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ピンチ
しおりを挟む「グオオオオォッ!!」
「──!!」
天気は晴れ。雲一つ無い快晴。周囲は森。後ろは崖。
突然だが……私──リアナ・ヴェルは今、窮地に陥っている。
理由は3つ。
一つ目は、オークに出会ってしまったこと。
鋭い牙と爪に、腐敗臭を吐き出す大きな口。そしてしわくちゃな獣の顔に毛むくじゃらの肢体。
野蛮で言葉なんか通じない。
レベルの低い状態で出会ったら、ソッコー逃げた方がいいモンスター。
それがなんと、5体ぐらいいる。
一番先頭のヤツなんて、だらだらとヨダレまで垂らして………。
「グオっ!!」「うわっ!」
空を切る鋭い爪を身を細くして避ける。やめてよね、いきなり。現実逃避してるのに。
そして2つ目が、ご存知の通り逃げ場がないってところ。
ヤツらを見つけた瞬間、慌てて離れようとしたせいで方向を見誤った。
気付いたときにはすでに崖まで追い詰められている。
おかげで絵にかいたようなピンチとなった。
チラッと背後を見る。底には深い森。
ここから飛び降りれば……まあ、死ぬけど。コイツらの餌にはならないと思う。他の獣に食い荒らされそうだけどね!
そして最後。ここがとっても重要。
私は今──誰もが驚くほどの最弱装備だった。
ぼろ布のローブに、つぎはぎの靴。そして、武器は木の棒。
その木の棒を握り締め、ワナワナと震わす。 ……いや、木の棒って何よっ?!
あまりのふざけ具合に、ついベシッとオークに投げつける。
運が良いのか、悪いのか。先頭のオークの頬に当たる。ただパキッて乾いた音がして砕けただけだったけど。でも反応したオークが叫び声をあげた。
「グオォオ! グフッ、ガフッ」
「ぎゃ! ちょ、くさっ! 爪はやめて! 見逃して!!」
顔を寄せて、爪で裂こうとし、周りのオークたちも一緒になって襲ってくる。私は必死に隙間を探して逃げ回った。
けどそれも所詮、その場しのぎにしかならない。
結局、逃げ切れなくてオークの鋭い爪が振り上げられる。
その間、よく聞く走馬灯なるものも流れない。頭まっしろ。
目の前のオークが、耳まで裂けた口を大きく開け始める。
ゆったりと余裕のある、そのニヤけた面で覆い被さってくる。
私はそれをじっと見つめることしか出来ない。
視界の先で、爪先が太陽の光と一瞬重なって、それはそのまま……頭上に振り下ろされて、咄嗟に目を瞑った。
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