研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第6章 研磨という職

7話 王都に迫る龍

 王国騎士達はビアンカの意見を聞いていた。この頃になると、ビアンカは竜水晶から知識を50%ほど取り戻していた。
 つまり、人間が生まれるはるか以前の時代の事を語れるようになっているという事である。それと伴いロストマジックという物も、ビアンカは使用できたのだ。

「ビアンカ!これは国王の命令だ。大人しく従ってもらうぞ」

「何でそんな人間のいう事を聞かないといけないの?あたしは今まで通り自由にするわ!」

「なんだと!」

「ホント人間て愚かよね?何回あたしに滅亡させられたら分かるのかしら?」

「何回?」
「滅亡?」
「人間達?」
「一体どういうことだ?」

「あたしはヒロトシが気に入っているの。そうだな……あたしが生きてきて、初めて一緒にいたいと思っている人間だよ」

「何を言っておる!」

「そうだな……今の王国が出来るはるか前、王国のような国があったわ。貴方達みたいに、あたしを我が物のように取り合おうとした。その人間達末路がどうなったと思う?」

 ビアンカは騎士達を睨んだ。その突き刺さる視線に王国騎士達は身動きが出来ず、呼吸さえままならない状態に陥った。
 騎士達の心情を分かりやすく言い換えると、雪山で遭難し眼前に雪崩がいきなり迫ってきて、どう考えても死んでしまう様な感じだった。

「ビアンカ、威圧を解いて。騎士達が死にそうになっているから」

「あっ、ごめん」

 ビアンカがコロッと変わり威圧を解くと、騎士達はその場に崩れ落ちた。そして、ようやく息を吸える状態となったのだった。

「それで、どうなったんだ?」

「以前のあたしは、人間達に興味が無かったのよね。だから、あの場所で寝て居たかっただけなの」

「それを邪魔されたと言う訳か……」

「そう!ヒロトシも分かるでしょ?睡眠をじゃなされて苛立つよね?だから、二つの国を滅ぼしちゃった」

 ビアンカは、可愛く舌を出していたが、騎士達にとって驚愕の事実を聞かされたこととなった。睡眠の邪魔をされただけで、当時の王国と帝国のような国が滅亡させられたという事実だ。確かに見た目は可愛らしくひ弱な女の子だが、人間がどうこう扱えるような存在ではなかった。

「なっ?悪い事は言わない。諦めて大人しく引いた方がいいって」

「しかし、ヒロトシ様!我々は国王の命でここにきているのです」

「君達騎士の心意気は買うが、ローベルグ様に説明した方がいいって。じゃないと王国の歴史が終わるよ?」

「ヒロトシ、王国が終わってもすぐに次の国が沸くから心配はいらないよ」

「おいおい、ビアンカ。言い方!」

「でも本当だよ。王国の時もそうだったし、1000年前なんて、あちこちに小さな国があってね。魔王もいて人間達が一致団結してると勇者が生まれて騒がしかったんだよ」

「まあ、その話は今度な。とまあ、人間達には計り知れないような話がビアンカにとったら普通なんだよ」

「は、はい……」

「所詮人間にとって、ビアンカはどうこう出来る存在じゃないと言う事が分かったろ?たぶんそういう存在はまだまだいるから、王国が何でもできると言う考えは改めた方がいいと、ローベルグ様に伝えた方がいいよ」

「分かりました……」

 王国騎士達は、ヒロトシにたしなめられ兵舎へと帰っていった。しかし、ローベルグは納得いかないようだった。このままでは王国が廃れてしまうからだ。
 いまや、王都のあるの地域は、薬草の群生地は滅多に見つかる事はなく、鉱石の産出も少なくなり、北に位置する魔の森が拡がってきて、ランクの高い魔物が出没するようになってきていたからだ。

 騎士達が帰ってから三日後、又騎士達が㋪美研にやってきた。

「又、来たのか?」

「ヒロトシ様!お願いでございます。どうか国王様の願いをお聞きして下さい!このままでは王都は……」

 今度はヒロトシに、騎士達は泣き落としで説得を試み出したのだった。

「何度来ても、ビアンカの気持ちは変わらないから無理だぞ?」

「そう言わず、ヒロトシ様からも説得をしてください」

「ローベルグ様は、聞きそうにないのか?」

「……」

「まあ、聞くだけ野暮か……わかったよ。俺が直接交渉してやるよ」

「ほ、本当ですか?」

「このままじゃ、近隣の王国騎士達がミトンの町に攻めてきても困るしな」

「何故それを……」

「ビアンカが言っていたよ。人間は何回も愚かな行為を繰り返すってな」

「うっ……」

「もう帰っていいよ。後は俺がローベルグ様と話し合うからさ」

 騎士達はやっと板挟みから解放されて、安堵した表情になり、兵舎へと帰っていった。

「セバス!ちょっと王都まで行ってくる!後はよろしく頼むな」

「ちょ、ちょっと。そんないきなり何を言っているのですか?」

 ヒロトシは、セバスが慌てるもリコールで瞬間移動してしまった。

「ったく……旦那様は!後でお叱りしないといけませんね」

 セバスはぷりぷり怒って、業務に戻っていった。そして、ヒロトシはローベルグの所に直接瞬間移動をしたのだった。

 いきなり現れたヒロトシに、ローベルグとレオナは驚いたのだった。

「なっ!ヒ、ヒロトシ⁉」
「ヒロトシ様?」

「いきなり現れて申し訳ありません」

「そ、それが瞬間移動か……」
「まさかそんな魔法が存在するのですか?」

「今日は、ビアンカの事でお話があります」

「話などいい!あの幸運の龍をこの地域へ住まわせるのだ。今や王都は廃れてしまっておる!」

「それをやると廃れるどころか、王国歴は終わってしまいますよ?それでもよろしいのですか?」

「王国が滅びるだと!馬鹿な事も休み休み言え!」

「じゃあ丁寧に説明いたしますね?」

「いらぬ!このままでは本当に王都は廃れていくのだ!これを打破するにはあの幸運の龍をこの地域に!」

「いいですか?ビアンカを無理やりこの地にとどまらせようとしたら、この王国が原因でミトンの町にいられないとビアンカは思うでしょう。そうなれば、ビアンカにとって元凶である王国を排除しますよ」

「ヒロトシ!貴様は誰の味方なのだ!お主は王族なのだぞ?だったら王国の事を……」

「ローベルグ!俺は王国の事を想って意見を言っているんだ!」

「貴様!余を呼び捨てにするとは!血迷ったか!」

「あんたは王族で一番偉いと思っているかもしれないが、お前なんて世界から見たらちっぽけな人間なんだ!」

「なっ⁉余がちっぽけだと?」

「あんたは冒険者でも頂点を取ったかもしれないが、ビアンカの足元にも及ばねえよ。いいか?ビアンカは創世記から生き続けている龍だぞ?それにあんたが知らない知能を持った魔物もたくさんいる!その存在を知った方がいい!じゃないとあんたの代で王国は滅びるぞ?」

「知能を持った魔物だと?」

「ビアンカはもちろんだが、俺はもう一人知っているぞ?そういう魔物を!」

「幸運の龍以外にそんな魔物がいるのですか?」

「レオナ様も聞いて下さい。魔の森で俺は会ったことがある。フェンリルという馬鹿でかい狼にな」

「「フェンリルだと(ですか)!」」
「そんなの伝説の生き物じゃないか!」
「そうです!そんな魔物、物語の話では……」

「ああいった生物は魔物じゃないよ。神獣というんだよ!人間には絶対に太刀打ちなんかできないよ」

「馬鹿な……」

「いいか?もう一度言う!ビアンカは諦めろ」

「余に諦めろだと……貴様、身の程を……」

 その時、国王の部屋に、騎士団長が勢い良く入ってきた。

「国王様!非常事態です!」

「今取り込み中だ!後にせよ!」

「何でヒロトシ様がここに?」

「非常事態って何かあったのか?」

「そうです!たった今、あの幸運の龍が城門前で立ちはだかっています!」

「な、なんだと!」

「幸運の龍はヒロトシを返せと訴えています。いま、部下達がここにはいないと説得を試みていますが、出さないと国を滅ぼすと!」

「あの馬鹿が……先走りやがって!」

 王城から、城門の方を見ると真っ白な龍が本当にいたのだった。それもビアンカのその大きさは、王城と変わらない程大きく、翼を広げると城門前にお城が3つ分の大きさの龍が鎮座していた。

「さあ、ローベルグ。あの神龍を見てどうする?俺はもう知らないけどな」

「なんだと!」

「俺が、このままミトンの町に瞬間移動をしたらどうなるか考えて見なよ?間違いなく王都は滅びるぞ?」

「ぬぐぐぐぐ……」

「どうする?俺が言った通りだったろ?人間には手を出してはいない存在があると。いくらなんでも、あんたとレオナ様と組んでも勝てないんじゃないのか?」

 レオナもやっとこの状況を理解したようで、顔を真っ青にしてヒロトシに助けを求めだした。

「ヒ、ヒロトシ様!貴方の言う事は分かりました。だからあの龍を落ち着けてください!」

「ローベルグ様、貴方の意見は?」

「し、しかし……このままでは王都は……」

「廃れることはないですよ」

「何を言っている。現に産物が取れなくなっているんだぞ?金に余裕のある平民は移住していると聞く。それが続けば……」

「じゃあ、どうしますか?このままビアンカの怒りが収まらず、王国は滅びますよ?」

「ぬぐぐぐぐ!」

「まあ、俺にとって王国より家族の方が大切なので、どちらを取るかと言えばビアンカの味方をしますよ」

「何だと!」

「あなた!これはもう貴方の負けです。ヒロトシ様に頭を下げるのが得策です!」

 ローベルグは生まれて初めての事だった。自分より立場が上の人間が現れるとは思いもしなかったのだ。そこに、ハボリムがティアナと一緒に部屋に入ってきたのだった。

「父上!大変でございます!城門前に!って、なんでヒロトシがここに?」
「あの龍が言っていたのは本当だったの?」
「父上!ヒロトシをあの龍に返してあげてください!今は城門前に陣取っていますが返さないと王国を滅ぼすと言っているのですよ」

 なぜかビアンカの中では、ヒロトシが王国に誘拐された事になっていた。返してほしければ、ビアンカがこの地域に戻る事になっている事になっていた。

「わ、分かった……俺の負けだ……あの龍をどうにかしてくれ」

「そうですか。じゃあ、これ以上ビアンカには手を出さないと言う事でよろしくお願いします」

 ヒロトシは、ローベルグとレオナに頭を下げて、部屋から出て行った。


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