氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第2章 新たな商売

14話 貴族と平民の罪の違いにショウは激怒する

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 落ち込でしまった衛兵部隊長を慰めながら、ショウは証拠物件を手にして衛兵に苦情を申し立てる。

「これはどう考えてもおかしい事だから、ガイガン男爵って奴を裁いてほしい!」
「それは当然です!この証拠を元に捕らえてみせます」

 衛兵部隊長はもちろんだが、部下達もマートンの町の平和を願う兵士だ。兵士全員が一丸となってガイガン男爵の邸宅に家宅捜索に向かうのだった。そして、ガイガン男爵の屋敷に乗り込んだ衛兵達は、ガイガン男爵の身柄を確保また、その時に訪問していたラーダも逮捕される事になった。

「貴様等ワシを誰だと思っている!貴族のワシをこんな目に遭わせてどうなるかわかっているんだろうな!」
「貴族とか平民など関係ありません!あなたは闇ギルドに暗殺依頼した犯罪者だ!」
「ワシはしらん!」
「こうして証拠物件が出てきたからには言い訳しても無駄だ!」
「なんでお前らが依頼書なんかを持っているんだ?おかしいではないか?それは偽物だ!」
「それは貴方が決める事ではない!本物だと証明されたからこうしてあなたを捕らえる事ができる」

 衛兵達はガイガンを見逃すつもりはまったくなかった。そして、ガイガンは助かりたい一心で喚き散らす。

「ワシはこいつにそそのかされただけだ!」
「ガ、ガイガン様!何を言ってるのですか?」

 その言葉に、額から大量の汗が流れ落ち慌てふためくのは当然ラーダである。

「こいつに魔道士のいや、魔道士様の暗殺を頼まれたんだ!ワシはこいつに騙されただけだ」
「な、なにを言っているのですか?私を切り捨てるつもりですか?」
「うるさい!取り調べは兵舎で執り行う。そして、罪をが明らかにするのは貴族様に任せる!」
「喧しい!ワシは男爵であるぞ!」
「はいはい・・・わかったわかった。大人しく縄につけ!」
「離せ!ワシに触るな。この無礼者が!」

 必死に自分は悪くないと訴えるが、闇ギルドとの契約書が出てきたガイガン男爵にその訴えが通るはずもなく、マートンの領主からブリガンダイン王国王家に証拠と一緒にガイガン男爵は送還され、後にガイガン男爵は注意喚起される事になった。そして、ショウへの迷惑行為として損害賠償金の支払い命令をされたのだ。また、ラーダが経営するボータ商会は、ガイガン男爵と結託し盗賊をつかい塩の流通を故意に止めた事が立証できる。

「ラーダは行商人の命を奪った罪で、町中引き回し獄門とする!」
「そ、そんな馬鹿な事が・・・」

 ラーダと商会幹部達は貴族と結託し、マートンの町の塩の価格を高騰させ利益を得ようとした罪で、アーバンやボータ商会幹部達全員が犯罪奴隷に落とされ鉱山送りとなる。ラーダはガイガン男爵と盗賊達をつかい行商人の命を奪ったとし、マートンの町を引き回し処刑となった。

「嘘だろ?」
「俺達はこれからどうすれば・・・」
「私もどうすれば・・・今の年齢で商会に再就職なんて出来る訳がないじゃない・・・」

 一番の被害者は、ボータ商会で何も知らずに働いていた従業員達である。この世界に日本のような就職支援があるわけでもなく、一夜にしてボータ商会は潰れてしまい路頭に迷ってしまったのだ。王都本店をはじめマートン支部やアデン支部全てが経営停止され商会は潰れてしまう。
 今回、ラーダが会長職に就くボータ商会は、ラーダが商人ギルドを思い通りにしており、ボータ商会は商人ギルドから優遇されて巨大商会と成り上がっていた為、あちこちの町にボータ商会はあった。その商会がブリガンダイン王国の指示で潰したのだ。その従業員達が全て無職となったのである。

「こんな巨大商会が潰れるなんてありかよ!」
「明日からどうやって生活すればいいんだよ」
「お前はどうするんだ?今月の給料も無くなったしな」
「俺は冒険者ギルドに登録する事にするよ」
「今の年齢からか?」
「しょうがないだろ?冒険者ギルドなら、Fランク依頼で町中の雑用があるからな」
「給料もないし、その日暮らしになるけどそれしかないかもな」

 次の日は、各町でボータ商会の元従業員達が冒険者ギルドに殺到したのは言うまでもなかった。そして、今回の事に不満を爆発させていたのがショウとその家族だ。

「いったいどういう事ですか?ガイガン男爵は注意喚起と賠償金だけ?」
「それは私からは何とも・・・」
「アイツは自分の私服を肥やすために俺達を殺そうとしたんだぞ?それだけじゃない。塩の行商人達の何人かは犠牲になったはず・・・」
「それはボータ商会の犯罪であり、ガイガン男爵とは関係がないとなっている。つまり、あなたの暗殺依頼で損害賠償金が罪となる」
「馬鹿な!アイツは俺達を殺そうとしたんだぜ?それをなかった事にするのか?」
「なかった事はしておらん。ちゃんと損害賠償金という罰を受けておるし、こう言ってはなんなんだが・・・お主達全員は生き残っておる・・・」
「馬鹿な・・・生き残っていたから罪が軽くなったって言いたいのか?」
「こ、こら!滅多な事をおっしゃられてはいけません。確かに魔道士様はそれなりの力をお持ちになりますが、やはり貴族様と平民という区別はあるのです。ガイガン男爵様は今までまつりごとを担ってきた国の人材という御人なんです」
「貴族は平民数十人の命を奪ったとしても国の人材だから、注意喚起で済まされるというんですか?」
「ば、馬鹿な事を!口を慎みなさい。これ以上言うと貴族への暴言とみなし、不敬罪として処刑されても文句は言えなくなるんだぞ!」
「ぐっ・・・」
「私達衛兵も今回の判決に納得している人間は少なくないのはたしかだが、貴族様に反論はできないんだ。魔道士様もお願いですから損害賠償金で納得してもらえると・・・」
「わ、わかったよ・・・あなたに文句を言ってもあなたを困らせるだけだ。すまなかったな・・・」
「いえ・・・ご理解いただけて私共としても助かります。後日、魔道士様のギルドカードに損害賠償金が振り込まれる手はずになっています。その時にご確認ください」
「わかりました・・・」

 ショウは、衛兵舎からそう言われて無理やり納得して、兵舎を後にしたのだった。しかし、ショウの顔からは一切の感情は無くなり何かを決意するのだった。

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