氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第3章 新たな覚醒

32話 洞窟の裏手では、ヒナタ無双

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 スミエは、山賊達を全滅させ鍛冶師達に感謝をされていた。

「皆さん、落ち着いて下さい。まだ山賊の仲間がこの辺りにいてここに帰ってくる可能性があります」

「「「「「えっ?」」」」」
「俺達はどうしたら……」

「安心して下さい。このアジトを壊滅した次第、あなた達をマートンの町に送り届けます」

 鍛冶師達は、今このアジト内にスミエの仲間が中にいる山賊達を捕らえている事を聞き安堵する。また、自分達を騙しこの場所に連れてきた商人風の人身売買行商人を睨みつけるのだった。

「は、離せ!ワシを誰だと思っているのだ」

「そんなの知らないわ。しかし、あなたはもう終わりだと言っておくわ」

「そんな事をしてどうなるか分かっているのか?ワシは闇ギルド五竜ウーロンが一つ風竜フォンロンの密売人なんだぞ」

「だからどうしたのよ。貴方は不正な人身売買として鉱山送りになるだけよ」

 闇ギルド五竜ウーロンの中には風竜フォンロンという組織が存在する。主に一般平民の人身売買の密売人としての働きで組織に貢献する。その殆どは冒険者が犯罪者となり、村を襲ったり幼子や女性を誘拐し違法奴隷に落とし、奴隷商人に売り飛ばしてしまう。その中にはこうして一般平民を騙し、契約書で縛り人身売買をする行商人もいる。

「ワシが逮捕されれば風竜フォンロンが黙っておらぬぞ!そうなれば、お前達は闇ギルド五竜ウーロンのブラックリストに載ることになる。それでもいいのか?」

 闇ギルド五竜ウーロンのブラックリストに載ることになると聞き、スミエは口角をあげ微笑する。

「ああ……ブラックリストね」

「お、おい……冒険者の姉さん。大丈夫なのか?ブラックリストに載ることになれば、アサシンが狙ってくるんだぞ?」
「そ、そうだ。そうなれば夜も安心して寝られない人生になると聞くぞ」
「こいつは解放した方がいいんじゃねぇのか?」
「そうだぜ?悪い事は言わねぇからよ」
「こいつは腹立たしいが、言う事を聞いた方が……」

 鍛冶師達は、自分を救ってくれたスミエの事を心配して、闇の人身売買行商人を解放した方がいいと言うのだった。

「大丈夫ですよ」

「馬鹿な女だ!闇ギルド五竜ウーロンは必ず報復するんだぞ!」

「そんな事百も承知よ」

「フハハハ!強がるな。闇ギルド五竜ウーロンに逆らって生き延びるなど不可能だ」

「姉さんそうだぜ?闇ギルドの恐ろしさはこの俺達平民でも知っている事だぜ」

「いいえ。わたくし主様あるじさまはいずれ天下を取るような御人であります。その内、闇ギルド五竜ウーロン主様あるじさまの手でこの世から消滅させられる事でしょう!」

「フハハハハハハ!闇ギルド五竜ウーロンを壊滅させるだと?寝言は寝てから言うんだな」

 スミエの言葉に人身売買行商人は大笑いする。また、助けてもらった鍛冶師達も困った顔をするのだった。

「貴方はわたくし主様あるじさまを知らないから嘲笑するのです。それに、わたくし達は既に闇ギルド五竜ウーロンからブラックリストに登録済みですよ」

 スミエは自分達は既にブラックリストに登録されていると、妖艶な笑みを浮かべ人身売買行商人を見つめる。

「はっ!?訳のわからん事を!」

「貴方は闇ギルドで重要なポストの人間ではありませんね」

「なっ何だと!ワシを誰だと思っているのだ。ワシは人身売買のトロイだ」

「ト、トロイだと……」
「聞いた事がある……」
「ああ……闇ギルドでかなりの大物で……」

「そうでしたか?それは失礼いたしました。だったら、わたくし主様あるじさまの名前も想像出来るんじゃありませんか?最近も、狙われたばかりですしね」

「ま、ま、ま、まさか……貴様は魔導士ショウの手のものか?」

「正解です!」

 スミエはショウの名前を聞いて、先ほどまでとは違いニコッと笑い満足げな表情を見せるのだった。そして、トロイはアサシンを何人も撃退した空間魔導士ショウと聞いて、真っ青な顔になりその場に崩れ落ちる。
 その後、スミエはトロイの持ち物を調べると、貴族との契約書や見られると色々不味い物が出てきて、全て押収したのだ。この事は逐一ショウに念話で報告し、そのトロイは生け捕りにしておくようにと指示があった。



 そして、その頃アユミ達は洞窟の裏手の出入り口付近で仁王立ちで笑っていた。

「ワハハハハハハ!お前達に逃げる道はない!御用だ!大人しく御縄につけ!」

「「「「「な、なんだ貴様らは!」」」」」

「アユミ……何なのよ。その棒読みのセリフは……」
「ヨシノ知らないの?ショウが悪人を捕らえる時に言うセリフだって言ってたわよ」
「それ、絶対間違った情報だわ……」

「何をごちゃごちゃ言ってやがる!」
「そこを退きやがれ!」
「邪魔なんだよ!」

 山賊達は、中で暴れている少女2人から命からがら逃げてきて、ようやく裏口から出られたのだ。そこに待ち構えていたのがアユミ達であり、逃げ道が断たれた山賊達は必死の形相で襲いかかってきたのだ。

「うるさいわね!まだセリフの途中なのに……」

 襲いかかってきた山賊をアユミは一刀両断にする。山賊は真っ二つになりその場に倒れてしまった。その様子を目の当たりにした山賊達の足が止まる。

「大人しく御縄につけ!」

「「「「「う、うるせぇ!」」」」」
「俺は逃げるんだ!」
「そこを退きやがれ!」

「うるさいわよ。アユミの言う通り悪あがきしないで観念しなさい」

 そう言ってヨシノは槍を薙ぎ払い、襲い来る山賊達を薙ぎ倒す。そして、何も言わないカオリは2人をすり抜ける山賊達を戦闘不能にしていくのだった。

「アリサお姉ちゃん凄いね……」

「あの3人に任せておいたら安心だわ。カオリで完全にシャットアウトしているからね」

 アリサとヒナタは、アユミ達の連係攻撃に感心していた。

「いったいなんだ。これは!?貴様達はここをどこだと思ってやがる!」

 その声にアリサとヒナタは、自分達の後ろを振り向くと山賊達が包囲していた。

「ま、不味い!ヒナタ達が……」
「ここは私達が!カオリは2人を!」
「わ、わかった!」

 カオリはアユミとヨシノに任せて、ヒナタとアリサの方へ向かおうとするが、ヒナタが大声でカオリを止めたのだった。

「カオリお姉ちゃんはこないで!父ちゃんが逃げ出した山賊を一網打尽にしてって言ったでしょ!」

 ヒナタの言葉にカオリの足は止まる。

「ぐっ……しかし……」

「ぐはははははは!幼女が何言ってやがる!お前等、奴らを捕らえて奴隷にするぞ!」
「「「「「「おおぉ~~~!」」」」」」

 ヒナタとアリサを取り囲む山賊達は目を血走らせて、二人に飛びかかる。しかし、ヒナタとアリサは慌てる素振りすらしないで山賊達を睨むのだった。

「ユメミ出てきて!」
『メェ~!』

「なっ!?魔物だと!」

 ユメミを見た山賊達は慌てふためく。そして、足を止め武器を構える。

「貴様等、何者だ!」

「フッ。あなた達はこれから鉱山送りになるのに変な心配するのね」

「な、な、何だと!女子供に俺達がやられるはずがないだろうが!」

「そう思うなら早くかかってらっしゃい!」 

「お前等、女共を捕らえろ!」
「「「「「「おお!」」」」」」

 アリサの言葉に山賊達は顔を真っ赤にして、アリサとヒナタに襲い掛かる。

「「「ヒナタアリサ!」」」

 アユミ達3人は顔を青くするが、洞窟内から逃げる山賊達を相手に動く事ができない。

「ユメミ。スリープブレスを吐いて」
『メェ~!』

 襲い来る山賊達は、ユメミが吐き出したスリープブレスをまともに受けて、抵抗も虚しくその場にバタバタと眠りにつく。

「そんな馬鹿な……スリーピングシープが従魔になるのか……」

 それを見た山賊のリーダーは部下達を散開させる。そして、まとまらずヒナタとアリサを捕まえようとしたのだった。

「ぐはははははは!四方八方から襲いかかればどうにもなるまい!覚悟しろ!」
「「「「「「わぁああああああああ!」」」」」」

 しかし、ヒナタは冷静に医療厩舎からチュータを出す。

「チュータお願いね」
『チュー!』

 すると、チュータの号令で軍隊ネズミがゾロゾロと出てきたのだ。チュータは進化し軍隊長ネズミとなり、その下に20匹の軍隊ネズミを従えていたのである。それら全てをヒナタがテイムしており、数が多いので名前は番号である。しかも、軍隊ネズミ1~20はレベル上げもされており普通の軍隊ネズミとは比べ物にならないくらい強いのである。

「な、なんだぁ!?今度は軍隊ネズミだと?」

「チュータお願いね」
『チュー!』

 チュータが号令を出すと部下の軍隊ネズミ1~20は、山賊達に襲い掛かる。軍隊ネズミ1~20もショウに買ってもらったショートソードとレザーアーマーを装備しており、山賊達に負けない実力を発揮して斬り捨てる。

「「「「「「ぐわぁああああ!」」」」」」
「俺の足がああああ」
「くそぉ!小さくて速い……」

 軍隊ネズミは身体が小さくすばしっこく、山賊の攻撃を軽やかに回避する。そして、カウンターで手足を斬り飛ばすのだ。
 その光景に、山賊のリーダーは言葉が出なくなる。そして、アユミ達3人もヒナタの戦闘力に驚愕するのだった。
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