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銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達
失意のどん底から
しおりを挟むぼーーーーと、俺はベットから外を眺めていた。
コン、コン。
「……………」
コン、コン。
俺から返事がなかった為、もう1度ドアがノックされた。
「………入れ」
「失礼致します」
白髪混じりの黒髪の執事長、ディオールが入室して、テーブルに少ししか減ってない朝食を見て、ガックリと肩を落とした。
「ガルフォン様。せめて半分ほどでもお召し上がりになりませんと…」
「……………」
「……ご無礼を承知で申し上げますっ!
私も旦那様が18歳の時から仕えさせて頂いてる身です。ガルフォン様が旦那様と奥様を亡くされてお辛いのは分かります!」
「……………」
「ですがこのままではリディエール公爵家はっ、ガルジェダ様にっ!」
ディオールの口はパクパク動くだけで、その先は言葉にしなかったが、俺にはその先に続く言葉が想像出来た。
きっと『乗っ取られる!』だろうな。
『オーラの色がどうの』とかって言っていた気がするけど…。
ディオールは昔から叔父様が苦手だったとお父様が言っていた。
お父様とお母様が亡くなって1ヶ月も部屋に閉じ籠っている俺より、リディエール公爵家当主は叔父様が相応しいと思うんだけどな…。
この時の俺は【オーラ】がどういったモノか知らなかったから、ディオールも瞳から叔父様が、どう見えてるかも、全く気にならなかった。
コン、コン、ガチャ。
「兄さまー。ご機嫌どう?」
弟のガルダが湯気が立ってる真っ白なマグカップを持って入室してきて、俺の近くへやって来た。
「はい。兄さまが大好きなハチミツがたっぷり入ったホットミルクだよ!」
そう言うと、俺にマグカップを差し出してきた。
「兄さま。ガルダがね。父さまと母さまの分もずっと兄さまの側に居るからね。早く元気になって」
両親が亡くなった直後は泣き喚いて大変だったガルダが、現在ではすっかり立ち直っている姿を見て俺は、
「ガルダは強いな」
俺はまだ弱いな。
でも、いつまでもこのままじゃダメだな。俺も早く両親の死を受け入れないと。
「兄さま?」
俺は久しぶりにガルダの頭を撫でた。
「うっ、うわ~ん。やっと兄さまが笑ったよー」
ガルダはぽろぽろと泣き出した。
「ガルダっ!?」
「うっうっ、兄さま、までいなくなったら、どうしようかと思ったよー」
ガルダは次から次へと零れる涙を、手で拭いながら、俺にしがみついた。
「あっ!」
俺はこの時やっと分かった。
ガルダは強いんじゃない。兄まで失うと思って弱さを隠して頑張っていただけだと、いうことに。
俺だって弱いのに、まだ15歳の弟も弱くて当然だった。
「ごめん。ごめんね」
「兄さま」
俺はギュッとガルダを抱き締めた。
「ごめん。ガルダ」
「兄さまぁ、うっうっ」
(ガルダの為にも叔父様ともこれから先の事について話し合わないとな)
そう決心した。
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