魔王を"封印"した聖女の生まれ変わりはまた聖女でした!

此花チリエージョ

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銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達

リディエール公爵家

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「あ」

 私は咄嗟に口を両手で押さえた。

「なんで嬢ちゃんが知ってんだ?」
「どうして知ってるんですか?」

 2人の当然の疑問に私は、

 ヤバいどうしよう。
 どうやって誤魔化そう。

「…ーースゥ、ハァ」

 息を吸って吐いて、

「い」

「「い」」

 2人の声が重なる。

「言えない」

 私は『言い訳』が思い付かなかった。

「ハル」

 フィル君はそっと私の肩に、優しく手を置いた。
 私にはが話してって、言ってる様に感じて、

「ごめん。まだ言えない」

 まだ勇気がない。

 そう答えるしかなかった。

 私達のそんな様子を見ていた、顔に傷がある男は自分の頭をガシガシとかきむしりながら、

(イチャつきやがって)
「えーと、あ~なんだ。嬢ちゃん正解だよ」

 男のその言葉に、フィル君の眼線は私から男にうつり、

「お前。
 まさか、か!?」

「????」

 どういうこと?

 私が頭にクエスチョンマークを浮かべてると、男がパチンッと指を鳴らす。

 ボワッン!と、イスが3脚出現した。

「あ~、なげぇ話だから座れ」

 じーーーーー。

 フィル君の疑いの眼差しを受けながら、男はドカンッと、先に椅子に座る。

「なぁんにも、仕掛けは、ねぇよー」

 男のその言葉に、私も2脚の椅子をあっちこっち確認する。

「フィル君。魔力の気配はないから、大丈夫そうだよ」

 私がそう言って、椅子に座る。

「…ハルは…………ーだね」
「今なんて?」
「なんでもない」

 フィル君も椅子に座った。

「フゥ」

 男は頬付きながら、ため息を吐いた。
 顔に「イチャつくんならよそでやれ」と、書かれてる気がした。

 うん。きっと気のせい。

「俺はガルフォン。
 昔の名前はガルフォン・リディエール。
 前公爵ガリダナ・リディエールの長男だった」

 ガルフォンは砕けた口調を改めて、昔話をはじめた。


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ー3年前ー

 代々、リディエール公爵家は""のスキルが強いため、国王陛下から魔王の封印のの役目を仰せつかっていた。
 あの日も、恒例の魔王が封印されてる『静寂の森』から、2km程離れている『深淵な森』にある別荘へ、

 父、ガリダナ・リディエール(49歳)
 母、ルリーナ・ディアーナ・リディエール(46歳)
 俺、ガルフォン・リディエール(26歳)
 弟、ガルダ・リディエール(15歳)

 父の弟で、俺の叔父にあたる、ガリジェダ・リディエール(45歳)と、数人の使用人も一緒だった。
 叔父は公爵家には珍しい、だったが、王女が降嫁される家柄だった為、さほど不思議はなかった。

「兄さまー、早く早くー!」
「ガルダ、急ぐなよー」

 別荘へ駆けるガルダの後を、俺は歩いてついて行った。
 ガルダはお母様似の金髪に薄紫の瞳で、日光を浴びて、髪がキラキラと光っていた。

「ルリーナ、私とガルジェダは“封印”の様子を見に行ってくる。
 3年の“猶予”があっても、油断はならないからな。子供達、ガルダの事は頼んだぞ」

 ガリダナは心配そうに見つめる、ルリーナの肩に手を置いて、そう言った。

「ええ、承知しました。
 貴方『静寂の森』は魔物もいますからお気をつけて」
「お義姉様、ご安心ください。
 私も一緒ですから、魔物も一瞬で倒して、お兄様には指1本も触れさせません!」

 ガルジェダはルリーナを安心させる為に、騎士の敬礼をしながら、パチン!とウィンクして言った。

「もう。相変わらずふざけて」

 気を緩んだルリーナがやっと微笑んだ。


「兄さまー!
 もっと、押してー!」
「ガルダ、しっかり掴んでろよ!」

 俺とガルダは、父手作りのブランコで、遊んでいた。

「ガルフォン、ガルダ」

 父が俺達を呼ぶと、ガルダはブランコから飛び降りて、

「おい、危ないぞ」
「大丈夫だよ!」

 地面に着地した。

「父さまー!叔父さまー!」
「お父様、叔父様。もう行かれるのですか?」

 俺達は馬に乗っている、父と叔父の近くへ、駆け寄る。

「別荘に到着したばかりで『静寂の森』まで、まだ距離があります。
 もう少し、休んでからでも」
「年に2回の“監視”だ。
 早く終わらせて、お前達と過ごしたい。
 ガルフォン、お母様とガルダを頼んだぞ」
「僕も僕もー。母さまと兄さま守る」

 えへへと、ガルダは太陽の様に、笑った。

「……………」

 この時、俺は叔父の影に気付いていなかった。
 もし、気付いていたら、この後に起きた“悲劇”は止めれたかもしれない。
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