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6page・現代っ子舐めるなよ! 魔術なんて使うのは簡単だしっ
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日記
フリューレにカトラリーもらった。陶器っぽい皿と白い食器セット。異世界は持ち歩くのが普通らしい。まぁ向こうでも国によっては持ち歩くとこもあるし。バックパッカーと思えば当然か。
お金は手に入ったから安心してお買い物できるね!
そういえば雰囲気イケメンがいたな。クズだった気がするけど、名前なんだっけ?
====================
ギルドの前にどっか行ったフリューレは、証を門番に見せて街から離れた途端横に現れた。
まるでファンタジーな忍者のようだ‥‥。
むしろファンタジーだったら暗殺者とかの方が近いのかな? それはゲームか。
「適当に何か倒してその証拠もってこいって依頼なんだけど、 ここら辺だと何が狩れるの?」
「ああ。半液体のローヴァと群れのパルセだ。稀にサルガドレアもいるぞ」
んーもっと分かりやすくならないかな?
スライムやオークとか、ゴブリンとか‥‥まぁ違う方が異世界って感じがするけど。
ローヴァとパルセは近場の魔物一覧に載ってたけど、挿絵が無かったから勝手な想像だけどローヴァはゲル状のスライム的な何かで、パルセは狼的な犬系のモンスターかなーって思ってる。思ってるだけだけど。
「いやーやっぱりなんか、想像と違うね!」
「‥‥ローヴァは高い場所で獲物を喰らう。木の上はヤツの領域だ」
最初に見つけたローヴァは、多分スライム‥‥んー粘液とかアメーバの方が近いかも。木の上の赤黒い物体にまとわりつく苔のようなもので、苔の中から質感は同じような蔓が伸びて別の木に移動している。緑色の半透明な肉食の苔で、移動の仕方はまるで猿。
「ローヴァって、どうやって増えるの? 雄と雌がいるわけじゃないよね?」
「ああ。雌雄同体と言うらしい。獲物を食べると体の1分が剥がれ落ち増えるらしいが‥‥」
今現在、骨までじゅくじゅくと溶かして食べるローヴァが目の前で蠢いてる。目の前というか、目の前の木の上、というのが正しいけど。
食べれば食べるほどローヴァの表面に浮かぶ苔が剥がれ落ちて木の下にはうぞうぞと広がる苔の数々。
これらが全て猿程度の大きさになると考えると‥‥うえぇぇ。
1番簡単な対処法は魔術でも物理でもいいから燃やすこと。火を怖がるから街には入れず、町の近くで狩人達が殺したモノを喰らって増えていく。たまには殺さないと増え続けて火を怖がらなくなるらしい。実際ローヴァに潰された街もいくつかあるのだとか。
「フリューレ、教えて欲しいんだ。魔術ってさ、どんな風に使ってる?」
フリューレが片手を燃やして近づいてきたので全力で逃げた。
====================
ローヴァのお食事現場に戻って来た。
フリューレ先生のスパルタ魔術教室のお陰でなんとか基礎魔術が使えるようになった。
8系統の中で分からなかった2種のうち片方が判明した。日本語にするなら陰陽ってのが近いかも。強い光は強い影を生む。陰陽はその両方に働きかける力らしい。
1文字で属性理解しようとしてたけど、陰陽が2文字だし、2文字で理解した方が良いかも。
火炎、導水、雷電、土塊、樹林、治癒かな? んで新しい陰陽、と。
火炎、導水、雷電、土塊はまぁ自然にあるし特に問題はない‥‥というかほとんど想像したらその通り発動してくれるから良いんだけど、樹林がイマイチ分からない。種があってもどの種か分かってないと発芽してくれないし‥‥フリューレもこの系統は非常食用の種と捕縛用の種しか持ち歩かないらしいし、後でもいいかも。
陰陽や治癒はまぁ現代社会に生きてれば大体想像つくでしょ。影渡り! とか、影縫い! みたいなことはできないけど、光と影のある場所だったらさまざまなものが探知できるらしい魔術だ。光や影の強弱もできるみたい。どう行った場面で使えるかは不明。
呪文的なのはなく、とにかくイメージで発動できるから楽であります。アニメで育った現代っ子ナメるなよ! 慣れるまでは発言しますけどー。無詠唱とか憧れるね!
「それじゃ、『火炎・狐火』」
イメージした通り、体の周囲を青い火の塊がフヨフヨと漂い、うぞうぞと這い回る苔を飲み込んだ。狐火は苔を飲み込み終わると合体して狐の形になると寄ってきて体を擦り付けて、最後に木の上のローヴァを呑み込んで消えた。
熱くはなかったんだけど、狐になるとは思わなかったから寿命が縮んだ気がする! 身長と同じぐらいの狐に変わるってどうゆうこと!?
「ふ、フリューレ。これは成功でいいのかな?」
「ああ。‥‥見たことない形だったが」
十分発動できることは分かった。
「いや。失敗だ。部位が残らず喰われたな」
「ええっ!? あ、そっか跡形もなくなるのはダメなのか! 討伐した証明‥‥残ってないよ!」
ローヴァ討伐失敗。ただし消滅には成功。
====================
次に見つけたのは、いや今現在サルガドレアに追いかけられてる。
パルセも見つけたけど、パルセは腐肉喰らいとも呼ばれてるネズミ的な大きさの肉食獣で、かなり素早く駆け回る小さいパルセに魔獣を当てたり短剣を刺すのは無駄な体力を使うという事で追い払うだけ追い払って後は無視してる。たまにパルセの住処らしき穴があったら焼き払ったり水没させるけど、それだけでいいらしい。討伐の証拠は無いからお金にはならないけど。
今の問題はサルガドレアだ。そう、サルガドレア!
「フリューレッ!! あんなでかいのっ無理だよっ!」
「いや。まだあれは子供だ。殺すより追いかけ回すのを優先している。遊んでいるつもりだろう」
「いぃぃいやああぁぁぁあ!!」
イノシシとサイと虎が合体したような生き物、サルガドレア。
上に伸びる牙が2本、耳は穴のようで、体表は重い鎧のよう。足はネコ科のようで、走り方とかほんとネコ。頭はイノシシっぽい。もうみんなキメラでいいよ。
僕自身の内面が冷静すぎて怖い。
「らっ『雷電・雷』ぃっ!!」
「ギィイィ!」
「止まらないよっ!? むしろ怒った!」
「ああ。早く倒さないと親が来るぞ」
「親ぁ!?」
ドスドスドスと木を倒しながら追いかけてくる。このサルガドレアの大きさは大体頭の高さぐらいだから、2段ベッドぐらい。
その親って普通考えてその倍はするのではなくて? フリューレ先生!
「ほら。親が来たぞ」
「うぇ!?」
TVの規格的な大きさで2倍でした。
対角線の2倍だもんね。そりゃ面積は4倍になるんだから、大っきいよね(?)。
「フリューレっあれどうやって倒すの!?」
「ああ。土を操って作った落とし穴にはめるのが通例だ」
「落とし穴ね、うぅかっこよく無いけどっ『土塊・落とし穴改』いぃッ!」
ズズゥゥンと巨体が沈むような音が聞こえた。
後ろを振り返ると
「ぶっ! ーーーッ痛ぅ!」
「‥‥後ろを見て走るやつがいるか。一瞬で沈んだが何をしたんだ」
思いっきり体ごと巨木にうち当てた。
多少スピードは落ちてたから木にめり込むようなことは無かったけど、僕自身の治癒のついでに幹の治癒もしておいた。
化け物にやられたわけじゃ無い傷で服がボロボロになってしまったのはちょっと悔しい。服が勿体なさすぎる。
あと治癒魔術について発見。傷は治るけど、血が戻るわけじゃないらしい。破けた服はそのままだ。
「ほう。昏倒している。こいつは昏倒すると弱点のツノの守りがなくなる」
「弱点? このツノが?」
さっきまでバンバン木を倒したりしていた頭部に生えているものだから硬いものだと思ったけど結構グニグニしてる。
弱点と言うからには切り取っちゃえば良いよね。
「よーしっえい! ッうわぁ!?」
わぁー目の前に真っ赤な噴水が‥‥こっちの生き物の血も赤いのかー共通点だね!
じゃなくて!
「ちょっと、フリューレ! 逃げるって酷くないかい!? 血ぐらい君なら洗い流せるでしょ!」
「‥‥臭いから」
「女子かッ!!」
おしっこって空気と触れることで臭さが出るじゃん。このサイもどきの血も空気に触れることで臭くなるようで。
「くっさっ!」
ちゃんと下処理すれば美味しいそうですが、めちゃめちゃ臭かったのでもう相手にしたくありません。
僕より素早い人がやるといいよ。フリューレとかフリューレとかフリューレとか!
「‥‥すまない」
「ふんだ」
「‥‥糞?」
やっぱりいいです。
====================
結局フリューレに協力してもらって弱点から血抜きをして、腹わたと血を魔術で埋めた後、街に引きずって帰ることにした。
門番に止められて、門でギルドの人を待っていたら人だかりができちゃって。
受付見たことないギルドの人が呆れた顔してパパッと解体して門の前で売り始めた時はびっくりしたけど、街中でこんな大物捌けるわけないだろって怒られた。普通は大物倒したら解体して食べれる部位だけ切り取って後は獣除けを撒いた後街から精肉専門のギルド職員を呼ぶことになってるらしい。
討伐そのものが初めてだったってことでお説教のみの対応だったけど、本来規則破りで牢屋に拘留されるのだとか。今怒られてよかったよかった。
「サルガドレア討伐ですか‥‥」
「はい」
「ローヴァやパルセなども森にいたと思うのだけど‥‥」
「消し炭にしちゃって」
「‥‥」
受付嬢さんから、討伐証明部位として渡したツノと交換で銀貨を貰った。懐があったかくて何よりです。お金は天下の回りもの、休暇で手に入ったあぶく銭は数えないことにした。未だに60倍分も貰ってないし。
ギルドにはお金を預ける機能もあるらしく、とりあえずここのギルドじゃ全額払えそうにもないからギルド支払いで立て替えてくれることになったらしい。くれぐれも他の街に行ったらギルドへの報告義務を忘れないようにって念押しされた。
「おめでとうございます。今回の討伐で8級に昇進です。護衛依頼などもできるようになるので、次の街へ行く時にオススメです」
「受付のおねーさん、それ暗に僕に出て行って欲しいって言ってます?」
「そうね。この街じゃ手に負えない新人だとはおもってるわ」
「えー‥‥」
受付幼女が担当としてくれるのかなーって思ったら受付嬢さんがスッと入ってきて対応してくれたは良いんだけどすごく煙たがられてる気がする。
気さくだし、フォロー上手いし、なんでこの人結婚できないんだろ?
====================
宿の人、笑顔が引きつってた。
今回サービスするから裏の井戸使って良いよって言われたけど、多分臭いから早く服洗って臭い消してくれってことだよね。
もう鼻麻痺しちゃって分からないけど相当臭いようです、はい。
「臭いとれたか分かんないんだけど」
「ああ。最後は香水をかける」
「臭いものには匂いをってーっぶ! 冷たいッ」
頭から水ぶっかけられた。
これはやり返すっきゃないでしょー!
僕は今15歳なんだから!
「うりゃぁ!」
「‥‥‥」
「へっへーん! 水かぶって悔しかったら水かけてみろー!」
「ほう。そういうゲームか」
「そうそうゲーム! ‥‥って、その大きさの水球はシャレにならないよ!?」
皆の思いを集めたような、空中に浮かぶ水球。
いやいや、ちょっとフリューレさん!
「ああ。行くぞ」
「確信犯かよッうわっ! 結構痛い! こっちだって~っ!」
びしょびしょになるまで遊んで、裏庭水浸しにしたことでめちゃくちゃ宿の人に怒られて、 魔術で乾かしたらめちゃくちゃびっくりされた。序でに土壌の改良と言われて、小石や大きさが揃わない土ではなくふかふかの野菜の根がちゃんと広がる土にしてくれって言われたのでやったらすっごい勢いで頭を下げられて、宿代がタダになった。
ま、いっか。
====================
この恐らくは異世界でオルドとしての生活もなんか面白そうである。
体が素直に様々なことを吸収してくれるからなんだけど、もしこの世界にきて、あっちのような法則が残ってたら、それはものすごく大変だったかも、なんて思ったり。
血を見ない社会で育ったのに、今現在血を浴びてけろっとしてる自分に違和感ありありだけど、やっぱりなりきってる気分が抜けないと言うか、夢見ごごちなのかもしれない。
「ねぇフリューレ。良かったらさ、今度フリューレの事聞かせてよ。僕の事も話すからさ」
「‥‥‥」
「あれ? もう寝ちゃったのか。付き合ってくれるだけありがたいけど、約束はこの街の案内だけだもんね‥‥」
できればこれからもフリューレと一緒にこの世界を回りたい。
大の大人がー! って思うけど、やっぱり1番最初に会った人とは離れたくない。
‥‥でもここが異世界なら巡って見たい。いつ元の場所に戻されるかも分からないのに、明日にはまた同じようにブースに立って別人になりきってるかもしれないのに、今を楽しまないなんてもったいない。
「できれば、フリューレと一緒に旅がしたいなぁ‥‥明日にでも話してみよ」
こっちに来て独り言が増えた気がするなぁ。
フリューレにカトラリーもらった。陶器っぽい皿と白い食器セット。異世界は持ち歩くのが普通らしい。まぁ向こうでも国によっては持ち歩くとこもあるし。バックパッカーと思えば当然か。
お金は手に入ったから安心してお買い物できるね!
そういえば雰囲気イケメンがいたな。クズだった気がするけど、名前なんだっけ?
====================
ギルドの前にどっか行ったフリューレは、証を門番に見せて街から離れた途端横に現れた。
まるでファンタジーな忍者のようだ‥‥。
むしろファンタジーだったら暗殺者とかの方が近いのかな? それはゲームか。
「適当に何か倒してその証拠もってこいって依頼なんだけど、 ここら辺だと何が狩れるの?」
「ああ。半液体のローヴァと群れのパルセだ。稀にサルガドレアもいるぞ」
んーもっと分かりやすくならないかな?
スライムやオークとか、ゴブリンとか‥‥まぁ違う方が異世界って感じがするけど。
ローヴァとパルセは近場の魔物一覧に載ってたけど、挿絵が無かったから勝手な想像だけどローヴァはゲル状のスライム的な何かで、パルセは狼的な犬系のモンスターかなーって思ってる。思ってるだけだけど。
「いやーやっぱりなんか、想像と違うね!」
「‥‥ローヴァは高い場所で獲物を喰らう。木の上はヤツの領域だ」
最初に見つけたローヴァは、多分スライム‥‥んー粘液とかアメーバの方が近いかも。木の上の赤黒い物体にまとわりつく苔のようなもので、苔の中から質感は同じような蔓が伸びて別の木に移動している。緑色の半透明な肉食の苔で、移動の仕方はまるで猿。
「ローヴァって、どうやって増えるの? 雄と雌がいるわけじゃないよね?」
「ああ。雌雄同体と言うらしい。獲物を食べると体の1分が剥がれ落ち増えるらしいが‥‥」
今現在、骨までじゅくじゅくと溶かして食べるローヴァが目の前で蠢いてる。目の前というか、目の前の木の上、というのが正しいけど。
食べれば食べるほどローヴァの表面に浮かぶ苔が剥がれ落ちて木の下にはうぞうぞと広がる苔の数々。
これらが全て猿程度の大きさになると考えると‥‥うえぇぇ。
1番簡単な対処法は魔術でも物理でもいいから燃やすこと。火を怖がるから街には入れず、町の近くで狩人達が殺したモノを喰らって増えていく。たまには殺さないと増え続けて火を怖がらなくなるらしい。実際ローヴァに潰された街もいくつかあるのだとか。
「フリューレ、教えて欲しいんだ。魔術ってさ、どんな風に使ってる?」
フリューレが片手を燃やして近づいてきたので全力で逃げた。
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ローヴァのお食事現場に戻って来た。
フリューレ先生のスパルタ魔術教室のお陰でなんとか基礎魔術が使えるようになった。
8系統の中で分からなかった2種のうち片方が判明した。日本語にするなら陰陽ってのが近いかも。強い光は強い影を生む。陰陽はその両方に働きかける力らしい。
1文字で属性理解しようとしてたけど、陰陽が2文字だし、2文字で理解した方が良いかも。
火炎、導水、雷電、土塊、樹林、治癒かな? んで新しい陰陽、と。
火炎、導水、雷電、土塊はまぁ自然にあるし特に問題はない‥‥というかほとんど想像したらその通り発動してくれるから良いんだけど、樹林がイマイチ分からない。種があってもどの種か分かってないと発芽してくれないし‥‥フリューレもこの系統は非常食用の種と捕縛用の種しか持ち歩かないらしいし、後でもいいかも。
陰陽や治癒はまぁ現代社会に生きてれば大体想像つくでしょ。影渡り! とか、影縫い! みたいなことはできないけど、光と影のある場所だったらさまざまなものが探知できるらしい魔術だ。光や影の強弱もできるみたい。どう行った場面で使えるかは不明。
呪文的なのはなく、とにかくイメージで発動できるから楽であります。アニメで育った現代っ子ナメるなよ! 慣れるまでは発言しますけどー。無詠唱とか憧れるね!
「それじゃ、『火炎・狐火』」
イメージした通り、体の周囲を青い火の塊がフヨフヨと漂い、うぞうぞと這い回る苔を飲み込んだ。狐火は苔を飲み込み終わると合体して狐の形になると寄ってきて体を擦り付けて、最後に木の上のローヴァを呑み込んで消えた。
熱くはなかったんだけど、狐になるとは思わなかったから寿命が縮んだ気がする! 身長と同じぐらいの狐に変わるってどうゆうこと!?
「ふ、フリューレ。これは成功でいいのかな?」
「ああ。‥‥見たことない形だったが」
十分発動できることは分かった。
「いや。失敗だ。部位が残らず喰われたな」
「ええっ!? あ、そっか跡形もなくなるのはダメなのか! 討伐した証明‥‥残ってないよ!」
ローヴァ討伐失敗。ただし消滅には成功。
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次に見つけたのは、いや今現在サルガドレアに追いかけられてる。
パルセも見つけたけど、パルセは腐肉喰らいとも呼ばれてるネズミ的な大きさの肉食獣で、かなり素早く駆け回る小さいパルセに魔獣を当てたり短剣を刺すのは無駄な体力を使うという事で追い払うだけ追い払って後は無視してる。たまにパルセの住処らしき穴があったら焼き払ったり水没させるけど、それだけでいいらしい。討伐の証拠は無いからお金にはならないけど。
今の問題はサルガドレアだ。そう、サルガドレア!
「フリューレッ!! あんなでかいのっ無理だよっ!」
「いや。まだあれは子供だ。殺すより追いかけ回すのを優先している。遊んでいるつもりだろう」
「いぃぃいやああぁぁぁあ!!」
イノシシとサイと虎が合体したような生き物、サルガドレア。
上に伸びる牙が2本、耳は穴のようで、体表は重い鎧のよう。足はネコ科のようで、走り方とかほんとネコ。頭はイノシシっぽい。もうみんなキメラでいいよ。
僕自身の内面が冷静すぎて怖い。
「らっ『雷電・雷』ぃっ!!」
「ギィイィ!」
「止まらないよっ!? むしろ怒った!」
「ああ。早く倒さないと親が来るぞ」
「親ぁ!?」
ドスドスドスと木を倒しながら追いかけてくる。このサルガドレアの大きさは大体頭の高さぐらいだから、2段ベッドぐらい。
その親って普通考えてその倍はするのではなくて? フリューレ先生!
「ほら。親が来たぞ」
「うぇ!?」
TVの規格的な大きさで2倍でした。
対角線の2倍だもんね。そりゃ面積は4倍になるんだから、大っきいよね(?)。
「フリューレっあれどうやって倒すの!?」
「ああ。土を操って作った落とし穴にはめるのが通例だ」
「落とし穴ね、うぅかっこよく無いけどっ『土塊・落とし穴改』いぃッ!」
ズズゥゥンと巨体が沈むような音が聞こえた。
後ろを振り返ると
「ぶっ! ーーーッ痛ぅ!」
「‥‥後ろを見て走るやつがいるか。一瞬で沈んだが何をしたんだ」
思いっきり体ごと巨木にうち当てた。
多少スピードは落ちてたから木にめり込むようなことは無かったけど、僕自身の治癒のついでに幹の治癒もしておいた。
化け物にやられたわけじゃ無い傷で服がボロボロになってしまったのはちょっと悔しい。服が勿体なさすぎる。
あと治癒魔術について発見。傷は治るけど、血が戻るわけじゃないらしい。破けた服はそのままだ。
「ほう。昏倒している。こいつは昏倒すると弱点のツノの守りがなくなる」
「弱点? このツノが?」
さっきまでバンバン木を倒したりしていた頭部に生えているものだから硬いものだと思ったけど結構グニグニしてる。
弱点と言うからには切り取っちゃえば良いよね。
「よーしっえい! ッうわぁ!?」
わぁー目の前に真っ赤な噴水が‥‥こっちの生き物の血も赤いのかー共通点だね!
じゃなくて!
「ちょっと、フリューレ! 逃げるって酷くないかい!? 血ぐらい君なら洗い流せるでしょ!」
「‥‥臭いから」
「女子かッ!!」
おしっこって空気と触れることで臭さが出るじゃん。このサイもどきの血も空気に触れることで臭くなるようで。
「くっさっ!」
ちゃんと下処理すれば美味しいそうですが、めちゃめちゃ臭かったのでもう相手にしたくありません。
僕より素早い人がやるといいよ。フリューレとかフリューレとかフリューレとか!
「‥‥すまない」
「ふんだ」
「‥‥糞?」
やっぱりいいです。
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結局フリューレに協力してもらって弱点から血抜きをして、腹わたと血を魔術で埋めた後、街に引きずって帰ることにした。
門番に止められて、門でギルドの人を待っていたら人だかりができちゃって。
受付見たことないギルドの人が呆れた顔してパパッと解体して門の前で売り始めた時はびっくりしたけど、街中でこんな大物捌けるわけないだろって怒られた。普通は大物倒したら解体して食べれる部位だけ切り取って後は獣除けを撒いた後街から精肉専門のギルド職員を呼ぶことになってるらしい。
討伐そのものが初めてだったってことでお説教のみの対応だったけど、本来規則破りで牢屋に拘留されるのだとか。今怒られてよかったよかった。
「サルガドレア討伐ですか‥‥」
「はい」
「ローヴァやパルセなども森にいたと思うのだけど‥‥」
「消し炭にしちゃって」
「‥‥」
受付嬢さんから、討伐証明部位として渡したツノと交換で銀貨を貰った。懐があったかくて何よりです。お金は天下の回りもの、休暇で手に入ったあぶく銭は数えないことにした。未だに60倍分も貰ってないし。
ギルドにはお金を預ける機能もあるらしく、とりあえずここのギルドじゃ全額払えそうにもないからギルド支払いで立て替えてくれることになったらしい。くれぐれも他の街に行ったらギルドへの報告義務を忘れないようにって念押しされた。
「おめでとうございます。今回の討伐で8級に昇進です。護衛依頼などもできるようになるので、次の街へ行く時にオススメです」
「受付のおねーさん、それ暗に僕に出て行って欲しいって言ってます?」
「そうね。この街じゃ手に負えない新人だとはおもってるわ」
「えー‥‥」
受付幼女が担当としてくれるのかなーって思ったら受付嬢さんがスッと入ってきて対応してくれたは良いんだけどすごく煙たがられてる気がする。
気さくだし、フォロー上手いし、なんでこの人結婚できないんだろ?
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宿の人、笑顔が引きつってた。
今回サービスするから裏の井戸使って良いよって言われたけど、多分臭いから早く服洗って臭い消してくれってことだよね。
もう鼻麻痺しちゃって分からないけど相当臭いようです、はい。
「臭いとれたか分かんないんだけど」
「ああ。最後は香水をかける」
「臭いものには匂いをってーっぶ! 冷たいッ」
頭から水ぶっかけられた。
これはやり返すっきゃないでしょー!
僕は今15歳なんだから!
「うりゃぁ!」
「‥‥‥」
「へっへーん! 水かぶって悔しかったら水かけてみろー!」
「ほう。そういうゲームか」
「そうそうゲーム! ‥‥って、その大きさの水球はシャレにならないよ!?」
皆の思いを集めたような、空中に浮かぶ水球。
いやいや、ちょっとフリューレさん!
「ああ。行くぞ」
「確信犯かよッうわっ! 結構痛い! こっちだって~っ!」
びしょびしょになるまで遊んで、裏庭水浸しにしたことでめちゃくちゃ宿の人に怒られて、 魔術で乾かしたらめちゃくちゃびっくりされた。序でに土壌の改良と言われて、小石や大きさが揃わない土ではなくふかふかの野菜の根がちゃんと広がる土にしてくれって言われたのでやったらすっごい勢いで頭を下げられて、宿代がタダになった。
ま、いっか。
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この恐らくは異世界でオルドとしての生活もなんか面白そうである。
体が素直に様々なことを吸収してくれるからなんだけど、もしこの世界にきて、あっちのような法則が残ってたら、それはものすごく大変だったかも、なんて思ったり。
血を見ない社会で育ったのに、今現在血を浴びてけろっとしてる自分に違和感ありありだけど、やっぱりなりきってる気分が抜けないと言うか、夢見ごごちなのかもしれない。
「ねぇフリューレ。良かったらさ、今度フリューレの事聞かせてよ。僕の事も話すからさ」
「‥‥‥」
「あれ? もう寝ちゃったのか。付き合ってくれるだけありがたいけど、約束はこの街の案内だけだもんね‥‥」
できればこれからもフリューレと一緒にこの世界を回りたい。
大の大人がー! って思うけど、やっぱり1番最初に会った人とは離れたくない。
‥‥でもここが異世界なら巡って見たい。いつ元の場所に戻されるかも分からないのに、明日にはまた同じようにブースに立って別人になりきってるかもしれないのに、今を楽しまないなんてもったいない。
「できれば、フリューレと一緒に旅がしたいなぁ‥‥明日にでも話してみよ」
こっちに来て独り言が増えた気がするなぁ。
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支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
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