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伊吹は
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ぬる、と入った舌先に、有都さんは直ぐに応えてくれた。わざとらしいくらいの水音を鳴らして、唇に、舌に噛みつき、吸う。
キスなんて勉強したことも、誰かのものをじっくり見たこともない。
アルベールとレオンがしてたもの。有都さんと玲於さんがしてたものくらい。
それから、おれがしてもらったもの。だからこれは、おれがふたりから習ったキスだ。
ふたりのキスがやたらと迫力と色気があるのを毎回どきどきしながら見ていた。
つまりアルベールの、有都さんのキスは玲於さんから見てもきっとすごい。多分。その筈。
「ん、んう、ゔ……」
有都さんは耳元や髪を撫でることが多い。安心させるかのように。
それすらも刺激になって背中をぞくぞくさせるのだけれど。
優しくて、やらしいキスだと思う。
「は……ん、ぅ」
「……いいね、伊吹が積極的で嬉しい」
「だって……」
「ん、悔しいもんね?あんなこと言われたら。伊吹は玲於さんに触って貰いたいのにね?」
玲於さんに聞こえないくらいの小さな声だった。
違う、それはまた、ニュアンスが違う。
玲於さんに、じゃない。
玲於さんにも、だ。
ふたりがいい。おれは甘やかされ過ぎて我儘になってしまったから。もうどちらかを選ぶかだなんて、そんな選択肢すらないんだ。
「……ちが、ど、どっちも、ふたりがいい、」
「素直な伊吹、かわいくてだいすき。じゃあ少し、恥ずかしいのは我慢出来るよね?」
「え」
頑張ろうね、と言うと同時に足をぐいと開かれた。
長めの裾がワンピースのようになってるとはいえ、そう足を開かれては中が丸見えになってしまう。慌てて裾を引っ張っても主張したそこを隠すのは難しかった。
これは色気のある格好というより、間抜けな格好ではないだろうか。
「裾上げて」
「や、やだ、って……」
「でも汚れちゃう、裾。ね?」
「あ」
汚れちゃう、っていうか、もう汚しちゃってるんだけど。
それでもそう言われてしまうと、ひとの服を自分のそんな体液で汚してしまうということに羞恥心と罪悪感に襲われる。
裾を捲るのは恥ずかしい。本当に、すっごく、死ぬ程恥ずかしいんだけど。
でも染みのように色付いたシャツをじっと見ているのも見られるのも恥ずかしかった。
そろそろと手を引くと、そこに視線を感じる。
玲於さんも有都さんも見てる。おれのしていることを、おれの躰を。
恥ずかしくて死にそう。
それなのに、耳元でもう少し、と言われると、その手を止められなかった。
玲於さんをその気にさせるつもりが、自分がその気にさせられてどうすんの。
「ん……」
「よく出来ました」
「……これえっ……は、はずかし……っ」
「それがいいんじゃない、恥ずかしそうな伊吹かわいいよ、すごく」
「かわいくてもっ……」
「おなかもかわいいね」
「ンっ」
「大丈夫、ちゃんと誘えてるよ」
あまりの恥ずかしさにふたりのかおは見れなかった。
刺さるような視線と、開いた足を撫でる手、楽しそうな有都さんの、少し湿ったような柔らかい声。
何より腰に当たるモノで、有都さんが興奮してくれてるのはわかる、けど。
「もっと手は上に上げられないか」
「無理いっ……」
「そこが限界か」
「でもこれはこれでいいでしょう」
「まあ……そうだなあ」
「あッう、」
流石に胸元まで晒すことは出来なかった。ぎゅうと裾を握り締めた指先が震える。
幾ら記憶があったって、初心者にこれ以上求めないでほしい。一応おれ、今夜が初めてになるんだからね。
睨む先が床しかなくて、頭を上げないおれの下腹部に有都さんが手を滑らせた。
肩を震わせると、息を呑む音が聞こえる。
そっと指先が動いて、すぐ下に降りて、焦らしもせずに自身に触れた。
既に勃ち上がってたそこはすぐに快感を拾う。
初めてだろうとなんだろうと、そこはいちばん素直な場所だった。
「……っあ、ん、う」
裾を捲ってるお陰で口元を覆うことが出来なかった。
声が出ちゃう、それだって恥ずかしいことに変わりはないんだけど止められない。すぐに有都さんの指が口元を割って入ってきたから。
まるで口を閉じさせないとしてるかのよう。いや、そうなんだけど。
おれだって裾から手を離してしまえばよかったんだけど、それが出来なかった。
もう前からだらだらと先走りが溢れていて、手を離せばまたシャツを汚してしまう。
でもそんなのはただの言い訳で、本当は自分が堪らなくなってるだけ。
……胸を触られるより、自身に触れられる方がずっと気持ちよかった。不思議と自分で触るよりも。
もうちょっと、触ってもらえたら。そう勝手に腰が揺れて、また玲於さんのことを思い出した。
「……!」
上から見下ろす形の有都さんとは違って、真正面から見てる玲於さんには全部見られてる。
有都さんに閉じられなくされた口元も、自分で捲った下半身も、揺らした腰も、どろどろの自身も、気持ち良くなったかおも。
そう気付くと、ぶわ、とかおがあつくなった。
最初からわかってた筈なのに。
きっと瞳を開くと、玲於さんはこっちを見てるだろう。さっきまで視線は刺すようだった。
氷とグラスのぶつかる音がして、次いで何かが動く音。
思ったより早かったですね、と揶揄うように有都さんが笑う。
それに応えたのは、近くで見る方が楽しい、という少しいじわるな声。
キスなんて勉強したことも、誰かのものをじっくり見たこともない。
アルベールとレオンがしてたもの。有都さんと玲於さんがしてたものくらい。
それから、おれがしてもらったもの。だからこれは、おれがふたりから習ったキスだ。
ふたりのキスがやたらと迫力と色気があるのを毎回どきどきしながら見ていた。
つまりアルベールの、有都さんのキスは玲於さんから見てもきっとすごい。多分。その筈。
「ん、んう、ゔ……」
有都さんは耳元や髪を撫でることが多い。安心させるかのように。
それすらも刺激になって背中をぞくぞくさせるのだけれど。
優しくて、やらしいキスだと思う。
「は……ん、ぅ」
「……いいね、伊吹が積極的で嬉しい」
「だって……」
「ん、悔しいもんね?あんなこと言われたら。伊吹は玲於さんに触って貰いたいのにね?」
玲於さんに聞こえないくらいの小さな声だった。
違う、それはまた、ニュアンスが違う。
玲於さんに、じゃない。
玲於さんにも、だ。
ふたりがいい。おれは甘やかされ過ぎて我儘になってしまったから。もうどちらかを選ぶかだなんて、そんな選択肢すらないんだ。
「……ちが、ど、どっちも、ふたりがいい、」
「素直な伊吹、かわいくてだいすき。じゃあ少し、恥ずかしいのは我慢出来るよね?」
「え」
頑張ろうね、と言うと同時に足をぐいと開かれた。
長めの裾がワンピースのようになってるとはいえ、そう足を開かれては中が丸見えになってしまう。慌てて裾を引っ張っても主張したそこを隠すのは難しかった。
これは色気のある格好というより、間抜けな格好ではないだろうか。
「裾上げて」
「や、やだ、って……」
「でも汚れちゃう、裾。ね?」
「あ」
汚れちゃう、っていうか、もう汚しちゃってるんだけど。
それでもそう言われてしまうと、ひとの服を自分のそんな体液で汚してしまうということに羞恥心と罪悪感に襲われる。
裾を捲るのは恥ずかしい。本当に、すっごく、死ぬ程恥ずかしいんだけど。
でも染みのように色付いたシャツをじっと見ているのも見られるのも恥ずかしかった。
そろそろと手を引くと、そこに視線を感じる。
玲於さんも有都さんも見てる。おれのしていることを、おれの躰を。
恥ずかしくて死にそう。
それなのに、耳元でもう少し、と言われると、その手を止められなかった。
玲於さんをその気にさせるつもりが、自分がその気にさせられてどうすんの。
「ん……」
「よく出来ました」
「……これえっ……は、はずかし……っ」
「それがいいんじゃない、恥ずかしそうな伊吹かわいいよ、すごく」
「かわいくてもっ……」
「おなかもかわいいね」
「ンっ」
「大丈夫、ちゃんと誘えてるよ」
あまりの恥ずかしさにふたりのかおは見れなかった。
刺さるような視線と、開いた足を撫でる手、楽しそうな有都さんの、少し湿ったような柔らかい声。
何より腰に当たるモノで、有都さんが興奮してくれてるのはわかる、けど。
「もっと手は上に上げられないか」
「無理いっ……」
「そこが限界か」
「でもこれはこれでいいでしょう」
「まあ……そうだなあ」
「あッう、」
流石に胸元まで晒すことは出来なかった。ぎゅうと裾を握り締めた指先が震える。
幾ら記憶があったって、初心者にこれ以上求めないでほしい。一応おれ、今夜が初めてになるんだからね。
睨む先が床しかなくて、頭を上げないおれの下腹部に有都さんが手を滑らせた。
肩を震わせると、息を呑む音が聞こえる。
そっと指先が動いて、すぐ下に降りて、焦らしもせずに自身に触れた。
既に勃ち上がってたそこはすぐに快感を拾う。
初めてだろうとなんだろうと、そこはいちばん素直な場所だった。
「……っあ、ん、う」
裾を捲ってるお陰で口元を覆うことが出来なかった。
声が出ちゃう、それだって恥ずかしいことに変わりはないんだけど止められない。すぐに有都さんの指が口元を割って入ってきたから。
まるで口を閉じさせないとしてるかのよう。いや、そうなんだけど。
おれだって裾から手を離してしまえばよかったんだけど、それが出来なかった。
もう前からだらだらと先走りが溢れていて、手を離せばまたシャツを汚してしまう。
でもそんなのはただの言い訳で、本当は自分が堪らなくなってるだけ。
……胸を触られるより、自身に触れられる方がずっと気持ちよかった。不思議と自分で触るよりも。
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「……!」
上から見下ろす形の有都さんとは違って、真正面から見てる玲於さんには全部見られてる。
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そう気付くと、ぶわ、とかおがあつくなった。
最初からわかってた筈なのに。
きっと瞳を開くと、玲於さんはこっちを見てるだろう。さっきまで視線は刺すようだった。
氷とグラスのぶつかる音がして、次いで何かが動く音。
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