自宅が全焼して女神様と同居する事になりました

皐月 遊

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三章 夏休み編

57話 「出発」

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ようやく夏休み前日になり、クラスメイト達は夏休みが楽しみなのかずっと浮かれていた。

春樹達に全てを話した日の夜、柊は母さんに電話し、俺の過去を知った事を伝えたらしい。
柊曰く、良い子達に恵まれてよかったと言っていたらしい。

そして肝心の泊まる日数だが、5日間泊まる事になった。

「夏休みどこ行きます~? 遊園地とか行きたくないですか!?」

昼休み、食堂で昼食を食べていると、桃井が提案した。

「「人が多いからパス」」

俺と七海の声が重なった。

「むぅ…ならプール!」

「「人が多いからパス」」

「もー!!ならお祭り!!」

「「人が多いからパス」」

「貴方達2人は一体どこなら楽しめるんですか!」

「僕は全部賛成だけどね。 良い思い出になりそうだ」

「私も賛成です!遊園地もプールもお祭りも行った事がないので…!」

俺が皆に過去の話をしたという事で、柊もあの後に皆に自分の過去を全て話した。

当然皆は驚いていたが、それと同時になぜ俺が普通に柊の家に住めているかの謎が解けたらしい。

皆柊の家庭環境を知った事で、より沢山の思い出を作ろうという話になっていた。

「うっ…渚咲にそれ言われると…」

「行くしかないか…」

俺と七海が折れると、桃井は目を輝かせた。

「やったぁ! じゃあまた予定立てなきゃですね!」

こうして、俺達の夏休みの予定は日々増えていっていくのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

夏休みに入り、俺と柊はデパートに買い物に来ていた。

俺の地元へ向かうのは2日後という事で、デパートに旅行道具を買いに来たのだ。

実家から持ってきたキャリーケースは火事で無くなったしな。

春樹、七海、桃井は自分のキャリーケースを持っており、無いのは俺と柊だけと言う事で2人だけで来たのだ。

「いっぱいあって迷いますね…」

キャリーケースを見ていると、柊が呟いた。

「やっぱりこういうのがいいんでしょうか?」

そう言って柊は床に置いてあったLLサイズのキャリーケースを指さした。

「10泊くらいするつもりかお前…デカすぎるだろ」

「え…でも何があるか分かりませんし…荷物は多い方が…」

「んじゃ、試しに空の状態でそれ持ってみろ」

「え? はい。…い、意外と重いですね」

キャリーケースを持ち上げると、柊は顔を顰めた。

「これに荷物を入れたら更に重くなる。 お前には持てないだろ? 5泊ならMサイズのキャリーケースで十分だ」

「な、なるほど…」

柊は納得したのか、Mサイズのキャリーケースの場所をジーッと見ていた。

「俺はこれにする」

俺は黒の光沢のキャリーケースを選んだ。

「じゃあ、私はこれで!」

柊は水色に白で装飾されている可愛らしいデザインのキャリーケースを選んだ。

2人で会計をし、キャリーケースを引きながら移動する。

「後は何か買う物ありますか?」

「んー…あ、虫除けスプレーとか」

「え…む、虫…」

柊の顔が青ざめる。

「ウチは田舎だから虫が多いんだよ。痒み止めとかはウチにあるとは思うけど、一応買っといた方がいいかもな」

「虫…」

「…虫苦手か?」

「…見るだけで鳥肌が立ちますし…触れません…」

柊はずっと都会暮らしだし、そりゃ虫に耐性が無いわけだ。

「まぁ…家の中には虫は居ないから安心しろ」

「なら良かったです…」

「後は歯ブラシとかだな」

「旅行セットという物ですね!」

「そうだ」

旅行が楽しみなのか、柊は目を輝かせる。

それから俺達は旅行に必要な物を買い、食料を買ってデパートを出た。

「そういえば、如月君の実家にはまだ如月君のお部屋は残ってるんですか?」

「引っ越す時に全部新しく買ったから、残ってるぞ」

「おぉ…! どんなお部屋なのか楽しみです!」

「対して面白い物はないぞ? 中学時代の部屋だしな」

「それでもです! お友達のお部屋を見るのは初めてなので!」

「そういえばそうだな。 俺の家は見せる前に燃えたしなぁ…」

「ふふ…懐かしいですねぇ」

本当に不思議な出会いだったと今でも思う。

「あの火事が無かったら俺とお前はこんなに仲良くなってないだろうしな」

「ですね…もう如月君が居ない生活は考えられないです」

「…お前急にとんでもない事言うよな」

「え…?」

柊は首を傾げる。
そして自分が言った事を理解したのか、顔を真っ赤にした。

「ち、違いますよ!? き、如月君が居なかったら七海さん達とも会えなかったなぁってだけで…!」

「分かった分かった」

俺はそう言って笑う。

「…でも、如月君に会えて本当に良かったです」

「そりゃどーも」

「第一印象は最悪でしたけどね。 しつこく話しかけてくるし」

柊はそう言って笑った。

「それを言うなら俺だってそうだぞ。 
善意で話しかけてんのに態度悪いし、可愛くねぇ奴だなって思った」

「む…! 普通あんな事言われたら警戒しますよ!」

「だとしても学校でのお前とは違いすぎたよなぁ~。
睨まれるし声は冷たいし」

ニヤニヤしながら言うと、柊は頬を膨らませた。

「もう知りません。 如月君のばか」

柊はそっぽを向きながら歩く。
俺はそんな柊が面白くて笑ってしまった。
すると柊に「今日は野菜炒めにしましょうか」と言われたのですぐに謝った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キャリーケースを買いに行った次の日、俺は自室で柊と買いに行ったジャケットを着て鏡に映る自分を見ていた。

柊は褒めてくれたが、本当に似合ってるのだろうか?

そんな事を考えながら荷物を詰めたキャリーケースを引いてリビングに行くと…

「あ、如月君! やっぱり似合ってますねっ!」

デパートで買ったの白のオフショルダーブラウスに、膝上までの短い水色のスカートを着た柊が待っていた。
柊は俺がプレゼントしたネックレスをつけてくれていた。

いつもより露出度が高い柊に見惚れていると、柊は首を傾げた。

「如月君? どうかしましたか?」

「…い、いや、何でもない。 …ネックレス、1人でつけれたんだな」

「はいっ!頑張って練習しましたからね! 似合ってますか?」

「あぁ、似合ってる」

「ふふ…ありがとうございますっ」

柊は笑顔になる。
あの店員さんが言った通り、ネックレスは柊の元の魅力を更にアップさせていた。

「さて…もうそろそろ皆さんが来ますけど、忘れ物とかはないですか?」

駅が近いと言う理由で皆柊の家に集合し、皆で駅に行って新幹線に乗るという約束になっている。

「あぁ、何度も確認したから大丈夫だ」

「お財布は持ってます?」

「あぁ」

「ハンカチとティッシュは?」

「大丈夫だっつの。 母親かお前は」

そう言うと、柊は楽しそうに笑った。
そしてそのタイミングでインターホンがなり、柊は一瞬で嬉しそうな顔になった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

柊と共に一階に降り、外に出ると春樹、七海、桃井が待っていた。

春樹はオレンジ色のサマーニットにゆるいチェック長ズボン。
七海は薄緑のシャツに白いロングスカート。
桃井はピンクのブラウスに黒いショートパンツと、皆涼しそうな格好をしていた。

「おはようございまーす!! …あー! 渚咲先輩その服買ったんですね!」

早速桃井が柊の格好に気づいた。

「はい! やっぱり気になってしまって、試着して買っちゃいました!」

「やっぱり似合ってますね~! そのネックレスもオシャレだし!」

「ふふ…ありがとうございます」

柊は照れ臭そうに笑った。

「陽太も珍しくオシャレしてるじゃないか。 流石柊さん、いいセンスだねぇ」

「あの陽太がこんなに変わるなんて、流石渚咲」

「…なんで柊が選んだって分かるんだよ」

「「だって陽太パーカーしか着ないし」」

2人にそう言われてしまった。

そんなに俺はパーカーの印象が強いのだろうか…

「さて、新幹線の時間もありますし、そろそろ向かいましょうか!」

柊の言葉に頷き、俺達は駅へと歩き出した。

柊の家から駅まではそう遠くないのですぐに着き、予め買っておいた切符を使って新幹線乗り場へ向かう。

新幹線に乗り、自分の座席に向かうと、座席を回転させて向かい合うように座る。

座席は、俺と柊が並んで座り、向かい側に春樹、七海、桃井が座っている。

柊と桃井が窓際だ。

「柊、キャリーケース上に置くから貸せ」

「ありがとうございますっ」

柊のキャリーケースを持ち上げ、座席の上の荷物置き場に置く。
俺と春樹で七海と桃井のキャリーケースも上に置き、皆で席に座る。

「お菓子いっぱい持ってきたので、皆で食べましょー!」

桃井がリュックからお菓子が入った袋を取り出し、笑顔で言ってきた。

「んじゃチョコくれ」

「私もチョコレートを下さい!」

「私はポッキー頂戴」

「僕はじゃがりこを貰えるかな」

「はーい!全部ありますよ~」

桃井は全員にお菓子を配る。
こういう気遣いは本当に流石としか言えないな。

「如月先輩の地元には2時間程で着くんでしたよね?」

「あぁ。 今が9時だから、実家に着くのは丁度昼くらいだな」

地元の駅についてからもう一度電車に乗り、俺の家がある地域へ向かう為、新幹線を降りてからも1時間程かかるのだ。

父さんが2回に分けて俺達を車に乗せて家まで送ると言ったのだが、柊達がゆっくり景色を見たいと言う理由で歩いて向かう事になった。

「ふふ…楽しみです」

「畑と田んぼしかないただの田舎だけどな」

そんな話をしながら、俺達を乗せた新幹線は俺の地元へ向かって走り出した。
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