役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第9章 人類の混乱

13話 王国破滅の序曲

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 辺境伯の怒号は鳴り止まない。マルクの私有地に伝令兵を送るが、すっかり敵認定されていて近づくだけでゴーレムが排除してくるのだ。そして、勢いは治まったとはいえ、いまだ亡命を望む他種族の人間が集まっていたが、今は誰も入れない状態にあった。
 亡命を望む人間の間で情報が拡散して集まったが、王国側がマルクの町に戦争を仕掛けている情報もあったので、この場所に来た人間は相当切羽詰まった人間だ。しかし、当然だが今の段階で入れる人間は、マルクの家族だけだった。

「なら、ユーダン湖を航路に偵察部隊をおくるのだ!」
「わ、わかりました!」

 しかし、この判断は最悪の一手だという事を王国の人間は誰1人知らなかった。王国の船団が西の湖岸から出航し、魔の森の魔物には影響なく東に向かった。すると、マルクの町まではアッサリ近づく事はできるが、ここで最悪最凶の防衛システムが起動する。

「あーあー!未確認の船団に告ぐ!それ以上のこの町への接近を禁じる!警告します。この町への上陸は一切を禁じています。警告を無視するなら敵と認定として船を沈めます!」

 辺境伯の船団がマルクの町に近づくと、見張り台から警鐘が鳴り響き、拡声器の魔導具で声が遠くまで届く。しかし、船団は何の信号も送らず近づく。

「緊急警報!防衛システム発動!」

 マルクの町の南側に面するユーダン湖の湖岸は、城壁型ゴーレムがいる。そのゴーレムが壁のように迫り上がる。これで湖岸からの町への侵攻は難攻不落となる。

「ぐぬぬ・・・なんだあの城壁は!?今まで普通の港であったのに!魔法兵前へ!」

 船団の船首には魔法兵が陣取り魔法を撃ち込んでくる。マルクの町のゴーレム型城壁に魔法が当たるが、とんでもない高さとなった城壁を魔法が飛び越える事はなくまったくの無傷だ。そして、この後辺境伯の船団は湖岸からのマルクの町の進行を後悔する事となる。
 湖の湖面が徐々に波打ち始める。

「な、なんだ!?」
「「「「「「「うわぁ~立っていられない!」」」」」」」
「「「「「「「助けてくれぇぇえええええええええ!」」」」」」」
「貴様達、しっかり狙え!」
「無理です!」
「馬鹿者!諦めるとは何事だ!」

 魔法兵が無理と言うのは当然だ。湖だというのにまるで嵐の中を航海する海上と変わらなかったからだ。

「どうなっているんだ!」
「隊長!あれを見て下さい!湖の中に城壁が上下して波を起こしています!」

 辺境伯の兵は初めて見る町の防衛に驚愕するしかなかった。そして、これに帝国の船団が手も足も出なかった理由が改めてわかった気がした。
 
「儂は夢を見ているのか・・・王国の元英雄は自然災害まで操れるというのか!信じられぬ!こんな事が起こりうるなど誰が信じられようか!我々アインシュタル王国は選択を間違えた」

 船団を率いる隊長は、その言葉を残しなすすべもなく、湖の泡と消えた。また、運良く生き残れた辺境伯の兵士は湖岸に打ち上げられたが、マルクの町の冒険者に捕獲され戦争奴隷へと落とされる。また、捕獲されなかった兵士の数多くは湖岸まで溢れてしまった魔の森の魔物に食われてしまったのだった。

「そろそろ町の護衛も整ったし、王国がここに攻め込んではこれないからこちらから訪問する事にする」
「じゃあ、あたし達も一緒に!」
「オウカ達には別行動をお願いしたいんだよ」
「「「「「えええ!」」」」」
「嘘だろ?なんでなんだよ。あたしだって辺境伯にはムカついているんだ」

 オウカの言葉にカノン、システィナ、クレアは激しく首を振る。

「じゃあ私達は何をするのよ」
「さすがシオンだ。オウカ、カノン、システィナ、クレアの四人はリーランの町に行ってほしい」
「「「「はぁあ?なんでリーランの町に?」」」」
「リーランの町にはバッハ伯爵がおられる。あの人は不正や裏切りは絶対許さない人だからね。たぶんだが、王国に逆らうはずだよ」
「「「「まさか!?」」」」
「あの人だって王国貴族の一人なんだよ」
「だから、確かめに行ってほしいんだ。もし、王国と対立してれば助けてやってほしい。あの町の冒険者ギルドマスターはブカードのおっさんだしね」
「もし、王国の言いなりだったら?」
「クレアなら偵察は楽勝だろ?もしそうなら屋敷から出なくていいよ。直ぐに帰還して」
「「「「わかった」」」」
 
 そして、黙っていられなかったのがシオンだ。

「マルク、私は留守番って事ないよね!」
「当然だよ」
「じゃあ私は辺境伯の町に?」
「それもハズレだね。シオンには、僕達の故郷の村に行ってほしい」
「なるほど!王国の事だから私達の村を襲っていてもおかしくないわ!わかった。私は村に帰って王国騎士団を殲滅してやるわ!」
「なるべく殺さないようにね。僕達の力はもう普通じゃないんだから!全力を出したら村が吹っ飛ぶんだからね」
「わ、わかってるわよ。私だって女の子なんだから、デリカシーをもっと持ってほしいわ」

 シオンはマルクのデリカシーのない言葉にプリプリ怒っていた。

「じゃあ、マルクは1人で辺境伯の町に?」
「うん。辺境伯の後王都に行く!」
「「「「「えええ!王都にも1人で行くつもりなの?」」」」」
「うん!王都にはアルマを殺した責任を取ってもらう」

 マルクはアルマを殺した王国に、責任を取ってもらうと怒りをにじませて拳を強く握っていた。
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