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帰宅したら、部屋の中に侵入者がいました

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「はぁ?」

 想像もしていなかった光景を目の前にして、普段の自分よりも少し低めの声が出た。

 1階にあるコンビニに食料を買いに行き、すぐに帰ってきたため、10分ぐらいしか留守にはしていなかった。

 玄関はちゃんと鍵がかかっていたし。


 ベランダも普段開けないから鍵がかかったままのはずで、この家はいわゆる密室状態だったはずだ。

 私は、キッチンから自室へと入るための扉を開けたところで、その場に立ちくしていた。


 13畳の部屋の中には、左奥にセミダブルのベッドと、右奥にPCとPCデスク、そして左手前の壁に寄せてソファベッドが置かれているだけだ。

 ソファー用のテーブルは選ぶのが面倒でそのままになっており、部屋の中心は、筋トレからヨガまでなんでも出来そうなほどに、ぽっかりと広いスペースになっている。

 だが今目の前に現れるはずのぽっかりスペースには、金色のすごく目立つ塊が転がっていた。


 その塊は、蜂蜜色の濃い金髪に、ゲームキャラとして出てきそうな服装のコスプレ少年だった。


 ハァハァと荒く息を吐きながら、苦しそうに瞳を閉じて部屋の中心でぶっ倒れている。


 苦しそうに閉じられたまま開かない瞳を見なくても分かるほどに、整った顔をした美少年を前に、私の時間は少し停止した。

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