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54.それでも僕は、楽しかったんです(完結)
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あれから気付けば一週間ほどの時間が経っていた。
それまでの間、僕と浮月さんは一連の後処理に追われて、かなり慌ただしい日常を送っていた。約六百人が夜の学校で暮らせるだけの寝具を色んな人と協力してこっそり運び入れたり、軽いいざこざの末、浮月さんが校舎に隠していた銃器がぜんぶ『影化』済みの教師に取り上げられてしまったり、『抑止力』への報告内容について巳寅さんと調整のために押し問答を重ねたり。そんな風に優先順位を付けていった結果、未だ僕らが教室に空けてしまった天井は修繕されていなかったり。
そういえば後から聞いて苦笑してしまったのだけど、あの勝負において敵側の勾玉を所持していたのは皆葉くんだったらしい。そこまで重要な役割を背負っていながら、僕の前では微塵もそんな気配を感じさせなかったのだから彼の食えなさ具合も相当で、今考えればそんな理由もあったから、彼は僕の拙い命乞いを受け入れたのかもしれない、なんて。
つらつらとそんなことを考えていたから、危うくデインズさんの一言目を聞き逃すところだった。
「それで、結局坊やは」
先述のように、僕の周囲では大体のところが予想通りに片付き、いくらか一息つけるようになったのもつい先日のこと。ようやくこの老婆と落ち着いて会話する時間が取れたのは、やっぱり道に迷った挙句の夜の公園だった。
「これからどう生きていくつもりなの」、と。
「……」
アポイントメントはもちろんなく、今日も今日とて勝手に迷わされて導かれた上に、出会い頭のこちらが座らないかのうちからこんなことを言い出すのだから、僕としても返答に困ってしまう。相変わらずの死にチャンネルが古いラジオから流れていて、僕はひとまず彼女の隣に腰を下ろすことにした。
少ない街灯が夜風に揺れて、暗がりから虫たちのため息が聞こえる。
「それは以前に尋ねたのと同じ意味ですか?」
と、尋ね返す。以前というのは牛丼を奢ってもらったあの日で、質問というのは人か化け物かというあれのつもりだった。彼女は億劫そうに頷く。
「私はあんたらが負けると思っていたんだよ」、と。
「……」
「もちろん『影血鬼』の嬢ちゃんにという意味じゃないよ。あの男に利用されて終わるだろうと、思っていたのさ」
あの男、つまり巳寅さん。
「その方が僕にとっても幸せだったと?」
棘が含まれてしまった僕の問いかけに、彼女はしかし答えないまま自身の手元へと視線をやるだけだった。
「星田勝彦が選んだのと同じ道だよ」、と。
「……」
「あれは間違いなく幸せだった。そうだろう?」
「……はい」
その指摘はまったく正しいと、少なくとも僕はそう思う。彼は最愛の人と家族になれて偽りなく毎日が楽しそうだった。それこそ死んでも死にきれないほどに。
「本心から望むものを諦めた時、人は初めて本当の意味で幸福になれるのだと、あれだけが知っていた。だからこそ未だ星田勝彦の裏切りを許せない者は多い。内心ではこの上なくその在り方をうらやみながら、彼らはあれを許すこともあれに追随することもできないでいる」
まるで呪いだよ、とため息混じりに。
少し考えたのち、僕は尋ねてみる。
「……僕もその呪いにかかっているように見えますか?」、と。
「坊やはもっとたちが悪い」
「……」
そうきっぱり断言されてしまうのも相変わらず、なんて思いつつ。
「僕の答えなら、この前にも言ったはずです」、と。
『普通』になりたい。
それがかつての僕の答えで、今も変わることはないひとつの信念だった。
しかし僕の返答にデインズさんは何の反応も見せなかった。ただ帽子を取って手元に置き、広々とした沈黙だけが二人の隙間に置かれて。
気付けば伝えるつもりもなかったのように。
「それはあんたの想像以上にキツい道のりだよ」、と。
抑揚のない声でその言葉だけが放り出されていた。
ふと横を見やれば驚くほど年老いてしまった女性の哀れみが、苦悩と同じ数だけ皺が刻まれたその口元には浮かんでいた。
「……浮月さんが」僕は話を逸らすかのように。「自分自身のバックアップを取っていたんです」
もちろん結局は同じ話なのだけど。
それは今からほんの数日ほど前のこと。何気ない会話の折に浮月さんは思い詰めたようにこう切り出したのだった。
「今度うちへ遊びに来ませんか星田くん」
「……どうして、浮月さん?」
そう尋ねた僕に、彼女は仄かな恥じらいを含んだ笑みで。
「私ってまだ、誰ともゲーム対戦をしたことがないんです」、と。
……。
これに僕はどう返したかは覚えていないし、その時上手く笑えていたかはさらに心もとない。
低い建物囲まれて夜空の広すぎる公園の底で、ラジオノイズだけが孤独な生き物のように冷たい地面を這っていた。デインズさんはため息にも似た声音で。
「つまり?」、と。
「つまり」僕は少し考えて。「やっぱりここ半月ほどの記憶が彼女の中には残ってなかったみたいなんです」
その記憶はあくまで僕と二百十四人目の浮月さんと過ごした日々であって。今僕の隣りにいる二百十三人目の浮月さんはといえばその頃、ずっと地下牢に閉じ込められていたはず。
つい先日、そんな当たり前を眼前に突き出された僕は愚かしくも。
「『異常』って怖いなと、初めて思いました」
「……」
「言えなかったんですよ。この前、僕らは一緒にゲームしたんだよって。浮月さんが勝てなさ過ぎて最後には涙目だったと、そう冗談にもできたはずなのに。僕はどうしても今の浮月さんに、彼女自身の過去を伝えることができなかったんです」
思い知らされたのだ。生きている時空が比喩抜きに違う、と。
こちらが常識だと思っていた物事はあっけなく取り壊されて、気付けば別の道理を背骨代わりに通されている。
正直、僕はあの夜に自らの手で殺してしまった二百十四人目の浮月さんという存在を、自分の中に上手く消化し切ることができないままでいた。彼女の生き死にのシステムには、僕が十六年かけて培ってきた倫理観を容易く踏み越える程度の複雑さが組み込まれている。
「しかし、あんたが言う怖さってのは」
と、デインズさんは意地悪そうに口の端を吊り上げて。
「結局それは、ただ面倒くさいというだけなんじゃないのかい」
意外なその単語に束の間、言葉を失ってしまう。
「……面倒くさい?」
そうさ、と老婆は頷く。
「あんたは恐らく『忌み雛』の嬢ちゃんに対して、自身の人生が費やされることを恐れているだけなんだ」
「……」
確かに『異常』な存在との共存とは即ち、互いが暮らす世界間の断絶を擦り合わせるためだけに、相互リソースが尋常でなく削られることを繰り返す過程そのものなのかもしれない。
デインズさんは感情を押し隠したような震える笑みのままで。
「私らの寿命は人より多少長いが、それでもやはり永遠ではない。だからこそ時間や労力の浪費を恐れる。その恐怖自体は生き物として何ら間違ったことでもないのだろうが、あんたの望む未来における障害はきっと、ほとんどこのシンプルな一点から与えられるものだよ」
あまりにシンプルな損失だからこそ誰もが立ち向かうことを諦めてきたんだ、と。
恐らく実感から滲み出るのだろうその言葉には、鉛のような重みがあった。
……。
「それでも」と、何かを突き破るかのように僕は口を開く。
静かに息を吸って。
大丈夫だ。この一言を声に出せたなら、僕はもう大丈夫だ。
語ることをやめない。物語ることを諦めてはいけない。
「それでも僕は、楽しかったんです」、と。
「……楽しかった?」
訝しげな彼女に、僕は視線を逸らさないまま頷く。
「浮月さんと出会って、白地さんに襲われて、砂音と対立して。大変だったし何度も死ぬかと思ったし苦しくツラいこともいっぱいあったけれど」
それでも『異常』とともに生きるということは楽しかったんです、と。
「浪費だなんて誰にも言わせるつもりはありません。他者と共存していくために費やされる時間そのものが、かけがえのない価値であるはずだからです。生き残ることには本質的な意味なんてない。ならばむしろ、僕たちはより広く煩雑な共存を望むことに意味を持たせることが出来るはずです。『普通』であろうとするということの枠の内側には、そういった可能性が組み込まれていると僕は信じています」
老婆はしかし、呆れたような疲れを滲ませて微笑んだ。
「それはきっと、神に歯向かうような途方もない理想だよ」
「それでも僕は目指しますよ。だって仕方ないじゃないですか」
いつの間にか口元に笑みがこぼれるのを抑えきれていなかった。
そしてその子どもじみた理想の原動力を、恥ずかしげもなく言葉にした。
みんなが仲良く暮らせたら、この世界はもっと楽しくなるはずなんですから。
それまでの間、僕と浮月さんは一連の後処理に追われて、かなり慌ただしい日常を送っていた。約六百人が夜の学校で暮らせるだけの寝具を色んな人と協力してこっそり運び入れたり、軽いいざこざの末、浮月さんが校舎に隠していた銃器がぜんぶ『影化』済みの教師に取り上げられてしまったり、『抑止力』への報告内容について巳寅さんと調整のために押し問答を重ねたり。そんな風に優先順位を付けていった結果、未だ僕らが教室に空けてしまった天井は修繕されていなかったり。
そういえば後から聞いて苦笑してしまったのだけど、あの勝負において敵側の勾玉を所持していたのは皆葉くんだったらしい。そこまで重要な役割を背負っていながら、僕の前では微塵もそんな気配を感じさせなかったのだから彼の食えなさ具合も相当で、今考えればそんな理由もあったから、彼は僕の拙い命乞いを受け入れたのかもしれない、なんて。
つらつらとそんなことを考えていたから、危うくデインズさんの一言目を聞き逃すところだった。
「それで、結局坊やは」
先述のように、僕の周囲では大体のところが予想通りに片付き、いくらか一息つけるようになったのもつい先日のこと。ようやくこの老婆と落ち着いて会話する時間が取れたのは、やっぱり道に迷った挙句の夜の公園だった。
「これからどう生きていくつもりなの」、と。
「……」
アポイントメントはもちろんなく、今日も今日とて勝手に迷わされて導かれた上に、出会い頭のこちらが座らないかのうちからこんなことを言い出すのだから、僕としても返答に困ってしまう。相変わらずの死にチャンネルが古いラジオから流れていて、僕はひとまず彼女の隣に腰を下ろすことにした。
少ない街灯が夜風に揺れて、暗がりから虫たちのため息が聞こえる。
「それは以前に尋ねたのと同じ意味ですか?」
と、尋ね返す。以前というのは牛丼を奢ってもらったあの日で、質問というのは人か化け物かというあれのつもりだった。彼女は億劫そうに頷く。
「私はあんたらが負けると思っていたんだよ」、と。
「……」
「もちろん『影血鬼』の嬢ちゃんにという意味じゃないよ。あの男に利用されて終わるだろうと、思っていたのさ」
あの男、つまり巳寅さん。
「その方が僕にとっても幸せだったと?」
棘が含まれてしまった僕の問いかけに、彼女はしかし答えないまま自身の手元へと視線をやるだけだった。
「星田勝彦が選んだのと同じ道だよ」、と。
「……」
「あれは間違いなく幸せだった。そうだろう?」
「……はい」
その指摘はまったく正しいと、少なくとも僕はそう思う。彼は最愛の人と家族になれて偽りなく毎日が楽しそうだった。それこそ死んでも死にきれないほどに。
「本心から望むものを諦めた時、人は初めて本当の意味で幸福になれるのだと、あれだけが知っていた。だからこそ未だ星田勝彦の裏切りを許せない者は多い。内心ではこの上なくその在り方をうらやみながら、彼らはあれを許すこともあれに追随することもできないでいる」
まるで呪いだよ、とため息混じりに。
少し考えたのち、僕は尋ねてみる。
「……僕もその呪いにかかっているように見えますか?」、と。
「坊やはもっとたちが悪い」
「……」
そうきっぱり断言されてしまうのも相変わらず、なんて思いつつ。
「僕の答えなら、この前にも言ったはずです」、と。
『普通』になりたい。
それがかつての僕の答えで、今も変わることはないひとつの信念だった。
しかし僕の返答にデインズさんは何の反応も見せなかった。ただ帽子を取って手元に置き、広々とした沈黙だけが二人の隙間に置かれて。
気付けば伝えるつもりもなかったのように。
「それはあんたの想像以上にキツい道のりだよ」、と。
抑揚のない声でその言葉だけが放り出されていた。
ふと横を見やれば驚くほど年老いてしまった女性の哀れみが、苦悩と同じ数だけ皺が刻まれたその口元には浮かんでいた。
「……浮月さんが」僕は話を逸らすかのように。「自分自身のバックアップを取っていたんです」
もちろん結局は同じ話なのだけど。
それは今からほんの数日ほど前のこと。何気ない会話の折に浮月さんは思い詰めたようにこう切り出したのだった。
「今度うちへ遊びに来ませんか星田くん」
「……どうして、浮月さん?」
そう尋ねた僕に、彼女は仄かな恥じらいを含んだ笑みで。
「私ってまだ、誰ともゲーム対戦をしたことがないんです」、と。
……。
これに僕はどう返したかは覚えていないし、その時上手く笑えていたかはさらに心もとない。
低い建物囲まれて夜空の広すぎる公園の底で、ラジオノイズだけが孤独な生き物のように冷たい地面を這っていた。デインズさんはため息にも似た声音で。
「つまり?」、と。
「つまり」僕は少し考えて。「やっぱりここ半月ほどの記憶が彼女の中には残ってなかったみたいなんです」
その記憶はあくまで僕と二百十四人目の浮月さんと過ごした日々であって。今僕の隣りにいる二百十三人目の浮月さんはといえばその頃、ずっと地下牢に閉じ込められていたはず。
つい先日、そんな当たり前を眼前に突き出された僕は愚かしくも。
「『異常』って怖いなと、初めて思いました」
「……」
「言えなかったんですよ。この前、僕らは一緒にゲームしたんだよって。浮月さんが勝てなさ過ぎて最後には涙目だったと、そう冗談にもできたはずなのに。僕はどうしても今の浮月さんに、彼女自身の過去を伝えることができなかったんです」
思い知らされたのだ。生きている時空が比喩抜きに違う、と。
こちらが常識だと思っていた物事はあっけなく取り壊されて、気付けば別の道理を背骨代わりに通されている。
正直、僕はあの夜に自らの手で殺してしまった二百十四人目の浮月さんという存在を、自分の中に上手く消化し切ることができないままでいた。彼女の生き死にのシステムには、僕が十六年かけて培ってきた倫理観を容易く踏み越える程度の複雑さが組み込まれている。
「しかし、あんたが言う怖さってのは」
と、デインズさんは意地悪そうに口の端を吊り上げて。
「結局それは、ただ面倒くさいというだけなんじゃないのかい」
意外なその単語に束の間、言葉を失ってしまう。
「……面倒くさい?」
そうさ、と老婆は頷く。
「あんたは恐らく『忌み雛』の嬢ちゃんに対して、自身の人生が費やされることを恐れているだけなんだ」
「……」
確かに『異常』な存在との共存とは即ち、互いが暮らす世界間の断絶を擦り合わせるためだけに、相互リソースが尋常でなく削られることを繰り返す過程そのものなのかもしれない。
デインズさんは感情を押し隠したような震える笑みのままで。
「私らの寿命は人より多少長いが、それでもやはり永遠ではない。だからこそ時間や労力の浪費を恐れる。その恐怖自体は生き物として何ら間違ったことでもないのだろうが、あんたの望む未来における障害はきっと、ほとんどこのシンプルな一点から与えられるものだよ」
あまりにシンプルな損失だからこそ誰もが立ち向かうことを諦めてきたんだ、と。
恐らく実感から滲み出るのだろうその言葉には、鉛のような重みがあった。
……。
「それでも」と、何かを突き破るかのように僕は口を開く。
静かに息を吸って。
大丈夫だ。この一言を声に出せたなら、僕はもう大丈夫だ。
語ることをやめない。物語ることを諦めてはいけない。
「それでも僕は、楽しかったんです」、と。
「……楽しかった?」
訝しげな彼女に、僕は視線を逸らさないまま頷く。
「浮月さんと出会って、白地さんに襲われて、砂音と対立して。大変だったし何度も死ぬかと思ったし苦しくツラいこともいっぱいあったけれど」
それでも『異常』とともに生きるということは楽しかったんです、と。
「浪費だなんて誰にも言わせるつもりはありません。他者と共存していくために費やされる時間そのものが、かけがえのない価値であるはずだからです。生き残ることには本質的な意味なんてない。ならばむしろ、僕たちはより広く煩雑な共存を望むことに意味を持たせることが出来るはずです。『普通』であろうとするということの枠の内側には、そういった可能性が組み込まれていると僕は信じています」
老婆はしかし、呆れたような疲れを滲ませて微笑んだ。
「それはきっと、神に歯向かうような途方もない理想だよ」
「それでも僕は目指しますよ。だって仕方ないじゃないですか」
いつの間にか口元に笑みがこぼれるのを抑えきれていなかった。
そしてその子どもじみた理想の原動力を、恥ずかしげもなく言葉にした。
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