氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第2章 新たな商売

26話 ライオネル死す!

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 ショウはライオネルを睨みつけ、今度は反対に見下しながら笑い出した。

「アハハハ!お前は本当に愚かだな!」
『我が愚かだと!?』
「そうだ!お前は部下達いや、従者達を餌と言って駒のように扱い見捨てたんだ。それをしなければ、俺達にも勝てたはずだろうよ」
『何を言うかと思えば、アイツ等を見捨てたから我がまけるだと?』
「そうだな。従者達がいればお前は得意の前衛のことだけ考えていればよかったんだ。しかし、従者達を見捨てた事で慣れない魔力管理までしないといけなくなったんだぞ」
『ぐはははははは!あのような無能な役立たず共が何人いてもどうでもよい!それならば、その能力だけ手に入れ完璧な我がいればなんの問題はない』
「そうか・・・じゃあお前に仲間がどれほど重要か教えてやろう」
『ごちゃごちゃうるさい!』

 ライオネルはショウの言葉に苛立って、またファイヤーブレスを吐き出した。しかし、ショウは難なくそのファイヤーブレスを時空間倉庫に収納する。

「ありがとよ!俺達にお前自身の弱点である炎を吐き出してくれて」
『なんだと?我の弱点が炎だと・・・』
「本当に知らないようだな?リジェネレートは炎に弱いんだよ」

 ショウの言ったとおりリジェネレートは炎に弱い回復魔法である。リジェネレートはヒールのように瞬時に回復する魔法ではなく、細胞を活性化させる事で体力を継続的に回復させる魔法である。
 認識されているよくある事例では、トロールなんかが有名であり単なる物理攻撃では、トロールの体力が高すぎる為腕や足を斬りとばしても、トカゲの尻尾のように再生してしまうのだ。その時に用いられる戦術が火炎魔法である。トロールの手足を斬りとばした断面を焼き細胞を破壊してしまい、細胞の活性化を止めてしまうものである。

『ぐはははははは!それがどうしたというのだ!貴様は空間属性魔法の持ち主ではないか?』
「そうだな・・・」
『ならどうするつもりだ?まさか今から松明でも使う気ではあるまい?』
「誰がそんな事するか!言ったはずだぜ?お前は自分の弱点である炎を使っていたとな」
『だからどうしたというのだ?我のファイヤーブレスは吐き出してしまったわ。ぐはははははは!』
「今教えてやるよ。みんな離れてくれ!」

 ショウの指示に、ライオネルを後方から攻撃を与えていたアスカ達が全員飛び退いた。そして、ショウはある魔法の詠唱を唱える。

「収納されし攻撃を跳ね返せ。ディスチャージ!」
『ぐわぁああああああああああああああああ!』

●ディスチャージ
 時空間属性魔法の持ち主が10レベルになると覚える魔法。アブソーブで敵意ある間接攻撃を収納したエネルギーをそのままの威力で方向を変える事が出来る。

 今までライオネルが攻撃していたファイヤーブレスをショウが時空間倉庫からそのままの威力でライオネルに向けて排出したのだった。その威力は、ライオネルの体力値のダメージが一気にライオネル自身に襲いかかる。

「どうだ?お前自身の攻撃を味わう感想は?」
『き、貴様ぁああああああああ!』
「ほう!まだ死なないのか?どうだ?従者達がいたほうがよかっただろ?」
『ヒ、ヒール・・・』

 ライオネルはヒールを使おうとするが魔力がまだ回復しておらず、ヒールですら使う事が出来なかった。そして、頼みのリジェネレートも自身のファイヤーブレスで全身火傷で細胞が死んでしまい再生が起こらなくなってしまった。
 そこで疑問に思うかもしれないが、ライオネルのファイヤーブレスの威力は、ライオネルの体力値がダメージとなるので、ショウの放ったファイヤーブレスでライオネルは瞬殺されるはずなのだが、まだ生きているという事だ。これはライオネル自身に炎耐性がある事を意味する。当然と言えば当然なのだが、ライオネルはファイヤーブレスの使い手である為、炎耐性を持っていても当然の事である。
 ライオネルは炎耐性を40%も持っており、ファイヤーブレスのダメージが1000だとすれば、与えたダメージは600となり、ライオネルの体力はまだ400残る計算となるのだ。

「魔法つかいの魔力の使い所は難しいだろ?」
『き、貴様ぁ・・・我を愚弄するつもりか!』
「いやいや、お前を愚弄するとか関係ないよ。お前の体力はもう半分以上削れたんだからな。お前はもう死んでいる」
『我がもう死んでいるだと!我はまだ死んではおらぬ』
「お前忘れたのか?今まで何発ファイヤーブレスを吐いたんだ?」

 ショウの言葉にライオネルは焼けただれた顔から血の気が引いていく。

『や、止めてくれ・・・また、ファイヤーブレスを出されたら今度は耐えられん!』

 そう言ってライオネルは、焼けただれた身体を引き摺りながらショウの側から転がるように逃げ出す。

「だから、言っただろ?従者達を殺さなければお前達が勝ってたかもしれないと!」
『た、助けて・・・助けてくれぇ!』
「収納されし攻撃を跳ね返せ。ディスチャージ!」
『ぐわぁああああああああああああああああ!』

 時空間倉庫から排出されたファイヤーブレスはライオネルを骨まで焼き尽くし、魔石だけがその場に残るのだった。その光景にアユミ達は大声で叫ぶのだった。

「「「「「「「ああああ!」」」」」」」
「な、なんだ?」
「ショウ!なんてことを!」
「なんだよ?」
「そうだよ!旦那様はなんてことを!」 
「アスカまでなんだよ・・・アイツを倒したら駄目だったのか?」
「違う!アイツの素材魔石しか残らなかったじゃないか!それもこんなに焼いちまってどうすんだよ」
「す、すまない・・・」
「ったく・・・旦那様ももっと魔法の使い方を考えてくれないと駄目じゃないか」
「だ、だけどよう・・・あれしか勝てる道がなかったじゃねぇか?」
「それはそうだけど・・・ベテラン冒険者は倒し方も考えるもんだと、シャーロットさんが言ってたぜ?なるべく魔物の素材は残すのが、ベテラン冒険者と言われる所以だと言っていたぜ」
「それは余裕で倒せる時だろうが。今回はギリギリの戦いだったんだ。素材は確かに勿体ないが命あってのものだねだろ?」
「た、確かに・・・」
「しかし、今回は俺もいい経験ができたと思う。反省したよ・・・」

 ショウがそういうと、システィナとアリサが駆け寄ってきて、ショウに謝罪してきたのだった。しかし、ショウはこれも自分の準備不足として、システィナとアリサに頭を下げたのだった。
 そして、ショウ達は7階層には降りず、ボス部屋に出現した宝箱の中身を入手して、帰還の魔法陣に乗って地上に戻るのだった。
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