生者の証明

桃色うさぎ

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 感情に流された結果の荒い呼吸を整えながら、木原も上総も温かなぬくもりを身体に感じていた。

 上総はもう、さっきまでの気持ちが氷解していたことに気付いた。
 死にたくなくなっていた。
 この自分の身体と合わせている身体を、この温度を手放したくなくなっていた。

 さっきまでの寒さが嘘のように、互いの肌は、ほんのりと熱に染まっている。 

 おじいちゃん、僕、腹切れなかったよ。
 死ねなかったよ。
 なのに、おじいちゃんに似たヒトを抱いて、そのヒトにはキズをつけるだけで。 
 ・・・・僕は弱い。
 卑怯者だ。 
 結局、男にはなれなかった。
 おじいちゃんとの約束を守れなかった。

 ポツリ、と上総の目から熱い滴が流れる。

「上総。」

 木原は、けだるそうに身体を起した。
 そしてそっと上総の身体を抱きしめてきた。

「お前は、祖父の死に捕らわれているだけだ。
 償いの仕方は一つじゃない。
 ・・・それに俺を置いていくのは許さない。」

 そのきっぱりとした物言いに、上総はさらに涙がこぼれた。  

 いけない、このヒトに甘えてはいけない。

 そう心では思っているのだけれど、その抱きしめられた体の温かさに身体が痺れるのを感じた。
 癒されるのを感じた。
 そっと頭を撫でられる。
 ・・・そこに祖父の温かさを感じて、上総は木原の胸元を涙で濡らした。
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