血術使いの当主様

重陽 菊花

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深雪の決意

血術とはなんぞや

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【六月十七日】
 目覚しが鳴って起きた、六時五十五分。
当たり前の様に漆蛇ウルチが隣に寝ていたが気にせず、パジャマから高校時代の体操服を着てて居間に向かった。
 居間に入ると全員揃っていて朝ごはんも並んでいた、二席空いている上座に座った。
右に弐無月ニナツキ参無月ミナツキで左に漆蛇と飛車駒ヒシャコマが並んでる、右サイドには式の女の子で左サイドには式の男の子、向かいには双子ちゃんと平井権八ヒライゴンパチが座ってる、今日からこの席が固定だろう。
私が「今日も美味しそう…いただきます」と言うと各自「いただきます」と言い食べ始めた。
「そう言えば出稼ぎ組は寝に帰って来るだけでご飯は食べないの?」
「出稼ぎ組は向こうで衣食住揃ってるけど恋仲でも一緒に住めないから家賃を払って現世のこの屋敷に帰って来てます」
「死んで会えたから出来るだけ一緒に居たいそうです」
「なるほど…やっと結ばれたんだもんね…平井権八さんは屋敷の用心棒で良いんてすか?」
隠世カクリヨにも仕事は有るだろうが俺に出来る仕事は用心棒位だろう、それだと小紫と居られる時間が減る。此処の屋敷で用心棒をしていれば毎日小紫に会えるから天職だ」
「そう言って貰えて良かったです…葵ちゃんと菫ちゃんは?」
「「私達は座敷童子だから出て行ったら没落するよ!!」」
「「時限爆弾抱えてたのかよ」」
「だからこれから忙しくなるよ!」
「疎かにしたら出て行くよ!」
「「没落するよ!!」」
「本当に出て行きそうで怖い…そう言えば小紫さんとお岩さんは何の妖怪なんだろう…」
「小紫は妖狐ヨウコでお岩殿は鬼女キジョだろう」
「なるほど…人間の姿に擬態してるのか…奥が深い」
「それで今日は当主様のご両親と加賀カガ夫妻が来る迄に客室の模様替えとお茶菓子を買いに行って欲しいの」
「私と漆蛇と壱捨駒で買いに行くので客室の模様替えをお願いします」
「参無月も同行させて!物理的攻撃に壱捨駒は役に立たないし当主様と漆蛇の実力は極限まで隠しておきたいの、襲撃は参無月に任せて漆蛇は攻撃を弾く程度で当主様を守ってちょうだい…壱捨駒は自分で何とかして」
「深雪ちゃんは俺が守る」
「俺の扱いが相変わらず適当…少し良い菓子を買いに行くから十時には屋敷を出ないからそれまでに支度してね」
「まだ洋服で良いでしょ?」
「昼食が終わったら着付けします」
「出稼ぎ組と雪子様は仲が良かったので出稼ぎ組も呼んだ方が良いと思います」
「確かに…子供達と平井権八さんとお岩さんの紹介もしたいし…漆蛇の穢を祓った事と龍神の封印を解いた事も言わないと…結界を張り直した事とか色々言わないと…」
「ねぇご両親と加賀夫妻は一緒に来るの?」
「両親が話が有るとかで十四時半頃に来て加賀夫妻は十五時間位に来るから両親だけなら居間で良いと思う、屋敷の外壁の相談を父にお願いしようと思う。正式な当主を継いでないから…まだ母が当主代理だと思う」
「分かったわ、それより…ずっと気になってたんだけど…何で体操服着てるの?」
「え?勿体無いじゃん!まだ着られるもん!」
「…その格好で絶対に外に出ないでね」
「…本当にみっともないですから」
「はぁい」
そんな会話をしていると食べ終わった食器類を子供達が片付けてくれた。
「料理を作るのは私達で運ぶのと片付けは子供達の役目って決めたの」
「ねぇ呪詛子達は皿洗い出来るんですか?」
「プラスチック製品にした方が良いんじゃない?」
「食器はいっぱい有るし多少割るのは仕方が無い」
「壱捨駒が洗えば良い」
「「「漆蛇に同感」」」
「俺は呪詛師兼運転手だから皿洗いはしません」
何時の間にか平井権八も双子の座敷童子も居なくなっていて残っているのは五人だけだった。
「正直、加賀夫妻は何しに来るの?」
「血術使いかどうかと見定めでしょうね」
「今日失敗したら明日の会合で潰されるでしょうね」
「深雪ちゃんを可愛がってるんじゃないの?」
「それは家業が休業中で復帰の目処が無くて脅威にならないから可愛がってたのもあるでしょう」
「でも確か加賀夫妻と祖父母は凄く仲が良くて頻繁にお互いの屋敷を行き来してたと思うけど」
「会ってみないとわからないわね」
「ずっと気になってたんだけど…どうして漆蛇は当主様を後ろから抱きしめてるの?」
「…背後を守ってる」
「当主様はそれでいいの?」
「言っても聞かないし…諦めが肝心だと思う」
「「そう…」」
「当主様がいいなら良いわ」
「外では止めてね」
「「返事は?」」
「…分かった」
「そろそろ支度しないと間に合わない、小言を言った壱捨駒を漆蛇が殺しかねないから仕度してくる」
「「懸命な判断ね」」
 私は自室に戻り当たり前の様に後ろから抱きしめて来る漆蛇を気にせず化粧をして髪の毛を整えた。
「漆蛇…着替えるから襖の方を見てて」
「…分かった」
だんだん漆蛇の扱い方が分かってきた、離れようとしたり部屋を追い出すと拗らせるが同じ空間で離れて欲しいや見ないで欲しいは素直に聞いてくれる。
基本的に漆蛇の好きな様にさせておくと大人しく拗らせ問題児にはならない、この発見は大きい。
昨日とはデザインが違う黒いワンピースを着て「ねぇこの格好変じゃない?」と漆蛇の方を向いたら、振り向いて「今日も可愛いね」と嬉しそうに抱きしめて来た、朝ご機嫌を取っておけば一日平和に済むと思い抱きしめ返した。
「深雪ちゃんの真名を血術縛りがしたい」
何言ってんだコイツ
「深雪ちゃんの手の甲に俺の印を刻みたい」
最近大人しかったから忘れてたけどコイツは拗らせヤンデレ蛇だった。
人間と一方的な真名の血術縛りをすると心臓の上に柊蝶が刻まれ、式に名前を付けて血術縛りをすると額に柊蝶が刻まれる。
人外の龍神と双方の真名の血術縛りをしたら手の甲にお互いの紋が浮き上がった。
漆蛇に真名を血術縛りされたらどうなる?
私の両手の甲は柊蝶と竜の丸が刻まれてる、竜の丸の下に蛇の紋が刻まれるのか?
「私の左手の甲には竜の丸が刻まれてるけど…漆蛇の印のは何処に刻まれるの?」
「竜の丸の下に刻まれる…二つの紋が五分五里…二㌢位になるから手の甲に収まる、右手の甲の柊蝶は一寸…四㌢位だから両手の甲のバランスは良い」
「…痛いから嫌だ…」
痛みよりも勝手にそんな事をしたら双子のオネエ様がブチ切れる気がする。
「漆蛇…一回離して…」
「深雪ちゃん…そんなに嫌なの…?」
少し離れたすきを見て漆蛇の腕をくぐり抜け襖を蹴り飛ばす勢いて開けた。
「弐無月と参無月に聞いて来る」と言い残し全力疾走で人間三人の部屋に逃げ込んだ。
「何何何」
「「慌てて何」」
「拗らせヤンデレ蛇に油断した」
「深雪ちゃん逃げないで」
「ぎゃあああ」と汚い悲鳴を上げて参無月の後ろに隠れた。
「「ちょっと!淫乱蛇!何したの!」」
「深雪ちゃんの真名を血術縛りしようとした」
「「駄目に決まってるだろ」」
この双子のオネエ様はキレると男口調になる、勝手に余計な事をしなくて本当に良かった。
「式に真名を縛られる当主が何処に居るんだよ」
「そんな間抜けに威厳はねぇだろ」
「てめぇ少しは考えろよ」
「てめぇ何年生きてんだよ」
弐無月と参無月の本性を壱捨駒と漆蛇が問題行動を起こさないかヒヤヒヤしながら見ていると漆蛇がキレた。
「んだよクソガキ祟り殺すぞ」
「んだよクソジジイ」
「殺れるもんならやってみろ」
「下手に出れば調子乗りやがって」
「「てめぇ下手に出てねぇだろ」」

ーードクンッーー
心臓が締め付けられる様に痛いと胸を押さえたいが体が動かず私じゃない誰かが私を操ろうとしている。

「表出ろクソガキ」
「「上等だクソジジイ」」
相変わらず三人は喧嘩腰で言い争っている。
 私は右手を顔の横まで持っていき手の甲を外側にして拳を握り締めると三人が胸を押さえて苦しみだした、私は何かに体を乗っ取られた。
「私の屋敷で私の許可無く何をしている、何故私よりが高い分をわきまえろ」
喧嘩をしていた三人と壱捨駒がコウベを垂れて、私もどきの前に壱捨駒・弐無月・参無月・漆蛇の順に並んでいる。
「何故、黒蛇は私の真名を血術縛りを結ぼうとする、身の程知らずにも程が有る」
「深雪ちゃんどうし」言葉を言い終える前に漆蛇が吐血して崩れた。
「お前に私の真名を呼ぶ資格は無い、さっさと殺しておくんだった」
「当主様のお変わり様…いかがいたしましたか?」
「捨て駒…お前は死者蘇生してやったのに役に立たない…お前の存在価値が分からない」
「何かお気に触る様な事が有りましたでしょうか?」
「殺し屋…お前に使いを頼む、老若男女問わないから死体を五体持って来い」
「…御意」
「呪術師…お前は、柊家の墓から骨壷を持って来い、一番新しい骨壷だ」
「御意」
「座敷童子…深雪の体を頼んだ」
「「御意」」

ーードクンッーー
先程と同じ心臓の苦しみに胸を押さえられた、体は私に戻って来たが立っていられず膝から崩れ落ちた。

「ねぇ…今のどちらさん?怖いんだけど」
葵「深雪ちゃんのお兄ちゃん?」
「は?私は一人っ子でしょ?え?兄がいたの?」
菫「深雪ちゃんには五つ離れたお兄ちゃんがいたけど…六歳の時に死んじゃってる…」
弐無月「七歳までは神の子って言うから伝えて無かったのかしら?」
参無月「成仏出来ずに現世に留まっていたのかしら?」
「「龍神池に居たんだと思います」」
「葵ちゃんと菫ちゃんは存在に気が付いてた?」
「「わからなかった」」
「え…気持ち悪い…本気マジ無理…漆蛇は生きてる?」
壱捨駒「息はしてます」
「壱捨駒の事は約立たずだと思ってないし運転手としては完璧だと思うし存在価値は有るから!気にしないで!壱捨駒はそこそこ好きだから!」
壱捨駒「そこそこ好き…ありがとう」
弐無月「死体を何処の家何処から持って来ましょう…」
「…死体は骨になった兄を生き返られる為に使うって事…でも六歳児を生き返らせるなら五体も必要無いと思うんだけど」
弐無月「そうねぇ…年相応に生き返りたいとか?」
「おこがましいにも程が有る」
参無月「そうねぇお兄様は随分と…ねぇ?」
「そもそも壱捨駒の一体で良くない?死者蘇生は死んで直ぐなら贄無し対価無しで出来るし…無視するとまた出て来て面倒くさいから生き返らせるけど昼間の墓荒らしはヤバいから夜中に骨壷を取りに行こ…今やれって言われてないし」
壱捨駒「そこそこ好かれてる俺はまた死ぬのか…」
「埋葬された人間を生き返らせても人間では無いよね?」
弐無月「土葬の死体を生き返らせる訳では無いから僵尸キョンシーでは無いと思うの」
参無月「餓舎髑髏ガシャドクロは死者の魂の塊だから違うと思うの」
壱捨駒「スケルトンとか?アンデッド?」
「なるほど…遂に西洋の人外に手を出すのね」
飛車駒「でも死体…肉体を用意させた死者蘇生だから姿は骨じゃないんじゃない?」
「妖怪って事?」
弐無月「そうねぇ…生き返らせないとわからないわね」
参無月「何が出るかはお楽しみですね」
壱捨駒「生き返らせたら式にするの?」
「死んだ兄を式にするのは複雑」
「「そうよねぇ」」
弐無月「取り敢えずご両親に相談してみたら?」
「そうする…今ので体力と精神が限界…寝るから漆蛇は頼んだ…昼飯前に起こして…おやすみ」
 双子ちゃんに方を借りトボトボと自室に戻り速攻布団に入ったが寝られずに布団に籠もっていると「深雪ちゃん…起きてお昼だよ」と漆蛇が部屋に入って来た、全く気が付かなかったから異空間から来たんだろう、彼は枕元に座った。
「漆蛇…ごめんね…大丈夫?」
「俺が深雪ちゃんの真名を血術縛りしたいって言ったから雪臣ユキオミが出て来ちゃったんだね…ごめんね」
「雪臣?…それは兄の名前?」
「そう…雪臣が六歳で死んだのは龍神が『一年後に桁外れの霊力を持った血術使いの女児が産まれる、血術が使えない雪臣は邪魔だ』って裏の池で溺死させた」
「普通に怖いんだけど…龍神舐めてた」
「元々龍神は雪臣が気に食わなかったから七歳までに殺すって言ってた」
「怖いんだけど」
「だから雪臣を死者蘇生しても直ぐに殺されると思う」
「確かに、壱捨駒の無駄死には可哀想…裏の池で死んだって事は龍神が池に魂を縛っていたのに龍神の封印を解いた時に一緒に出て来たのかな?それで自我が生まれるまで私の中で霊力を食ってたのかな?」
「だとしたら双方の真名の血術縛りをした時点で龍神が気が付いてるだろ」
「気が付いてる上で何も言わず知らせず兄を復活させた所をまた殺すとか?」
「それは有り得る」
「「龍神は性格悪いからね」」
「兄の事は両親に伝えない方が良いよね」
襖が開いて三人が入って来た。
「「龍神様って結構残酷なのね」」
「中々二人が来ないから呼びに来ちゃった」
起きた時から襖の向こうに三人が居るのは分かっていていたが説明しなくて済むと思って会話を聞かせていた。
「そもそも死者蘇生しなくても当主様から雪臣の魂を抜いて池に封印すればいいんじゃないの?壱捨駒でもそれくらい出来るでしょ?」
「確かにそれくらいなら出来る」
「何時やるの?」
「ご両親が来てる時に出て来られたら困るかは今やっちゃいましょう!」
「ほら立って!さっさと池に行きましょう」
「壱捨駒…それって痛い?」
「さっきの深雪ちゃんと雪臣が入れ替わる感じに切断が加わる感じだと思う」
「嫌だ…辞めよう…そっとしておこう」
「漆蛇、当主様を連れて来て」
「嫌だ離して無理」
漆蛇に姫抱きされて嫌だ嫌だと暴れたり叩いたりしてもびくともせず勝手口から池に連れて行かれたて、池の縁ギリギリに漆蛇が立ったら壱捨駒が私の心臓の上に両手を置いた。
「変態殺す」

【此の女人ニョニンに取り憑きし悪霊を我に】ーーチリンーー
呪文を唱えてる最中の壱捨駒の腕を真っ白い腕が掴んだ。

「深雪と従者は賢いね、でも雪臣を池に封印してもこの池には私の霊力が無くて深雪の霊力が流れているから兄妹のエニシを辿って封印を破って出て来てしまうから確実に殺さないと」
龍神は私の鳩尾ミゾオチに手を入れてぐちゃぐちゃとかき回し始めた。
「ぎゃあああ痛い痛い痛い」
「ふふふ…私から逃げられる訳が無いだろう」
「死ぬ死ぬ死ぬ無理無理無理」
大騒ぎする私を相手にせず、探しものが見つかったのか龍神は私の鳩尾から手を引き抜いた、その手には子供の後頭部を掴んでいた。
本気マジで痛いし死ぬかと思ったし気持ち悪い」
後頭部だけの子供は私を睨みつけた。
「お前が当主になる事は許さない」
「この醜男シコオはどちらさん?」
「雪臣、深雪の兄だよ」
「…私に似てない…種違い?腹違い?拾い子?誰?」
「「酷い言いようねぇ」」
「まぁ妹は可愛いのに兄が醜男…現実は厳しい」
「深雪ちゃんは本当に可愛いよ」
「見た目がとかじゃなくて…般若の面に近いと言うか…何と言うか…」
「貴様が許す許さない関係無く血術使いの深雪が当主になるのは必然、そもそもお前は血術が使え無い」
「使え無くても当主代理にはなれる」
「血術使いの深雪が居るのに当主代理になれる訳が無かろう、貴様を殺した理由は柊家の汚点になると予知したからだ。魂を池に縛ったのはもしもの時の深雪の身代わりにと思ったが貴様の存在価値はもう無い。深雪殺して良いぞ」
「俺は柊家の当主になる為に産まれて育てられた」
「それがどうした~ぼく土左衛門ドザエモン~♪」
「深雪ちゃん…ふざけたら駄目だよ…この後頭部は真剣だよ」
「後頭部だけが話してるのが新鮮でつい…水死した土左衛門ごめんね」
「ふざけてるのか!お前は!俺はお前の実の兄だぞ!俺を殺せるのか!」
「私は一人っ子として育てられたし…龍神様が殺せと言うなら仰せのままに」
「ふふふ…深雪は慈悲が無いね」
「慈悲じゃ飯は食えないし税金は払えない」
「「本当に面白い当主様」」
右手の親指を雪臣の左眼球に突き刺して頭部を龍神の手から奪い目線を合わせた。
「雪臣兄さん…輪廻リンネに返します…さようなら」

【血術・エン
ボッと雪臣の後頭部が燃えだした、塵になるまで私の目を睨みつけていた、死ぬまでの六年間と死んでからの三十年間?の恨みつらみを感じた。
「さようなら…」

 私の右手の親指には雪臣の目玉が突き刺さっていた。
「龍神様…これどうしましょう…式として復活させたらどうなりますか?」
「深雪は面白い事を言うね…昔の記憶は受け継がれるから深雪の足を引っ張るだろうね」
「そうですよね…根性を叩き直すとか…龍神様の元で」
「雪臣を殺した理由は血術使いで当主になった深雪を邪魔する事を予知した事と…我々が気に食わなかったのか黒蛇と白蛇を殺して私を式にしようとした事に腹が立ったからかな」
「そうなんですね…では目玉も燃やしますね」
「良い事を思い付いた、黒蛇の変わりに弟の墨蛇ボクジャを弟子にした。墨蛇に修行の一環として雪臣の根性を叩き直させよう、死者蘇生して雪臣を血術縛りの式としての名を与えてくれ」
「承知しました…儀式は夜中でもよろしいですか?これから両親と来客が有るので」
「良い、夜中また」
ーーチリンーー

 龍神は居なくなり私と私を姫抱きする漆蛇と壱捨駒とオネエの双子の五人だけ池の前に居て、私の右手の親指にはまだ目玉が刺さってる。
「目玉どうしよう…壱捨駒…はい」
壱捨駒は懐から懐紙カイシの様な紙を取り出した。
「取り敢えず預かっておきます」
手際良く懐紙の様な紙に目玉を包むと懐にしまった。
「本物の呪詛師ぽい」
「本物の呪詛師ですから」
「参無月…夜中に墓荒らしに行きましょう…」
「そうね…」
「壱捨駒…悪いが贄として死んでくれ」
「そこそこ好かれてる俺はまた死ぬのか」
「名誉有る贄係に任命する、謹んで励め」
「全く嬉しくない」
「お腹が空いたわ」
「もう十二時過ぎてるんじゃない?」
「早く行こう」
 私は漆蛇に姫抱きにされたまま居間の自席まで連れて行かれた。
「遅くなってごめんなさい…いただきます」
「葵ちゃんと菫ちゃん!何時から着付け?」
「ご飯を食べたら髪の毛と化粧直して着付けをします」
「よろしくお願いします」
「「はぁい!!」」
何時もの様に雑談をしながらご飯を食べ終わると子供達が食器類を片付けくれた。
 歯磨きを終わらせると綺麗に化粧を直してくれて素敵な髪型に柊蝶の簪を挿してくれた。
クリーム色地に花柄の落ち着いた振袖に白金の帯を文庫結びに小物類は薄い緑系だった。
「「深雪ちゃん可愛い!!」」
双子に追い出されていた漆蛇が一番初めに部屋に入って着て抱きしめようとして双子に怒られ止められていた。
「深雪ちゃん…可愛いね」と漆蛇が両手を握りひっつき虫が始まった。
「あらぁ良いわね」
「双子ちゃんはセンスが良いのね」
「明日もお願いね」
「お任せください!」
「深雪ちゃんのセンスは…個性的でしたので違うのに変えておきました!」
「「ご安心ください!」」
「だから何時も黒い服を着てるのね」
「そうだよ…失敗しないから」
 壱捨駒が鼠色の着流しに墨色の角帯・弐無月が薄藤色の着流しに藤色の角帯・参無月が薄い水色の着流しに濃い水色の角帯。
そういえば、壱捨駒の髪型はセンター分けで耳を隠して後で一本に縛っていて顔は塩顔イケメンだが、一緒に居るのが坊主の閻魔顔のオネエで存在感を殺されている。
勿論今日も双子は紫化粧と青化粧を施している、二人共に凄く似合ってるから怖い。
漆蛇は黒色の狩袴に緑色の狩衣を着ていて、どっから持って来たのか手に私と同じ柊蝶の簪を握っていた。
「深雪ちゃん挿して」と簪を渡された。
「ねぇ目玉に刺すとどうなるの?」
「回復するの?」
「「見てみたいわ」」
「クソガキ祟り殺すぞ」
「「やってみろクソジジイ」」
「何で三人仲良く出来ないの?さっきの心臓潰す血術試して良い?」
「深雪ちゃんも大変だね」
「それな」
私は渡された簪を漆蛇の綺麗な長い黒髪の後髪を手に取りハーフアップの様に挿し、顔の髪の隙間から額の赤い柊蝶が出ていていい感じに仕上がった。
 丁度良いタイミングで呼び鈴が鳴り壱捨駒が玄関に向かった。
「客間の準備は出来てるわ」
「居間も家具の配置換えしたわ」
「二人ともありがとう」
「「私達は出稼ぎ組に話をつけています」」
「よろしくお願いします」
玄関から壱捨駒が初めて彼が猫を被るの対応を聞いて驚いた、捨て駒感がない。
「お待ちしておりました、お初にお目にかかります。深雪様の従者を務めさせて頂いております、呪詛師の壱捨駒と申します。深雪様はこちらにございます。」
そう言い居間の襖を開けて上座に父と母を案内した。
「お待たせして申し訳ありません」と私は下座に座ると壱捨駒が母と父にお茶とお茶菓子を出して後ろにオネエ兄弟と漆蛇の隣に立った。
父と母凄くラフなの格好をしている。
「あらぁ久しぶり~元気だった?」
「島流しされても元気でやってるよ」
「当主就任おめでとう~手の甲見せて!」
「はい」と右手の甲を上にして見せた。
「雪乃助お祖父様より濃いわね…雪乃助お祖父様はもっと赤が薄くて引っかき傷が家紋に見える程度だった、正式な当主本当におめでとう」
「ありがとう」
相変わらず父は空気だった。
「後の四人共座ったら?」
「ありがとうございます、深雪様の側近の弐無月と弟の参無月と申します。」そう言うと壱捨駒とオネエの双子が私の後ろに座った。
「…久しぶりだな…雪子」
「久しぶりね…穢が祓えて良かったわね、貴方も座ったら?」
「失礼する」と言い漆蛇が私の後ろにピッタリくっついて座った。
「それで、これがこの屋敷と土地の権利所なんだけど深雪の名前に変更しておいたから」
「ありがとう…本人が居なくても手続き出来るんだね、これからも固定資産税と光熱費と生活はお父さんが出してくれるんでしょ?」
「…あぁ」
「それと敷地の外壁のセキルティが機能してないからちゃんとした外壁にしてインターホンを表札の所に付け欲しいから施工会社の紹介と支払いをお願い」
「…あぁ」
「それと黒蛇は式にして漆蛇と名付けた、橘家の呪詛を唱える子供達と小紫さんの相手の平井権八と四谷怪談のお岩さんが増えた!」
「賑やかになって良かったわね」
「後…結界を張り直したのと龍神様と双方の真名の血術縛りした…よ!」
左手の甲を上にして見せた。
「あら~凄いわね!深雪が当主にならなかったら柊家の業で一族呪い殺されてたわ!本当に良かったわ!ねぇお父さん?」
「あぁ」
「お父さん…あぁしか言えなくなっちゃったの?」
「妖怪を見て驚いてるのよ」
「あぁ」
「なるほど…それと明日の加賀家主催の会合で当主の就任と家業の再開を宣言するから…良い?」
「良いも何も出席させる説得をしに来たのよ!この屋敷の権利所と一緒に!」
「…そう…本当にお母さんは突然私に押し付けるよね」
「その方が構えなくて良いでしょう?」
「そうだけど準備する双子が一番の被害者」
「間違い無いわね」
「双子と小紫さんと心中四人組が会いたがってるけど呼んでもいい?あと私の式…」
「久しぶりに会えるのね!呼んでちょうだい!」
「壱捨駒…呼んで来て」
「はい」
「それと龍神様の封印を解いた」
「そう…雪臣出て来たでしょう?」
私も後の三人もドキッとした。
「…封印を解いた時からずっと私の中で自我が生まれるまで居たらしく…さっき出て来た」
「そう…それで?」
「龍神様に強制的に引き抜かれて今夜式にする様に命じられた」
「あの子は深雪を潰しにかかって来るけど良いの?」
「龍神様のお弟子さん…漆蛇の弟さんが根性を叩き直すらしい」
「そう…相変わらず龍神様は性格が悪いのね」と母は寂しそうに笑い、父は下を向いていた。
気まずい中に壱捨駒が妖怪達を連れて居間に入って来た。
「久しぶりね…雪子」
「小紫…久しぶりね」
二人の親しい仲に驚いた。
「深雪様のおかげで権八様に会えたの」
「平井権八ってのっぺらぼうなのね」
「顔が見れないのが残念だけど…会えた事が本当に嬉しいの」
「それなら良かったわ」
「深雪殿は良き当主になるだろう」
「それなら良かったわ!二人ともよろしくね!」
「心中四人組は相変わらずね」
「深雪様にも良くして頂いております」
「そう良かったわ、深雪をよろしくね!双子ちゃん達も家を出ていかないでね?没落させないでね?」
「「深雪様が疎かにしたら速攻お暇します!!」」
「手厳しいわね…本当に橘家の呪詛子を式にしたのね…六人共可愛いらしい顔をしてたのね…明日の会合が楽しみね」
「皆楽しんでる…従者になってもらったのは橘家の呪術師と柳田家の呪詛師と殺し屋」
「面白そう…私も行こうかしら」
「「是非!面白いものが見られるわ!」」
「あらぁ閻魔顔のオネエ様方…とても素敵ね」
「「ふふふ…お母様は見る目が有るのね」」
「それでお母様?加賀夫妻の訪問の意図をお伺いしても?」
「本当にしっかりしてるわね…深雪の見定めっていう体だけど会合の前に会っておきたいんじゃない?深雪が血術使いで当主になるって言ったら凄い喜んでくれてたし…それに…まぁこれは本人から直接聞いた方が良いわね!前向きよ!」
「なら良かったですわ」
「それで深雪は車を運転出来る様になったの?」
「一回だけ運転した…怖かったからもう一生しない、運転手の壱捨駒がいるし」
「貴方は柳田家の呪詛師だったかしら…優秀な呪詛師を手放す何て柳田家は何を考えてるんだか」
「当主のご子息が呪詛師に才が有るとかで私が邪魔になったのでしょう、ですが実際は勘違いで今、血眼で呪詛師を探してるそうで、実に滑稽で愉快です」
「え…壱捨駒って優秀だったの?」
「「あら!知らなかったの?」」
「どうしよう…名前に捨て駒って入れちゃった…改名って出来るのかな…本当にごめんね」
「あらぁ当主様は知ってて捨て駒って付けたのかと思ってたわぁ」
「アタシも喧嘩最中に名付けしたのかと思ってたわぁ」
「「当主様もまだまだねぇ」」
「壱捨駒、本当にごめんね!改名しよう!死んでも死者蘇生するから大丈夫!」
「都合が良いからこのままで良いよ」
「二人共…どういう出会い方をしたらそうなるの?」
「蔵で金縛りに遭って壱捨駒に呪詛返したら捨て駒アピールされて縛り替えをしたら庭で殺し屋に呆気なく殺されたから…」
「そもそも深雪様に呪詛返しされたら即死よ」
「死なずに縛り替えまで耐えられる人間なんてそうそう居ないわよ」
「でも弐無月が一発で殺したから…」
「深雪様が死者蘇生してくれるなら抵抗する必要無く無い?」
「それに兄さんはプロの殺し屋だから一撃で仕留めるのは当たり前よ」
「でも捨て駒感凄いし雑用係感も凄いのに…」
「「彼の持って産まれた性質ね」」
「捨て駒感を出して舐められてる方が都合が良い」
「ビジネス捨て駒だったのね…奥が深い」
「それで深雪、今日から正式に私から当主を譲ります。父の念願だった御三家になって、雪乃助お祖父様は柊家としては初代だけど他所様の家を引き継いで当主になられてから母も私も当主代理にしかなれなかったからよろしくね。雪臣は当主の器では無かったし柊家の汚点になるのは必須だったから雪臣は忘れて。深雪は戸籍上も一人っ子」
「わかった…雪臣兄さんを名付けする時に生い立ちが見られるから見てみる」
「それにしてもお茶も美味しいしお菓子のセンスが良いのね」
「ありがとうございます」
「壱捨駒さんは何でも出来て凄いのね…柳田家の後悔も明日楽しみね」
「そうですね、本当に愉快です」
「あ!そろそろお暇しましょ!」
「加賀夫妻は待たないの?」
「多分三人で話したい事が有るのよ」
「わかった…」
「深雪…外壁の件は追手連絡する」
「分かりました」
「じゃあ体に気をつけてね」
父と母が立ち上がったので玄関まで見送り、壱捨駒が車まで見送りに行った。
「良かったじゃない」
「正式な当主様になれて」
「御三家になれって…気が重い…」
「「漆蛇さん!!きものが崩れるから深雪様に抱きつかないで!!」」
「…わかった」
「加賀夫妻が来るまで時間があるわねぇ」
「加賀夫妻には妖怪達は一応隠しておきましょう」
「私達が加賀夫妻と面識があるので対応します」
「ならお願いね、アタシ達は居ない方が良いから」
「漆蛇の存在は知られてるの?」
「面識は有るが式になったのは隠した方が良いだろう」
「あら!貴方が当主様から離れるなんて珍しい」
「あの夫妻は俺を良く思ってないだろう」
「一応…賢い部分も有るのね」
「深雪ちゃんの為だから」
「「愛って偉大ね」」
「呪詛子と平井権八も絶対に出て来ないでね」
それぞれ返事をして各自の部屋に戻った。
 しばらくすると駐車場に入って来るエンジン音が聞こえた。
「葵ちゃんと菫ちゃんと私で対応するので四人は隠れててください」
「「粗相がない様にね」」
「今日潰されたら笑えないね」
「深雪ちゃんの危機には出て来るからね」
各自小言を言って自室で存在感を消して待機した。
 呼び鈴が鳴るより先に葵ちゃんが玄関を開けると、おじ様は優しい印象のベージュのスーツに、おば様はおじ様に合わせたベージュの訪問着に金の帯を締めて色味が被ってしまった。
「お久しぶりです、遠い所をありがとうございます。」
「深雪ちゃん当主就任おめでとう」
「素敵な振袖で可愛いわ…今度私の若い頃のきものを貰ってくれると嬉しいわ」
「是非!おば様のおきものを着られるのはとても嬉しいです!中にお入りください!」
加賀夫妻が玄関を上がり菫ちゃんが客間に案内し夫妻には上座に座って貰い、葵ちゃんがお茶とお茶菓子を持って来て「「ごゆっくりどうぞ」」と客間を出て行った。
「あの双子ちゃんは雪乃助さんの頃から居るわね」
「はい、祖母が亡き後も屋敷の手入れをしてくれてました」
「そう…それで今日来たのは明日の会合の件でね」
「はい…」
「悪い話じゃないから大丈夫よ」
「加賀家の後を継いで欲しい」
「勿論、今答えを出さなくていいの」
「明日の会合で御三家の加賀家の次に柊家を指名しようと思う…血術使いは現在深雪ちゃんしかいない、これが自然な流れだ」
「…ありがとうございます…でも私に務まるでしょうか?」
「大丈夫よ…隠れてるつもりだろうけど従者が三人に式が七体居るんですもの」
「優秀揃いなのと深雪ちゃんは良い性格をしているから大丈夫だよ」
「バレましたか…一応明日のお楽しみにしたかったのですが」
「ふふふ…心配してるのが伝わって来るからバレバレよ、このお菓子もセンスが良いわね…柳田家の呪詛師さんかしら?」
「この件は明日まで心に秘めていくよ」
「本当に明日が楽しみね」
「お気遣いありがとうございます」
「お茶も美味しいしお菓子も美味しい」
「それだと、ただお茶しに来ただけみたいじゃないか」
「何時でもまた来てください」
「ふふふ…可愛い孫娘に言われると来ない訳にはいかないわね」
「大好きなおじ様とおば様とお茶が出来るのが嬉しいです」
「嬉しい事を言ってくれるね…でも今回はそろそろお暇するよ」
「来る途中に何処かの偵察を撒いたんだけどねそろそろ見つかりそうだから帰るね」
「そうですか…お気をつけて」と見送りに玄関まで行くと「明日の会合は加賀家は柊家の味方だからね」とおじ様に言われ「また明日ね、深雪ちゃん」とおば様が言い残し加賀夫妻は帰られた。
きものの色味が被ってしまったがフォローしてくれて本当に優しい夫妻で小さい頃から大好きだ。
 人間三人部屋に行くと漆蛇も居た。
「平和的に終わったよ!わーい!わーい!」
「明日は潰されなさそうね」
「本当に可愛がってもらってるのね」
「流石加賀夫妻バレバレだったか」
「明日って何時から会合なの?」
「大体日が暮れてからだから十九時とか?」
「会場まで遠いの?」
「昨日行った商業施設よりもう少し先ね」
「何時に出るの?」
「十七時には出たいわね」
「わかった…取り敢えず着替えて来る」
そう言って部屋を出て双子ちゃんに振袖を脱がせてもらい体操着に着替えた。
 書斎で礼儀作法の本を読んでいるが相変わらず漆蛇が後ろから抱きついている。
「ねぇ漆蛇は私にくっついてて楽しい?」
「楽しいというよりは安心する」
「そっか…漆蛇が良いならいいや」
「深雪ちゃんはくっつかれるのは嫌だ?」
「くっついてるだけなら嫌じゃない、最近…常に眠いんだよね…少し寝るから夕飯に起こして」と言い漆蛇の膝の上に横に座り腹部に抱きつく様に体を預けると小さい頃みたいに頭を撫でてくれて落ち着くと思いながら寝てしまった。

ーー夢を見ている自覚があるーー
小さい頃、まだ屋敷に出入りさせて貰えた頃。
屋敷には無い部屋…だから異空間なんだろう、そこであぐらをかいた漆蛇の上に横座りになり紙風船を膨らましたり、しりとりをしたりと遊んでいる。
「深雪ちゃん…大好きだよ…大きくなったら結婚しようね」
「結婚?」
「ずっと一緒に居て愛し合うんだ」
「愛し合う?」
「深雪ちゃんにはまだわからないね…結婚の指切りしようか」
「指切りげんまん?」
「小指を出して」
小さい私は両手の小指を出した。
「ふふふ…深雪ちゃんは本当に可愛いね」
漆蛇が両手の小指と指切りをした、これが龍神が言っていた奴か…この後に誑かされて龍神を封印するのか、封印したから私の夢の中では顔を隠してたのか。

ーーパリーンーー
今で見ていた景色にヒビが入り割れた。

「深雪ちゃんは俺との大切な記憶を見てるのに龍神の事を考えてたよね」
私は座布団を枕に押し倒されて漆蛇と天井が見える、メンヘラ?ヤンデレ?スイッチを押してしまった。

ーーチリンーー
漆蛇の寝室の布団の上に場所が変わっていた。
「俺に気がない深雪ちゃんなんて食べてしまいたい」と下半身が蛇になり徐々に上半身まで蛇になった、蛇に顔がくっついてる人面蛇身の状態の漆蛇がトラウマレベルに気持ち悪いし怖い。
目が合っている状態で体に蛇が巻き付き身動きが取れなくなり首にも抱きつかれてい。
「深雪ちゃんは俺が怖い?」
此処で答えを間違えたら首を締め上げられて頭部が取れるか内蔵を締め上げられて殺されるか四肢を順番に折られるか想像するだけで怖い。
「漆蛇が私を好いてくれてるのは嬉しいし優しい漆蛇は大好きだけど」
「だけど?」
「人型で抱きしめられる方が好き」
百点満点の回答では?
「そっか…ごめんね」と言って人型に戻り両手で抱きしめて来たから抱きしめ返し頭を撫でたら機嫌が直った、危うく物理的に締め殺される所だった。
「漆蛇…」
「深雪ちゃんなぁに?」
「凄く落ち着くから…このまま…寝ても良い?」
「良いよ…おやすみ」と唇の横にキスされてそのまま寝てしまった。
「深雪ちゃん…深雪ちゃん…夕飯だよ」と漆蛇に起こされるまで夢を見ずに寝られてスッキリしてる。
「ほら居間に行くよ」と姫抱きにされ襖を開けると全員が揃ってる居間だった、私を自席に降ろして何事も無かったかの様に漆蛇が「いただきます」と言ってご飯を食べ始めた。
「「変態蛇!!深雪ちゃんに何したの!!」」
「「「変態蛇!!最低!!主様大丈夫ですか!!」」」
「据え膳食わぬば男の恥」
「「本当に当主様の事が好きねぇ」」
「好きで悪いか?」
「人面蛇身が怖かった…雪臣より怖かった…あぁ墓に骨壷取りに行くの面倒くさい…壱捨駒行って来て」
「俺も面倒くさいから嫌だよ」
「そもそも死者蘇生二回やるとか面倒くさいし金にならないし藁人形と合体で良くない?目玉が有るんだし…目玉兄貴的な…」
「「目玉兄貴って」」と双子のオネエ様と壱捨駒も笑った。
「出来なくは無いけど何が生まれるかはわからないと思うよ…骨壷取りに行くよりは楽だけど」
「藁人形と頭皮付きの黒髪と目玉でやってみて失敗したら燃やそう」
「実の兄なのに…容赦ないのね」
「えー私は一人っ子だもん…夕飯食べたらちゃっちゃとやって風呂入って寝たい」
「名前は決めたの?」
「名前決めるのか…何が出来るかわからないからなぁ…取り敢えず式にして…でも逃げられたら面倒くさいから最初に名前を決めよう」
「柊家とは関係ない名前が良いんじゃない?」
「恨みがが凄かったから鬼の気がするから…シキでいいや」
「どういう字を書くの?死んだ鬼」
「本当に適当ね」
「さっきから壱捨駒が震えてるわ」
「目玉兄貴じゃないかしら」
「ちょっと出してみて」
壱捨駒が懐から懐紙の様な紙を出して開けてみると目玉が震えていた。
「オレハマジメニシキニナル」
「信用が無いから無理よ」
「イモウトノヤクニタツ」
「どう言う心変わりよ」
「死体を血術縛りして生き返らせて真名を与えて真名を血術縛りして式にすれば私が死を強要出来るから真面目に生き返らせる?心臓を握り潰す血術も有るし」
「ソレデモイイ…セイゼンノミレンヲハラシタイ」
「当主様を殺して当主代理になりたいの?」
「チガウ…リュウジンニコロシタコトトソレヲミトメタリョウシンヲコウカイサセタイ」
「どう後悔させたいの?」
「ケツジュツガツカエナクテモイチニンマエニナレタトショウメイシタイ」
「兄さんのその気持ちを晴らしてあげたいけど人間として死者蘇生をするなら相当な数の贄が必要だから…弐無月は死体の宛は無い?」
「無い分けじゃないけどこれから面倒よ?」
「反社に死体を分けて貰うとか?」
「ご名答」
「それは後が面倒臭そう…却下」
「死体処理に困るらしいから…」
「マグロの冷凍庫で血術使えって?そもそも呪術師とか認知されてるの?」
「この家業と反社は切っても切れないわよ」
「アタシの知り合いで幹部が居るから聞いてみるわ」
私の返事を待つ前に弐無月が電話をかけた。
「運が良い事に今日は大量ですって」
「食べ終わったから早く行きましょう」
「壱捨駒…運転お願いします…寒いんでしょ…」
「マグロの冷凍庫じゃないから大丈夫よ」
「普通の倉庫よ」
「血陣書く呪具持ってて職質されたらどうしよう」
「「案外警察も呪術師にお世話になるから大丈夫」」
「双子ちゃん達…男物の襦袢ときものと角帯適当にちょうだい」
「今お持ちします!」
「今から行くのぉ…眠いよぉ…」
「ほらぁ行くわよ…漆蛇!」
「体操着から着替えさせて連れて来て」
「任せろ」
 漆蛇に姫抱きされて自室で黒いワンピースに着替えさせられまた姫抱きで玄関に連れて行かれた、壱捨駒が黒いスーツで、弐無月が紫のストライプのスリーピースで参無月が青の無地のスリーピースで普通に堅気の姿じゃない。
「忘れ物は無いわね!」
「双子ちゃん達と平井権八屋敷の事は頼んだわよ」
「「はーい」」
「あい、わかった…愉快な連中だな」
 車の座席は壱捨駒が運転で私が後部座席の真ん中で右に弐無月、左に漆蛇、助手席に参無月が座り、壱捨駒の運転で出発したが直ぐに寝た。
「当主様…起きてちょうだい」
「はい!」と元気良く返事をしてしまった。
「着きましたよ」
「死体いっぱい有るかな…」
「飛車駒は何時でも車を出せる様に待機」
「へいへい」
グダグダと車を降りるとスタスタと弐無月が進んでいった。
「ねぇお餅ちゃんいるかしら?スピネルとラピスラズリが来たって伝えてちょうだい」
「いかにもって感じでかっこいい私も石の名前が良い!私って何色なんだろう?やっぱり赤かな?白かな?紅白だ…おめでたいね」
私は並んでる弐無月と参無月の後ろに陣を書く呪具を持って張り付いている。
「スピネルから電話を貰って驚いた、界隈で連絡が取れないって大騒ぎだよ」
「そうなの…当主様を見つけたの!ラピスラズリと二人でお世話になってるのよ」
「良く橘家がラピスラズリを手放したな」
「無理やり家を変えたのよ」
「それで死体が欲しいんだって?」
「そう…処理に困るって前に言ってたじゃない」
「言ったが…何に使うんだ?」
「ふふふ…死者蘇生よ」
「あれは呪術師や呪詛師を数人潰してやるんじゃないのか?」
「アタシ達の当主様は規格外だから…死体の所に案内してちょうだい」
「こっちだ…」
弐無月のスーツの裾を右手で握ってたら弐無月が左手で手を繫いでくれた、勿論私の左手は漆蛇と手を繋いでる。
死体の山に着くと「あ!骨壷!目玉!」と叫んでしまい、倉庫内の人間全員にガン見されたが骨壷忘れたショックの方が大きい。
「ちゃんと持って来てるわよ」
「目玉もね」
「良かった…睡眠時間を無駄にする所だった」
「それでどうすればいいの?」
「私は血陣ケツジンを書くからその上に骨を人間の形に並べて欲しい」
「「めんどくさいわぁ」」
「お餅ちゃん」
「下っ端貸して」
「おい、手伝ってやれ」
私は自分の左手の動脈に呪具の刃を刺して血液を付けた、持って来た呪具は私の身長百五十㌢位長くて鋭いナイフの様な刃が付いている。
並べて貰ってる骨を囲う様に陣を書くがまだ書き馴れてない為に汚いが仕方が無い。
次に死体の山を囲う様に陣を書くが書物を見ながら書いているのに汚い、死体を囲う様に書いた陣と骨を囲った陣を川の絵で繋いだ。
「並べたわよ」
「ありがとう…思ったより血を使ってフラフラする」
「あと少しだから頑張って」
「御意」
凄い見られてる…反社のお兄様方に、さっきのお餅さんも凄かったけど凄いのがあと二人居る。
骨の足元に立ち左目の上に目玉を乗せて、私の急所の頸の血を死体の心臓部分にかけた。

【龍神に殺されし哀れな童の柊雪臣よ真名を縛りし柊家当主柊深雪の名の元に人間として蘇れ我が兄上】

ーーパチンーー
手を叩くと血で書いた陣が真っ赤に浮かび上がり死体の血肉が二つの陣をつなげてる川の絵の上をドゥクドゥクドゥクと独特の気持ち悪い音をさせながら骨に吸い寄せられていき、だんだん骨に肉が付いていく。
童の大きさだったのがどんどん大きくなり年相応の大きさで止まった、全裸だ。

 私は陣を書く呪具を杖代わりにして兄の顔の側に行き「雪臣兄さん?」と声をかけたら少し動きパチっと目が開くと下半身を起こして私の首を締めて立ち上がった。
「柊家の当主は私だ!お前では無い!」
「それがどうした~ぼく土左衛門~♪」と誰もが知っているあの歌の替歌の「ぼく土左衛門」を歌いながら兄の両目に両手の親指を突っ込んだ。

【血術・炎】
昼間の様に燃えだしたが首を締める手を離さないが私に火が燃え移る事は無い

【柊雪臣を死鬼シキと名付け男鬼オオリに命ずる】
火が強まり私と死鬼は炎に包まれている。

「うわーん!せっかく生き返らせたのに!ゴミだった!宝石オカマどうしよう!私の血と睡眠時間を返せ!」
「ちょっと!ちょっと!殺したら駄目よ!」
「九割死んでても龍神様に返さないと」
「漆蛇!龍神にどうやって返すの!」
「…どうにかすれば返せる…と思う」
「「約立たず」」
「んだとクソガキ祟り殺すぞ」
「「やってみろクソジジイ」」
「何で三人は仲良く出来ないの」

【我と真名を縛りし龍神が殺めし童をお返し申す】

ーーパチンーー
頭蓋骨を潰す様に手を叩いた。

ーーチリンーー
死鬼が消えた。

持ち上げられてた私は落ちる筈が落ちなかった、漆蛇でも宝石オカマでもお餅さんでも無い凄い人に受け止められてそのまま姫抱きされた。

 このイケオジ誰だっけ?と考えてると思い出した。
「…武臣タケオミ叔父さん、久しぶり生きてて良かった」
「久しぶりだな…こんな所で会いたくなかった、そこに居るのは黒蛇か?」
「…今は私の式をやってる」
「そうか…龍神の封印を解いて雪臣も出て来たのか」
「…それで龍神の弟子が根性を叩き直すから生き返らせろって…だから龍神に返したから消えた」
「スピネルとラピスラズリとはどういう関係だ?」
「私の従者で真名を血術縛りしてる」
「当主になったのか…おめでとう」
「ありがとう」
「お二人はどういう関係なの?」
「俺の姪っ子だ」
「母の弟」
「貴方って柊家の人間だったの?」
「驚きだわぁ…それで明日の会合で当主就任と家業再開を宣言するわ」
「そうか…頑張れよ」
「ありがとう」
「ねぇお嬢ちゃんはさぁ、他に死者蘇生出来る?」
「状態は?」
「さっき死んだ奴が三人」
「出来ますよ」
「いくら出せるの?」
「死者蘇生の相場は一千万よ」
「三千万出す」
「だそうですよ、当主様どうしますか?」
「家計が苦しいのでやります」
「「あらぁ良かったわね…」」
「でも亡くなった方は即死ですか?」
「三人とも即死だよ」
「なら精神も大丈夫だと思います」
「と、言うと?」
「拷問中に亡くなったとか酷い目に合って亡くなった場合精神が異常を起こして廃人になったりと…逆に即死や病死や事故死などは意外と精神が大丈夫な事が多いです…生き返らせた三人が精神に異常をきたしてる場合も有りますがやりますか?」
「やってくれ」
「分かりました」
「骨を置いていた所に三人並べてください」
下っ端さんがそれぞれ三人を担いで人の中に入れてくれた。
「武臣叔父さん遺体の足元に降ろして」
地に足が着いたがグラッとしたが呪具を杖代わりに踏ん張った。
胸をざっくり切られた人・頭を撃たれてる人・心臓にナイフが刺さってる人、どれも即死でないとしても「生きてて良かったわ~」と目が覚めそうな人達だった。

【死んでしまった哀れな三人よ人間として蘇れ】

ーーパチンーー
手を叩くと先程と同じ様に肉が損傷部に入り傷口が塞がり動き出した。

「あれ…俺死んだ筈」
「痛く無い…夢?」
「何で生きてるだ?」
三人精神状態も良くて良かった。
見ていた反社のお兄様達も驚いていたが霊力を持たないと思われる人間も死者蘇生出来た事に私も驚いている。
 血術縛りでなければ血陣を書いて代償の死体等が有れば比較的楽に死者蘇生が出来る。
血術の原理は体を流れる霊力が血液にも流れてるから呪術が使えるらしい。
私は龍神と霊力を共有してるから霊力切れは起こさないが血液を使ってる事に変わりはないから今は貧血状態だ、駄目だ立ってられないと後ろに倒れそうなのを受け止めて姫抱きしてくれたのは私をお嬢ちゃんと呼んだお兄さんだった。
顔が良くて声が良くて色々な意味でヤバい。
「お嬢ちゃん大丈夫?」
「ちょっと!当主様大丈夫?」
「顔が真っ青よ!」
「霊力切れじゃなくて血を使いすぎの貧血だから寝れば治るから大丈夫」
「お嬢ちゃんは血液は何型?」
「O型です」
「病院に連れて行く、後からついて来い」
そう言うと名も知らないイケメンが走り出した、これが吊橋効果なのか…キュンキュンする。
「名も知らないお兄さん…すみません…意識保の限界です…おやすみなさい」
「おやすみ」
最後に視界に入ったのはイケメンのお兄さんでしたとさ、お終い。
 ではなく、誰かが私を呼んでいる気がするが私は寝たい。
「深雪ちゃん…無理させちゃったね…ごめんね」
イケメンの声が聞こえて寝ちゃいられないと目を開けると名も知らないお兄さんが居た。
「ここは何処ですか?」
「病院だよ、治療が終わったから起こしたよ」
「…ありがとうございます」
「もう直ぐ宝石オカマが来るよ、それと黒蛇の彼は途中まで一緒だったんだけどね鈴の音と一緒に消えちゃった」
「そうなんですね…名も知らないお兄さんは妖怪が見えるんですか?」
「普段は見えないよ、だけど黒蛇の彼はわざと姿を見せていたから深雪ちゃんの彼氏か何か?」
「わざと姿を見せられるんですね…アレは式で私を守護してくれます」
「そうなんだ…なら良かった」
ガラガラと引き戸を開けて宝石オカマと運転手が入って来た。
「ちょっと!当主様を口説かないで!」
「ちょっと!誑かさないでちょうだい!」
「貧血大丈夫?双子にこれからは鉄分多めの食事を作って貰って、鉄分のサプリ飲もう」
「漆蛇が龍神に呼び出されて消えたっぽい」
「このタイミングで?」
「龍神様も何を考えてるのか分からないわ」
「そもそも当主様を連れて捲くってどう言うつもりですか!」
「深雪ちゃんとお話がしたくて…つい」
「ついじゃないわよ!」
「何か合ったらどうするの!」
「俺達が一緒に居て何の問題が起きるのさ」
「アンタが一緒なのが問題なのよ!」
「そもそも若い女の子を連れ去るなんて信じられないわ!」
「二人は過保護だね」
「「大事な当主様なのよ!」」
「今度からお姉ちゃんって呼ぼうかな…」
「「お前の事で揉めてんだよ」」
「すみません、黙ります」
「そろそろ帰るわよ」
「車まで送って行くよ」と布団をめくりイケメンの上着をかけられて姫抱きされて病室を出た。
白に近い金髪の長髪に弐無月とは違う紫のストライプ柄のスリーピースの上着を貸してくれているからベスト姿でいる。
顔は目鼻立ちがはっきりしていて眉毛とまつ毛が髪と同じ色でぱっちり二重でとにかくイケメン。
顔に穴が開くほど見つめていると時折目が合って微笑んでくれる為キュンキュンが止まらないが幸せな時間はそこで終わってしまった。
壱捨駒が開けた後部座席に運転席の後ろに座ってる弐無月の膝を枕に寝かせてくれそのまま上着もかけてくれた。
「深雪ちゃん…明日の会合でね」と額にキスをされた為、彼の上着で顔を隠した。
「深雪ちゃんは可愛いね…春ちゃんって呼んでね、おやすみ」と私の手の甲の柊紋にキスをして彼は車から出て行った。
「ちょっと!何してるの!」
「誑かさないでって言ったでしょ!」
「深雪ちゃんが可愛くて…つい」
「「ついじゃねーよ」」
「壱捨駒早くドアを閉めて!」
参無月が助手席に乗り、壱捨駒がドアを閉めて運転席に乗り車を走らせ出した。
「あの野郎手ぇ出しやがったな」
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「いや、イケメンだった」
「「まんまと引っかかってるじゃねーか」」
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「明日アイツに会った時の漆蛇の行動が心配」
「春さん見えない人なのに会合に行くの?」
「見えなくても呪術師や呪詛師には世話になるから反社や公安とかが外部席に居るわよ」
「なんか楽しそうだね」

ーーチリンーー
ドンッと漆蛇が落ちてきた。

春ちゃんのジャケットは不味いと思い「参無月!透けこましのジャケットお願い」と助手席に投げた。
漆蛇は無言で私に抱きついてきて胸に顔を埋めた、足の置き場が無いのか下半身を蛇にして、膝を立ててる私の足にまとまり着いて余った体は弐無月の足元まで伸ばした。
「漆蛇って本当に蛇なのね…結構大きいのね」
無言の漆蛇の頭を無言で撫でてるカオスな状況だが、もう誰もこの事には何も言わない。
「壱捨駒、後どの位で着く?」
「うーん一時間はかからないと思う…」
「意外とかかるんだね…運転変わってあげたいけど死にたくないでしょ?」
「気持ちだけ受け取っておくよ」
「最近起きてられなくて…着いたら起こして…」
「貧血関連?」
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