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舞踏会
孤軍奮闘
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「……ってぇな!」
マリウスの攻撃を防いでいたら、突然横から風魔法が飛んできた。とっさに防御魔法を展開したが、防御魔法ごと吹き飛ばされてしまった。
「ガストストーム……セシルも合流かよ」
「やあ、イグニス。残念だよ。君も敵になっちゃったんだね?」
「はぁ?敵?なんの話だよ」
「だってノーランの味方をするんだろ?だったら敵だよね」
(どういうことだ……?)
「ーーーっ!イグニッションフィールド!!」
ガストストームを喰らい、吹き飛ばされたイグニスにマリウスが追い打ちをかける。
「セシル、助かった。俺一人では手を焼いてな」
その横から再びセシルが攻撃魔法を繰り出す。マリウスも新たな魔法を発動し、イグニスの退路を断つ。
(まずいな……)
さすがにこの2人を相手にするとなると、さすがに分が悪い。
それに、今のこの2人相手に本当に戦闘をしていいのかの判断もつかず、イグニス自身も戸惑っていた。
しかし、次第に2人の攻撃は苛烈になり、イグニスもそれに応じて防御魔法を展開させていくが、徐々にそして確実に魔力を消費してしまう。
そうしている間にもマリウスのアクアショットがイグニスを襲い、セシルの魔法が退路を削っていく。
「なぁ!お前ら!どういうつもりだ!?」
「どういうつもりだとはどういうことだ?」
「なぜ俺様を攻撃するのかと聞いているんだ」
「そんなのお前が敵だからに決まっているだろう」
(……言葉は通じるが会話はできないって感じか)
とはいえ、一撃一撃は間違いなく2人のものだ。偽物という線は薄い。
だとしたら、先日のカムランのような状態ということだろうか。あの時もカムランはよくわからないことを言いながらアルドリックに襲い掛かっていた。それに正気に戻ってからは記憶が一切なかったと言っていた。
(ということは、今回もどこかに操っているやつがいるのか?)
辺りの気配を探るが、操っているような魔力は感じない。
イグニスが木の上に飛び乗り距離を取ると、すかさず2人が追撃してくる。
2人のコンビネーションは完璧で、どちらかに攻撃を仕掛けると必ずもう一方が防御や攻撃に転じてくる。
「ちっ……やりづれーな!なぁ!お前ら!誰の命令でこんなことしてるんだ?」
「命令?何の話だ?俺たちは俺たちのために戦っている」
「何言ってるの?僕たちは自分の意思で戦っているんだよ」
「さっきまで攻撃してたのがノーランで、いまお前たちが攻撃しているのは俺様だとわかって攻撃しているんだよな?」
「その通りだ」
「そうだよ」
2人は間髪入れずにそう答えた。
「お前ら!誰かに操られているのか?」
「さっきから何を言っているんだ。お前こそ誰かにやられて洗脳でもされたんじゃないのか?」
「そうだよ。僕たちが操られているなんてことあるわけないじゃないか」
イグニスの目には2人が正気を保っているようにしか見えない。
それにこの2人の連携は誰かに操られているような単調なものではなく、2人だからこそ繰り出せる技ばかりだった。
(ちっ……どうすりゃいいんだ?……ん?)
2人の胸ポケットに視線がいった。
「なぁ、その胸の赤い花、誰からもらったんだ?」
「「言えない」」
2人の声が重なる。その瞬間だけ、2人の表情から感情が消えたように見えた。
(なるほどな、あれが『そういうもの』ってわけか)
理屈はわからないし、あの花がどうやって2人を洗脳しているかはわからないけど、それでも初めて感じた明確な違和感だった。
「そうか、なら俺様も本気を出すしかないな」
イグニスはそう言うと、2人の攻撃をよけながら大きく距離を取った。
そしてヒートスパイクを2人に向かって放つ。
「っ!ハイドロバリア!」
マリウスが防御魔法を展開するが、その防御魔法を貫通し、ヒートスパイクがマリウスとセシルを襲う。
2人はとっさに回避行動をとるが、完全に避けきれずに腕や足をかすめる。
「ちっ!……っ!?」
「悪いな。俺様も2人相手に手加減できるほど余裕がないんでな」
2人がひるんだ隙に、一気に距離を詰める。そしてそのままマリウスの胸ポケットから赤い花を引き抜こうと手を伸ばした。
「----っ!?」
とっさに伸ばしかけた手を引っ込めた。さっきまで手があった場所に、セシルの空間を切り裂くような風魔法が通り過ぎる。
「その花に触るな!!」
「っぶねー……。にしてもセシル、お前もそんな顔できるんだな」
「僕はいつだって冷静だよ」
そういうセシルの目には明確な怒りが浮かんでいた。
「そうかよ。ま、俺様は何度でも挑戦するだけだがな!」
イグニスは再び赤い花に向かってヒートスパイクを放つが、今度はマリウスのアクアショットによって防がれてしまう。そしてさらに間髪入れずにセシルが攻撃魔法を繰り出す。
2人の攻撃をかわすために再び距離を取ると、マリウスからの追撃は来るが、今度はセシルからの攻撃は来なかった。その代わりにこちらに向け詠唱を始める姿が見えた。
「猛威を振るう風の暴力、破壊の渦を――――」
「させっか!!」
「っ!?」
すかさずセシルに向かってヒートスパイクを放ち、詠唱を中断させる。それでもギリギリのタイミングだった。しかしイグニスは休む間もなく、その場から後ろに飛びのくと、さっきまでたっていた場所にセシルの攻撃が飛んでくる。
(ははっ……さすがにきちぃな……)
さっきの不意打ちが最初で最後のチャンスだったように思えてしまう。
(せめて……せめてあいつの防御魔法でもあれば……って、はっ、情けねぇ。それにこんなところにあいつを連れてこれるわけねーじゃねーか)
イグニスは自虐的な笑みを浮かべると、大きく深呼吸して2人を見据えた。
「お前たちとの戦いも楽しかったが、そろそろ終わりにしよう。俺様にはこのあと予定があるんでな」
イグニスは切り札の火魔法の詠唱を始めた。
マリウスの攻撃を防いでいたら、突然横から風魔法が飛んできた。とっさに防御魔法を展開したが、防御魔法ごと吹き飛ばされてしまった。
「ガストストーム……セシルも合流かよ」
「やあ、イグニス。残念だよ。君も敵になっちゃったんだね?」
「はぁ?敵?なんの話だよ」
「だってノーランの味方をするんだろ?だったら敵だよね」
(どういうことだ……?)
「ーーーっ!イグニッションフィールド!!」
ガストストームを喰らい、吹き飛ばされたイグニスにマリウスが追い打ちをかける。
「セシル、助かった。俺一人では手を焼いてな」
その横から再びセシルが攻撃魔法を繰り出す。マリウスも新たな魔法を発動し、イグニスの退路を断つ。
(まずいな……)
さすがにこの2人を相手にするとなると、さすがに分が悪い。
それに、今のこの2人相手に本当に戦闘をしていいのかの判断もつかず、イグニス自身も戸惑っていた。
しかし、次第に2人の攻撃は苛烈になり、イグニスもそれに応じて防御魔法を展開させていくが、徐々にそして確実に魔力を消費してしまう。
そうしている間にもマリウスのアクアショットがイグニスを襲い、セシルの魔法が退路を削っていく。
「なぁ!お前ら!どういうつもりだ!?」
「どういうつもりだとはどういうことだ?」
「なぜ俺様を攻撃するのかと聞いているんだ」
「そんなのお前が敵だからに決まっているだろう」
(……言葉は通じるが会話はできないって感じか)
とはいえ、一撃一撃は間違いなく2人のものだ。偽物という線は薄い。
だとしたら、先日のカムランのような状態ということだろうか。あの時もカムランはよくわからないことを言いながらアルドリックに襲い掛かっていた。それに正気に戻ってからは記憶が一切なかったと言っていた。
(ということは、今回もどこかに操っているやつがいるのか?)
辺りの気配を探るが、操っているような魔力は感じない。
イグニスが木の上に飛び乗り距離を取ると、すかさず2人が追撃してくる。
2人のコンビネーションは完璧で、どちらかに攻撃を仕掛けると必ずもう一方が防御や攻撃に転じてくる。
「ちっ……やりづれーな!なぁ!お前ら!誰の命令でこんなことしてるんだ?」
「命令?何の話だ?俺たちは俺たちのために戦っている」
「何言ってるの?僕たちは自分の意思で戦っているんだよ」
「さっきまで攻撃してたのがノーランで、いまお前たちが攻撃しているのは俺様だとわかって攻撃しているんだよな?」
「その通りだ」
「そうだよ」
2人は間髪入れずにそう答えた。
「お前ら!誰かに操られているのか?」
「さっきから何を言っているんだ。お前こそ誰かにやられて洗脳でもされたんじゃないのか?」
「そうだよ。僕たちが操られているなんてことあるわけないじゃないか」
イグニスの目には2人が正気を保っているようにしか見えない。
それにこの2人の連携は誰かに操られているような単調なものではなく、2人だからこそ繰り出せる技ばかりだった。
(ちっ……どうすりゃいいんだ?……ん?)
2人の胸ポケットに視線がいった。
「なぁ、その胸の赤い花、誰からもらったんだ?」
「「言えない」」
2人の声が重なる。その瞬間だけ、2人の表情から感情が消えたように見えた。
(なるほどな、あれが『そういうもの』ってわけか)
理屈はわからないし、あの花がどうやって2人を洗脳しているかはわからないけど、それでも初めて感じた明確な違和感だった。
「そうか、なら俺様も本気を出すしかないな」
イグニスはそう言うと、2人の攻撃をよけながら大きく距離を取った。
そしてヒートスパイクを2人に向かって放つ。
「っ!ハイドロバリア!」
マリウスが防御魔法を展開するが、その防御魔法を貫通し、ヒートスパイクがマリウスとセシルを襲う。
2人はとっさに回避行動をとるが、完全に避けきれずに腕や足をかすめる。
「ちっ!……っ!?」
「悪いな。俺様も2人相手に手加減できるほど余裕がないんでな」
2人がひるんだ隙に、一気に距離を詰める。そしてそのままマリウスの胸ポケットから赤い花を引き抜こうと手を伸ばした。
「----っ!?」
とっさに伸ばしかけた手を引っ込めた。さっきまで手があった場所に、セシルの空間を切り裂くような風魔法が通り過ぎる。
「その花に触るな!!」
「っぶねー……。にしてもセシル、お前もそんな顔できるんだな」
「僕はいつだって冷静だよ」
そういうセシルの目には明確な怒りが浮かんでいた。
「そうかよ。ま、俺様は何度でも挑戦するだけだがな!」
イグニスは再び赤い花に向かってヒートスパイクを放つが、今度はマリウスのアクアショットによって防がれてしまう。そしてさらに間髪入れずにセシルが攻撃魔法を繰り出す。
2人の攻撃をかわすために再び距離を取ると、マリウスからの追撃は来るが、今度はセシルからの攻撃は来なかった。その代わりにこちらに向け詠唱を始める姿が見えた。
「猛威を振るう風の暴力、破壊の渦を――――」
「させっか!!」
「っ!?」
すかさずセシルに向かってヒートスパイクを放ち、詠唱を中断させる。それでもギリギリのタイミングだった。しかしイグニスは休む間もなく、その場から後ろに飛びのくと、さっきまでたっていた場所にセシルの攻撃が飛んでくる。
(ははっ……さすがにきちぃな……)
さっきの不意打ちが最初で最後のチャンスだったように思えてしまう。
(せめて……せめてあいつの防御魔法でもあれば……って、はっ、情けねぇ。それにこんなところにあいつを連れてこれるわけねーじゃねーか)
イグニスは自虐的な笑みを浮かべると、大きく深呼吸して2人を見据えた。
「お前たちとの戦いも楽しかったが、そろそろ終わりにしよう。俺様にはこのあと予定があるんでな」
イグニスは切り札の火魔法の詠唱を始めた。
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