【とりあえず一章まで】前世と前々世の記憶が一緒に目覚めたので悪役令嬢なんてやってられません!!

れぷ

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一章 国外脱出

勝手に自滅した傲慢な父

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 冒険者として依頼をアッサリこなしたツェツィーは色を付けて貰った報酬を開発したばかりの異空間収納に納めホクホク顔で帰宅した。

 光属性の魔法を魔改造して作ったステルス迷彩を使っているので屋敷の出入りは誰にも認識される事は無かった。

 それにツェツィーはエリート公爵家では冷遇されているので、専属侍女も付いて居ないのである。
 ちなみに冷遇されている理由は魔法が使えないから。今のツェツィーは使えるが前世と今世の覚醒前のツェツィーは魔法が使えない子だった。

 エリート公爵家は魔法の使える家系なので貴族の中での立場が上なのだ。
 その事で王族から何度も嫁や婿を取っているので王族の血も結構濃く継いでいる。

 そんな中で魔法の使えないツェツィーは出来損ない扱いされるのは必然と言えるだろう。
 ツェツィー自身も、魔法が使えないだけでここまで扱いが酷い人達を家族と認めていなかった。
 なので家を捨てる事にも、なんの躊躇いも無いのである。

 流石に公爵家なので出される食事はまともだ。使用人向けの献立だが文句は無いツェツィーである。
 貴族用の献立でも前々世の日本の料理に比べたら大差ない位不味いのだ。

 旅に出たら食材や調味料探しも目標にしているツェツィーであった。


 今日も不味い料理が運ばれて来るのを待っていると、珍しい事にエリート公爵家当主がわざわざツェツィーの部屋にやって来た。

「むっ?!気のせいでは無かったのか・・・!」
「???」

 エリート公爵は何やら驚愕している様だが、ツェツィーの方は何を言ってるのかさっぱりわからない。

「テチーよ。今日からお前も家族の団欒に入れてやろう。感謝すると良い。」
「ツェツィーです。それと私達は家族では無いので無理です。」
「なんだと?!貴様ワシに逆らう・・・ヒイィ!!!」

 傲慢な公爵の物言いにイラッとしたツェツィーは思わずその無尽蔵な魔力を開放し、魔力圧を公爵に向けてしまった。

 ツェツィー魔力圧に圧倒された公爵は全身をガタガタと痙攣させて、遂には失禁してしまったようだ。

 崩れて倒れた公爵はこの一瞬で50歳は老けてしまっていた。
 髪は抜け落ち肌はシワシワだ。どうやら相当怖かったらしい。ついでに魔力を生み出す為の魔力泉と呼ばれる所がキュッと縮小してしまい、公爵自慢の魔法も程度の低い物しか使えなくなってしまっていた。

「あれ?!ミイラみたいになっちゃいました!!」

 当のツェツィーは公爵の代わり様にビックリしていた。
 まさか魔力を少し当てただけで、恐怖によるストレスでああなるとは思わなかったのだ。
 これは魔力を感じる事が出来た公爵だからこその結果なのだが、そんな事ツェツィーは知るはずもない。

「か、かひゅーかひゅー・・・」

 公爵は変な呼吸音をさせながら命を取られるかの様にツェツィーから必死に這いつくばって逃げ出した。
 当然ツェツィーはトドメをさすつもりは無いので止める事なく見送った。

 変わり果てた公爵に夫人や嫡男、長女は直ぐに気が付いたが、公爵が何も話さない為、どうしてこうなったのか分からずじまいだった。
 また、使用人達も夫人の言付けを守り、ツェツィーの世話を殆どしなかった為、誰も公爵とツェツィーが会っていた事など知らなかった。
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