自宅が全焼して女神様と同居する事になりました

皐月 遊

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二章 新学期、新たな出会い編

47話 「小悪魔旋風」

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桃井が八神に告白をした次の日、俺がクラスに着くと、春樹達がお疲れ様と言って来た。

春樹達には昨日桃井に八神関係の事で呼び出されたと後で言っておいた。

さすがに告白をしたというのはプライベートという事で、柊にも言っていない。

それからは何事もなく授業が進み、休み時間になった。
桃井と友達になったとは言え、俺は2年で、あいつは1年。
流石に気軽に会いにくる事はないだろう。

せいぜい廊下ですれ違った時に一言二言話す程度…

「せんぱーい!おはようございますっ!」

「……」

うん。今何か聞こえたが、きっと聞き間違いだ。
しかも、先輩って言ってたしな。
きっと俺の事じゃないだろう。

きっと桃井の声に似た奴が来ただけ。
うん。そうだそうだ。

「如月先輩っ!おはようございますっ」

「…なんで来るんだよ」

「なんでって!友達に会いに来るのっておかしい事ですかね?」

「いや…目立つだろ」

そんな俺に話しかけている桃井を見て、クラスメイト達は目を見開く。
当然、柊達も驚いている。

やらかした…桃井の行動力を侮っていた。

「まぁまぁ!細かい事は良いじゃないですかっ!はい、これあげますから」

そう言って、桃井は自販機で売っているイチゴジュースを渡して来た。

「いやお前…はぁ…」

俺は財布を出そうとすると、桃井は慌てて止めた。

「それは奢りなので!」

「いやお前な…側から見たら後輩の女子に奢らせてるヤバい奴にしか見えないだろ」

「人の好意は素直に受け取って置くべきですよ!」

「あっそう…じゃあ貰うわ」

俺は諦め、桃井からイチゴジュースを受け取った。

「はい! あ、柊先輩!
皆さんも、お久しぶりです! 昨日から如月先輩のお友達になった、桃井小鳥ですっ!」

桃井は俺の周りにいた柊達を見ると、あざとさ全開の笑顔で自己紹介をした。

その爆弾発言にクラス中が驚く。
八神ですら目を見開き、目をパチクリさせていた。

「え、えっと…ごめんね、急すぎてまだ理解が出来てなくてね…」

春樹が言うと、桃井は笑顔で頷く。

「はい!そうなるだろうと思って早めに自己紹介しに来たんですっ! あ、先輩いつもお昼どこで食べてます?」

「え、学食でこいつらと…」

「なるほどっ! じゃあ、今日私もご一緒しても良いですかぁ?」

「え」

その時、予鈴が鳴り響いた。

「あ!もう行かなきゃ! じゃあ皆さん!それではっ!」

嵐のように桃井小鳥は去っていった。
クラス中は未だにシーンとしていた。

ーーーーーーーーーーーーーーー

「どういう事?」

「どういう事だい?」

「どういう事ですか?」

昼休み、学食で4人で座ると、3人から一斉に言われた。

「えっと…まぁアイツが言った通り、友達になった」

うーむ…どこまで言っていいもんかなぁ…
コイツらは俺と桃井が協力関係にある事は知ってるが、昨日桃井が八神に告白した事は知らない。

桃井は普段は決して人前では俺に話しかけて来ず、チャットでのやりとりがメインだったから、尚更先程の桃井の行動が不思議でならないのだろう。

「こればかりは桃井のプライベートだからなぁ…俺が勝手に喋る訳には…」

「相変わらず優しいですねぇ先輩は」

そう言っていると、急に桃井が現れ、空いている椅子に座った。

「皆さん改めて、桃井小鳥ですっ」

そう言って、桃井は笑う。
七海はまた人見知りを発動し、桃井と目を合わせようとしない。
柊は桃井と俺を交互に見る。

「…えっと、桃井さん? 陽太と友達だっていうのは実に喜ばしい事なんだけど、急すぎて僕達はまだ正直ついていけてなくてね」

「はい! それは当然なので、全て話しますね」

「…おい、良いのか? 」

「大丈夫ですよ。 もう完全に吹っ切れたので! 今は肩の荷が降りたみたいにスッキリしてるんです」

桃井はそう言うと、皆に昨日の事を話した。

屋上で聞いた俺と八神の会話、その後八神に告白した事と、それまでの俺との協力関係の事、全てを話した。

「まぁ、事情は分かったよ桃井さん。 私達ももう貴女とは友達って事でいいの?」

桃井の話を聞き、悪い奴ではないと思ったのか、七海が言う。

「はいっ!是非友達になりましょう! 青葉先輩!海堂先輩! 柊先輩!」

皆すんなり桃井を受け入れ、桃井は皆とチャットアプリの連絡先を交換していた。

「あ!皆さん良かったら今日の放課後カラオケ行きませんか!?」

「うっ…! 友達になって即カラオケ…これが陽キャ…」

桃井の提案に七海が目を逸らす。

「ね!良いでしょ如月先輩!」

「今日はちょっと家で勉強しないと」

「んー!じゃあ明日!」

「明日はちょっと見たいTVが」

「え…じゃあ明後日!」

「明後日はちょっと山へ芝刈りに」

「は?」

「すみません」

桃井の低い声に素直に謝ってしまう。
そんな俺と桃井の会話を、柊達は苦笑いしながら見ていた。

「じゃあカラオケは良いですっ! 今度この5人でお出かけしましょ!」

「今度な、今度」

その後は、各々桃井に聞きたい事、逆に桃井が皆に聞きたい事を言い、昼休みは終わった。

ーーーーーーーーーーーーーーー

「ただいま」

「あ、おかえりなさい」

「おう」

家に帰ると、柊が出迎えてくれる。
手を洗いリビングに行くと、柊は夕飯を作っていた。

「悪いな、桃井の事」

「え? あぁ、別に気にしてませんよ? 話してみたら良い人でしたし。 何より、如月君が友達になった人ですし」

「そうか」

そう返すと、ポケットのスマホが鳴った。

「七海か」

七海からの着信だったので、すぐに出る。

「どうした?」

『そこに渚咲もいる?』

「いるけど」

『じゃあスピーカーにして』

「分かった」

言われた通りスピーカーにする。

『小鳥の件なんだけどさ』

七海の一言に、俺と柊は頷く。

『アンタらの関係はどうすんの? 隠すの?打ち明けるの?』

「「あっ」」

『はぁ…どうせ考えてないと思った』

「すまん…」

『小鳥は良い子だけどさ、まだ友達になったばかりだし、話すのは危険だと思うんだよね』

「確かにそうですね…」

『もちろん、ある程度仲良くなったら打ち明けるのは構わないけど、今はこれまで以上に警戒した方が良い』

きっと七海は春樹と帰り道に相談していたのだろうを
本当に七海と春樹は優しくて頼りになる。

「分かった。 警戒する」

『ん。 じゃあそれ言いたかっただけだから、切るね』

七海はそう言って通話を切った。

「…確かに、七海さんの言う通りでしたね」

「あぁ…桃井は信用できる奴だが、春樹と七海とは違うからな…」

そんな話をしていると、またスマホがなった。
相手は桃井で、チャットには

『そういえば、先輩ってどこら辺に住んでるんですか~?』

と書かれていた。
俺は冷や汗がダラッダラだった。

「ど、どうしました…?」

心配する柊にその画面を見せると、柊も冷や汗をかいていた。
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