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魔王と聖なる乙女 ~一万年前の真実~
魔王と聖なる乙女〜 それぞれの能力(ちから) 〜 ※主人公達不在
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※過去、魔王封印(一万年前編)スタートです。
※ハル達は不在です。
ーーーー
神竜様を祀る神殿の元聖騎士と、呪術師の一族の娘の間に生まれたファラットとディアは10才に成長した。
ディアは母方の祖父から贈られた黒い【白数珠】のお陰で魔物を生み出すことはなくなり、両親や村人も安心していた時に事件は起きた。
「うっ、うっ、うぅ」
「お~い、なきむし、ディア。 まものを、だしてみろよ」
「だしてみろよ」
「や、やめてよ」
ファラットやディア達は村外れの一軒家で、ひっそりと暮らしていた。
ディアは両親やファラットの言いつけを守り、家から出ることはなかったが、この日は違った。
両親とファラットが留守の時を見計らって、3人の10才ぐらいの男の子達がディアを森の中へ無理やり連れ出して、
「おとなたちは、こいつがまものを、だせるからちかづくなって、いっているけど、ガセじゃねぇ?」
「おれたち、みたことねぇもんなぁ」
「なぁ」
「うぅ、どいでよぉ。 うちにかえしてよ」
「まものを、だしたら、かえしてやるよ」
「こいつ、ファラットがいないと、なにもできないもんな!」
「あいつも、こいつに、あまいよな~」
「やっ、やめて、にいさまのこと、わるくいわないでぇ!」
「なっ、こいつ、くちごたえしやがって」
「このやろう!」
「やっ、やめて、かみ、ひっぱらないで」
2人の男の子はさらにディアを虐めるが、最後の男の子は、
「お、おい。おまえら、やめろよ」
「ガルーシェ、なんでだよ!」
「ディアのくせに、なまいきなんだよ」
「やっ、やめてよぉ」
「ほんとにやめろって!よくわかんねぇけど、さっきから、やな、かんじがすんだよ!!」
「……ガルーシェのカンは、あたるからな。 きょうはここまでにしてやるよ」
深緑色の髪と薄紫色の瞳を持つガルーシェは村長の孫息子で、昔から不思議と感覚が鋭く、自然発生した “ 魔物 ” の存在を、よく言い当てていた。
当時は名前がなかったが、現在では “ 感知・検索 ” と呼ばれているスキルで、このガルーシェが、ガルフォンの生家であるリディエール公爵家の直系の先祖にあたる子供だった。
「ああ、でも、これはもらってやるよ」
「や、やめて、これははずしちゃダメって、かあさまが」
苛めっ子の1人が、ディアの【白数珠】のネックレスに触れて奪おうとするが、ディアも奪われないように両手で引っ張る。
引っ張り合う力に耐えられなかった【白数珠】の紐はブチッと切れて、ジャラジャラっと【白数珠】が地面に散らばった。
「あ、お、おれしらねぇぞ」
「う、うぅ」
「おい、泣くなよ。おまえが、わたさないのが、わる……い」
蹲ったディアを見て【白数珠】を引っ張っていた虐めっ子が、俺は悪くないオーラを醸し出して言うが、ディアの雰囲気がいつもと違うことに気付く。
「な、なんだ? この “ くろいうず ” は?」
「ディアに、あつまってる⁇」
「ううぅ、やめ……て、でて……こないでぇ」
「おい。マヤ、ダルク、むらまで、はしるぞ」
「「へ、ガルーシェ?」」
「はやく! こいつがおさえているうちに、おとなをよんでくるんだ‼︎」
ガルーシェは “ 感知 ” の力でディアが黒い渦から出現しようとしている魔物を抑え込んでいる事に気付いて、マヤとダルクの腕を掴んで、森の中を走り、助けを呼ぶ為に村へ急ぐ。
その途中、ディア達の家の近くでファラットと出会い、
「ガルーシェにマヤとダルク。 おまえら、ディアをみなかったか? いつも、いえから、でるなって、いってるのに……」
ファラットの最後の独り言のような呟きは誰の耳にも届かなかったが、ファラットと遭遇してマヤとダルクの表情は蒼白になっていく。
「「…………」」
「なにか、あったのか?」
「ディアのネックレスがこわれて、くろいうずがでた」
ファラットの問いかけに、ガルーシェが分かりやすく答える。
その答えを聞いたファラットは息がとまりかけたが、必死に息を吸い込み言葉を絞り出す。
「どこにいる!?」
「あっちだ!」
「おれがなんとかするから、おとなたちに、ほうこくして、むらのけいびをかためろっ!」
「わかった」
「「……へ」」
いまいち状況を把握しきれてない、きょとんとしてるマヤとダルクは、そのままガルーシェに任せれば大丈夫だと判断して、ファラットはガルーシェが指さした方向へ駆けていく。
ーーーー
「ディア、ディアどこだ?」
ファラットはガルーシェが指さした方向へ走り、ディアを探し続けるが、
「みつからない、かくれているのか……」
ディアは自分の能力の特徴を両親から聞かされ理解していた。
ディアの能力は、4才の時から10才【白数珠】のネックレスで抑えられていた。
【白数珠】が壊れたことで溢れだした能力がディアに制御出来るとは思えなかった。
走り続けたファラットは、木々が生えていない、円形の広場のような場所へ見付ける。
「ここなら、じゅうぶんなひろさがあるな」
ファラットは地面に落ちている枝を拾い、地面に魔方陣を描く。
描き終えると、魔方陣の外側に立ち、両手を左右に広げ、翡翠色の瞳を閉じる。
「すぅ、はぁ 〈 いにしえから、このちに、すまうものよ。われのまりょくをたいかに、かのちから、われとちをわけし“まものつかい”のそしつをもつものを、ここへ、しょうかんせよ! 〉 」
ファラットの召喚の呪文を唱えると、魔方陣から蒼白い光が溢れ、魔方陣の中心に、眉毛を八の字にして、泣いているディアが現れた。
「にい……さま……」
「ディア、さがしたぞ! ケガはないかっ!?」
ファラットはディアに駆け寄り、震える身体を抱き締める。
ディアはファラットの問いかけに、ふるふると頭を横に振る。
「ガルーシェたちは?」
「あんしんしろ、だれもケガしていない」
「………ごめんなさい」
「ディア?」
「くっ、でてくる。 にいさまぁ、おさえられなくて、ごめんなさいっ!」
ディアはファラットの胸の中に蹲り、ファラットは泣き崩れる弟を優しく抱き締める。
ディアの感情に “ 共鳴 ” するように、黒い渦が集まっていき、その黒い渦は稲妻で身体中が覆われた3匹の狼の魔物に変貌し、遠吠えが森中に響く。
「ディア、おちついて『ライトニングウルフ』を」
「あっ、ラ、ライト……ニング……ウルフだ。 にいさま、ごめんなさぁい!」
「……だいじょうぶだ。 おれがなんとかするから、なくな」
(ディアのふたんがおおきくて、このほうほうはさけたかったけど、しかたない……か)
ファラットは取り乱すディアを見て、ディアの “ 魔物使い ” の能力でライトニングウルフを “ 使役 ” するのは無理だとさとる。
ディアを “ 魔物使いを召喚 ” する為に描いた魔法陣を確認する。
(まほうじんはぶじ、これなら)
ライトニングウルフはガウッ、ガルルゥッと、戸惑いつつ、警戒しながら後退り自分達を睨む。
(なんだ? ああ、そうか、しょうかんしゃが、てきがわにいて、こんらんしているのか)
ディアは戸惑いで全く理解していないが、ディアの “ 魔物使い ” と、ファラットの “ 召喚士 ” の “ 能力 ” は酷似していた。
ディアの “ 魔物使い ” は、本来なら “ 魔物 ” 呼び出して “ 魔物使い ” の意のままに “ 使役 ” 出来きる。
ファラットの “ 召喚士 ” も “ 精霊や、あらゆるスキル持ち ” をこの地に “ 召喚 ” して “ 召喚士 ” の意のままに “ 使役 ” 出来る能力だった。
つまり、このライトニングウルフはディアを守る為に出てきたにすぎない。
村人達は魔物に対する恐怖心で、そのことに、まだ気付いていないが、ディアが能力を制御出来るようになったら、村の力になるはず。
(おれが、まわりからディアを……おとうとをまもらないと)
「 〈 いにしえから、このちに、すまうものよ。われのまりょくをたいかに、かのちから、だいちのちからをやどし “ せいれい ” を、ここへ、しょうかんせよ!! 〉 」
ファラットの呪文にあわせて、魔方陣が蒼白く輝き、3体のトンカチとスコップを持った “ 土の精霊・ノーム ” が召喚された。
「つちのせいれい・ノームよ。 われのめいにしたがいライトニングウルフをたおせ!」
土の精霊ノームはファラットの “ 命令 ” に従い、3匹のライトニングウルフの周りをグルグルと周回し、ディアの “ 命令 ” がないライトニングウルフはグルルッとうねり声はあげながら後ずさる。
(きがいをくわえるきがない、こいつらをたおすのはかわいそうだけど、ディアのちからがおよばなくなったら、ひとをおそってくるかもしれない)
ノームはスコップで穴を掘り、巨大な岩石を掘り上げ、ライトニングウルフに投げつける。
ライトニングウルフは抵抗出来ず、岩石の下敷きになり、ノームがトンカチで岩石を砕くと、ライトニングウルフも粉々に砕け散る。
「おにいさま、たおしたの。 すごぉ……「ディア!ディア、だいじょうぶか⁉︎」
ディアは言い終わる前に地面に倒れ込む。
それを見たファラットは慌てて、倒れたディアを抱き起こすと、ディアの顔色は真っ青だった。
「う、うぅ」
「ディア、ディア、やっぱり “ はんどう ” がでたかっ!」
“ 反動 ” それは “ 使役 ” や “ 召喚 ” した “ 魔物 ” や “ 精霊 ” が、術者の意思とは関係なく、敵に倒されたことによる “ 消滅 ” で、契約が強制的に解除になった反動が “ 術者 ” に返ることだ。
(だから、この、ほうほうは、さけたかったのに)
「ディア、すぐにいえにつれてかえるからな。もうすこし、しんぼうしろ」
“ 風の精霊・シルフ ” は癒しの能力を持っているが、ディアとノームを召喚したファラットには、さらにシルフを召喚する魔力は残っていなかった。
(おれに、もっと、まりょくがあれば)
ファラットはディアを背負って、家に向かって走り出した。
※ハル達は不在です。
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神竜様を祀る神殿の元聖騎士と、呪術師の一族の娘の間に生まれたファラットとディアは10才に成長した。
ディアは母方の祖父から贈られた黒い【白数珠】のお陰で魔物を生み出すことはなくなり、両親や村人も安心していた時に事件は起きた。
「うっ、うっ、うぅ」
「お~い、なきむし、ディア。 まものを、だしてみろよ」
「だしてみろよ」
「や、やめてよ」
ファラットやディア達は村外れの一軒家で、ひっそりと暮らしていた。
ディアは両親やファラットの言いつけを守り、家から出ることはなかったが、この日は違った。
両親とファラットが留守の時を見計らって、3人の10才ぐらいの男の子達がディアを森の中へ無理やり連れ出して、
「おとなたちは、こいつがまものを、だせるからちかづくなって、いっているけど、ガセじゃねぇ?」
「おれたち、みたことねぇもんなぁ」
「なぁ」
「うぅ、どいでよぉ。 うちにかえしてよ」
「まものを、だしたら、かえしてやるよ」
「こいつ、ファラットがいないと、なにもできないもんな!」
「あいつも、こいつに、あまいよな~」
「やっ、やめて、にいさまのこと、わるくいわないでぇ!」
「なっ、こいつ、くちごたえしやがって」
「このやろう!」
「やっ、やめて、かみ、ひっぱらないで」
2人の男の子はさらにディアを虐めるが、最後の男の子は、
「お、おい。おまえら、やめろよ」
「ガルーシェ、なんでだよ!」
「ディアのくせに、なまいきなんだよ」
「やっ、やめてよぉ」
「ほんとにやめろって!よくわかんねぇけど、さっきから、やな、かんじがすんだよ!!」
「……ガルーシェのカンは、あたるからな。 きょうはここまでにしてやるよ」
深緑色の髪と薄紫色の瞳を持つガルーシェは村長の孫息子で、昔から不思議と感覚が鋭く、自然発生した “ 魔物 ” の存在を、よく言い当てていた。
当時は名前がなかったが、現在では “ 感知・検索 ” と呼ばれているスキルで、このガルーシェが、ガルフォンの生家であるリディエール公爵家の直系の先祖にあたる子供だった。
「ああ、でも、これはもらってやるよ」
「や、やめて、これははずしちゃダメって、かあさまが」
苛めっ子の1人が、ディアの【白数珠】のネックレスに触れて奪おうとするが、ディアも奪われないように両手で引っ張る。
引っ張り合う力に耐えられなかった【白数珠】の紐はブチッと切れて、ジャラジャラっと【白数珠】が地面に散らばった。
「あ、お、おれしらねぇぞ」
「う、うぅ」
「おい、泣くなよ。おまえが、わたさないのが、わる……い」
蹲ったディアを見て【白数珠】を引っ張っていた虐めっ子が、俺は悪くないオーラを醸し出して言うが、ディアの雰囲気がいつもと違うことに気付く。
「な、なんだ? この “ くろいうず ” は?」
「ディアに、あつまってる⁇」
「ううぅ、やめ……て、でて……こないでぇ」
「おい。マヤ、ダルク、むらまで、はしるぞ」
「「へ、ガルーシェ?」」
「はやく! こいつがおさえているうちに、おとなをよんでくるんだ‼︎」
ガルーシェは “ 感知 ” の力でディアが黒い渦から出現しようとしている魔物を抑え込んでいる事に気付いて、マヤとダルクの腕を掴んで、森の中を走り、助けを呼ぶ為に村へ急ぐ。
その途中、ディア達の家の近くでファラットと出会い、
「ガルーシェにマヤとダルク。 おまえら、ディアをみなかったか? いつも、いえから、でるなって、いってるのに……」
ファラットの最後の独り言のような呟きは誰の耳にも届かなかったが、ファラットと遭遇してマヤとダルクの表情は蒼白になっていく。
「「…………」」
「なにか、あったのか?」
「ディアのネックレスがこわれて、くろいうずがでた」
ファラットの問いかけに、ガルーシェが分かりやすく答える。
その答えを聞いたファラットは息がとまりかけたが、必死に息を吸い込み言葉を絞り出す。
「どこにいる!?」
「あっちだ!」
「おれがなんとかするから、おとなたちに、ほうこくして、むらのけいびをかためろっ!」
「わかった」
「「……へ」」
いまいち状況を把握しきれてない、きょとんとしてるマヤとダルクは、そのままガルーシェに任せれば大丈夫だと判断して、ファラットはガルーシェが指さした方向へ駆けていく。
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「ディア、ディアどこだ?」
ファラットはガルーシェが指さした方向へ走り、ディアを探し続けるが、
「みつからない、かくれているのか……」
ディアは自分の能力の特徴を両親から聞かされ理解していた。
ディアの能力は、4才の時から10才【白数珠】のネックレスで抑えられていた。
【白数珠】が壊れたことで溢れだした能力がディアに制御出来るとは思えなかった。
走り続けたファラットは、木々が生えていない、円形の広場のような場所へ見付ける。
「ここなら、じゅうぶんなひろさがあるな」
ファラットは地面に落ちている枝を拾い、地面に魔方陣を描く。
描き終えると、魔方陣の外側に立ち、両手を左右に広げ、翡翠色の瞳を閉じる。
「すぅ、はぁ 〈 いにしえから、このちに、すまうものよ。われのまりょくをたいかに、かのちから、われとちをわけし“まものつかい”のそしつをもつものを、ここへ、しょうかんせよ! 〉 」
ファラットの召喚の呪文を唱えると、魔方陣から蒼白い光が溢れ、魔方陣の中心に、眉毛を八の字にして、泣いているディアが現れた。
「にい……さま……」
「ディア、さがしたぞ! ケガはないかっ!?」
ファラットはディアに駆け寄り、震える身体を抱き締める。
ディアはファラットの問いかけに、ふるふると頭を横に振る。
「ガルーシェたちは?」
「あんしんしろ、だれもケガしていない」
「………ごめんなさい」
「ディア?」
「くっ、でてくる。 にいさまぁ、おさえられなくて、ごめんなさいっ!」
ディアはファラットの胸の中に蹲り、ファラットは泣き崩れる弟を優しく抱き締める。
ディアの感情に “ 共鳴 ” するように、黒い渦が集まっていき、その黒い渦は稲妻で身体中が覆われた3匹の狼の魔物に変貌し、遠吠えが森中に響く。
「ディア、おちついて『ライトニングウルフ』を」
「あっ、ラ、ライト……ニング……ウルフだ。 にいさま、ごめんなさぁい!」
「……だいじょうぶだ。 おれがなんとかするから、なくな」
(ディアのふたんがおおきくて、このほうほうはさけたかったけど、しかたない……か)
ファラットは取り乱すディアを見て、ディアの “ 魔物使い ” の能力でライトニングウルフを “ 使役 ” するのは無理だとさとる。
ディアを “ 魔物使いを召喚 ” する為に描いた魔法陣を確認する。
(まほうじんはぶじ、これなら)
ライトニングウルフはガウッ、ガルルゥッと、戸惑いつつ、警戒しながら後退り自分達を睨む。
(なんだ? ああ、そうか、しょうかんしゃが、てきがわにいて、こんらんしているのか)
ディアは戸惑いで全く理解していないが、ディアの “ 魔物使い ” と、ファラットの “ 召喚士 ” の “ 能力 ” は酷似していた。
ディアの “ 魔物使い ” は、本来なら “ 魔物 ” 呼び出して “ 魔物使い ” の意のままに “ 使役 ” 出来きる。
ファラットの “ 召喚士 ” も “ 精霊や、あらゆるスキル持ち ” をこの地に “ 召喚 ” して “ 召喚士 ” の意のままに “ 使役 ” 出来る能力だった。
つまり、このライトニングウルフはディアを守る為に出てきたにすぎない。
村人達は魔物に対する恐怖心で、そのことに、まだ気付いていないが、ディアが能力を制御出来るようになったら、村の力になるはず。
(おれが、まわりからディアを……おとうとをまもらないと)
「 〈 いにしえから、このちに、すまうものよ。われのまりょくをたいかに、かのちから、だいちのちからをやどし “ せいれい ” を、ここへ、しょうかんせよ!! 〉 」
ファラットの呪文にあわせて、魔方陣が蒼白く輝き、3体のトンカチとスコップを持った “ 土の精霊・ノーム ” が召喚された。
「つちのせいれい・ノームよ。 われのめいにしたがいライトニングウルフをたおせ!」
土の精霊ノームはファラットの “ 命令 ” に従い、3匹のライトニングウルフの周りをグルグルと周回し、ディアの “ 命令 ” がないライトニングウルフはグルルッとうねり声はあげながら後ずさる。
(きがいをくわえるきがない、こいつらをたおすのはかわいそうだけど、ディアのちからがおよばなくなったら、ひとをおそってくるかもしれない)
ノームはスコップで穴を掘り、巨大な岩石を掘り上げ、ライトニングウルフに投げつける。
ライトニングウルフは抵抗出来ず、岩石の下敷きになり、ノームがトンカチで岩石を砕くと、ライトニングウルフも粉々に砕け散る。
「おにいさま、たおしたの。 すごぉ……「ディア!ディア、だいじょうぶか⁉︎」
ディアは言い終わる前に地面に倒れ込む。
それを見たファラットは慌てて、倒れたディアを抱き起こすと、ディアの顔色は真っ青だった。
「う、うぅ」
「ディア、ディア、やっぱり “ はんどう ” がでたかっ!」
“ 反動 ” それは “ 使役 ” や “ 召喚 ” した “ 魔物 ” や “ 精霊 ” が、術者の意思とは関係なく、敵に倒されたことによる “ 消滅 ” で、契約が強制的に解除になった反動が “ 術者 ” に返ることだ。
(だから、この、ほうほうは、さけたかったのに)
「ディア、すぐにいえにつれてかえるからな。もうすこし、しんぼうしろ」
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