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事情①
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次の部屋に通されて、互いに向かい合う形でソファに座る。けど正面のフェルクスさんは書類を並べながらも、どこか上の空で時折ため息をついていた。
明らかにさっきのことが原因なんじゃないかな、とは思う。時間が必要みたいだなっていうのもわかる。だけど話が進まないのは困ってしまう。
仕方がないので声をかけた。
「あの、先程はお疲れ様でした」
「ん……ああ。君にもその、悪いことをした」
「いえ。あれは災難としか言いようが…滅多に起こることでもありませんし」
「……」
軽く言ったことだけどフェルクスさんの顔色が変わる。ピクリと眉が動いて、ちょっと目が据わり始める。彼はどこか遠くを見ながら口を開いた。
「滅多に……? そうだね……そうだったら、どれだけ良いか。遠征から戻ってくるたび本気で思うよ」
そのまま膝に肘をつき、頭を抱えて続けた。
「勝手に無くなる私物、荒らされた部屋。断りを入れても際限なく届く荷物……街に出れば何度も道を遮られ、その度に諭す言葉は聞き入れられず……いつか分かってくれるだろうと考えてきたが……今日まで来てしまった。これ以上もう無理なのかもしれない…だがあれも…」
なにやら地雷を踏んだらしい。変なスイッチが入ってしまったのか、さらにグチグチ続けている。話しかけた手前、黙ってるわけにもいかず乾いた声で相槌を打っておいた。
「あはは……そうですよね。大変ですね」
「大変、か。確かにそうかもしれない。だがあまりに重なり過ぎて良く分からない。感覚が麻痺しているようだ」
「麻痺……」
「はあー……」
盛大な溜め息になんとも言えなくなる。アイドルってこんな感じなのかな。ふと「そういえば」と訊いてみる。
「どうして彼女は、このお屋敷に入れたんですか? 親しい方とか?」
フェルクスさんは私を一瞥したものの、また遠くへ視線を向けた。
「それには長い話になる。聞いてくれるかい?」
「……まあ、時間はありますので」
話して少しでも楽になれば、との思いで承諾したけどすぐ後悔することになった。
明らかにさっきのことが原因なんじゃないかな、とは思う。時間が必要みたいだなっていうのもわかる。だけど話が進まないのは困ってしまう。
仕方がないので声をかけた。
「あの、先程はお疲れ様でした」
「ん……ああ。君にもその、悪いことをした」
「いえ。あれは災難としか言いようが…滅多に起こることでもありませんし」
「……」
軽く言ったことだけどフェルクスさんの顔色が変わる。ピクリと眉が動いて、ちょっと目が据わり始める。彼はどこか遠くを見ながら口を開いた。
「滅多に……? そうだね……そうだったら、どれだけ良いか。遠征から戻ってくるたび本気で思うよ」
そのまま膝に肘をつき、頭を抱えて続けた。
「勝手に無くなる私物、荒らされた部屋。断りを入れても際限なく届く荷物……街に出れば何度も道を遮られ、その度に諭す言葉は聞き入れられず……いつか分かってくれるだろうと考えてきたが……今日まで来てしまった。これ以上もう無理なのかもしれない…だがあれも…」
なにやら地雷を踏んだらしい。変なスイッチが入ってしまったのか、さらにグチグチ続けている。話しかけた手前、黙ってるわけにもいかず乾いた声で相槌を打っておいた。
「あはは……そうですよね。大変ですね」
「大変、か。確かにそうかもしれない。だがあまりに重なり過ぎて良く分からない。感覚が麻痺しているようだ」
「麻痺……」
「はあー……」
盛大な溜め息になんとも言えなくなる。アイドルってこんな感じなのかな。ふと「そういえば」と訊いてみる。
「どうして彼女は、このお屋敷に入れたんですか? 親しい方とか?」
フェルクスさんは私を一瞥したものの、また遠くへ視線を向けた。
「それには長い話になる。聞いてくれるかい?」
「……まあ、時間はありますので」
話して少しでも楽になれば、との思いで承諾したけどすぐ後悔することになった。
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