貴方と雪と僕

しろちゃん

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浅野 菜乃瀬

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僕はお気に入りの場所、いつも桜が咲いている場所に来ている。
ここはとても落ち着くし今は冬だからこその枯れた木。
それでも尚更綺麗に見せるのは凄いと感じさせる木だ。
そして更には木に雪が積もって余計綺麗に映る。
ビュュュュュと、冷たい風が吹く。
その風に乗せて届けるような声が聞こえた。
「んんー気持ちいいー!」
誰かの声が聞こえ、とりあえず、相槌を返す。
「そうだね」
多分僕と一緒で木に寄りかかってるのだろう。
「あら!もしかしてSYU君じゃないかね?!」
いや、そうだし、なぜ英語風なんじゃボケェ
「僕の名前知ってるの?」
「そうだねぇ...まぁ、知ってるよねぇ…」
いや、僕が1番苛立つタイプ...
なんなんだこの女は...
と、困惑した顔をしてると、女は何が面白いのかクスッと笑った。
「そう言えば綉君、進学?就職?」
いちいち僕の名前で呼ばないで欲しい。
馴れ馴れしすぎる。
「僕はまだ中学生だ。これから高校だよ」
「あと、私が歳上だったらどうする?」
「すぐに敬語にする」
「ざんねーん、同年代でーす!」
イラッ。
なんだこの女うざすぎ問題やん。
「ねぇねぇ!綉君の名前私知ってるけどいつも思うんだよね、珍しいなぁ...って」
何この女僕を貶してるの?褒めてるの?貶してるなら今すぐにぶん殴りたいけど?
と、僕は心中で呟き質問した。
「そういう君はどうなのさ」
「浅野菜乃瀬」
「君こそ珍しい名前じゃんか...」
「と、時間も近いからじゃあねぇ~綉君」
「ハイハイ、もう二度と会わないだろうからバイバイ」
そうして女は居なくなり僕一人が取り残された。
これから先、ここであいつに会うことになると憂鬱だなぁ...
そう僕は、心中で思うのだった。
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