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百三十一、七日間の蜜月(8)
しおりを挟む「湯殿では許されなかった。お前の中に――触れていいか」
あの時は、アルが真実の結婚相手だと、知らなかった。
だから身体を許してはならないと、ずっと、ずっと思って来た。
漸く、アルにすべてを許せる。
僕が僕であること、それをアルに曝け出せる時が来た。
思えば、アルへの恋心に気付いたときから、そうして欲しいと望んでいた。待ち侘びていた。
「アスアドに……触れて欲しい。僕は貴方の――花嫁だから」
懇願するように、両手をアルに向かって伸ばす。
汗ばんだ、逞しい首に手を回した。
腕や手首にも、口付けを落として、アルはもう一度僕に深く口付けた。
「後悔はさせぬ。千夜経っても、俺の花嫁で良かったと……言わせてみせる。幼い頃の、柚をあの時から――忘れはしない」
アルはシーツに投げ出された僕の手を、指を愛おしそうに愛撫し、握りこんだ。
(――え? まさか、あの日のこと、アルは覚えて……)
それを確認する術は既になかった。
僕の入口に、アルの指が、くに、と侵入を果たす。
思わず背が弓のように撓った。
「ン……っ、は、ァあんッ!」
「痛くはないか」
潤滑剤をこれでもかと使われているため、苦しさはない。
それどころか、アルの指が動く度に、淫らな水音と、一層甲高い喘ぎ声が漏れた。
「あ、嘘、やァっ、あ、ン! あぁあっ」
「酷く敏感だな。男は初めてかと思ったが――」
「こ、んなの、アスアドしか、知らな……っ、誰も、されてな……っ!」
酷い誤解だ。こんなに溺れている姿を見せられるのは、アルだけだというのに。
「すまなかったな。それなら、充分に慣らさなければ。柚が初めて受け入れる男が俺で――心底良かったと思っている。俺は……本当に強運な男だ」
アルの、どこか歓喜に震えたような声に、僕は不運だが、これまで身を守って来て良かった、と感じた。
* * *
ぬるぬるとしたローションで散々に慣らされたあとは、もう理性など飛んでしまっていた。
「アス、アド……っ、おねが……っ、挿れて……ぇ」
「まだ指三本だが、果たして良いものか。もう少し――」
更に慣らそうとするアルの腕を、僕は後孔へと導いた。
「だ、め、我慢出来な……っ、も、……早、く……っ」
もう何度も達して、身体も限界に近い。意識が飛んでしまっては、アルを受け入れることも出来ない。
僕は、ただひたすらに強請った。
その様子は、後から思い出すときっと赤面してしまうだろうに違いない。そんな卑猥な言葉を、アルへと囁いた。
「ならば、望み通りに……」
アルが前を寛げると、これまでに見たことがないほどの逸物が、まるでバベルのように聳え立っていた。
(湯殿でのときより……大きい……!?)
僕が記憶しているアルの中心は相当立派なものだったが、更なる脅威に、僕はごくりと生唾を飲み込む。
「柚、――挿れるぞ」
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