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第一章

王宮と兄王子たちの反応 2

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補足メモ

第1王子レイン(25) 王太子

第2王子イズミール(24)

第3王子ウオルト(22)

第4王子カルロス(20) 入れ替わりで卒業

第5王子ジュディス(19)現在最上級生

第6王子アルトハーツ(15)主人公

書いておかないと作者もわけわかんなくなりがち……



*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*



「アルトハーツがほんとに戻って来てるなら会いたいなぁ」
そう言ったのはアルトハーツのすぐ上の兄・ジュディスだ。
彼はアルトハーツに一番年が近く、人懐こい性格もあってアルトハーツはじめ兄王子たちと明確に敵対はしていない。
「お前は学園でいつでも会えるだろ。てーか会いたいか?あの子豚に」
ジュディスのすぐ上のカルロスは口が悪い。
「子豚じゃなくて凄く痩せて綺麗になってたんでしょ?でもやっぱり僕たちよりおばあさまに似てるのかな?」
アルトハーツ以外の王子たちは全員金髪碧眼である。

「さあな」
心底どうでも良さそうにカルロスが言い、
「気になってたなら入学式に行けば良かったじゃないか」
対面にいたイズミールが続ける。
「ちょうど公務が入って行けなかったんだよ。母上も無理して行く必要はないって」
「へえ?意外だな。一人で行きたかったのかな?」
「いや?母上も行かなかったみたいだよ?」
「なんだ母上も既に見捨ててたのか、そりゃそうだよな、あんな出来損ない_「見捨ててなどおりませんよ」_?!」
言葉と共に入って来た王妃は、
「それがアルトハーツあの子の願いだったからです」
と続けた。

凛とした姿勢を崩さずに。

「母上!それに、」
王妃に続いて部屋に入って来た国王の姿を見てレイン王子も息を呑むが、
「アルトハーツの、願い……?」
何より王妃の言葉に引っかかりを覚える。
「ええ。“入学式に誰にも来てほしくない“というのがアルトハーツの願いだったのです。何故だかわかりますか?」
「そりゃぁ、みっともない姿を見られたくなかったからじゃ、」
「今していた会話の内容をもう忘れたの?ウオルト。あの子は壇上での挨拶でそれは熱狂的な拍手と歓声を浴びたそうよ__私も見たかったわ」

「何故母上がそこまでしてアルトハーツの意向を?」
「あの子の命がかかっていると聞けば仕方のないことでしょう。ねぇカルロス、何か思い当たることはなくて?」
「なっ、何を、母上!それではまるで俺が、」
「何を慌てているの、思い当たることがないなら堂々としていなさいな。イズミールも、ウオルトもね?」
気色ばって立ちあがりかけた王子たちを静かながら有無を言わさぬ口調で押さえた王妃は、
「あの子、アルトハーツはね__昔この城で過ごしている頃殺されそうになったんですって。それで身の危険を感じてテレネツィアに留学したんだそうなの」

王妃の言葉に王子たちは一様に黙り込む。

だが、

そんなのは全員多かれ少なかれ経験していることだ。
__王妃母上だって、わかっているだろうに?

という言葉を呑みながらの沈黙だった。

「自分は王位継承にはほど遠い王子だから誰にも相手にされていないと思ったのに、しかも太らせるためにあらゆる食べ物に糖分を大量に盛られているとは思わなかったって言ってたわ」
「「……っ……!」」
驚愕に目を見開く弟たちをよそに、レインが代表して口を開く。
「母上、ではまさかアルトハーツが太っていたのは__」
「そう、仕組んだ者がいたのよ。だからあの子は留学してから一度もここに戻って来なかったし、入学してもここから通うのでなくテレネツィアで知り会った友人の家から通うことにするそうよ、その方が安心だと言ってたわ」
「テレネツィアの伯爵令息ですね。あちらで知り合って共に入国したという……母上はいつアルトハーツと話されたのですか?」
「昨夜よ。私の元に挨拶に来てくれたの、“ただ今戻りました“ってね。確かにあの子だったわ」



「ああ!本当に大きくなって……よく顔を見せて頂戴」
そう言った王妃に、
「そのことなのですが、母上」
アルトハーツは留学に至った経緯と自分はゼストの家に間借りさせてもらうので城には戻らないことなどを話してきかせた。

はじめ王妃はショックを受けていたが、アルトハーツの瞳の光を目にして「この子はもう庇護を必要とする子供ではないのだわ」と得心して頷いた。
そして、その足で国王の元へ向かったのだ。
王妃から話を聞いた国王は怒りに呻いた後、ひとつの決心を固めた。
「お前たちが王位を争って水面下で色々やり合っていることは知っていた。そのこと自体を咎めるつもりはない、どこの王室にもあることだ__だが、それを一番弱い者に向けるような奴は王にはなれん。いや、儂がさせぬと言っておこう。どんな場面においても強者に向かっていくのでなく迷いなく一番の弱者に向かっていくようなやつに国は託せぬ。其奴では民の死体の山の上に立つことしかできないだろうからな。何よりお前たち__人の心はどこにおいてきた?」


































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