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村防衛編
多種の気持ちを持ちながら
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「ご注文確認致します。限定サクラフラペチーノが一点、サニーブレンドコーヒーが一点、抹茶ラテが一点、サンドイッチセットが一点と濃厚チーズケーキが2点で間違いないでしょうか?」
「はい。お願いします」
「かしこまりました。少々お待ちください」
店員が去ったのを確認して文香は目を輝かせて店内をキョロキョロしだした。
「文香ちょっと落ち着きなよ。子供っぽいよ」
「だって景見てみなよ、こんな可愛い漢字のカフェ女子だったら誰でも興奮するよ。本当は写真撮りまくりたいけど流石に他の客に迷惑かかるじゃない」
そう言いながらオレンジの水玉模様の壁紙のポップな雰囲気を見渡していた。
「なるほど、後からこの風景を描くために頭の中に焼き付けてるんだね」
「さすが結斗、わかってるね」
「本当に文香は絵が好きだね。将来は画家を目指してるんだものな」
「うん。だって私、絵描くの大好きだもん」
すると少しの間黙っていた景が口を挟んだ。
「だったらさ、本当に須東学校のまま進級でよかったの?ごめん新年度当日に。もちろん文香のお婆ちゃんっ子は知ってるよ。でもさ、それじゃあいつになっても専門的なこと学べないじゃん。好きな事を押し殺してまで優先すること?」
「うん。それは今でも私の中で葛藤の素だよ。この選択で良かったのかって今でも悩んでる。バカだよね、悩んでる時点で後悔とか悔いが残ってるってのわかってるのにね。だけど私のお婆ちゃん、もう87歳なんだよね。今普通に元気だけど、歳も歳だからいついなくなっちゃうかわからなくて、それが怖くて…」
「そうだよね…ごめん軽率だった」
カラッとした空気の中、3人の席が湿っぽくなりゆくゆく重くなっていってしまう。これにみかねた結斗が笑顔を見せて明るい声をだした。
「おいおいなんでそんな湿っぽい空気になってるんだよ。だって俺らみんな人間じゃん?小さかれ大きかれみんな悩みを背負ってるのは当たり前じゃん。みんな同じなのになんでいちいち人の背負っているものを知ったり話したりするだけで空気が堕ちるんだよ。ていうかそもそもこの場所でこの空気は不謹慎だよ。揚げてこうぜ」
少し前までの空気に不似合いな結斗の明るさが混濁して景と文香は困惑しているが、結斗の言っていることもわかるので無理にでも明るくなろうと振る舞ったがもっと変な感じになってしまっていた時、店員が席に商品を運んできてテーブルに置いていった。
「ごゆっくりお楽しみください」
「ありがとうございます」
コーヒーの奥深い香りが鼻に入り込んできて、3人は運ばれてきた物に惹きつけられた。淡いペールオレンジの上に星のようなアラザンのかかったチーズケーキや透明なカップの中にたっぷりと入ったピンク色のドリンクの上には薄ピンクのホイップが乗っかっていた。それらの鮮やかさに3人の席の周りに漂っていたよそよそしい空気は弾かれどこかに行ってしまった。
「ちょっと待ってこの抹茶ラテ可愛い!一旦2人とも食べるの待って」
そう言って文香はテーブルに置かれた食べ物を一つづつ様々な角度からスマホで写真を撮った。結斗は全体を写したものと自分の注文した桜フラペチーノとチーズケーキだけの画像2枚を自分のTwitterに投稿した。
「よし!一通り色んな画角撮れたから、食べよう」
「やっぱり絵のためだよな。描いたら僕にも見せて」
「いいよ」
コーヒーの芳ばしい匂いが包むテーブルで3人は笑いながら充分語り合った。
気づけば皿とコップからは料理が無くなっていて満足感に浸っている3人が笑いながらまだ話していた。
「てか今頃武くん暇してるんじゃないの?文香さんがいなくて」
「ちょっとさん付けやめてよ。武ね、別に暇ではないんじゃないかな?私と一緒じゃない時は割と他の人といることあるし。特に稑とか皐月とかね」
「武って誰とでも同じような扱いだよね。文香だけは例外で優先度高いし尊敬してる感じする」
「うんうん。武くんを見かけると大体誰かといるんだよね。文香には尊敬の念をね。なんであんなに懐かれてるんだ?」
確かにと興味を持った2人が文香の方に津々と顔を向けるが、文香は少し悩み込むが次第に怪訝そうな表情に変わっていった。
「それがね、私にも全くわからないのよね。3年前だったかな…私が中等部に上がったくらいの頃に、いつも通り絵を描いていたら1人で歩いてた武が見せてってお願いされて、見せてあげたらすごいキラキラした目ですごいって言ってくれて、何故かそのあと絵が完成するまで近くにいたのよね。そしたらその次の日からも私が外で絵を描いている日はほとんど武がいるようになってたな…」
その話を聞いて2人も不思議そうな顔をしだした。そして何かに気づいたように結斗が言葉を出した。
「その時の武はなんで1人だったんだ?」
「え…」
真面目に言う武の発言に空気が一気に引っ張られた糸のように張り詰められた。誰も発言をしなくなった空気で引き攣った口をなんとか動かして景が言葉を発した。
「って、怪談話みたいにしないでくださいよ。まだ4月が始まったばかりですよ」
糸がプツンと切れて文香も喋り出した。
「まあそうよね。結斗やめてよ、いくら武が誰かといることが多いからって1人でいることくらいあるから」
「ごめんごめん。俺もこんな空気になるとは思わなかった。よし、そろそろ出るか」
立ち上がった結斗は伝票を持ってレジに行きお金を出した。
「黒島は300円、文香は450円。ドリンク以外は自分で払えよ」
「わかってるよ」
文香はスマホを操作してバーコードの表示された画面を店員に見せて、それをスキャンしてもらった。景は100円玉を3枚財布から出してトレイに置いた。
「ありがとうございました」
カフェから出た3人はBAELの中を歩き回った。BAELの中にはジャンル問わず多岐に渡った店が張ってあり、初めてくる2人にとってはどれも初めて見るものばかりだった。
「え、待って…デッサン鉛筆セットが1400円?安すぎない?絶対買うに決まってる。まって、カーボンとグラファイト…悩むわね。でも真っ先に今日のケーキとか書きたいから、今日はカーボンね」
「黒島…どうよここ、2次元のアイテム揃ってるだろ」
「おー!すっげぇ。悪魔JKエリゼ…!ミリタリー騎士!…っ!姫君の休日もある!!」
「まて、驚くにはまだ早いぞ。値札を見ろ。そしてこの転売ヤーの値段を見ろ」
「…なっ!!」
景はキャラクターのフィギュア(16,000円)を見た後に結斗のスマホに映る同じフィギュアの値段を見た。その価格は22,000円だった。景は怒りを覚え拳を握る。
「6,000円差だと…、今まで欲を殺してまで頑張って貯金しながら買っていたフィギュアやDVDは、こんなに安かったのか…。転売ヤー…許すまじ」
「そうだそうだ!で、このフィギュア買うのかい?」
景は値札をもう一度見て答える。
「転売ヤーより断然安いけど、今日そんな金持ってきてないから、今日はこの、ライゼのクリアファイル買います」
景の手に取ったクリアファイルには白と緑の長髪、青いスレンダーな服を着たアニメキャラクターがプリントされていた。
「結斗さんは何か買うんですか?」
結斗は文房具エリアを探して、持ってきたものを見せた。
「ジャン!アデマリのシャーペン」
「え!アデマリもあるんですかここ!?」
アデマリとはアニメ「アデルとマリー」のことで認知度こそは高くないが、一部のマニアの間では絶大な人気を持っている。
「アデマリがあるなんてすごいなぁ」
「そろそろ帰ろうか」
満足気の3人はエレベーターに向かおうとしていると、景が何かを見つけた。
「音楽ショップだ。せっかくだし入ってみません?」
「たしかにいいかもね。俺らも音楽始めたことだし、みていくか」
3人は興味がわき音楽ショップに足を踏み入れた。その中は坂本の展示館よりは遥かに小さいが、トランペットやサックスなどが置いてあった。それとは別にコードや機械なども各種色々なものが置いてあった。
「すげぇ、俺トロンボーン見てくる!」
「え、私もホルンみたい!」
「じゃあ僕は弦楽器のとこいるので、後でここで落ち合う感じで」
3人はそれぞれがみたい楽器のとこに歩いていった。
金管楽器や木管楽器が置いてあるところで、文香と結斗はたくさん並べられているマウスピースをじっと眺めていた。
「マッピってこんなに種類あるんだね」
「そうなんだな、俺トロンボーンのケースに最初から入ってたのしか使ってないから知らなかった。形とか大きさとか全然違う」
「うん。音も全部違うのかな?」
「ほらみて、マッピだけじゃなくて楽器本体も、同じ楽器だけど全然色んな種類ある。色とか、大きさも違う気がする」
結斗はショーケースに入れられたトロンボーンを指差して言った。すると2人の横に店員と思われる男性がきて声をかけた。
「これはGETZENのバストロンボーンですね」
「へ?ゲッチェン?」
「ゲッツェンです。楽器のメーカーです。GETZEN はトランペットとコルネットとフリューゲルホルンとトロンボーンを造ってる有名な楽器メーカーで、奏者のその日によってのコンディションと音が影響しにくいので、プロの奏者にも人気のメーカーなんですよ」
正直結斗も文香も男の熱弁を聞いたところでピンときていなかった。それに気づいた男は2人に提案をした。
「試し吹きしてみませんか?うちオッケーなんですよ」
2人は顔を見合わせて悩んでいる。
「結斗どうする?吹かせてもらうなんて悪いし、まだまだ下手だし」
「でも、楽器のことについて知れるチャンスかもしれないぞ?村を守るためにはここで吹くくらいガチにならないとキツイような気がする…」
「あ、そっか。私たち村のために音楽やってるんだった。忘れてた。ならたしかに試し吹きしといていいかも…」
「よし。決まりました!試し吹きしたいです!」
店員に目を向けるともう既に椅子と、2つのトロンボーンが置かれていて試し吹きの準備が出来上がっていた。
「あ、決まりました?ではこちらにどうぞ」
2人はパイプ椅子に腰をかけると店員は前に立ちトロンボーンの紹介を始めた。
「こちらのトロンボーンが先ほど紹介しましたGETZENので、これはテナーバストロンボーンです。そしてこちらが多分誰もが知っているであろう楽器メーカーのYAMAHA産のテナーバストロンボーンです。YAMAHAは初心者向けというか、誰でも扱える万人向けの楽器ですね。ささ、どちらからでも吹いて比べてみてください。ちなみにマウスピースはスタンダードなYAMAHAのものをつけています」
豊富な知識による熱弁に圧倒され、頭の中で誰かに似ているなと思いながらも結斗はYAMAHAのトロンボーンをまず手に取りスライドを軽く動かしてみたりして手に馴染みを感じた。
「あれ、これ俺が使ってるやつだ。ここのロゴもそういえば同じだ」
「そうでしたか。でしたらより吹き比べ感が増しますね」
結斗はマウスピースに口をつけて、大きく息を吸ってB♭の音をだした。吹いたままスライドを少し前にずらしてE♭、また戻してF、もう一度息を吸ってB♭の音を鳴らした。
「うん。俺が使ってるやつだ。えっとこっちがGETZEN だよな」
楽器立てにトロンボーンを挿してマウスピースを抜き、今度はGETZEN のトロンボーンにマウスピースを挿して同じ手順で音を出してみた。
「どうですか?」
「うーん、俺の問題なのかな、あんまり違いがよくわからない」
「もしかしてですけど、楽器を始めてあまり経っていないのですか?」
「あまりっていうか、1ヶ月も経ってないんですよね」
「え、1ヶ月も経ってなくてこれは結構上手だと思います。アンブシュアや息の入れ方が安定していますね」
「あ、ありがとうございます」
「お嬢さんは何か吹かれますか?」
トロンボーンの音を聞いてるだけで少し暇していた文香は不意打ちを喰らったようだった。
「私はホルンなんですけど」
「ホルンでしたか…」
目が輝き出した店員はホルンを2つ持ってきてまた長々と説明を始めた…。
一方景はギターやベースがたくさん立てかけられたところをずっと眺めていた。
「すごいなぁ、色んなデザインがあるんだな。え、五弦のベースなんてのもあるんだ」
景の目の前には多彩なギターやベースが陳列されている。アコースティックギターや、サメの形をしたギターなどどれも景には新鮮に見えた。
「あ、ご自由に試し弾きしてくださいって書いてる。じゃあちょっとだけ…」
景は並んでいる中から緑色のベース手に取った。そして弦を押さえてCの音を人差し指と中指で交互に弾いた。
合奏を思い出しながら弾いていると近くに体全体が映る鏡があるのに気付き、景はベースを弾きながら鏡の前に立ち、鏡に映る自分を見てみた。
「やっぱり似合ってないな」
そう呟いて景はベースを元の位置に戻した。
「僕がベースを弾いているってやっぱり変だよな。身の丈に合ってないって言うか…、でも玄丘さんは僕に、おまえはそのうち光るって言ってくれてる。練習を重ねたらいつか、ベースに相応しい人間になってるのかな」
そんなことを考えながら自分の周りだけ少し硬くなった右手の指先を見てため息をついた。
「後は適当に見て回って戻ろうかな。ん?」
景の視線に不意に映り込んだのはギターやベースで弦を弾くために使われるピックだった。
「ピックたくさんあるな。この白いやつとかカッコいいな…僕のベースと似合いそう…。ピックの一個くらいは持っててもいいかもな。よし買っちゃお」
そのあと気分は最高潮の3人はバスに乗って千寿村に帰った。
その日の夜、文香は家で昼間のカフェでの料理をスケッチブックに鉛筆でひたすら描いていた。
「ここはもうちょっと濃くしてもいいかな。あと、このクリームの部分は練り消し使おう。しっかしこの鉛筆やっぱいいなサラサラしてて描きやすい」
文香は昼に買った新しい鉛筆を使ってウキウキとしたタッチで絵を描いている。
ピロン♪
スマホから音がなり画面が光る。文香はスマホを手にとって確認した。
「LINE?武からだ…。今日どこかに出かけていたのですか?…あ、そういえば今日は放課後公園で絵描く予定だったんだっけ。武にもそう伝えてたな…。結果ドタキャンみたいな感じだし、謝っとくか」
『忘れて絡花恵のデパートに行っちゃってた。ごめんね』
既読はすぐついて返信がきた。
『全然気にしてないです。何か買ったのですか?』
『鉛筆買った。今それ使って今日カフェで食べたの描いてるから、描き終わったら今度見せるよ』
『ありがとうございます!』
文香はそれに犬が手でグッジョブとしているスタンプを送った。
「さて、一旦休憩しようかな。小腹空いたし、おせんべいでも食べようかな。おばあちゃんに貰ってこよーっと」
文香は鉛筆を置いてスキップで一回に降りていった。部屋のベッドに残されたスマホからはまたLINEの通知音が鳴り出した。楽団員のグループだった。文香が煎餅を食べている間こんなことが話されていた。
姫香「重大発表です。22日に新年度会があるのはみんな知ってるよね?」
宇宙「もちろん!毎年、年度の幕開けとして村のみんなで美味しいものを食べたり、レクリエーションをして交友を深めるんだよね」
茂「しかも今年度の役員の発表の場でもあるから、皆ソワソワしてるな」
姫香「そう。その新年度会で今年私たちは演奏をすることになりました」
陽介「え!やった!初デビューですね!」
純「ちょっと待ってください。新年度会までにあと2週間とちょっとしかないですし、そもそも俺ら人前で演奏できるほどのレベルじゃないですよ?」
由梨「うん。私もそう思います。人前に出すにはある程度上手くなってからじゃないと、冷めちゃいますよ」
姫香「2人の言いたいことがわかるんだけど、これはやるしかないの。今私たちは村でいい目で見られてないのは薄々感じてると思います」
皐月「確かにコイツらの無謀なチャレンジのせいで村が無くなると思って、冷たい視線たまにある。言い出しっぺは陽介さんなのに」
姫香「そう。応援者が全然いないのよね。だから新年度会での演奏を上手くやれば村のみんなは私たちを正式に認めてくれるかもしれないってわけ」
茂「なるほどな。確かに村の俺ら抜かして103人と新年度会に参加する先生方は俺らの味方にしておきたいな。俺はやっていいと思う」
結斗「俺もいいと思います。何より場数は踏んでおいて損はないでしょう」
姫香「決定ね。英二さんにはもう話しておいてるから、近いうち曲が配られると思う。みんな、がんばろう!」
それぞれ色んな気持ちを持ちながら文香のコメントに「がんばろー」や「おー」などと意思を書いていった。とうとう村を守るためのステージへの第一歩が踏み出されようとしていた。
「はい。お願いします」
「かしこまりました。少々お待ちください」
店員が去ったのを確認して文香は目を輝かせて店内をキョロキョロしだした。
「文香ちょっと落ち着きなよ。子供っぽいよ」
「だって景見てみなよ、こんな可愛い漢字のカフェ女子だったら誰でも興奮するよ。本当は写真撮りまくりたいけど流石に他の客に迷惑かかるじゃない」
そう言いながらオレンジの水玉模様の壁紙のポップな雰囲気を見渡していた。
「なるほど、後からこの風景を描くために頭の中に焼き付けてるんだね」
「さすが結斗、わかってるね」
「本当に文香は絵が好きだね。将来は画家を目指してるんだものな」
「うん。だって私、絵描くの大好きだもん」
すると少しの間黙っていた景が口を挟んだ。
「だったらさ、本当に須東学校のまま進級でよかったの?ごめん新年度当日に。もちろん文香のお婆ちゃんっ子は知ってるよ。でもさ、それじゃあいつになっても専門的なこと学べないじゃん。好きな事を押し殺してまで優先すること?」
「うん。それは今でも私の中で葛藤の素だよ。この選択で良かったのかって今でも悩んでる。バカだよね、悩んでる時点で後悔とか悔いが残ってるってのわかってるのにね。だけど私のお婆ちゃん、もう87歳なんだよね。今普通に元気だけど、歳も歳だからいついなくなっちゃうかわからなくて、それが怖くて…」
「そうだよね…ごめん軽率だった」
カラッとした空気の中、3人の席が湿っぽくなりゆくゆく重くなっていってしまう。これにみかねた結斗が笑顔を見せて明るい声をだした。
「おいおいなんでそんな湿っぽい空気になってるんだよ。だって俺らみんな人間じゃん?小さかれ大きかれみんな悩みを背負ってるのは当たり前じゃん。みんな同じなのになんでいちいち人の背負っているものを知ったり話したりするだけで空気が堕ちるんだよ。ていうかそもそもこの場所でこの空気は不謹慎だよ。揚げてこうぜ」
少し前までの空気に不似合いな結斗の明るさが混濁して景と文香は困惑しているが、結斗の言っていることもわかるので無理にでも明るくなろうと振る舞ったがもっと変な感じになってしまっていた時、店員が席に商品を運んできてテーブルに置いていった。
「ごゆっくりお楽しみください」
「ありがとうございます」
コーヒーの奥深い香りが鼻に入り込んできて、3人は運ばれてきた物に惹きつけられた。淡いペールオレンジの上に星のようなアラザンのかかったチーズケーキや透明なカップの中にたっぷりと入ったピンク色のドリンクの上には薄ピンクのホイップが乗っかっていた。それらの鮮やかさに3人の席の周りに漂っていたよそよそしい空気は弾かれどこかに行ってしまった。
「ちょっと待ってこの抹茶ラテ可愛い!一旦2人とも食べるの待って」
そう言って文香はテーブルに置かれた食べ物を一つづつ様々な角度からスマホで写真を撮った。結斗は全体を写したものと自分の注文した桜フラペチーノとチーズケーキだけの画像2枚を自分のTwitterに投稿した。
「よし!一通り色んな画角撮れたから、食べよう」
「やっぱり絵のためだよな。描いたら僕にも見せて」
「いいよ」
コーヒーの芳ばしい匂いが包むテーブルで3人は笑いながら充分語り合った。
気づけば皿とコップからは料理が無くなっていて満足感に浸っている3人が笑いながらまだ話していた。
「てか今頃武くん暇してるんじゃないの?文香さんがいなくて」
「ちょっとさん付けやめてよ。武ね、別に暇ではないんじゃないかな?私と一緒じゃない時は割と他の人といることあるし。特に稑とか皐月とかね」
「武って誰とでも同じような扱いだよね。文香だけは例外で優先度高いし尊敬してる感じする」
「うんうん。武くんを見かけると大体誰かといるんだよね。文香には尊敬の念をね。なんであんなに懐かれてるんだ?」
確かにと興味を持った2人が文香の方に津々と顔を向けるが、文香は少し悩み込むが次第に怪訝そうな表情に変わっていった。
「それがね、私にも全くわからないのよね。3年前だったかな…私が中等部に上がったくらいの頃に、いつも通り絵を描いていたら1人で歩いてた武が見せてってお願いされて、見せてあげたらすごいキラキラした目ですごいって言ってくれて、何故かそのあと絵が完成するまで近くにいたのよね。そしたらその次の日からも私が外で絵を描いている日はほとんど武がいるようになってたな…」
その話を聞いて2人も不思議そうな顔をしだした。そして何かに気づいたように結斗が言葉を出した。
「その時の武はなんで1人だったんだ?」
「え…」
真面目に言う武の発言に空気が一気に引っ張られた糸のように張り詰められた。誰も発言をしなくなった空気で引き攣った口をなんとか動かして景が言葉を発した。
「って、怪談話みたいにしないでくださいよ。まだ4月が始まったばかりですよ」
糸がプツンと切れて文香も喋り出した。
「まあそうよね。結斗やめてよ、いくら武が誰かといることが多いからって1人でいることくらいあるから」
「ごめんごめん。俺もこんな空気になるとは思わなかった。よし、そろそろ出るか」
立ち上がった結斗は伝票を持ってレジに行きお金を出した。
「黒島は300円、文香は450円。ドリンク以外は自分で払えよ」
「わかってるよ」
文香はスマホを操作してバーコードの表示された画面を店員に見せて、それをスキャンしてもらった。景は100円玉を3枚財布から出してトレイに置いた。
「ありがとうございました」
カフェから出た3人はBAELの中を歩き回った。BAELの中にはジャンル問わず多岐に渡った店が張ってあり、初めてくる2人にとってはどれも初めて見るものばかりだった。
「え、待って…デッサン鉛筆セットが1400円?安すぎない?絶対買うに決まってる。まって、カーボンとグラファイト…悩むわね。でも真っ先に今日のケーキとか書きたいから、今日はカーボンね」
「黒島…どうよここ、2次元のアイテム揃ってるだろ」
「おー!すっげぇ。悪魔JKエリゼ…!ミリタリー騎士!…っ!姫君の休日もある!!」
「まて、驚くにはまだ早いぞ。値札を見ろ。そしてこの転売ヤーの値段を見ろ」
「…なっ!!」
景はキャラクターのフィギュア(16,000円)を見た後に結斗のスマホに映る同じフィギュアの値段を見た。その価格は22,000円だった。景は怒りを覚え拳を握る。
「6,000円差だと…、今まで欲を殺してまで頑張って貯金しながら買っていたフィギュアやDVDは、こんなに安かったのか…。転売ヤー…許すまじ」
「そうだそうだ!で、このフィギュア買うのかい?」
景は値札をもう一度見て答える。
「転売ヤーより断然安いけど、今日そんな金持ってきてないから、今日はこの、ライゼのクリアファイル買います」
景の手に取ったクリアファイルには白と緑の長髪、青いスレンダーな服を着たアニメキャラクターがプリントされていた。
「結斗さんは何か買うんですか?」
結斗は文房具エリアを探して、持ってきたものを見せた。
「ジャン!アデマリのシャーペン」
「え!アデマリもあるんですかここ!?」
アデマリとはアニメ「アデルとマリー」のことで認知度こそは高くないが、一部のマニアの間では絶大な人気を持っている。
「アデマリがあるなんてすごいなぁ」
「そろそろ帰ろうか」
満足気の3人はエレベーターに向かおうとしていると、景が何かを見つけた。
「音楽ショップだ。せっかくだし入ってみません?」
「たしかにいいかもね。俺らも音楽始めたことだし、みていくか」
3人は興味がわき音楽ショップに足を踏み入れた。その中は坂本の展示館よりは遥かに小さいが、トランペットやサックスなどが置いてあった。それとは別にコードや機械なども各種色々なものが置いてあった。
「すげぇ、俺トロンボーン見てくる!」
「え、私もホルンみたい!」
「じゃあ僕は弦楽器のとこいるので、後でここで落ち合う感じで」
3人はそれぞれがみたい楽器のとこに歩いていった。
金管楽器や木管楽器が置いてあるところで、文香と結斗はたくさん並べられているマウスピースをじっと眺めていた。
「マッピってこんなに種類あるんだね」
「そうなんだな、俺トロンボーンのケースに最初から入ってたのしか使ってないから知らなかった。形とか大きさとか全然違う」
「うん。音も全部違うのかな?」
「ほらみて、マッピだけじゃなくて楽器本体も、同じ楽器だけど全然色んな種類ある。色とか、大きさも違う気がする」
結斗はショーケースに入れられたトロンボーンを指差して言った。すると2人の横に店員と思われる男性がきて声をかけた。
「これはGETZENのバストロンボーンですね」
「へ?ゲッチェン?」
「ゲッツェンです。楽器のメーカーです。GETZEN はトランペットとコルネットとフリューゲルホルンとトロンボーンを造ってる有名な楽器メーカーで、奏者のその日によってのコンディションと音が影響しにくいので、プロの奏者にも人気のメーカーなんですよ」
正直結斗も文香も男の熱弁を聞いたところでピンときていなかった。それに気づいた男は2人に提案をした。
「試し吹きしてみませんか?うちオッケーなんですよ」
2人は顔を見合わせて悩んでいる。
「結斗どうする?吹かせてもらうなんて悪いし、まだまだ下手だし」
「でも、楽器のことについて知れるチャンスかもしれないぞ?村を守るためにはここで吹くくらいガチにならないとキツイような気がする…」
「あ、そっか。私たち村のために音楽やってるんだった。忘れてた。ならたしかに試し吹きしといていいかも…」
「よし。決まりました!試し吹きしたいです!」
店員に目を向けるともう既に椅子と、2つのトロンボーンが置かれていて試し吹きの準備が出来上がっていた。
「あ、決まりました?ではこちらにどうぞ」
2人はパイプ椅子に腰をかけると店員は前に立ちトロンボーンの紹介を始めた。
「こちらのトロンボーンが先ほど紹介しましたGETZENので、これはテナーバストロンボーンです。そしてこちらが多分誰もが知っているであろう楽器メーカーのYAMAHA産のテナーバストロンボーンです。YAMAHAは初心者向けというか、誰でも扱える万人向けの楽器ですね。ささ、どちらからでも吹いて比べてみてください。ちなみにマウスピースはスタンダードなYAMAHAのものをつけています」
豊富な知識による熱弁に圧倒され、頭の中で誰かに似ているなと思いながらも結斗はYAMAHAのトロンボーンをまず手に取りスライドを軽く動かしてみたりして手に馴染みを感じた。
「あれ、これ俺が使ってるやつだ。ここのロゴもそういえば同じだ」
「そうでしたか。でしたらより吹き比べ感が増しますね」
結斗はマウスピースに口をつけて、大きく息を吸ってB♭の音をだした。吹いたままスライドを少し前にずらしてE♭、また戻してF、もう一度息を吸ってB♭の音を鳴らした。
「うん。俺が使ってるやつだ。えっとこっちがGETZEN だよな」
楽器立てにトロンボーンを挿してマウスピースを抜き、今度はGETZEN のトロンボーンにマウスピースを挿して同じ手順で音を出してみた。
「どうですか?」
「うーん、俺の問題なのかな、あんまり違いがよくわからない」
「もしかしてですけど、楽器を始めてあまり経っていないのですか?」
「あまりっていうか、1ヶ月も経ってないんですよね」
「え、1ヶ月も経ってなくてこれは結構上手だと思います。アンブシュアや息の入れ方が安定していますね」
「あ、ありがとうございます」
「お嬢さんは何か吹かれますか?」
トロンボーンの音を聞いてるだけで少し暇していた文香は不意打ちを喰らったようだった。
「私はホルンなんですけど」
「ホルンでしたか…」
目が輝き出した店員はホルンを2つ持ってきてまた長々と説明を始めた…。
一方景はギターやベースがたくさん立てかけられたところをずっと眺めていた。
「すごいなぁ、色んなデザインがあるんだな。え、五弦のベースなんてのもあるんだ」
景の目の前には多彩なギターやベースが陳列されている。アコースティックギターや、サメの形をしたギターなどどれも景には新鮮に見えた。
「あ、ご自由に試し弾きしてくださいって書いてる。じゃあちょっとだけ…」
景は並んでいる中から緑色のベース手に取った。そして弦を押さえてCの音を人差し指と中指で交互に弾いた。
合奏を思い出しながら弾いていると近くに体全体が映る鏡があるのに気付き、景はベースを弾きながら鏡の前に立ち、鏡に映る自分を見てみた。
「やっぱり似合ってないな」
そう呟いて景はベースを元の位置に戻した。
「僕がベースを弾いているってやっぱり変だよな。身の丈に合ってないって言うか…、でも玄丘さんは僕に、おまえはそのうち光るって言ってくれてる。練習を重ねたらいつか、ベースに相応しい人間になってるのかな」
そんなことを考えながら自分の周りだけ少し硬くなった右手の指先を見てため息をついた。
「後は適当に見て回って戻ろうかな。ん?」
景の視線に不意に映り込んだのはギターやベースで弦を弾くために使われるピックだった。
「ピックたくさんあるな。この白いやつとかカッコいいな…僕のベースと似合いそう…。ピックの一個くらいは持っててもいいかもな。よし買っちゃお」
そのあと気分は最高潮の3人はバスに乗って千寿村に帰った。
その日の夜、文香は家で昼間のカフェでの料理をスケッチブックに鉛筆でひたすら描いていた。
「ここはもうちょっと濃くしてもいいかな。あと、このクリームの部分は練り消し使おう。しっかしこの鉛筆やっぱいいなサラサラしてて描きやすい」
文香は昼に買った新しい鉛筆を使ってウキウキとしたタッチで絵を描いている。
ピロン♪
スマホから音がなり画面が光る。文香はスマホを手にとって確認した。
「LINE?武からだ…。今日どこかに出かけていたのですか?…あ、そういえば今日は放課後公園で絵描く予定だったんだっけ。武にもそう伝えてたな…。結果ドタキャンみたいな感じだし、謝っとくか」
『忘れて絡花恵のデパートに行っちゃってた。ごめんね』
既読はすぐついて返信がきた。
『全然気にしてないです。何か買ったのですか?』
『鉛筆買った。今それ使って今日カフェで食べたの描いてるから、描き終わったら今度見せるよ』
『ありがとうございます!』
文香はそれに犬が手でグッジョブとしているスタンプを送った。
「さて、一旦休憩しようかな。小腹空いたし、おせんべいでも食べようかな。おばあちゃんに貰ってこよーっと」
文香は鉛筆を置いてスキップで一回に降りていった。部屋のベッドに残されたスマホからはまたLINEの通知音が鳴り出した。楽団員のグループだった。文香が煎餅を食べている間こんなことが話されていた。
姫香「重大発表です。22日に新年度会があるのはみんな知ってるよね?」
宇宙「もちろん!毎年、年度の幕開けとして村のみんなで美味しいものを食べたり、レクリエーションをして交友を深めるんだよね」
茂「しかも今年度の役員の発表の場でもあるから、皆ソワソワしてるな」
姫香「そう。その新年度会で今年私たちは演奏をすることになりました」
陽介「え!やった!初デビューですね!」
純「ちょっと待ってください。新年度会までにあと2週間とちょっとしかないですし、そもそも俺ら人前で演奏できるほどのレベルじゃないですよ?」
由梨「うん。私もそう思います。人前に出すにはある程度上手くなってからじゃないと、冷めちゃいますよ」
姫香「2人の言いたいことがわかるんだけど、これはやるしかないの。今私たちは村でいい目で見られてないのは薄々感じてると思います」
皐月「確かにコイツらの無謀なチャレンジのせいで村が無くなると思って、冷たい視線たまにある。言い出しっぺは陽介さんなのに」
姫香「そう。応援者が全然いないのよね。だから新年度会での演奏を上手くやれば村のみんなは私たちを正式に認めてくれるかもしれないってわけ」
茂「なるほどな。確かに村の俺ら抜かして103人と新年度会に参加する先生方は俺らの味方にしておきたいな。俺はやっていいと思う」
結斗「俺もいいと思います。何より場数は踏んでおいて損はないでしょう」
姫香「決定ね。英二さんにはもう話しておいてるから、近いうち曲が配られると思う。みんな、がんばろう!」
それぞれ色んな気持ちを持ちながら文香のコメントに「がんばろー」や「おー」などと意思を書いていった。とうとう村を守るためのステージへの第一歩が踏み出されようとしていた。
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弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
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キャラクターが中学生の良さを感じました。
村おこしで音楽をやるという方向性も明示されて楽しく読み進めました。
今後の物語の展開に期待がふくらみます。
ありがとうございました。
嬉しい感想ありがとうございます!!これからも随時更新するので是非是非読んでいただけると嬉しいです!またこの小説の個性あるキャラ達で推しをつくってもらいたいですw
退会済ユーザのコメントです
ありがとうございます!これからも挿絵を入れたりドンドン更新するので是非読んでください!15人もいるので是非推しも作ってくださいw
テンポよくて、どんどん読めました。ストーリーも筋が通ってて。まだ途中なんだけど、ちょっとうるっと来ちゃって、休憩中。
ありがとうございます。この後もまだまだ防衛編は更新していくつもりなので、是非その時はお願いします。