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第10章 Freedom国、経済の中心へ!
102話 遠い未来
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ケンジ達は、ムシュダルクを見送った後、ゲンゴがケンジに話しかけた。
「なあ、主殿?」
「まだ何かわからない事でもあるのか?」
「こっちの素材はどうするんだ?つかわないのか?」
「ああ!この素材はこのまま使うから大丈夫だ」
「ケンジ様。このまま使うってどういう事でしょうか?」
「今使っているポーションの瓶ってあるだろ?」
「えぇ……ありますね」
「その蓋に使おうと思うんだよ。今瓶の製作はかなり失敗する確率が高いだろ?」
「確かにきっちり蓋の部分と蓋の直径をあわせるのに苦労してます。ちゃんと合わせないと、中身がこぼれてしまいますからね」
「その為、ガラス瓶は高価でポーション自体も高価なものだが、ガラス職人の暮らしは決して裕福なものじゃないだろ?」
「確かに……」
「失敗する数が多すぎて、商品にならないからだよ。要は、労力と時間が伴っていないからだな」
「だけど、ポーション瓶は必要不可欠ですからね。布袋だと布がポーションを吸収してしまうし、鉄で作ったらポーションの効果が薄まるし、使用期限が縮まりますからね……」
「鉄で容れ物を作ったら重くなるし、鉄で作ったらより高値になるし冒険には向いてないしな」
「だから、このコルクで蓋部分を作るんだよ」
「こんなのが蓋になるのですか?」
「この弾力性がぴったりなんだよ。ガラスの口部分が多少違っても、今までみたいにきっちり合わせなくてよくなるから、失敗作品が大幅に減るはずだよ」
「だが、このコルクってのはそんなに実用性があるのか?」
「言っておくが、これは何もポーションだけとは限らないんだぞ?」
「どういう事だ?」
「ゲンさんの好きな酒があるだろ?」
「ああ!わしはワインが好みだが、主の奴隷になれてわしは幸せ者だよ。普通は、奴隷は酒など飲めないからな」
「ドワーフ族は酒が好きだからな!そのワインの瓶にもコルクが使えるんだぞ」
「って事は、液体を用いる入れ物に全部使えるという事ですか?」
「そういうことだ。これがどういうことかシャイアは分かるよな?」
「は、はい!」
シャイアは、このコルクの出現に歓喜したのである。ガラス瓶の失敗は少なくなり、また液体の入った殆どの瓶の蓋が、この素材に代わる事で莫大な利益を生む事になるからだ。
この素材をNFGの販売網で広げたら、他国でも利用される事が容易に想像できたのである。
ケンジはさっそく、鍛冶工房に行きガラス職人がいる大型炉の設置されている場所にいった。
「ダンギ、シェムちょっときいてくれないか?」
「「主殿どうかしたのか?」」
「ゲンさんがな、レア素材の採取に成功したんだよ」
「ほう!棟梁もやるのう!」
「それでだな、ポーション瓶の口をこういう形にしてくれないか?」
「主殿そいつは駄目だ!引っかかりが無いじゃないか?液体がこぼれちまうよ」
「ダンギよ!まずは主殿の言う通りにせぬか」
「だが、シェムよ……」
「主殿は、棟梁の見つけてきた素材で何か考えがあるんだろう」
「さすがシェムだ!その通りだ。この素材でポーションの蓋を作ろうと思っているんだよ」
「主殿?なんだこの素材は?初めて見るな……」
「ああ!コルクと言って、樹木の皮の部分になる素材なんだ」
「ほう!」
「ダンギ達は、蓋の直径より少し大きなくり貫く型を作ってくれないか?」
「ああ!分かった」
鍛冶工房の人間は、ケンジの指示のもと型とガラス瓶の製作をした。ガラス職人も出っ張りを作る事も、蓋の直径を測りながら作る必要が無いので簡単に作ることが出来た。
そして、口の大きさは微妙に違うが、さすがスキル持ちの職人が作った商品が出来上がった。
「主殿、本当にこんなので大丈夫なのか?微妙に大きさが違うだろ?」
ダンギが言う微妙な違いは、素人目には分からなかった。職人の目だからこそわかる違いなのだ。
「大丈夫だよ。コルク栓は弾力があるから密着すると思うぞ」
ケンジの言う通り、中身に水を入れてコルク栓をした。すると全てのポーション瓶の中身は、こぼれることなく栓が閉まったのである。
「「主殿!」」
「こいつはすげぇぜ!」
「本当じゃ!ガラス瓶の失敗作が全くない」
鍛冶工房で働く職人たちは、ワッと歓声があがったのである。
「これでガラス職人は、必要以上の繊細な作業はいらなくなったな?」
「「「「「主様!本当に凄い物をありがとうございます」」」」」
「いやいや、お礼なら後でゲンさんに言ってくれたらいいよ」
「「「「「わかりました!」」」」」
ダンギとシェムの弟子達は、それでもケンジに何回も頭を下げたのだった。
そして、このコルク栓はNFGの販売網で異例の大ヒットとなり、Freedom国の産物になったのはいう間でもなかった。ポーション瓶の失敗は余程の事がない限り、失敗作は無くなり瓶の生産量があがったのだ。
そして、NFGの掲示板も全て、木材からこのコルク製の掲示板に変わったのである。受付嬢は毎朝依頼書を画鋲で張り付ける作業があったが、実は女性にとって地味に大変な作業だったからだ。
しかし、このコルクのおかげで少しの力で、画鋲が刺さり本当にこの掲示板は受付嬢にとってありがたかった。
「ケンジ様!このコルク栓凄い好評ですよ」
「何とか、孤児院の予算は出せそうか?」
「出せそうどころかこの調子ならおつりがきますよ」
「そんなにか?」
「えぇ!このコルクのおかげで、ガラス瓶の生産量が上がったのが良かったのです。そのおかげで、ワイン等の果実酒の売り上げが上がったのですよ」
「なるほど!酒類の生産も上がったって事か」
「そういうことです。今までは、容器のおかげで樽単位でしか発注が見込めませんでしたが、瓶での発注もその生産量が追い付いたって事ですね」
「そういえば、紙の方はどんな感じだ?」
「それなのですが、ようやく形になって来たようですね」
コルク栓と同じくして、パルプを使った紙の商品化は難しかったのである。あの時奴隷に落とされた家族達と、ケンジはパーティーを組み紙づくりの作業を任せていたのである。
パーティーを組むことで、スキルの上昇は上り、すぐに紙掬いのスキルを習得し、30.00ほどにすぐ上がり商品化として頑張っていた。
男達にはパルプを釜茹での作業をさせ、一日置いた状態のパルプを女性達が掬うのである。そして、均等に掬えたら男達が材木の保管庫に運び入れて水分を抜き取り、紙を乾かす作業に移す事になる。
これにより孤児院の予算をカバーすることができた。ラトーラの町以外の私立の学校のいくつかは、やはり詐欺を働たことで子供達が孤児院に世話になる事になった。
しかし、Freedomはそれを決して許す事はせず、情報はすぐに町の衛兵からまわってくるようにしたのだ。
詐欺にあい借金奴隷に落とされてしまった家族を、ケンジは紙の製造の従業員に雇う事でフォローしたのである。
「君達は早く借金を返し、自分の子供達を迎えに行ってほしい」
「「「「「ご主人様、本当にありがとうございます」」」」」
「それじゃ、すぐに作業に取り掛かってくれ」
「「「「はい!」」」」」
詐欺に掛った夫婦たちは、ラトーラの町で詐欺に掛った夫婦達に、作業工程を聞き仕事に取り掛かったのである。
「ケンジ様……」
「シャイア、言いたいことは分かるから言わなくていい!」
「ったく……結局は、詐欺に掛った人間を全てフォローしてしまって……」
「いやいや……ラトーラで詐欺に引っかかった人間だけじゃ、人員が足りなかっただけじゃないか」
「もっと、自覚してください!普通はあのような者達は、自業自得で放って置かれてもしょうがないのですよ?」
「分かっているよ。あの家族達もな!とにかく、俺はあの者達が悪いって思うこの風潮が嫌なんだよ」
「どういう事ですか?」
「シャイア、お前は騙されるのは自業自得だと言ったよな?」
「はい。ケンジ様があれほど注意勧告したではありませんか?なのに、あの者達は騙されたのですよ?」
「そうじゃない!騙されるのが悪いなんて、絶対あり得ない事なんだよ?」
「ですが……」
「例えばだな?仮の話をするけど、もし俺が今回のような事をするとしたらどう思う?」
「ケンジ様がそんなことする訳!」
「仮にだよ仮に!もしシャイアの子供がいたとして、俺の経営している学校に入学させて詐欺にあったとして、それは自業自得になるのか?」
「ケンジ様が、私達を騙すだなんてあり得ない事ですよ」
「そうだよな?だけど、悪いやつと言うのは騙す事目的に行動するんだよ。最初はその人にとって良い事を言い、良い気分にさせるんだ。今回の件は自分の子供の将来を引き合いに出して騙したんだよ?」
「そ、それは……」
「もし仮に、俺がシャイアを騙すとしたら簡単だ。今までの信頼関係があるからな。そう言ったことを巧みについてくるのが悪いやつなんだ。だから、自業自得と思うのはしょうがない。しかし、それを当たり前だと思い込むのも寂しいと思わないか?」
「ですが、ケンジ様も実際はそう思っていませんでしたか?」
「たしかに、この紙の製造やコルクの件での人材の必要が無ければ放って置いたさ。だが、救うことが出来るのなら救ってやってもいいと思わないか?」
「そ、それは……」
「俺は、Freedom国の事で一番に考えて行動をして動いている。そこには打算や自分の利益が絡んでいることも事実だ」
「……」
「他の人から見たら、偽善者と言うやつもいるだろう。だが、他人を騙して自分がいい目を見ようとするような奴にはなりたくないし、騙される方が悪いとか自業自得とは思いたくないよ」
「分かりましたよ……」
「納得できない感じか?」
「えぇ……なんか、ケンジ様が損をする役割にしか思えなくて……」
「大丈夫だって!」
「ですが、今まで見ていましたが、何でこんなにFreedom国ばかり、貧乏くじを引かなければいけないのですか?」
「貧乏くじ?」
「だってそうではありませんか!聖教国から始まりヒューマン国のトップは、Freedom国に丸投げした結果、元貴族達による暴走や国民達のフォローが溢れかえったじゃないですか?」
「ああ!なるほど……そこに苛立ちを覚えていたのか?」
「何を呑気な事を!もし、Freedom国だけなら、こんな苦労はしていなかったと思わないのですか?」
「いいかい?俺は貧乏くじなんて思ってないよ。むしろこうなるようにワザと行動していたと言っていい!」
「はぁあ⁉」
「いいかい?俺の行動の原点は横暴な貴族や権力者を、抹殺することにあるのは知っているよな?」
「はい……」
「つまりだ!Freedom国は他国を吸収することで、ヒューマン国のトップになったわけだ。他国が存在したままでは、他国に貴族を無くせと言ってなくなると思うか?」
「なりません……」
「だったら、王権制度をぶっ潰さないといけないと考え、他国のトップたちにFreedom国に丸投げをさせることに成功したんだよ」
「って事は……」
「そう!この状況下は、俺の思った通りになったと思って貰ったらいいんだ?」
「しかし、厄介事ばかりじゃないですか?貴族達は自分の事を、いまだに貴族だと思い込み、自分達と平民と区別しているじゃないですか?」
「そりゃ、そんな簡単にトップになったからと言って、思い通りになる訳ないじゃないか。その中で100年1000年後を見据えて行動しないとやってられないよ」
「1000年後?」
「そうだ!1000年後Freedom統一国家として、国民達が差別なく暮らせている世の中になっていることを目標にやっていくんだよ」
「そんな夢物語が……」
「本当にそう思うのか?」
「どう考えてもそうじゃないですか?」
「シャイアは長命種族だろ?シャイアが生まれたころと言えば300年ほど前のはずだろ?」
「ケンジ様!女性に年齢の話をするなんてデリカシーがありません!」
「悪い!だが、考えてくれよ300年ほど前は、Freedom国のような国が出来ているなんて想像できたか?」
「そ、それは……」
「少なくとも、貴族制度が無くなるなんて思っていなかったはずだ」
「た、確かに……」
「だったら、1000年後国民達の差別が無くなり、Freedom統一国家が、そんな国になっていてもおかしくはないだろ?」
「はい……」
「人間は何か最初にやろうとすると、周りにいる人間は大抵、お前には無理だとか才能が無いから諦めろなど言うものだ。だけど、俺はそんな他人が自分の経験で言う自分勝手な意見に振り回されないで、自由に楽しく生きていきたいんだよ」
「分かりました。私は、ケンジ様を信じて協力を惜しむことなく、側にいさせていただきます」
シャイアは、ケンジの言う事を信じようとしていた。そんな世の中が来たら理想だが、ケンジならやってできそうだと思ったからだ。
もし、1000年後そんな世の中が来ていなくとも、Freedom統一国家は存在しており、まだ時間が足りなかっただけだと思えばいい事なんだと思えた。
(まあ、1000年後と言えば、その時私は1300歳をこえている計算になり、エルフでも絶対にこの世にはもういないんだけどね……)
シャイアは、クスリと笑みをこぼしたのだった。
「なあ、主殿?」
「まだ何かわからない事でもあるのか?」
「こっちの素材はどうするんだ?つかわないのか?」
「ああ!この素材はこのまま使うから大丈夫だ」
「ケンジ様。このまま使うってどういう事でしょうか?」
「今使っているポーションの瓶ってあるだろ?」
「えぇ……ありますね」
「その蓋に使おうと思うんだよ。今瓶の製作はかなり失敗する確率が高いだろ?」
「確かにきっちり蓋の部分と蓋の直径をあわせるのに苦労してます。ちゃんと合わせないと、中身がこぼれてしまいますからね」
「その為、ガラス瓶は高価でポーション自体も高価なものだが、ガラス職人の暮らしは決して裕福なものじゃないだろ?」
「確かに……」
「失敗する数が多すぎて、商品にならないからだよ。要は、労力と時間が伴っていないからだな」
「だけど、ポーション瓶は必要不可欠ですからね。布袋だと布がポーションを吸収してしまうし、鉄で作ったらポーションの効果が薄まるし、使用期限が縮まりますからね……」
「鉄で容れ物を作ったら重くなるし、鉄で作ったらより高値になるし冒険には向いてないしな」
「だから、このコルクで蓋部分を作るんだよ」
「こんなのが蓋になるのですか?」
「この弾力性がぴったりなんだよ。ガラスの口部分が多少違っても、今までみたいにきっちり合わせなくてよくなるから、失敗作品が大幅に減るはずだよ」
「だが、このコルクってのはそんなに実用性があるのか?」
「言っておくが、これは何もポーションだけとは限らないんだぞ?」
「どういう事だ?」
「ゲンさんの好きな酒があるだろ?」
「ああ!わしはワインが好みだが、主の奴隷になれてわしは幸せ者だよ。普通は、奴隷は酒など飲めないからな」
「ドワーフ族は酒が好きだからな!そのワインの瓶にもコルクが使えるんだぞ」
「って事は、液体を用いる入れ物に全部使えるという事ですか?」
「そういうことだ。これがどういうことかシャイアは分かるよな?」
「は、はい!」
シャイアは、このコルクの出現に歓喜したのである。ガラス瓶の失敗は少なくなり、また液体の入った殆どの瓶の蓋が、この素材に代わる事で莫大な利益を生む事になるからだ。
この素材をNFGの販売網で広げたら、他国でも利用される事が容易に想像できたのである。
ケンジはさっそく、鍛冶工房に行きガラス職人がいる大型炉の設置されている場所にいった。
「ダンギ、シェムちょっときいてくれないか?」
「「主殿どうかしたのか?」」
「ゲンさんがな、レア素材の採取に成功したんだよ」
「ほう!棟梁もやるのう!」
「それでだな、ポーション瓶の口をこういう形にしてくれないか?」
「主殿そいつは駄目だ!引っかかりが無いじゃないか?液体がこぼれちまうよ」
「ダンギよ!まずは主殿の言う通りにせぬか」
「だが、シェムよ……」
「主殿は、棟梁の見つけてきた素材で何か考えがあるんだろう」
「さすがシェムだ!その通りだ。この素材でポーションの蓋を作ろうと思っているんだよ」
「主殿?なんだこの素材は?初めて見るな……」
「ああ!コルクと言って、樹木の皮の部分になる素材なんだ」
「ほう!」
「ダンギ達は、蓋の直径より少し大きなくり貫く型を作ってくれないか?」
「ああ!分かった」
鍛冶工房の人間は、ケンジの指示のもと型とガラス瓶の製作をした。ガラス職人も出っ張りを作る事も、蓋の直径を測りながら作る必要が無いので簡単に作ることが出来た。
そして、口の大きさは微妙に違うが、さすがスキル持ちの職人が作った商品が出来上がった。
「主殿、本当にこんなので大丈夫なのか?微妙に大きさが違うだろ?」
ダンギが言う微妙な違いは、素人目には分からなかった。職人の目だからこそわかる違いなのだ。
「大丈夫だよ。コルク栓は弾力があるから密着すると思うぞ」
ケンジの言う通り、中身に水を入れてコルク栓をした。すると全てのポーション瓶の中身は、こぼれることなく栓が閉まったのである。
「「主殿!」」
「こいつはすげぇぜ!」
「本当じゃ!ガラス瓶の失敗作が全くない」
鍛冶工房で働く職人たちは、ワッと歓声があがったのである。
「これでガラス職人は、必要以上の繊細な作業はいらなくなったな?」
「「「「「主様!本当に凄い物をありがとうございます」」」」」
「いやいや、お礼なら後でゲンさんに言ってくれたらいいよ」
「「「「「わかりました!」」」」」
ダンギとシェムの弟子達は、それでもケンジに何回も頭を下げたのだった。
そして、このコルク栓はNFGの販売網で異例の大ヒットとなり、Freedom国の産物になったのはいう間でもなかった。ポーション瓶の失敗は余程の事がない限り、失敗作は無くなり瓶の生産量があがったのだ。
そして、NFGの掲示板も全て、木材からこのコルク製の掲示板に変わったのである。受付嬢は毎朝依頼書を画鋲で張り付ける作業があったが、実は女性にとって地味に大変な作業だったからだ。
しかし、このコルクのおかげで少しの力で、画鋲が刺さり本当にこの掲示板は受付嬢にとってありがたかった。
「ケンジ様!このコルク栓凄い好評ですよ」
「何とか、孤児院の予算は出せそうか?」
「出せそうどころかこの調子ならおつりがきますよ」
「そんなにか?」
「えぇ!このコルクのおかげで、ガラス瓶の生産量が上がったのが良かったのです。そのおかげで、ワイン等の果実酒の売り上げが上がったのですよ」
「なるほど!酒類の生産も上がったって事か」
「そういうことです。今までは、容器のおかげで樽単位でしか発注が見込めませんでしたが、瓶での発注もその生産量が追い付いたって事ですね」
「そういえば、紙の方はどんな感じだ?」
「それなのですが、ようやく形になって来たようですね」
コルク栓と同じくして、パルプを使った紙の商品化は難しかったのである。あの時奴隷に落とされた家族達と、ケンジはパーティーを組み紙づくりの作業を任せていたのである。
パーティーを組むことで、スキルの上昇は上り、すぐに紙掬いのスキルを習得し、30.00ほどにすぐ上がり商品化として頑張っていた。
男達にはパルプを釜茹での作業をさせ、一日置いた状態のパルプを女性達が掬うのである。そして、均等に掬えたら男達が材木の保管庫に運び入れて水分を抜き取り、紙を乾かす作業に移す事になる。
これにより孤児院の予算をカバーすることができた。ラトーラの町以外の私立の学校のいくつかは、やはり詐欺を働たことで子供達が孤児院に世話になる事になった。
しかし、Freedomはそれを決して許す事はせず、情報はすぐに町の衛兵からまわってくるようにしたのだ。
詐欺にあい借金奴隷に落とされてしまった家族を、ケンジは紙の製造の従業員に雇う事でフォローしたのである。
「君達は早く借金を返し、自分の子供達を迎えに行ってほしい」
「「「「「ご主人様、本当にありがとうございます」」」」」
「それじゃ、すぐに作業に取り掛かってくれ」
「「「「はい!」」」」」
詐欺に掛った夫婦たちは、ラトーラの町で詐欺に掛った夫婦達に、作業工程を聞き仕事に取り掛かったのである。
「ケンジ様……」
「シャイア、言いたいことは分かるから言わなくていい!」
「ったく……結局は、詐欺に掛った人間を全てフォローしてしまって……」
「いやいや……ラトーラで詐欺に引っかかった人間だけじゃ、人員が足りなかっただけじゃないか」
「もっと、自覚してください!普通はあのような者達は、自業自得で放って置かれてもしょうがないのですよ?」
「分かっているよ。あの家族達もな!とにかく、俺はあの者達が悪いって思うこの風潮が嫌なんだよ」
「どういう事ですか?」
「シャイア、お前は騙されるのは自業自得だと言ったよな?」
「はい。ケンジ様があれほど注意勧告したではありませんか?なのに、あの者達は騙されたのですよ?」
「そうじゃない!騙されるのが悪いなんて、絶対あり得ない事なんだよ?」
「ですが……」
「例えばだな?仮の話をするけど、もし俺が今回のような事をするとしたらどう思う?」
「ケンジ様がそんなことする訳!」
「仮にだよ仮に!もしシャイアの子供がいたとして、俺の経営している学校に入学させて詐欺にあったとして、それは自業自得になるのか?」
「ケンジ様が、私達を騙すだなんてあり得ない事ですよ」
「そうだよな?だけど、悪いやつと言うのは騙す事目的に行動するんだよ。最初はその人にとって良い事を言い、良い気分にさせるんだ。今回の件は自分の子供の将来を引き合いに出して騙したんだよ?」
「そ、それは……」
「もし仮に、俺がシャイアを騙すとしたら簡単だ。今までの信頼関係があるからな。そう言ったことを巧みについてくるのが悪いやつなんだ。だから、自業自得と思うのはしょうがない。しかし、それを当たり前だと思い込むのも寂しいと思わないか?」
「ですが、ケンジ様も実際はそう思っていませんでしたか?」
「たしかに、この紙の製造やコルクの件での人材の必要が無ければ放って置いたさ。だが、救うことが出来るのなら救ってやってもいいと思わないか?」
「そ、それは……」
「俺は、Freedom国の事で一番に考えて行動をして動いている。そこには打算や自分の利益が絡んでいることも事実だ」
「……」
「他の人から見たら、偽善者と言うやつもいるだろう。だが、他人を騙して自分がいい目を見ようとするような奴にはなりたくないし、騙される方が悪いとか自業自得とは思いたくないよ」
「分かりましたよ……」
「納得できない感じか?」
「えぇ……なんか、ケンジ様が損をする役割にしか思えなくて……」
「大丈夫だって!」
「ですが、今まで見ていましたが、何でこんなにFreedom国ばかり、貧乏くじを引かなければいけないのですか?」
「貧乏くじ?」
「だってそうではありませんか!聖教国から始まりヒューマン国のトップは、Freedom国に丸投げした結果、元貴族達による暴走や国民達のフォローが溢れかえったじゃないですか?」
「ああ!なるほど……そこに苛立ちを覚えていたのか?」
「何を呑気な事を!もし、Freedom国だけなら、こんな苦労はしていなかったと思わないのですか?」
「いいかい?俺は貧乏くじなんて思ってないよ。むしろこうなるようにワザと行動していたと言っていい!」
「はぁあ⁉」
「いいかい?俺の行動の原点は横暴な貴族や権力者を、抹殺することにあるのは知っているよな?」
「はい……」
「つまりだ!Freedom国は他国を吸収することで、ヒューマン国のトップになったわけだ。他国が存在したままでは、他国に貴族を無くせと言ってなくなると思うか?」
「なりません……」
「だったら、王権制度をぶっ潰さないといけないと考え、他国のトップたちにFreedom国に丸投げをさせることに成功したんだよ」
「って事は……」
「そう!この状況下は、俺の思った通りになったと思って貰ったらいいんだ?」
「しかし、厄介事ばかりじゃないですか?貴族達は自分の事を、いまだに貴族だと思い込み、自分達と平民と区別しているじゃないですか?」
「そりゃ、そんな簡単にトップになったからと言って、思い通りになる訳ないじゃないか。その中で100年1000年後を見据えて行動しないとやってられないよ」
「1000年後?」
「そうだ!1000年後Freedom統一国家として、国民達が差別なく暮らせている世の中になっていることを目標にやっていくんだよ」
「そんな夢物語が……」
「本当にそう思うのか?」
「どう考えてもそうじゃないですか?」
「シャイアは長命種族だろ?シャイアが生まれたころと言えば300年ほど前のはずだろ?」
「ケンジ様!女性に年齢の話をするなんてデリカシーがありません!」
「悪い!だが、考えてくれよ300年ほど前は、Freedom国のような国が出来ているなんて想像できたか?」
「そ、それは……」
「少なくとも、貴族制度が無くなるなんて思っていなかったはずだ」
「た、確かに……」
「だったら、1000年後国民達の差別が無くなり、Freedom統一国家が、そんな国になっていてもおかしくはないだろ?」
「はい……」
「人間は何か最初にやろうとすると、周りにいる人間は大抵、お前には無理だとか才能が無いから諦めろなど言うものだ。だけど、俺はそんな他人が自分の経験で言う自分勝手な意見に振り回されないで、自由に楽しく生きていきたいんだよ」
「分かりました。私は、ケンジ様を信じて協力を惜しむことなく、側にいさせていただきます」
シャイアは、ケンジの言う事を信じようとしていた。そんな世の中が来たら理想だが、ケンジならやってできそうだと思ったからだ。
もし、1000年後そんな世の中が来ていなくとも、Freedom統一国家は存在しており、まだ時間が足りなかっただけだと思えばいい事なんだと思えた。
(まあ、1000年後と言えば、その時私は1300歳をこえている計算になり、エルフでも絶対にこの世にはもういないんだけどね……)
シャイアは、クスリと笑みをこぼしたのだった。
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