時力補正
(10)ツイン・ループ
(15)見切り
以上の四種。スライスは基本技、ツインループは両手の剣をブーメランのように飛ばす中距離攻撃なので、どちらも一撃の決定打に欠ける。それでも彼女は諦めずに頑張った。
かなりの量の体液が飛び散り、流石に無視できなくなったのか、蛇は大きく口を開けた。
あれは……。
「チッ……」
「ああっ……あにきっ!」
ブレスとは違うその雰囲気に、俺はリュカを突き飛ばすようにして懐に入り、ばねのような勢いで伸びた蛇の頭が俺の体を飲み込む。
途中で松明が折られ、俺の体はずぶずぶと体内に入り込んでゆく。
『このバカヘビ! あにきを返せぇぇぇっ!』
『ああもう調子に乗るから! チロル、私達もやるわよっ!』
『はははい!』
外の三人が慌てた様子なのを聞きつつ……俺は口角を上げた。
実は狙い通りだ。
ここは遺跡内……生身の体だったら御免だが、しばらくは耐えられる。
そして口の中は無防備この上ない。
最初から奴がこの行動を取った時はこうすると決めていた。
俺は精神を集中し、体をぐっと縮め……叫んだ。
「へへへ、舐めんなよ! 《偽拳術・オーラバースト》!」
――ドオンッ!!
外からは、蛇の体の真ん中程が、球体のように大きく膨らんだのが見えただろう。
拳術スキルで使用できる気の力が蛇の体に大穴を開け、俺はそこから飛び出した。
「……ふーっ」
「あにきぃぃぃ~~っ! 心配したよぉっ!」
「リュカストップ! 後でな。……さすがに気持ちわりぃや」
赤蛇は横倒しになり、体を痙攣させている。どうやらトドメを刺すことが出来たらしい。
鞄から水を取り出して頭からかぶると、半分程度まで減少して赤い体力の目安が止まった。溶かされようとしていたのか……あのままでずっといたらさすがに危なかっただろう。
「……もしかして狙ってたの? 良くあんなことできたわね。正気とは思えないわ」
「似たようなことを経験済みでな。心配したか?」
「別に……」
ライラが少し怒った顔でそっぽを向く……大分不安にさせたらしい。
「さすがテイルさんなのです! わたし役立たずで……」
「いや、新技助かったぞ。リュカも頑張ったな」
「でしょ!! ふふ~ん」「えへへ~」
二人を労うと、誇らしげに揃って笑顔を見せる。
後ろでは赤蛇の体が灰へと変わり始めていたが、そこで室内に変化が起きた。
床が小刻みに震え出したのだ。
「あっ、なんか出て来るよ! なにかな、なにかな!」
――ゴリゴリゴリ……ゴトン。
石が擦れるような音と共にぽっかりと空いた穴から回転しながら台座がせり出して来た。
その上には乗せられたのは、道中で見つけた物とは違った、豪華な装飾の宝箱。
「……すっご~い!!」「ほんとにお宝が出て来たのですっ!」
チロルとリュカが抱き合って飛び上がり、早速俺達はそちらに駆け寄って行った。
「ねぇ、開けてもいい!?」
「おう……」
わくわくした顔のリュカに皆が頷くと、彼女は宝箱の蓋をゆっくり開く。
皆の顔がぱぁっと輝いた。
「わぁぁぁぁ……!!」「へぇぇ……何か良さそうじゃない」
チロルとライラの口からため息が漏れる。
中から出て来たのは――石座《ベゼル》部分にサンストーンをあしらった、一つの美しい指輪だ。
俺はそっとそれを摘まみ上げ、鑑定する。
《★★★★★★ 橙光の方位針(装飾品)》
スロット数:4
基本効果:体力+100
追加効果:【◆橙角への道標】【‐】【‐】【‐】
特殊効果:《◆橙角への道標》……■■■■■■■■(用途不明)
円形《ラウンド》にカットされた宝石には内部に筋状の光がちらつく。
しかし見る角度を変えてもその光はどこかを指すように、固定されたままだ。
「これは……中々すごい物だな。少なくとも、同じクラスのものは今の俺には作れそうにない。特別な効果も付いているみたいだし……」
「あにきでも無理なんだ……それじゃ勿体ないね。レイベルさんに渡さないといけないから見るだけかぁ……」
覗き込んだリュカが残念そうに言うが、これは仕方がない。スロットに◆が着いているという事は特殊効果を持つアイテムなのだが、俺の鑑定アビリティのレベルでは効果までは見通せないようだった。
「ま、その代わり結構報酬ははずんでもらえると思うぜ。それに、あれを見てみろよ」
俺はいつの間にか消えてしまったボスの遺灰の場所に出現したアイテムを指さす。
「あ、赤い宝石なのです……これって」
拾い上げたチロルがこちらを見上げる。大粒のダークルビーだ。このサイズならなかなかいい値段になるだろう。そして……。
「これなんだろ……杖、かな?」
少し表面が溶けたようになった金属製の杖。もともとは値打ち物だったのだろうが、今や見る影もない。
「これ……魔道具じゃないかしら。魔力の残滓が感じられるわ。でも……ほとんど空っぽで多分もう起動できないわね。なになに……火蜥蜴の……息吹よ、全て……を、燃やし、尽くせ、かな?」
ライラが杖の表面に書かれた文字を何とか読み取り、眉を歪める。
「もしかして、これを飲み込んで魔力を吸ったせいで、あんなことになったんじゃないかしら?」
「かも知れないな……だとしたら、俺達の前に入った奴のせいか……? ま、迷惑料がわりに貰っておこうぜ。金属は魔銀と金の合金で、結構良さげだしな」
俺はライラから受け取ったそれを鞄に収める。
他にも、赤変したサーペンティンの皮や牙などの素材も手に入り、皆ホクホク顔だ。誘ってくれたレイベルさんに感謝しないといけない。
『――遺跡ウィルベルは攻略者が現れたため閉鎖されます。五分後、各自外部に転送いたしますので、それぞれ移動に備えて下さい。繰り返します……』
しばらくして俺達が戻ろうかと出口を探していると……あの精霊の声が頭の中に響きだして、俺は天井を見上げた。
「ああ、なるほど。これでここは入れなくなっちまうのか」
「少し残念ではあるけど、仕方ないわね……」
「でもおいら、楽しかったよ! 戦ったり、色々見つけたり、冒険してるって感じだった!」
「わたしもなのです! でもさすがにちょっと疲れましたぁ……後でゆっくりお風呂に浸かりたいです~」
頭巾頭をへにゃっと下げたチロルに、全員の笑い声が上がった。
達成感に包まれた雰囲気の中、頭の中で秒読みが始まり……俺達は名残惜しそうに遺跡内部を見渡すが、やがて周りは光に包まれ出し……次の瞬間俺達は、遺跡の入り口になっていた碑石部分へと移動していた。
ざわつく冒険者達が周囲を見渡す中、碑石の中心に輝いていた水晶が役目を終えたように輝きを失う。
「……どうやら、無事攻略は成功したみたいだね」
人垣を掻き分けてレイベルさんがこちらにやってくる。碑石を見張っていた部下に知らされたのだろう。
「ええ……レイベルさん。これが最後の部屋で手に入れた宝物です」
俺は素直にそれを渡し、彼は目を見張った。
「これは……! 素晴らしい物だ……この気品に満ちた装飾もそうだが、何より強い魔力が感じられる! どうやら当たりだったみたいだね、良くやってくれた!」
レイベルさんは強く俺の背中を叩くと、大きく手を拡げて周りに宣言した。
「皆さん、ここにまた、新たな攻略者が現われました! 彼らの健闘を讃えてやってください! そして、皆さんもご苦労様でした。これで今回の依頼は終了ですが……特別報奨を全員にも渡しますので、順次探索本部の天幕に来て受け取って下さい!」
『『『いよっしゃぁぁぁぁぁ――』』』
途端、周りを囲んでいた人々から歓声が上がる。
『どこの誰だかわからんがありがとうよ、あんた達!』
『おお、よく見りゃ別嬪さんばっかじゃねえか……羨ましいな、あんちゃん』
「はは、どうも……」
『どこの人? ミルキア? へえ、あんなところにこんな腕の立つ人達がいたんだなぁ……今度、戦い方を教えてくれない?』
「えへへ……」「て、照れるのです……」
「大したことじゃないわ、うちのパーティーには一人優秀な経験者がいるから……」
口々に讃えて来る冒険者達に俺はどう対応していいかわからず、大げさだなと思いながら愛想笑いを返す。チロルとリュカは褒められて嬉しそうにもじもじと体をくねらせ、ライラは真面目に答えている――。
こうして――俺達は初めて訪れた遺跡ウィルベルを攻略することに成功し、冒険者としての一つ大きな実績を積むことができた。この体験はきっと俺達の自信となり、この先の道行きを助けてくれることだろう。
赤い扉の前に辿り着いた俺達は、中から何か物音と話声が聞こえた為しばし休憩を取ることにした。別のパーティーが入っている間は、後から部屋に入ることが出来ないようになっているらしいのだ。
「先を越されちまったか。ま、いい経験になったけど」
「あら、わからないじゃない。失敗するかもしれないし」
あくまで俺の予想だが、案外ここまですんなりたどり着けたことを思うと、ボスモンスターもそう強力ではない――そんな気がしている。挑戦するチャンスが来る期待は過度に持たない方がいいだろう。
「でも、ここに来るまでも結構色々拾えたね!」
「お宝ざくざくなのです~♪」
リュカとチロルは鞄に入れてある戦利品を眺めてご満悦だ。
装備品の他に、魔道具や、今流通している物とは意匠の違う貨幣などもあった。
「こら、そういうのは全部終わってからな! それに、どうせレイベルさんに渡すんだから金に変わるだけだぞ?」
「そういうこと言わないでよ~!」
「ちょっと位夢を見たっていいと思うのです~」
ぶ~ぶ~言う二人をたしなめつつ、俺は道中で手に入れた一枚の紙を眺めた。
これも宝箱に入っていたものだが、驚くべきことに紙の質が非常に高く、印字された文字もくっきりと明瞭で異常に洗練されている。
もちろん、書いてある意味は分からない、だが、現在俺達の使っている言葉とある共通項があった。
それは数字の存在だ。
所々にちりばめられたそれだけが、俺達の使っているものと変わらない。
「綺麗な文章ね……意味は分からないけど」
「ああ……この人達、きっとものすごい文明を誇ってたんだと思うんだ。なのにそんな記録はどこにもないなんて、一体どうなってんだ……?」
「さあね……突発的な何かで、記録を残すことなく滅んだとか……? 彼らについてなにか痕跡や情報は残っていないの?」
「歴史学者じゃあるまいし、俺もそんなに詳しくは無いよ。しかし、レイベルさんからもそんな話聞けなかったし、まだ何も分かってないのかもな」
揃って首を傾げてみるが、俺たち二人だけでは予想にも限度がある。
レイベルさんに渡せば、しかるべき所で解析し、何かに役立ててくれるだろう……そう思って俺はそれを丸めて丁寧に筒にしまった。
『――内部での戦闘が終了しました。撃破失敗。挑戦して頂けます』
「おっ……終わったとさ。なんだこの精霊、無感情な割に気遣いにあふれてるな」
俺の予想は外れてしまった。
精霊の声が響き、前のパーティーが敗北したことを伝えてくれる。
すると皆の顔が緊張した物に切り替わる。
「挑戦するんだよね。つ、強いのかな……大きいのかな?」
「精霊さん精霊さん、中にいるのはどんな魔物なのですか……? ……だめです、それは答えてくれないのです……」
チロルが虚空に向かって話しかけてみるが、応答はない。
彼らは一体どんな存在なのか疑問は尽きないが、これもいつか分かる時が来るのだろうか。
ともかく、大一番だ……俺達は顔を突き合わせて簡単に作戦を話し合う。
中に入れば臨機応変に対応するしかない……しっかりと意思確認をしておく。
「初見の相手だ。攻撃されても痛みは無いし、命は落とさないらしいけど……なるべくダメージをくらわないように行動しよう。危なそうな時や、この赤いのが半分を切ったら一旦下がるように。ライラはなるべく攻撃の来ない位置を見極めて、回復を優先してくれ」
「わかったわ」
「リュカは凍結が効くようなら足回りを狙って移動を制限。俺が敵愾心《ヘイト》をなるべくとるように立ちまわるから、チロルは落ち着いて魔法で狙っていけ。いいな?」
「おっけーだよ!」「わかりました!」
皆が力強くうなずく。まだ魔力には余裕があるようだが、長期戦になるとそうもいっていられない。俺達もなるべく余計な魔力を遣わせないように気を付けないといけない。
「さぁ、それじゃ中に入るぞ、準備はいいか?」
「うん!」「はいなのです!」「いつでも」
思い思いの言葉を受け、俺は赤い扉に鍵を押し当てる。
扉は鈍い音を立てて開かれ、内部の様子が明らかになった。
まずなんとなく、焦げ臭いにおいが鼻につく。
誰かが火炎系の魔法でも使ったのだろうか……。
そして中央から、シュルシュルと喉を鳴らしながら何かがこちらへと近づいて来る。
ゆっくりとその輪郭が、壁の松明に照らされて明らかになっていった。
「こいつか……!」
――シャアァァァァァッ!
十M以上は有りそうな特大の大蛇が咆哮と共にこちらに牙をむいた。
Dランク――サーペンティンの巨大亜種か!?
だが、何か肌の色が……赤い!?
「とにかく……やるぞッ!」
俺は態勢を整える時間を作る為に松明で殴り掛かる。
横っ面を弾き飛ばし、驚いた奴がぐらりと傾くが、一撃では仕留められず首を振ってこちらに向かって来る。さすがにボスだけあってタフだ。
「リュカ、行けるか!?」
「あいよーっ!」
俺の反対側、奴の死角となる方向からリュカが青いダガーで切りつけ、相手が動き出すとすぐに距離を取る。立ち回りに少しずつ成長が感じられる。
「いくわよ!」「はい! 《ファイアボール》!」
ライラが紫色の魔力の塊を、チロルが一抱え程の火球を大蛇に放つ。
体をくねらせて避けようとする大蛇にファイアボールは躱されるが、魔力球は追尾するように軌道を変え、奴の体を吹き飛ばした。
たまらず奴もいったん後退し、今度は鎌首をもたげて体を膨らます。
深紅の体に、この動作……何だか嫌な予感がした。
「下がれ! ブレスだ!」
部屋に満ちていた焦げた臭いと結び付け、俺が察した通り……火炎の息がその口から放たれる。
――シュゴォオオオオ!
「《偽刀術・カゲサキ》!」
咄嗟に俺は皆を庇うように前に出る。
実体のないものを切る技で火炎を斬り散らすが、完全には防げない。
だが、その余波はライラが魔力の障壁で覆い、ガードしてくれた。
「ありがとな! しかし……」
これではサラマンダーもどきだ……一体何が起こっているのか。
「亜種ってこんなに強いワケ? こんなのなり立ての冒険者で倒せるの?」
「いや……」
ライラの疑問ももっともだ。C級上位のパーティでどうにか倒せるかという相手……新米冒険者に相手させるようなレベルじゃない。
だが、詮索している暇は無い……相手が再度突撃して来る。
「リュカ、もう一度攻撃を仕掛けるぞ! 見たとこ火属性の影響を受けてる……お前の剣が良く効くはずだ! 逆にチロルの魔法は効果が薄い……顔近くを狙って気を逸らせ!」
「なら、これです! 《パワーアップ!》」
力のステータスを増大させる新魔法、《パワーアップ》。
覚えたて魔法を使用したチロルが俺とリュカの力の能力値を底上げさせる。
これにより先程より良く攻撃が通るはずだ。
「守りと回復は任せて!」
「ああ!」
ライラの頼もしい声を受け、二発目のブレスが来る前に、左右に別れ俺達は走り始める。赤蛇がリュカを狙おうとしたので、俺は毒消しの瓶をぶつけて気を逸らした。
すると怒りに任せこちらに牙を剝いてかかって来るが、速さは大したことない……余裕をもってかわす。
「やっ、はっ! ~~~~っ、あ、あにきこいつ硬いよぉ! ろくに傷が……」
「大丈夫だ、しっかりダメージは与えられてる。そのまま攻撃を続けてろ!」
リュカは斬撃を叩きこむが、その皮膚の分厚さに舌を巻いた。
彼女を鼓舞しながらひたすら赤蛇の眼前で挑発し、やつの敵愾心がリュカに向くのを防ぐ。
この類の魔物が行って来る攻撃は決まっている。身体を使っての叩きつけ、巻き付き、噛みつき攻撃……それから……。
「もう一発来るぞ! ライラ、頼む!」
リュカをハンドサインで下がらせ、撒き散らされたブレスに対し俺はもう一度カゲサキを発動する。ノーダメージとは行かないが、持ちこたえるのは容易だ。
「とりゃああ、《スライス》! 《スライス》!」
その隙にリュカが猛攻を仕掛ける。現在のリュカの剣術スキルによる所持技能は……。
《双剣術スキル・獲得技能》
(1 )スライス
(5 )二刀装備時力補正
(10)ツイン・ループ
(15)見切り
以上の四種。スライスは基本技、ツインループは両手の剣をブーメランのように飛ばす中距離攻撃なので、どちらも一撃の決定打に欠ける。それでも彼女は諦めずに頑張った。
かなりの量の体液が飛び散り、流石に無視できなくなったのか、蛇は大きく口を開けた。
あれは……。
「チッ……」
「ああっ……あにきっ!」
ブレスとは違うその雰囲気に、俺はリュカを突き飛ばすようにして懐に入り、ばねのような勢いで伸びた蛇の頭が俺の体を飲み込む。
途中で松明が折られ、俺の体はずぶずぶと体内に入り込んでゆく。
『このバカヘビ! あにきを返せぇぇぇっ!』
『ああもう調子に乗るから! チロル、私達もやるわよっ!』
『はははい!』
外の三人が慌てた様子なのを聞きつつ……俺は口角を上げた。
実は狙い通りだ。
ここは遺跡内……生身の体だったら御免だが、しばらくは耐えられる。
そして口の中は無防備この上ない。
最初から奴がこの行動を取った時はこうすると決めていた。
俺は精神を集中し、体をぐっと縮め……叫んだ。
「へへへ、舐めんなよ! 《偽拳術・オーラバースト》!」
――ドオンッ!!
外からは、蛇の体の真ん中程が、球体のように大きく膨らんだのが見えただろう。
拳術スキルで使用できる気の力が蛇の体に大穴を開け、俺はそこから飛び出した。
「……ふーっ」
「あにきぃぃぃ~~っ! 心配したよぉっ!」
「リュカストップ! 後でな。……さすがに気持ちわりぃや」
赤蛇は横倒しになり、体を痙攣させている。どうやらトドメを刺すことが出来たらしい。
鞄から水を取り出して頭からかぶると、半分程度まで減少して赤い体力の目安が止まった。溶かされようとしていたのか……あのままでずっといたらさすがに危なかっただろう。
「……もしかして狙ってたの? 良くあんなことできたわね。正気とは思えないわ」
「似たようなことを経験済みでな。心配したか?」
「別に……」
ライラが少し怒った顔でそっぽを向く……大分不安にさせたらしい。
「さすがテイルさんなのです! わたし役立たずで……」
「いや、新技助かったぞ。リュカも頑張ったな」
「でしょ!! ふふ~ん」「えへへ~」
二人を労うと、誇らしげに揃って笑顔を見せる。
後ろでは赤蛇の体が灰へと変わり始めていたが、そこで室内に変化が起きた。
床が小刻みに震え出したのだ。
「あっ、なんか出て来るよ! なにかな、なにかな!」
――ゴリゴリゴリ……ゴトン。
石が擦れるような音と共にぽっかりと空いた穴から回転しながら台座がせり出して来た。
その上には乗せられたのは、道中で見つけた物とは違った、豪華な装飾の宝箱。
「……すっご~い!!」「ほんとにお宝が出て来たのですっ!」
チロルとリュカが抱き合って飛び上がり、早速俺達はそちらに駆け寄って行った。
「ねぇ、開けてもいい!?」
「おう……」
わくわくした顔のリュカに皆が頷くと、彼女は宝箱の蓋をゆっくり開く。
皆の顔がぱぁっと輝いた。
「わぁぁぁぁ……!!」「へぇぇ……何か良さそうじゃない」
チロルとライラの口からため息が漏れる。
中から出て来たのは――石座《ベゼル》部分にサンストーンをあしらった、一つの美しい指輪だ。
俺はそっとそれを摘まみ上げ、鑑定する。
《★★★★★★ 橙光の方位針(装飾品)》
スロット数:4
基本効果:体力+100
追加効果:【◆橙角への道標】【‐】【‐】【‐】
特殊効果:《◆橙角への道標》……■■■■■■■■(用途不明)
円形《ラウンド》にカットされた宝石には内部に筋状の光がちらつく。
しかし見る角度を変えてもその光はどこかを指すように、固定されたままだ。
「これは……中々すごい物だな。少なくとも、同じクラスのものは今の俺には作れそうにない。特別な効果も付いているみたいだし……」
「あにきでも無理なんだ……それじゃ勿体ないね。レイベルさんに渡さないといけないから見るだけかぁ……」
覗き込んだリュカが残念そうに言うが、これは仕方がない。スロットに◆が着いているという事は特殊効果を持つアイテムなのだが、俺の鑑定アビリティのレベルでは効果までは見通せないようだった。
「ま、その代わり結構報酬ははずんでもらえると思うぜ。それに、あれを見てみろよ」
俺はいつの間にか消えてしまったボスの遺灰の場所に出現したアイテムを指さす。
「あ、赤い宝石なのです……これって」
拾い上げたチロルがこちらを見上げる。大粒のダークルビーだ。このサイズならなかなかいい値段になるだろう。そして……。
「これなんだろ……杖、かな?」
少し表面が溶けたようになった金属製の杖。もともとは値打ち物だったのだろうが、今や見る影もない。
「これ……魔道具じゃないかしら。魔力の残滓が感じられるわ。でも……ほとんど空っぽで多分もう起動できないわね。なになに……火蜥蜴の……息吹よ、全て……を、燃やし、尽くせ、かな?」
ライラが杖の表面に書かれた文字を何とか読み取り、眉を歪める。
「もしかして、これを飲み込んで魔力を吸ったせいで、あんなことになったんじゃないかしら?」
「かも知れないな……だとしたら、俺達の前に入った奴のせいか……? ま、迷惑料がわりに貰っておこうぜ。金属は魔銀と金の合金で、結構良さげだしな」
俺はライラから受け取ったそれを鞄に収める。
他にも、赤変したサーペンティンの皮や牙などの素材も手に入り、皆ホクホク顔だ。誘ってくれたレイベルさんに感謝しないといけない。
『――遺跡ウィルベルは攻略者が現れたため閉鎖されます。五分後、各自外部に転送いたしますので、それぞれ移動に備えて下さい。繰り返します……』
しばらくして俺達が戻ろうかと出口を探していると……あの精霊の声が頭の中に響きだして、俺は天井を見上げた。
「ああ、なるほど。これでここは入れなくなっちまうのか」
「少し残念ではあるけど、仕方ないわね……」
「でもおいら、楽しかったよ! 戦ったり、色々見つけたり、冒険してるって感じだった!」
「わたしもなのです! でもさすがにちょっと疲れましたぁ……後でゆっくりお風呂に浸かりたいです~」
頭巾頭をへにゃっと下げたチロルに、全員の笑い声が上がった。
達成感に包まれた雰囲気の中、頭の中で秒読みが始まり……俺達は名残惜しそうに遺跡内部を見渡すが、やがて周りは光に包まれ出し……次の瞬間俺達は、遺跡の入り口になっていた碑石部分へと移動していた。
ざわつく冒険者達が周囲を見渡す中、碑石の中心に輝いていた水晶が役目を終えたように輝きを失う。
「……どうやら、無事攻略は成功したみたいだね」
人垣を掻き分けてレイベルさんがこちらにやってくる。碑石を見張っていた部下に知らされたのだろう。
「ええ……レイベルさん。これが最後の部屋で手に入れた宝物です」
俺は素直にそれを渡し、彼は目を見張った。
「これは……! 素晴らしい物だ……この気品に満ちた装飾もそうだが、何より強い魔力が感じられる! どうやら当たりだったみたいだね、良くやってくれた!」
レイベルさんは強く俺の背中を叩くと、大きく手を拡げて周りに宣言した。
「皆さん、ここにまた、新たな攻略者が現われました! 彼らの健闘を讃えてやってください! そして、皆さんもご苦労様でした。これで今回の依頼は終了ですが……特別報奨を全員にも渡しますので、順次探索本部の天幕に来て受け取って下さい!」
『『『いよっしゃぁぁぁぁぁ――』』』
途端、周りを囲んでいた人々から歓声が上がる。
『どこの誰だかわからんがありがとうよ、あんた達!』
『おお、よく見りゃ別嬪さんばっかじゃねえか……羨ましいな、あんちゃん』
「はは、どうも……」
『どこの人? ミルキア? へえ、あんなところにこんな腕の立つ人達がいたんだなぁ……今度、戦い方を教えてくれない?』
「えへへ……」「て、照れるのです……」
「大したことじゃないわ、うちのパーティーには一人優秀な経験者がいるから……」
口々に讃えて来る冒険者達に俺はどう対応していいかわからず、大げさだなと思いながら愛想笑いを返す。チロルとリュカは褒められて嬉しそうにもじもじと体をくねらせ、ライラは真面目に答えている――。
こうして――俺達は初めて訪れた遺跡ウィルベルを攻略することに成功し、冒険者としての一つ大きな実績を積むことができた。この体験はきっと俺達の自信となり、この先の道行きを助けてくれることだろう。
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