ギルティ・アビリティ

皐月 遊

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一章 能力者の世界

6話 「偶然の連続」

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「僕が生徒会に…?」

「あぁ、はっきり言おう、お前を1人にすると危険なんだ。 お前を殺したのは、サラだろ?」

「! サラさんを知ってるんですか!?」

この人達はサラさんを知ってる。 何か分かるかもしれない。

「知ってるのは名前と容姿、後は能力だけだ」

「そ、そうですか…」

それは僕も知っている事だった。

「聞いていいですか?」

「あぁ、なんだ?」

「僕を1人にすると危険って、どういう事ですか?」

「さっきも言ったが、お前を殺したのはサラだ。 だがサラはお前が生き返った事を知らない。 そうだろ?」

「は、はい」

「サラがお前が生きてる事を知り、お前を見つけたら…」

凍夜さんは僕をジッと見て、言った。

「お前はサラが所属している組織に連れていかれ、実験される。 俗に言う人体実験だな」

「じ、人体実験!?」

なんだそれは……何故サラさんはそんな事を…?

「何故かって顔をしてるな。 ……それだけ俺達は貴重って事だよ」

一瞬、凍夜さんの顔が曇った気がした。

「だが俺達と一緒にいればお前を守る事が出来る。 もちろん働いてもらう事になるがな」

人体実験をされたらどうなるかは…聞かない方がいいだろう。

人体実験なんて絶対にされたくない、その為には生徒会に入れ…か。 

……目立つ事はしたくなかったんだけどな…。

「…分かりました。 生徒会に入ります」

「あぁ、歓迎する。 丁度今庶務が空いているんだ、お前は今日から庶務だ」

役職まで決まってしまった。

凍夜さんは嬉しそうに笑っている。 香夜さんはずっとニコニコしていて、アリスさんはずっと無表情だ。

「早速明日から放課後、生徒会室に来てくれ。 能力の事を教える」

「お、お願いします!」

僕は3人に頭を下げた。 守ってくれるのは本当に助かる。

「あぁ、じゃあアリス。 雷斗を家まで送ってやってくれ」

「え?」

「…はぁ!? 何で私が…!」

アリスさんが急に名前を呼ばれたからか、声を荒げる。

「だ、大丈夫ですよ! 1人で帰れますから!」

「いいや、サラに見つからないとも限らんだろ。 まだ雷斗は能力を使えない。 自分の身を守れないんだ」

「それはそうだけど、何で私が?」

「俺は会長としての仕事が残ってる」

「ごめんねアリスちゃん。 私今日は早めに帰らなきゃいけないの」

凍夜さんと香夜さんがそう言うと、アリスさんは諦めたように溜息を吐く。

「…分かったわよ、送ればいいんでしょ送れば」

アリスさんはそう言うと自分の鞄を手に取り…

「ほら、行くわよ」

僕にそう言って生徒会室から出て行った。

「え⁉︎ ちょっ…あ、あの! 明日からよろしくお願いします!」

僕は2人に頭を下げ、生徒会室から出た。

2人は笑顔で手を振っていた。

アリスさんに追いつくと、横に並んだ。

「はぁ…あんた、家はどこ?」

「あ、えっと…」

「早く言う!」

「は、はい! 空海二丁目です!」

「あら、偶然ね、私と同じじゃない。 逆方向じゃなくて良かったわ」

「ははは…」

なんだ、性格はキツイけど良い人じゃないか。
ぶっちゃけ送ってくれないと思ってた。

「忘れ物とかしてないわよね?」

「だ、大丈夫です」

「そ、なら行くわよ」

僕達は学校を出た。 まだ帰って居なかった生徒達は僕達をジロジロと見ている。

……いや、これは僕達っていうか、アリスさんを見てるんだな。

「どこか寄る所はあるの?」

アリスさんが歩きながら、言った。

「え?」

「だから、買い物とかはして行くのかって聞いてるの」

あぁそういう事か。

「いえ、まだ食材は残ってるので大丈夫です」

「そう」

もし僕が何処かに寄りたいと行ったら、アリスさんはついて来てくれたのだろうか?

「じゃあ、道案内よろしくね」

「は、はい」

アリスさんが僕の家を知ってるはずもないので、僕が少し前を歩く。

…っていうかこれ、本当は逆なんだよな。

「普通はこれ、逆よね」

アリスさんが僕が思っていた事と全く同じ事を言う。

僕はそれに思わず笑ってしまった。

「……何よ」

「い、いえ! すみません」

アリスさんの睨みが思った以上に怖くて、僕はすぐに笑うのをやめた。

……それにしても、まさか僕がこんな美少女と一緒に帰る日が来るとはな…

まぁ、こうなった理由が”死んだから”なんて可笑しな話だけどな。

「……僕にも、能力は使えますかね」

「さぁね、それはあなた次第よ。 能力が使えないなら使えないなりに出来る事をやればいいだけだしね」

「…アリスさんって、意外と優しいんですね」

「はぁ?」

今のはきっともし僕が能力を使えなかった時の為に言ってくれたんだろう。

能力が使えなくても別に見捨てたりはしないと。

「何を思って言ってるのか分かんないんだけど」

「いや、忘れて下さい」

「はぁ…?」

アリスさんは訳が分からないと言った顔をしている。

そんな事を話していたら、もう二丁目に入っていた。 もう僕の家はすぐそこだ。

「もう少しで家に着きます」

「え…? ここら辺なの?」

「? はい、そうですけど…」

アリスさんが驚いた顔をする。

何かおかしいだろうか。

そのまま少し歩くと、僕が住んでるアパートが見えてきた。

「このアパートが僕が住んでる家です」

そう言うと、アリスさんは溜息を吐いた。

「ま、まさかとは思ったけどね…」

「どうかしましたか?」

「はぁ…ちょっと着いてきて」

アリスさんが僕の少し前を歩き出したので、言われた通りについて行く。

そしてアリスさんはすぐに止まる。 

なんだ? 数歩しか歩いてないぞ?

アリスさんが止まったのはアパートの左側に立っているマンションの前だ。

このマンションは最近出来たばかりの高級マンションだ。

このマンションが出来る時の工事の音がうるさくて、よく寝れなかったりだとか。
このマンションが出来たせいで僕の部屋の日当たりが悪くなったりとかで、いい思い出はない。

アリスさんは僕の方を振り返り、マンションを指差して言った。

「私、ここに住んでるの」

「……へ?」

「だから、このマンションに住んでるのよ」

このマンションにアリスさんが…?

……って事は……

「お、お隣同士って事ですか?」

「…そうなるわね」

な、なんて偶然なんだ…

「あっ…」

急にアリスさんが目を見開く。

「ど、どうしました?」

「ねぇ、あなたってアパートの一階に住んでるの? それとも二階?」

「に、二階ですけど…」

「……部屋は左側? 右側?」

「左側ですよ?」

僕がそう言うと、アリスさんは肩を落とした。

な、なんだ急に…

「…どうしました?」

「はぁ…あなた、部屋に戻ったら、マンション側の窓を開けて待ってて」

「え?」

「それじゃ」

アリスさんはそう言うと、マンションに入って言ってしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

自室に戻ると、言われた通りに窓を開けた。

目の前にはマンションの窓がある。

マンションが建つ前は日当たりが良かったこの窓は、マンションが出来てからはずっとカーテンを閉めたままだ。

だから今日初めて分かった。 これじゃあお互いの部屋が丸見えじゃないか。

今は向こうのマンションの人がカーテンを閉めているから見えないが、向こうの人がカーテンを開けたら部屋が見える。

なんでアリスさんは窓を開けろなんて言ったんだろう……

そんな事を思っていると、なんと向こうの部屋の明かりがついた。

「ま、まずい…! カーテンを開けられたら…」

カーテンを開けられたら僕と目が合ってしまう。 そんな気まずい事はごめんだ。

僕はすぐにカーテンを閉めた。

その次の瞬間、シャッ…っと向こうのカーテンの開いた音が聞こえた。

あ、危なかった…あと少し遅かったら…

「ちょっと、なんでカーテン閉めてるのよ」

向こうから、さっきまで聞いていた声が聞こえた。

「あれ…まだ帰ってないのかしら…」

僕はそれを聞くと、すぐにカーテンを開けた。

「うわっ、びっくりした…何よ、居るならカーテン開けときなさいよ」

「な、何で…」

「それはこっちのセリフよ。 本当偶然だわ…」

目の前に居たのはアリスさんだった。

…え? って事は目の前の部屋に住んでるのは……

「なんで部屋まで隣なのよ私達は…」

金髪の美少女、アリスさんだった。
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