もふもふ好きの騎士と毛玉

コオリ

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後日談

04

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「そういえば、今日は何か用事があったんだよね?」

 その後二人でお風呂に入って、ご飯を食べて。
 僕はようやく今日アウルムがここに来た理由を思い出した。

「あぁ。これだ」

 そう言って、アウルムが鞄から取り出したのは古い本。

 ―――あ、これってもしかして。

「先日、実家から送ってもらったんだ。最後まで読めていなかったから」
「やっぱり。これに書かれてたんだよね? 僕たちのこと」

 中身は古い言葉で書かれてるらしいから、僕には全然読めないけど。その本が見るからに古いのだけはわかる。
 うっかり、振り回したりしたら、紙が全部バラバラになってしまいそうだ。しないけど。

「だからお昼に来てたの? 婆ちゃんに何か聞けた?」
「いや、まだだな。あちらもお忙しそうだったから、次の機会にすることにした」
「そっかぁ」

 次の機会、という言葉に嬉しくなる。
 だってそれって、またここに来てくれるってことでしょう?
 またこの家に来て「ただいま」って言ってくれるのかな?

「湯を浴びて食事をしてからリティスと一緒に行っても良かったんだけどな……その前にまたリティスに夢中になってしまったし」
「えへへ……今日もすごく気持ちよかったよ」

 へらりと僕が笑うと、アウルムも笑う。
 伸びてきた手がくしゃりと僕の髪を掻き回して、耳に触れた。耳の根元を擽られるのは本当に気持ちいい。
 今日はエッチの時にあんまり触ってもらえなかったら、もっとしてほしくて頭を寄せると尻尾も一緒にいっぱい撫でてくれた。

「でも、すごいよね。これのおかげでしょ? 僕とアウルムが出会えたのって」
「そうなるな。これを読んでいなければ、あの時リティスに近づこうとも考えなかったと思う」

 そういえば、最初は僕のこと触手の化け物かも、って思ってたんだっけ?
 聞いてびっくりしたよ。あれと僕のどこが似てるの?
 尻尾? いやいや、絶対それはおかしいでしょ。アイツの触手ってでろってして、ぐちゅってしてて……うん。何かこの響き、ちょっとお腹がきゅんってなるかも。
 いや、とにかく。触手はないよ、触手は!

「ね、じゃあ、次の休みもここに来る?」
「リティスがいいのなら」
「もちろん!! あ、でも休みの前にまた僕からも会いに行くね」
「ああ、待っている」

 本当はずっと一緒にいられたら、って思うけど、人間と獣人が一緒に暮らすのは本当に難しい。
 いつかアウルムが騎士団をやめるときがきたら、その時はこの村で一緒に暮らせるようになるのかな?

「ねぇ、もう帰っちゃう?」
「朝まで一緒にいる。リティスが寝ている間に出ていくことになるだろうけど」
「起こして。いってらっしゃいのキスがしたい」
「だが……まだ日も登らない時間だぞ?」
「いいの。見送ったらもう一回寝るから」
「なら、そうしよう」

 そんな甘い会話を交わす。

 そのうち、ずっと一緒にいられるようになったら、そんなこともきっと当たり前になる。
 いつの日か、当たり前にしたいって思ってる。




END.
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