カラー・ロック

他島唄

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部室に残された私と千代さんは、それぞれのパート練習を始める。私はベースを弾きながらも、耳は千代さんのギターを聞いていた。相変わらず、モノクロな綺麗な音色だ。
 「集中できてないみたいね。」
 「あぁ。ごめんなさい。ちょっと聞き入っちゃって。」
 「聞き入るって、自分のベースに?」
 「ううん。千代さんのギターに。」
 私は少し恥ずかしかったが、しっかりと答えた。
 「私の?そんなに良かった?」
 「うん。1週間前を思い出したよ。」
 「1週間前?」
 「初めて千代さんのギターを聞いたとき。公園で。」
 「あぁあの時ね。今はエレキだけどね。そういえば、どうして逃げたの?」
 千代さんは、私にとって少し都合の悪いことを聞いてきた。すっかり忘れていると思ったのに...。
 「うーん。なんでだろう。なんとなく?」
 「なんとなくって...」
 「確か...、カッコいいと思って、目が合ったと思って、その後恥ずかしいと思って...。...逃げた。」
 「よく分かんないけど、カッコいいって思ってくれたんだ。」
 「うん。それと、一緒にやりたいと思った。」
 「そっか。それで初めて軽音部来た時の『告白』につながるわけね。」
 千代さんは私をからかうように言う。
 「『告白』って...。でも、そうだよ!あの時から、千代さんのギターの音色は忘れられない。」
 「『告白』でしょ。すごいビックリしたんだから。でも、それ以上に...」
 千代さんの最後の声は小さくて聞こえなかった。
 「最後なんて...」
 「なんでもない。でも、そっか。私の演奏が忘れられないか...。それはギタリスト冥利に尽きるね。」
 千代さんは私の問いかけに被せるように答える。そして、また、私をからかうように言う。恥ずかしがっている私が、千代さん的にはツボのようだ。
 「もう!練習しましょう。」
 「そうだねー。」
 千代さんはまだニヤニヤしている。でも、私をからかいたいという気持ちだけではなく、嬉しそうだ。そして、練習に戻ろうとすると、明音が元気に部室の扉を開ける。
 「遅れてごめーん。さぁ練習しよ!」
 明音も、私がベースにはまっているのと同じように、ドラムにどっぷり浸かっている。軽音部に見学に来てから、運動部も見学に行くと思っていたが、全くなかった。むしろ、終礼が終わるとすぐに私の席に来て、私を引っ張っていくほどだ。
 「今日はまず合わせてみようか。」
 千代さんの提案に私と明音はのる。そうして、紅葉先輩との練習、千代さんとのおしゃべりから始まった、少し変わった部活動は、3人の最近の日常へと戻っていく。
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