役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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最終章 暁月の明星

9話 一億の絶望

 マルク達はあまりの悪魔達の大群に目配せをする。魔の森の空を悪魔達が埋め尽くし空が見えなくなったのだ。又、地上も悪魔達が大量に湧き、地面の色が悪魔の色に染まる。

「いったいどこにこれほどの悪魔がいたんだ?」
「そんなの知らないわよ」
「それほど不思議な事じゃないな」
勇者の剣ルークどういう事よ」
「お前達は何処に向かっているつもりなんだ?」
「そりゃ魔王城に決まっているわ」
「そうだな。それと同時にここはダンジョン化されておるのを忘れてはいかん」
「「「「「「あっ・・・」」」」」」
「なんじゃ全員忘れておったのか。情けない奴らじゃ」
『『『『『『奴らを殺せ!』』』』』』
『『『『『ギャッギャッギャッ!』』』』』
『『『『『『ウオォ゙オ゙オオォオオオオオ!』』』』』』

 悪魔達は最下級悪魔・下級悪魔・中級悪魔・上級悪魔・最上級悪魔全てが居た。種類も様々でガーゴイルはもちろんゴブリンデビル、ダークオークやオーガ、オーガデビルなど普段見たことが無い悪魔達だ。
 これはもう、ダンジョンから溢れ出す魔物と同じでスタンピードである。いや、スタンピードは通常何千の魔物が溢れ出す災害で、最大でも万単位の魔物の数だ。しかし今起こっているのはスタンピードなどと呼ぶのは生易しく、スタンピードの最上級の呼び名【一億の絶望】と呼ばれるものであった。

「みんな気を引き締めろ!」
「「「「「うん!」」」」」

 マルクが先頭にフェニックスウイングを広げ悪魔達を迎え撃つ。

「マルク、お前はさがるのじゃ!何を迎撃しようとしておるんじゃ!」
「何を言って・・・」
「いいから下がれ!命令じゃ!」

 マルクが先頭に立つ事を、煌めきの杖ライレールは阻止した。

「何で止めるんだよ!あんな数僕も参戦しなきゃ・・・」
「お主が参戦したら全滅するぞ」
「えっ?そんなバカな!あの数を少しでも減らさないと!」
「いいから下がれ。時間が無い」
「「「「「嘘でしょ!?」」」」」

 煌めきの杖ライレールはマルクを下がらせてしまい、これを見たシオン達は顔を青くする。

「シオン。取り乱すなよ。お前は勇者の剣を持つ勇者なんだからな」
勇者の剣ルーク!だけどあの数はわたし達だけでは!」
「弱気になるな!勇者が勇気をなくしてどうする。大丈夫がついている。それにマルクにはライレールがいるんだからな」

 勇気の剣ルークはシオンを落ち着かせ、真ん中にシスティナ、その両脇にシオンとクレアを配置させ、一番外側にオウカとカノンを置いた。

「いいか?全員で範囲攻撃をぶちかませ!遠慮はするな!」

 指揮者となった煌めきの杖ライレールはシオン達に範囲攻撃を指示した。オウカはダイヤモンドダストを地上の悪魔に、カノンは旋風陣を空中の悪魔にぶちかます。そして、中央にいるシスティナはマルチプルアローで正面突破する悪魔を一網打尽にした。

「「「なに、これ!」」」

 3人は自分の技の威力に驚く。バフを掛けたスキルの威力に言葉を失ったのだ。そして、その範囲攻撃を抜けて襲ってくる悪魔には、シオンのダブルスラッシュ、クレアのトリプルスラッシュが襲う。シオンもクレアもヘイストの二重掛けでエイトスラッシュにクレアは16スラッシュの二刀流で32の剣気が悪魔達を襲ったのである。

 そして、マルクはシオン達の攻撃に目をみはる。その様子に煌めきの杖ライレールはマルクに話し掛ける。

「マルクよ」
「あっ・・・はい」
「一つ言って置く。お主は今まで英雄として持ち上げられていたが、お主は勇者じゃないんじゃぞ」
「それはわかって・・・」
「いや、わかっておらん。お前は勇者じゃなく魔法使いいや魔導士なんじゃ。魔導士がいきなり前線に立ってどうする?魔導士は後方から仲間を護る戦いをしないと駄目だ!わかるな?」
「あ・・・」
「お前の攻撃魔法はまだ使うべきではない。今はシオン達に任せれば良い」
「なら、僕は何をすれば・・・」
「お主は魔導士としてやる事はいっぱいある。見てみよ!パーティーの攻撃の要はカノン、オウカ、システィナの3人じゃ」

 マルクはパーティーの後方から、3人を見ると大技を連発していた。一発の大技に悪魔達は数千単位で散り散りに殺されていく。当然、そんな戦い方をすれば後が続かないのは明白で、3人はすぐにバテてきているようだ。

「あれじゃ長く持たないぞ・・・」
「そうじゃ!ここでお主の出番じゃ。仲間の体力を回復させよ」

 マルクはさっそく、カノン達にリフレッシュ、リチャージを掛けた。リフレッシュはスタミナ、リチャージはMPの回復だ。そして、リジェネレーションを掛けた事で傷ついた体は徐々に回復し続け、HPの回復は連発する必要がなかった。

「「「た、助かった!」」」
「マルクが、わたし達の背中を守ってくれてる!」
「これなら大技を連発しても安心だ」
「そうね。これなら安心だわ」

 シオンとクレアは3人の大技を抜けてきた悪魔を倒せばいいので、連発する必要はないのだ。

「どうじゃ?マルクが前線に立っておれば、仲間はとうに悪魔の数に呑まれておったじゃろ?」
「うん・・・」
「魔法使いの戦い方はこれが基本となる。当然だが臨機応変も考えなきゃならんからな。魔法使いは常に沈着冷静にならんといけないのだ。わかったな?」
「わかった・・・本当の戦い方を教えてくれてありがとう」
「お主の長所はとても素直という事じゃ。普通なら英雄と持ち上げられた人間は今までの経験が邪魔をして素直になれんからな」
「そんないじめるなよ・・・」
「お主の事は褒めたじゃろうが。が言ったのは一般的な事じゃよ。ほれ!もうすぐ20分が経つぞ」
「えっ?」
「えっじゃない!シオン達のバフの時間が切れる時間じゃ。切れる前に掛け直すのじゃ」
「あっ・・・そういう事か!」

 マルクは煌めきの杖ライレールの指示に従い、シオン達の付与魔法を掛け直す。

「いいか。魔法使いは時間の管理も必要じゃ!一つ間違えればパーティーは崩れ落ち全滅する。わかったな?」
「はい・・・肝に命じます」 
「フム!マルクは本当に素直じゃ」

 マルクは煌めきの杖ライレールに魔法使いの戦い方を教えられてドンドン経験を実践で学んでいくのだった。
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