役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

文字の大きさ
320 / 447
第8章 人類の厄災

12話 土下座する領主様

しおりを挟む
 見張り台の兵士に、領主のバッハは大声で怒鳴った。

「これ以上仲間の不安を煽るな!」

「ち、違います」

「違うとはどういう事だ?」

「西の方向の魔物が吹き飛んでいます!」

「なんだと?」

 見張り台の兵士は自分の目を疑い、何回も遠眼鏡を見直すが、上空から降り注ぐ巨大な火の玉が地上の魔物を吹き飛ばしていた。

「何を言っているんだ?もっと分かりやすく説明せんか!」

 しかし、見張り台の兵士の説明は要領を得ず、領主のバッハは城壁の階段を駆け登る。

「な、なんだあれは?」

 領主のバッハは、見張りの兵士と同じく目を皿のように大きくした。城壁の上に上がると冒険者達もその光景に歓声を上げていた。

「「「「「「す、すげぇ!」」」」」」
「俺達は助かるのか?」
「誰かわからんがもっとやれぇ!」
「「「「「「頑張れ!」」」」」」

 城壁から見ると、上空に小さな点が見えるだけだが人だという事が辛うじてわかる感じだ。その点のような人から凄まじい火球が地上に降り注ぎ、まるで禁忌の大魔法メテオのように大爆発を起こし、魔物が蒸発しているように見えた。
 この光景に見張り台の兵士の説明が要領を得ないのはしょうがない事だと、バッハは思うしかなかった。事実自分も言葉を失っていたのだから。

「リーランの町も気づいた見たいだね」

 マルクが魔物を蹴散らしていると、遠くのリーランの町から歓声が上がっているのが聞こえて、やはり大きな町だけあって、なんとか生き残ったのはさすがだと思った。

「ファイヤーボール!」

 マルクが唱えていたのはファイヤーボールで、まさかリーランの町では禁忌の大魔法と思われていたのは驚きで、落ち着いた時にバッハとの会話で笑い話となった。

 その小さな点が、魔物を蹴散らしながらリーランの町に近づいてきた。そして、城壁から確認できるようになると、バッハが声をあげる。

「マ、マルクなのか?」

「領主様!お久しぶりです。大丈夫ですか?」

 空中に浮き、マルクは魔物を吹き飛ばして手を振るとバッハを始め、懐かしい面々が涙を流し笑顔でマルクを迎え入れた。
 周りの魔物を殲滅して城壁の上に降りると真っ先に駆け寄ってきたのは、冒険者ギルドリーラン支部の受付嬢のマヤだった。

「マルクさん、お久しぶりです。本当にありがとうございます」

「マヤさんお久しぶり。元気だった?」

「元気とは言いきれませんが、マルクさんのおかげで生き残れました」



 すると、マルクの後ろから筋肉隆々のスキンヘッドの男が抱きついてきた。

「マルク、助けに来てくれたのかぁ!ありがとなあああああ!」

「うわぁ!ギルドマスター!抱きつくなぁ!」

「げほっ!な、何をする・・・・・・」

「暑苦しいオッサンが引っ付くな!僕はそんな趣味はない!」

 いきなり抱きつくギルドマスターのみぞおちに、マルクの肘打ちが決まり、ギルドマスターはその場に崩れた。その様子に冒険者達は大声笑うのだった。

「ギルドマスターが申し訳ありません。しかし、マルクさんのおかげで町はすくわれました」

「いえいえ、レジーナさんも無事で良かったです」

 マルクを囲っていた中からでてきたのは、副ギルドマスターのレジーナだった。

「しかし、マルクよく助けに来てくれた。礼を申すぞ」

「領主様止めてください。頭をあげてください」

 バッハは、マルクに深々と頭を下げた。その様子に、冒険者やギルド職員達は一歩下がる。しかし、その顔は笑顔で溢れていた。

「領主様、この辺りの魔物はほとんど壊滅させたのですが・・・・・・」

「ああ・・・・・・わかっている。この調子だと他の町はいや村は全滅であろう」

「僕の故郷は無事でしたが、周辺の村はもう・・・・・・」

「そうか。報告礼を申すぞ」

「それでなのですが・・・・・・・」

「マルクよ!この通りだ!」

 バッハの行動に、マルクは当然だか冒険者やギルド職員、兵士達も言葉を失ってびっくりしていた。

「陛下のやった事は申し訳ありません!どうかこの通りです。王国を救って下さい!」

 バッハは貴族のプライドを捨てて、平民のマルクに土下座して敬語で助けを求める。

「ち、ちょっと何をしているのですか?」

「この通りです。王国はマルクに難民の事を押し付けた。陛下は選択を誤った。勝手な話だと呆れるとは思います。大魔王を討伐して下さい」

「領主様、頭をあげてください」

「いや、了承してくれるまで頭はあげられません。王国は連合国を組み勇者を探していますが、多分大魔王を討伐できるのはマルクだけだ」

「・・・・・・そんな事は」

「いえ、時間的に不可能と思う」

 バッハは、勇者を見つけてもそれから行動してもその前に人類の歴史が終わると言っていた。実際マルクもバッハの意見が正しいと思った。王国領の西側は魔物の大量発生で大きな町以外は滅亡していたからだ。
 この世界の人間は諦めも早い。それだけ命が軽い世界なのだ。しかし、バッハはこのピンチを救えるのはマルクしかいないと思っていた。

「さっきの大魔法なら、禁忌の大魔法メテオなら大魔王に通じるであろう。仮に勇者を見つけて、そこまでの力をつけるまでには人類は大魔王に滅亡させられるであろう」

「禁忌の大魔法?メテオ?何の話を・・・・・・」

「先ほど、魔物を殲滅していたではないか?とぼけるのは!」

「確かにあの大魔法は凄かったな」
「「「「だよな!」」」」
「俺も魔法使いだがあんなすごい魔法は見たことないぜ?」

 バッハの言葉に、周りの冒険者達も賛同していたのだった。

「さっきの魔法は中級魔法のファイヤーボールですよ?」

「「「「「「「はぁあ!」」」」」」」

 マルクが魔物を殲滅した魔法は、ファイヤーボールと明かすとバッハ達は大声をあげたのだった。
しおりを挟む
感想 106

あなたにおすすめの小説

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

処理中です...