42 / 70
歴史
しおりを挟むあれはだまされていたのだろうか。
遠い昔、まだ中学校に通っていた頃。
私は先生にある話を聞いた。
それは歴史に関することで、とても興味深かった。
そんなことがあったのか、教科書にも載ってない事実に目を輝かせた。
しかし、それから十数年、ようやく可笑しさに気付いた。
教科書に載ってないどころか、他の誰にきいてもその話はでない。
ネットで検索したって同じことだった。
先生だけが知りえた事実で私だけに伝えた、なんてことはなんの根拠もない空想である。
この現実からみれば、「嘘」という言葉の方が根拠が少なくとも導き出される答えだろう。
私はだまされたのだろうか。
先生が何のために私を騙したのか、そんなことはわからない。
軽い冗談のつもりだったのかもしれない。
嘘だと気づかない馬鹿だとは思わなかったのかもしれない。
浮かんでは消え、「本当」にはたどり着けない。
ただ、純粋に信じていた自分を懐かしく思う。
気づいたのは今になってからだが、人をあまり信用しなくなってから結構経っている。
別に裏切られたとか、そんな大きな出来事があった訳では無い。
自然とひととの心の距離は開いていった。
今はそう、純粋な感覚を曖昧に思い出すことしかできない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる