氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第2章 新たな商売

33話 新たな刺客が襲い来る

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 ショウが二度寝をしようと家の中に入り、ヨシノは護りの盾を地面に置いた。

「まさか・・・こんなにも盾に振り回されるなんて思わなかったわ・・・」

 護りの盾はたしかに防御力は逸品だったが、アダマンタイト製でかなり重い。その重い盾をここまで扱えるのはアユミやヨシノだからだ。腕力が足りないというわけではないが、長時間扱える事は出来なかった。
 ちなみにだが、マートンの城壁警備兵がこの護りの盾を装備したら、まともに構える事すら出来ないほど重いのだ。

「だけど、ご主人様は訓練用とおしゃっていられたから力をつけるのには十分よね」

 そう思ったヨシノは汗を拭い、訓練の続きをしようと立ち上がるが、その時暗い中怪しい気配に振り返るとそこには黒装束の人間が姿をあらわす。

「だ、だれ?」
「ほお!俺の気配に気づけるとはお前なにもんだ?」
「ここをどこだと思っているの?」
「知るかよっと言いたいが、空間魔導士の土地だな。俺の標的だ」
「あなた五竜ウーロンのアサシンね・・・コードネームは?」
「フッ・・・俺にそんな物はまだ無い。ただの暗殺者だよ」
「ようは下っ端って事ね。いいわ。かかってらっしゃい!ご主人様が相手にするまでもないわ」
「よくさえずる女だ。まぁいい。お前の主にお前の死体をみせて地獄におとしてやるよ」
「あなたが地獄に行くことになりますわ」
「口の減らない女だ。そういう女をいたぶるのが快感なんだよな」

 暗殺者と名乗る男は狂気じみた笑みを浮かべヨシノをみる。ヨシノはその笑みを浮かべる男を辟易としながら槍を構える。

「死ね・・・」

 狂気じみた笑みをこぼしながら、暗殺者はギルドカードのような物をヨシノに投げつける。カードは高速で回転しヨシノに襲い来る。

「なっ・・・」

 ヨシノはそのカードをギリギリで躱すが、カードは鋭利な刃物が仕込んでいるのか、ヨシノの頬をスパッと切り裂いた。

「そんな子供だましな攻撃は効かない!」
「俺の暗殺術はそんなに甘くはねぇぜ。これならどうだ?」
「それはさっきみたわ!ぐっ・・・」

 暗殺者はさっきと同じようにカードを投げつける。しかし、ヨシノはそのカードを槍で払い容易に躱したはずだったのだが、ヨシノの腹に別のカードが突き刺さっていた。

「どういう事なの・・・たしかに避けたはずなのに・・・」
「フッ!だから言ったのだ。俺の暗殺術は甘くないとな。俺を舐めた事を後悔して地獄に落ちろ」

 暗殺者は両手を広げ無数のカードを投げる。その無数のカードは弧を描き飛びヨシノに襲いかかる。

「ただ傷をつけるだけの攻撃で私は殺せないわよ」
「これで人が殺せるわけがない?やはり、お前は殺されるギリギリの戦いを知らぬようだ」
「何が知らないのよ。私だって死線はいくつも・・・な、何!?」
「フッ!そろそろ効いてきたようだな」
「なっ・・・あ、あなた・・・カードに毒を・・・」

 ヨシノはその瞬間言葉が発せなくなり身体が痺れて動きづらくなってきた。

「・・・」
「そろそろ死ぬ時間だ」

 暗殺者は、ヨシノにゆっくり近づきその手にはダガーが握られていた。暗殺者は、ヨシノにそのダガーを振り上げる。しかし、ヨシノはギリギリで暗殺者の攻撃を避ける。

「ほう!まだ、そんなに動けるのか?たいしたものだ」
「・・・」
「だが、それも出来なくなる」
「!」

 ヨシノは、額から大量の汗が噴き出した。今まではっきり見えていた目から光が消え徐々に暗くなりまったく目がみえなくなってしまったのだ。

「あ~あ。とうとう目もみえなくなってしまったな」
「・・・・・・・・・」
「次はどこかな?」
「うぐっ!」

 目が見えなくなったヨシノに痛みが走る。しかし、動く事も悲鳴を上げる事すら出来なかった。そして、ヨシノは地面を転がり暗殺者の攻撃を避けようとしたのだった。

「おいおい。今度はミノムシの真似か?」
「うぐっ!」

 そう言って暗殺者は、ヨシノの肩をダガーで刺す。

「ほら!早く逃げろよ。俺は逃げ惑う女を殺すのが好きなんだよ」

 暗殺者の思考は常軌を逸していた。逃げ惑うヨシノを見てニヤニヤ笑い、致命傷を負わないように肩や手太ももを突き刺していく。

「うぐっ!」
「早く殺してほしいか?」
「ううっ・・・うぐっ!」
「でも、駄目だ!俺が満足するまでお前は苦しむ姿を見せる義務があるからなぁ」

 そう言って暗殺者はヨシノの手を突き刺さそうとした瞬間、暗殺者が吹き飛ぶ。

「ギャアアアァアアアアア!俺の腕がぁ!」
「よくも俺のヨシノに好き勝手やってくれたな!」

 ショウはヨシノの念話でピンチをしり、家から出た瞬間スペイスタムジャベリンを暗殺者に撃ち込んだのだ。

「き、貴様ぁ!」

 暗殺者は瞬時にポーションを飲み干し、吹き飛んだ腕の傷をふさぐ。そして、ショウにカードを投げつけるとカードは一直線にショウに飛んできた。
 この攻撃はヨシノの腹に命中させたのと同じ軌道で飛ぶ攻撃と同じだった。ヨシノはたしかにカードを槍で払い躱したはずだったが、カードが腹に突き刺さっていたのだった。暗殺者のその攻撃は鍛錬の成果であり、上下にカードを同じ速度で2枚投げつける攻撃技だった。
 上のカードが下のカードを隠し上のカードを払い除けても下のカードが命中させるように投げていたのだ。

「そんな子供だましに引っかかるかよ」
「そう言って過去の人間もやられたよ」
「全ての攻撃を吸い込め。アブソーブ」
「な、なに!?」

 上下の2枚攻撃技だったが、ショウのアブソーブには意味がなかった。全ての間接攻撃はショウの時空間倉庫に収納されるからだ。そして、当然だがその攻撃はそのまま暗殺者に跳ね返る。

「収納した攻撃を跳ね返せ。ディスチャージ!」
「ぐぎゃああああ!」

 収納された暗殺者の2枚のカードは、そのままの威力で暗殺者に跳ね返り、2枚とも暗殺者に突き刺さるのだった。
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