これを非日常とよばないのなら

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1話 これが私

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つまらない、あぁ、つまらない…。
私は五十嵐栞
何処にでもいるごく普通の高校2年生
部活?もちろん無部

私は生まれてから今までずっと人生は退屈なものだと思っている
これは私が田舎に住んでいるから、というせいもあるかもしれない。
電車やバスはあるが1時間に1本程度。
人も沢山住んでるわけじゃないし、土地はこれでもかっていうぐらい広いから交通手段は皆車。

歩道を歩いてる人なんて誰もいない。

そんな、人が歩いていない歩道を私はひとりで歩いている。

今日は休日で学校が休みなのだ。
友達はいない訳では無い、ただみんな部活に入っているため休日は部活に明け暮れている。

今はどこに行くわけでもなくただただ散歩をしているのだ。

「あ、ねこ…」

アスファルトの上でお日様に照らされ身体をくねらせて眠っている猫を見つけた。

「おいでー、おいでー」

猫は自由気ままである。
昔猫を飼っていたことがあるため、猫の性格は知っているつもりだ。

「え、鼻で笑った!?;」

おいでと呼ぶ私を見て鼻で笑う猫
昔飼っていた猫は私を鼻で笑うことはなかった為凄く驚いた

「猫に馬鹿にされる私って…」

さすがに傷ついてしまった。

「綺麗な黒い毛だからって調子乗るなよ!!
わたあめと見間違えられて子供に食べられてしまえ!!」

…決して負け犬の遠吠えではない。私が違うと言ったら違う。



猫と別れ次は駄菓子屋に向かうことにした
田舎には田舎の良いところがあると思う。

私が思う田舎の良いところは駄菓子屋が多いというところだけなのだが…。

「こんにちはー
おばあちゃん、元気ー?
お菓子買いに来たよー」

ここの駄菓子屋のおばあちゃんには私が小学生の時からお世話になっている。

小学生の時は親から貰う少ないお小遣いでよくお菓子を買っていたが、今は高校生。
小学生の頃もらっていたお小遣いの倍の倍位はもらっている。

私は小学生の頃よりかなり増えたお小遣いで週一で、ここの駄菓子屋で大人買いをするのだ。

「あんだって~?お客かい?
カップラーメンが出来上がる前に終わらせておくれよ…。
…どっこらせ。
……おぉ!栞じゃないかい!!
あんたまた来たのかい、そろそろおやつも控えないと太るわよ?」

口が達者なおばあちゃんである。

私はこの駄菓子屋でいつも梅ジャムというのを買っている。
甘酸っぱく、目をつぶらないと食べれないほど酸っぱいものもあるのだが私はこれが癖になってしまい、毎日食べている。

「余計なお世話!
だいたい私が買わないとこのお店潰れちゃうでしょ。
もう少し感謝して欲しいくらいだよ!」

「はいはい、それは何回も聞いたよ。
カップラーメンが出来上がる前にさっさとら終わらせたいから早くしておくれ
いつもの梅ジャムだろ?」

「え、私よりカップラーメンをとるの?
私カップラーメンに負けたの?」

「栞がカップラーメンに勝てる日が来るはずないだろ?」

実にショックだ。
さっきの猫といい、私はどれだけ馬鹿にされればいいのだろうか

「まぁいいよ。
はいお金
また来るからねー」

私はおばあちゃんにお金を渡し、駄菓子屋の扉を開け外に出た

「あれ、さっきの猫…」

先ほど私を鼻で笑った黒猫が駄菓子屋の前で大人しく座っていた

「違う猫じゃない…よね?
尻尾も鍵になってるし…」

鍵のしっぽを持つ猫は幸運を呼ぶ猫といわれている
鍵ねこはあまり見かけることがないため
先ほどの猫で間違いないはずだ

「さっきのばしょからここまで来たの?
かなり離れてるはずなんだけど…」

猫は不思議そうな顔をしていた

「お前飼い猫?
飼われてないなら私の家にくるか?」

冗談でいったつもりだった。
なのに黒猫は私の胸に飛び乗り
「にゃー」とないた

「あ、まじで…? 
お母さんいいよって言ってくれるかなー。
まぁ聞いてみなきゃわからないか、さっさと帰ろ」

家までかなりの距離があるが、
猫を胸に抱いたまま
家へと帰ることにした




この猫が私を振り回すことになるとも知らずに
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