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23.妹はもう、この家から立ち去ってしまっていた
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貴重な素顔のみならず怒り顔まで見せてくれた浮月さんと別れた僕は、自宅へ帰り着いた途端気付いてしまう。
妹がもう、この家から立ち去ってしまっていることに。
浮月さんには別れ際、妹からありったけの情報を聞き出してくるよう言われてきたけれど、あるいはそんな裏切りさえも知られてしまっていたのかもしれない。ちなみに浮月さん本人は、自宅前で派手に騒いでしまった件についてこれから家族会議なのだとか。
ともあれこのような突然の消失に、もちろん感慨なんてない。
きっと初めからわかりきっていた物事が、改めて元通りになっただけなのだから。
「……」
二つの冷めたカレー皿のうちの片方だけを温め直して食べる。それから二階に上がり、妹の部屋の扉を手ずから開ける。長らく閉じたままにしていた割りには人の生活の匂いがして、やっぱり彼女は昨夜そこに泊まったのだろうと思う。けれど今、目の前のそこには人が立ち去った後特有の体温の抜ける冷たさがあって、きっとまたしばらく、彼女は帰ってこない。
僕は今度こそ本当に、砂音と決別したのだと悟る。
以前彼女が家を出た際は、僕だけが最後まで何も知らされていなかった。
けれど、今回ばかりはどうしようとも言い逃れできない。
僕の方から彼女を裏切り、彼女の方だって僕を「ただいまぁ」
「……」
普通に帰ってきやがったよ。
脱力気味の足を引きずって玄関まで見に行けば、懐かしの妹(一時間ぶり)はコンビニの袋を持ったままの姿勢で器用にサンダルの留め金を外していた。
「何?」
わざわざ玄関先まで出てきた僕へと、おかしみを込めた視線を寄越す。
「いや、出ていったのかと」
「セブンまでね。アイス買ってきたけど、食べる?」
「……食べる」
場所を移して居間、改めて食卓を挟み向かい合う。
「夕飯。残ってたの捨てたけど」
「いいよ。今なら私も人肉いけるかと思ったけど、ちょっと無理めだったし」
僕らはそれぞれに季節外れな雪見専用アイスを食べる。
「浮月さん死んでた?」
「生きてた」
「だよね」と、やはり予想していたように頷く。「どうせ無駄だって言ったのに、一人どうしてもって子がいてさ」
たぶん白地さんのことだろうなと思った。
それはともかく、さてはて。
僕の脳裏を過ぎるのはつい先刻に拝命した浮月さんの指令。さり気なさを装って、尋ねてみる。
彼女たちは。
「仲間なの?」
「下僕だよ」
「……」
うら若き少女の口からそんな言葉が出てくると、いよいよ世も末かなという気がしてくる。
「本当はもっと他に訊きたいことがあるんだよね?」、と。
目元だけで淡く笑う。
「……白地さん達は、もう死んでいるの?」
「それ尋ねるってことは、答えもかなりわかってるんじゃない」
僕自身の手元にはこれといった推測もないのだけれど、代わりに浮月さんの言葉を思い返す。
「現象としての白地さん?」
「そう、ドッペルゲンガーの血を飲んだんだ」
さしあたり『影血鬼』ってとこかなと嘯く砂音が説明してくれた彼女自身の能力は、ほとんど浮月さんが予想した通りだった。
「人の側面を切り取ることができるの」
「ドッペルゲンガーって増えるんじゃないっけ?」
「原理としては同じだね」
結局は自己イメージとの乖離だから、とそこから僕のついていけない話が始まってしまう。
こちらが首を傾げ続けるのを見かねたのか、大雑把に言うとね、と。
「あの子達が部活に費やしている時間を、ちょっと使わせてもらってる感じかな」
「一気に簡単になったね」
「お兄ちゃんのレベルに合わせるとこんなもんだね」
……左様で。
「つまり人って結構一貫性のない存在で、その区切りが空間とか時間に依存するの」
「学校とか、放課後とか?」
「そうそう」、でさ。「登校時点から下校時点までのあの子たちってのも、やっぱりあの子たちの本質みたいなものからは距離というか乖離があって、これをぺりぺりっと引き剥がすと影みたいなのができるの。本来のドッペルゲンガーはそんな感じの能力」
しかしそう言う砂音自身はぺりぺりなんて可愛い所作ではなく、屋上から白地さんを突き落としている。
「ちょっと能力のコピーにミスって、私は殺さないといけなくなっちゃったの。代わりに元々の能力と上手く混ざってくれて、感染するようになったから良いんだけど。それはともかく、だからね」
本当の意味では殺してないんだよ、と。
「……なるほど、」よくわからない。
その相槌で追加の説明を促したつもりだったけれど、エコいでしょ。と、なおさらよくわからない造語で締めくくられる。
僕は理解できたような理解できないような、やっぱり意味不明といった具合の、ラー油感覚を舌先に覚える。
まぁ、そこは本質ではないのでスルー。
改めて。
「じゃあ動機は何?」
「言ったでしょ、復讐だって」
「……それじゃあ、君は」
脳裏に浮かんだのは皆葉くんの言葉。
「君たちは、可哀想なの?」
「……」
ふと表情が消えて、見つめ返される。
「お兄ちゃんは」問い返される。「私たちのこと可哀想だと思わないの」
本当にわからないような、不思議そうな目で。きっと彼女が言う『私たち』には砂音や白地さんだけではなく、僕や浮月さん、挙げ句の果てには父や母のことも含めて、可哀想だと。自らのことを憐れむに相応しいと本当に考えているのだろう。
こちらが返答に悩んでいるうちに。
「……正義のヒーローってね」
何を思ったのか、また唐突に話が始まる。
「どうしてあそこまで頑張れるんだと思う?」
ほら、ニチアサの戦隊モノみたいな、と。
「……世界を救うため?」
「違うよ。そんな程度の動機で、週一の危機に立ち向かうなんて自己犠牲ができる人はたぶんいなくてさ」
それ以外に居場所がないからだよ、と。
「え」
「ああいったヒーローという名前の『化け物』が、社会に存在することを許されているのは『普通』な人たちのために身を削っている時だけなんだよ。だからあの人たちは命がけで戦えるんだ。みんなに受け入れてもらうために」
でもたぶん、世界中が平和になったら結局はお払い箱なんだけどさ。
「……」
「わかってるでしょ、私たちもきっと同じだよ」
「……だから君は」それはとっくに気付いていたことだった。「そんなものになってしまったの」
僕はかつて、浮月さんが指摘したことを思い出していた。今回の『異常』は視線が人間に向きすぎている、と。その時一方で、僕は確かこう思ったはずだ。僕ら『異常』は持って生まれてくる能力を自分で決められないはずなのに、と。
しかし思い返してみれば、一人だけ例外がいた。
それが砂音という存在で、彼女は自身の能力を恣意的に増やすことができる。ただしそれは不可逆な加算。だからこそ僕は、彼女がそうまでして人間相手に特化しすぎる覚悟の質を理解してしまう。二度と常人としてさえも生きてはいけないような『化け物』へと成り下がる意味を。
「……」
砂音は何も答えず、ただ力なく微笑んだ。
その程度の動作で、大した矜持もない僕は何も言えなくなってしまう。
「……」
だけど少しだけ、わかった気がした。
浮月さんが『普通部』を作った意味とか。どんな存在であれ『普通』を志さない限り、それは『普通』のうちにはカウントされないということ。
正直なところ、腹が立っていた。たぶん目の前の妹にではなく、むしろ自分自身に。
今この瞬間、砂音に伝えるべき言葉を何も思いつかないのは、きっと僕の内にこれまで積み上げてきたものが何もないからだ。
『異常』であることに甘んじたまま、ただ漫然と生きてきたことを初めて後悔した。
まぁ、ともあれ。そんなことを今更に嘆いても仕方なくて、外面のみを見てみればそこにはただ黙りこくる僕がいるだけだった。
妹の訝しげな視線に何でもないのだと頭を振る。
「さっきの返事だけどね」
言葉を。
「思わないよ」
そして、決別の言葉を。
「僕らは可哀想なんかじゃない。だから、世界を敵に回す必要なんてない」
「そっか」と、笑う。「じゃあやっぱり」
お兄ちゃんとは、敵同士だね。
妹がもう、この家から立ち去ってしまっていることに。
浮月さんには別れ際、妹からありったけの情報を聞き出してくるよう言われてきたけれど、あるいはそんな裏切りさえも知られてしまっていたのかもしれない。ちなみに浮月さん本人は、自宅前で派手に騒いでしまった件についてこれから家族会議なのだとか。
ともあれこのような突然の消失に、もちろん感慨なんてない。
きっと初めからわかりきっていた物事が、改めて元通りになっただけなのだから。
「……」
二つの冷めたカレー皿のうちの片方だけを温め直して食べる。それから二階に上がり、妹の部屋の扉を手ずから開ける。長らく閉じたままにしていた割りには人の生活の匂いがして、やっぱり彼女は昨夜そこに泊まったのだろうと思う。けれど今、目の前のそこには人が立ち去った後特有の体温の抜ける冷たさがあって、きっとまたしばらく、彼女は帰ってこない。
僕は今度こそ本当に、砂音と決別したのだと悟る。
以前彼女が家を出た際は、僕だけが最後まで何も知らされていなかった。
けれど、今回ばかりはどうしようとも言い逃れできない。
僕の方から彼女を裏切り、彼女の方だって僕を「ただいまぁ」
「……」
普通に帰ってきやがったよ。
脱力気味の足を引きずって玄関まで見に行けば、懐かしの妹(一時間ぶり)はコンビニの袋を持ったままの姿勢で器用にサンダルの留め金を外していた。
「何?」
わざわざ玄関先まで出てきた僕へと、おかしみを込めた視線を寄越す。
「いや、出ていったのかと」
「セブンまでね。アイス買ってきたけど、食べる?」
「……食べる」
場所を移して居間、改めて食卓を挟み向かい合う。
「夕飯。残ってたの捨てたけど」
「いいよ。今なら私も人肉いけるかと思ったけど、ちょっと無理めだったし」
僕らはそれぞれに季節外れな雪見専用アイスを食べる。
「浮月さん死んでた?」
「生きてた」
「だよね」と、やはり予想していたように頷く。「どうせ無駄だって言ったのに、一人どうしてもって子がいてさ」
たぶん白地さんのことだろうなと思った。
それはともかく、さてはて。
僕の脳裏を過ぎるのはつい先刻に拝命した浮月さんの指令。さり気なさを装って、尋ねてみる。
彼女たちは。
「仲間なの?」
「下僕だよ」
「……」
うら若き少女の口からそんな言葉が出てくると、いよいよ世も末かなという気がしてくる。
「本当はもっと他に訊きたいことがあるんだよね?」、と。
目元だけで淡く笑う。
「……白地さん達は、もう死んでいるの?」
「それ尋ねるってことは、答えもかなりわかってるんじゃない」
僕自身の手元にはこれといった推測もないのだけれど、代わりに浮月さんの言葉を思い返す。
「現象としての白地さん?」
「そう、ドッペルゲンガーの血を飲んだんだ」
さしあたり『影血鬼』ってとこかなと嘯く砂音が説明してくれた彼女自身の能力は、ほとんど浮月さんが予想した通りだった。
「人の側面を切り取ることができるの」
「ドッペルゲンガーって増えるんじゃないっけ?」
「原理としては同じだね」
結局は自己イメージとの乖離だから、とそこから僕のついていけない話が始まってしまう。
こちらが首を傾げ続けるのを見かねたのか、大雑把に言うとね、と。
「あの子達が部活に費やしている時間を、ちょっと使わせてもらってる感じかな」
「一気に簡単になったね」
「お兄ちゃんのレベルに合わせるとこんなもんだね」
……左様で。
「つまり人って結構一貫性のない存在で、その区切りが空間とか時間に依存するの」
「学校とか、放課後とか?」
「そうそう」、でさ。「登校時点から下校時点までのあの子たちってのも、やっぱりあの子たちの本質みたいなものからは距離というか乖離があって、これをぺりぺりっと引き剥がすと影みたいなのができるの。本来のドッペルゲンガーはそんな感じの能力」
しかしそう言う砂音自身はぺりぺりなんて可愛い所作ではなく、屋上から白地さんを突き落としている。
「ちょっと能力のコピーにミスって、私は殺さないといけなくなっちゃったの。代わりに元々の能力と上手く混ざってくれて、感染するようになったから良いんだけど。それはともかく、だからね」
本当の意味では殺してないんだよ、と。
「……なるほど、」よくわからない。
その相槌で追加の説明を促したつもりだったけれど、エコいでしょ。と、なおさらよくわからない造語で締めくくられる。
僕は理解できたような理解できないような、やっぱり意味不明といった具合の、ラー油感覚を舌先に覚える。
まぁ、そこは本質ではないのでスルー。
改めて。
「じゃあ動機は何?」
「言ったでしょ、復讐だって」
「……それじゃあ、君は」
脳裏に浮かんだのは皆葉くんの言葉。
「君たちは、可哀想なの?」
「……」
ふと表情が消えて、見つめ返される。
「お兄ちゃんは」問い返される。「私たちのこと可哀想だと思わないの」
本当にわからないような、不思議そうな目で。きっと彼女が言う『私たち』には砂音や白地さんだけではなく、僕や浮月さん、挙げ句の果てには父や母のことも含めて、可哀想だと。自らのことを憐れむに相応しいと本当に考えているのだろう。
こちらが返答に悩んでいるうちに。
「……正義のヒーローってね」
何を思ったのか、また唐突に話が始まる。
「どうしてあそこまで頑張れるんだと思う?」
ほら、ニチアサの戦隊モノみたいな、と。
「……世界を救うため?」
「違うよ。そんな程度の動機で、週一の危機に立ち向かうなんて自己犠牲ができる人はたぶんいなくてさ」
それ以外に居場所がないからだよ、と。
「え」
「ああいったヒーローという名前の『化け物』が、社会に存在することを許されているのは『普通』な人たちのために身を削っている時だけなんだよ。だからあの人たちは命がけで戦えるんだ。みんなに受け入れてもらうために」
でもたぶん、世界中が平和になったら結局はお払い箱なんだけどさ。
「……」
「わかってるでしょ、私たちもきっと同じだよ」
「……だから君は」それはとっくに気付いていたことだった。「そんなものになってしまったの」
僕はかつて、浮月さんが指摘したことを思い出していた。今回の『異常』は視線が人間に向きすぎている、と。その時一方で、僕は確かこう思ったはずだ。僕ら『異常』は持って生まれてくる能力を自分で決められないはずなのに、と。
しかし思い返してみれば、一人だけ例外がいた。
それが砂音という存在で、彼女は自身の能力を恣意的に増やすことができる。ただしそれは不可逆な加算。だからこそ僕は、彼女がそうまでして人間相手に特化しすぎる覚悟の質を理解してしまう。二度と常人としてさえも生きてはいけないような『化け物』へと成り下がる意味を。
「……」
砂音は何も答えず、ただ力なく微笑んだ。
その程度の動作で、大した矜持もない僕は何も言えなくなってしまう。
「……」
だけど少しだけ、わかった気がした。
浮月さんが『普通部』を作った意味とか。どんな存在であれ『普通』を志さない限り、それは『普通』のうちにはカウントされないということ。
正直なところ、腹が立っていた。たぶん目の前の妹にではなく、むしろ自分自身に。
今この瞬間、砂音に伝えるべき言葉を何も思いつかないのは、きっと僕の内にこれまで積み上げてきたものが何もないからだ。
『異常』であることに甘んじたまま、ただ漫然と生きてきたことを初めて後悔した。
まぁ、ともあれ。そんなことを今更に嘆いても仕方なくて、外面のみを見てみればそこにはただ黙りこくる僕がいるだけだった。
妹の訝しげな視線に何でもないのだと頭を振る。
「さっきの返事だけどね」
言葉を。
「思わないよ」
そして、決別の言葉を。
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