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19.ビックリな真実
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ノックをきっちり三回。すると、「開いている」との懐かしい声。
わたしは思いっ切りドアを開けた。
「みんなー、ただいま~っ!」
ソファで寝そべっていたヴァンが、がばっと起き上がる。ビックリした顔。ふふふ、なんかかわいい。
大きな机に備え付けの、いつものイスに座っていたマオは、まるでわたしが来るのが分かっていたような静かな笑みを浮かべていた。
「ちょ、おま、え? なんでここにいるんだ⁉」
ヴァンは動揺しつつ、こっちに近づいてきた。そのまま、きれいな指でわたしのほほをぐにっとつねる。ドキドキするけど、痛い!
「いだだだ、あにすんのよ!」
「夢じゃ、ないみたいだな」
もう! 人のほっぺたで、試すな! ……うれしいけど。
わたしの声を聞いた他の管理人たちも、それぞれの部屋から出てきた。
「エートちゃん!」
「エートが帰ってきたぞー!」
「おかえりー、エート!」
みんなにもみくちゃにされながら、わたしはマオに向かって報告。
「マオ。エート、提示されていた条件の通り、ただ今戻りました!」
みんなが、条件? と首をかしげる。
そう、実は、管理人をやめるって話をしにいった時に、マオはわたしの耳元で、こんな条件をささやいたのだ。
『このダンジョン・マンションの管理人を、完全に嫌になるか、完全に満足しきるか。そのどちらかの時に限り、管理人をやめることを許可する』
わたしは当然、嫌になんてなってない。
それに、満足しきってもいないんだ。
だって、まだまだヴァンについてまわる、ひよっこの管理人だもん。
「おい、城にいなくていいのかよ。まさか、また抜け出してきたのか」
からかうように言うヴァンの問いに向かって、わたしは笑顔で答える。
「ううん。正式に、『修行』として、父さんに、ここに勤めることを許可してもらったの!」
竜倒公爵からは、わたしが次期女王になるという推薦状をもらった。
でも、そのことに多くの国民がまだ不安と、大きな不満をもっている。今までの常識が、がらっと変わっちゃうわけだからね。
いくら竜倒公爵からのものでも、推薦状は一枚では足りない。
簡単にいうと、偉くて人望のある人からの推薦状がもっと必要だ。なんてったって、久々の「女王」だし。
だから、わたしから言ったのだ。
「この国を守れるようになるために、さらなる修行をしたい」ってね。
「わたしがここにまたやってこられたのは、みんなのおかげだよ。応援してくれて、本当にありがとう」
自由を勝ち取ろうと行動したのは、わたし。
でも、それを見守って、励ましてくれたのは、このダンジョン・マンションのみんな、なんだよね。
「ヴァンも、わたしのために戦ってくれてありがとうね」
「おう」
あの結婚の試練のあと……。
ヴァンは気絶したわたしを審判にたくして、飛び去っていったんだって。
わたしが帰還の呪文、唱えられなかったからね。
最後まで迷惑かけちゃったなぁ。
試合が終わった後も「すごい戦いを見た」って、会場は熱気に包まれていて、事態を収拾するのがたいへんだったってフローリアから聞いたよ。
……本当に、みんながんばってくれたんだ。
「そうだ、モンスターたちにもお礼を言わなきゃ。ムドーにも、エルノックにも……。でも……、キヨコには……」
キヨコには、言えない。
だって、彼女は、消えてしまったから。
わたしの瞳に、じわりと涙が浮かんでくる。
だけど、みんなは笑顔のままだ。なんだか、そわそわ、うきうきしてるのが伝わってくる。
……どうして? みんな、キヨコのことは、どうでもいいの?
そう思っていた時だった。
わたしは思いっ切りドアを開けた。
「みんなー、ただいま~っ!」
ソファで寝そべっていたヴァンが、がばっと起き上がる。ビックリした顔。ふふふ、なんかかわいい。
大きな机に備え付けの、いつものイスに座っていたマオは、まるでわたしが来るのが分かっていたような静かな笑みを浮かべていた。
「ちょ、おま、え? なんでここにいるんだ⁉」
ヴァンは動揺しつつ、こっちに近づいてきた。そのまま、きれいな指でわたしのほほをぐにっとつねる。ドキドキするけど、痛い!
「いだだだ、あにすんのよ!」
「夢じゃ、ないみたいだな」
もう! 人のほっぺたで、試すな! ……うれしいけど。
わたしの声を聞いた他の管理人たちも、それぞれの部屋から出てきた。
「エートちゃん!」
「エートが帰ってきたぞー!」
「おかえりー、エート!」
みんなにもみくちゃにされながら、わたしはマオに向かって報告。
「マオ。エート、提示されていた条件の通り、ただ今戻りました!」
みんなが、条件? と首をかしげる。
そう、実は、管理人をやめるって話をしにいった時に、マオはわたしの耳元で、こんな条件をささやいたのだ。
『このダンジョン・マンションの管理人を、完全に嫌になるか、完全に満足しきるか。そのどちらかの時に限り、管理人をやめることを許可する』
わたしは当然、嫌になんてなってない。
それに、満足しきってもいないんだ。
だって、まだまだヴァンについてまわる、ひよっこの管理人だもん。
「おい、城にいなくていいのかよ。まさか、また抜け出してきたのか」
からかうように言うヴァンの問いに向かって、わたしは笑顔で答える。
「ううん。正式に、『修行』として、父さんに、ここに勤めることを許可してもらったの!」
竜倒公爵からは、わたしが次期女王になるという推薦状をもらった。
でも、そのことに多くの国民がまだ不安と、大きな不満をもっている。今までの常識が、がらっと変わっちゃうわけだからね。
いくら竜倒公爵からのものでも、推薦状は一枚では足りない。
簡単にいうと、偉くて人望のある人からの推薦状がもっと必要だ。なんてったって、久々の「女王」だし。
だから、わたしから言ったのだ。
「この国を守れるようになるために、さらなる修行をしたい」ってね。
「わたしがここにまたやってこられたのは、みんなのおかげだよ。応援してくれて、本当にありがとう」
自由を勝ち取ろうと行動したのは、わたし。
でも、それを見守って、励ましてくれたのは、このダンジョン・マンションのみんな、なんだよね。
「ヴァンも、わたしのために戦ってくれてありがとうね」
「おう」
あの結婚の試練のあと……。
ヴァンは気絶したわたしを審判にたくして、飛び去っていったんだって。
わたしが帰還の呪文、唱えられなかったからね。
最後まで迷惑かけちゃったなぁ。
試合が終わった後も「すごい戦いを見た」って、会場は熱気に包まれていて、事態を収拾するのがたいへんだったってフローリアから聞いたよ。
……本当に、みんながんばってくれたんだ。
「そうだ、モンスターたちにもお礼を言わなきゃ。ムドーにも、エルノックにも……。でも……、キヨコには……」
キヨコには、言えない。
だって、彼女は、消えてしまったから。
わたしの瞳に、じわりと涙が浮かんでくる。
だけど、みんなは笑顔のままだ。なんだか、そわそわ、うきうきしてるのが伝わってくる。
……どうして? みんな、キヨコのことは、どうでもいいの?
そう思っていた時だった。
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