angelic

Iris

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1話

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「愛ってさ、何色だと思う?」
光が差し込む窓辺に座りながら、どこか消えてしまいそうな印象さえ与える趣で、純平はそう口にした。
朝という時間帯の方が、純平にはよく似合う。
「急にどうしたの?」
美咲は彼の発言に若干の戸惑いを見せ、けれど、特段驚いた様子はなく、いつものように問い返した。
意図の汲めない内容は、素直に聞いた方が良い、彼と短くはない年月を過ごしている美咲にとって、それは当たり前のことだった。
「いや、何となく?」
「多いね、それ」
純平の自分でもどうしてだか分からない、とでも言いたげな、ケロっとした表情に、美咲は思わず笑みがこぼれる。
本当に彼は、「何となく」でこの意味深な発言を彼女に向けてしていることに、間違いはないのだった。
「純平と話してると、大体のことが、どうでもよく思えてくる」
「は?何だよそれ。俺はいたって大真面目だぜ?」
「知ってるよ」、美咲はその言葉を表に出すことはなかった。
何故かその一言で、彼を言い表してしまうことが、どこか勿体無い、と思えたからかもしれない。
「純平はさ、怖くない?」
「お前が質問なんて、珍しいじゃん」
「…そんなことないよ」
むしろ、毎日のように質問を重ねている。
彼がまるで、その質問はしなくて良い、とでも言いたげなこの返答は、優しさからくるものだということを、美咲は、よく分かっているつもりだった。
純平の優しさは分かりにくい。
けれど、彼の底抜けの優しさには、何度救われたか分からなかった。
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