√悪役貴族 処刑回避から始まる覇王道~悪いな勇者、この物語の主役は俺なんだ~

萩鵜アキ

文字の大きさ
51 / 92
悪役領主はひれ伏さない

第51話 新たなマップ発見

しおりを挟む
 ユルゲンに案内されたのは、城の地下だった。
 地下といっても深い場所じゃなくて、基礎になってる部分――元々遺跡だった場所だ。

 地面から考えると半地下とか、そんな感じだろうか。

「一体、俺に見て貰いたいものとはなんだ?」
「それはこの先に。直接見て貰ったほうが、説明が早いと思いやしてね」

 場所的には、プロデニの中で一番大きな遺構があったところに近いな。
 まさか、遺跡を潰してこんな街を作ったから、変な呪いでも湧いて出たんじゃないだろうな?

 まっすぐ進むと、通路が一気に開けた。
 ここは、たぶん謁見の間の真下だな。

 地面は遺跡のものだろう石畳が敷かれている。
 その中心に、ぽっかりと穴が空いている。

「あれは……」
「ダンジョンですぜ」
「――ッ!」

 ついに隠しダンジョンキター!!
 ひゃっほう!

 そうだよな。なんかあるとは思ってたんだよ!
 だってどこからどう見ても『なにかあるよ』って見た目だったしな。

 でも、どのルートを辿っても遺跡でダンジョン発生とか、秘密の通路発見とかそういうイベントが起らなかった。
 どこかに秘密の入り口がないかと思って、拠点の壁という壁の当たり判定を確認するっていうデバッガーみたいな真似もした。
 でも、結局なにもなくてガッカリしたんだが、やっぱりあったんだなあ。

 エルヴィンルートでしか出現しない、秘密のダンジョン……。
 うおお、めっちゃやる気出て来たッ!

「ユルゲン」
「はっ!」
「しばしダンジョンに潜る」
「さ、さすがに危険ですぜ大将」
「心配はいらん。一刻ほどで戻る」
「た、大将ッ!」

 引き留めようとするユルゲンを振り払い、いざダンジョンへ。
 待ってろプロデニ未公開ダンジョンッ!
 俺がクリア第一号になってやる!



          ○



 ――なんて思ってた時期もあったな。

 いや、マジでこのダンジョンやばいな。
 何がヤバイって、敵が強すぎる。
 本当に久しぶりに雑魚敵相手に本気モードで戦ったわ。

 敵1匹倒すのに30分もかかったし。
 雑魚1匹でレベル51から52に上がったし。
 アナライズをかけてもレベル差がありすぎて、魔物のステータスどころか名前すらわからなかったし……。

 どんだけ凶悪な設定してんだよ。

 雑魚でこれなら、ボスが出て来たらたぶん勝てないな。
 相手の攻撃を食らわない自信はあるが、こちらの体力がある状態で、相手のHPを削りきる自信がまったくない。

 ここは、エルヴィンルートのエンドコンテンツなのかもしれないな。

 しかし、敵ががっちり強いおかげで、本気モードの勘をちょっとだけ取り戻せた。
 一撃食らったら即死って縛りプレイしてたのは、もう七年前のことだもんな。

 うん。しばらくはここで鍛えるか。
 勇者ルートは網羅してるが、エルヴィンルートはなにもわからない。
 今後なにが起ってもいいように備えだけは万全にしておくべきだろう。

 まだダンジョンに入って少ししか進んでないが、雑魚との戦闘に時間がかかりすぎた。
 そろそろ戻らないとユルゲンが真っ青になって突入してきそうだ。

 ダンジョンから上がると、ユルゲンが泣きそうな顔をして、

「大将~~!」

 と、その場に崩れ落ちた。

 うん。マジで申し訳ないことをした。
 反省はするが、自重はしない。
 許してくれ、ユルゲン……。



 ここにあるダンジョンについては、使用人含めて誰一人踏み入らないように命令する。
 もし万が一入ったら、たぶん死ぬだろうからな。

 相手のモーションを見た瞬間、行動出来れば死なないけど。
 そんな戦い方が出来るのは、プロデニマスターの俺しかいない。

 精神力ブッパの裏ルートをクリアするために、すべての魔物のモーションを頭にたたき込んだからな!

 ……あの頃の俺はどうかしてた。

 でもそのおかげで、隠しダンジョンで戦える。
 ありがとう、過去の俺!

 ダンジョンは地上にある遺跡と似たデザインの、石作りの空間が広がっている。
 壁には蔦が這っていて、湿気が高いせいかほんのりとカビ臭い。

 通路は複雑に入り組んでいて、時々広間が現われる。
 雑魚敵は、徘徊型と待ち伏せ型がいる。
 前者は通路に、後者は広間に現われる。
 どちらもアクティブで、気づかれた瞬間から戦闘に突入する。

 魔物の種類は、鬼人系だ。
 体の色が青かったり赤かったり、サイズが大きかったり小さかったりする以外に、手にしている武器が、剣や槍などバリエーションが豊富だ。

 鬼人系の魔物と戦った経験は豊富だが、ここまでバリエーション豊富な鬼人に、一度に出会った試しはない。

 初めの頃は慎重に相手の行動パターンを見定めるため、討伐にかなりの時間がかかった。
 色とか体のサイズとか、武器によって行動パターンが違うから厄介だし、ミスったら即死亡だからな。

 けれどモーションの癖がゲームとほぼ変わらないことがわかってから、一気に討伐速度が上がった。

 といっても、ダンジョンの攻略は急がない。
 ここは俺が独占していて誰にも奪われる心配はないし、そもそもダンジョン攻略以外にもやることがたくさんある。

 化粧品の製造指南とか、街の予算書の作成とか、法整備とか。
 中でも最も大事なのは、トレーニングだ。

 プロデニでは、高等部を卒業する18才後半まで基礎値が伸びる。
 それ以降は一切伸びない仕様だ。

 基礎をおろそかにすれば、レベルを上げてもステータスの伸びが悪くなる。
 なので基礎トレーニングの時間を十分取り、残った自由時間をダンジョン攻略に当てた。

 結果、一ヶ月経っても未だに一階層をうろついている。
 攻略速度が遅すぎてやきもきするが、雑魚敵の経験値が莫大だからなあ。
 なんかもう、1階層しかないんじゃね? ってくらい敵が強いし、こっちのレベルは上がりに上がってる。


○名前:エルヴィン・ファンケルベルク
○年齢:16歳  ○肩書き:国王
○レベル:51→65
○ステータス
 筋力:9670→13299 体力:10761→14690
 知力:9670→13299 精神力:23766→30940

○スキル
 ・大貴族の呪縛 ・剣術Ⅴ→Ⅵ ・身体操作Ⅴ→Ⅵ ・魔力操作Ⅴ
 ・強化魔法Ⅴ→Ⅵ ・闇魔法Ⅴ→Ⅵ ・威圧Ⅳ→Ⅴ ・調合Ⅳ
○称号
 ・EXTRAの覇者


 精神力がいよいよ3万を越えた……。
 俺の対魔法性能を超えられる奴、この世界にいるのか?
 たとえ居たとしても、そんな化け物にはお目にかかりたくないな……。

 たった1ヶ月で(それも隙間時間しかレベリングしてないのに)レベルが14も上がるって、相当魔物の設定がぶっ飛んでんな。
 だって、本編ならまだ学生時代で、ステータスが100越えたかどうかくらいだぞ?

 それなのに、俺は既にハードモードのラスボスを一方的にボコれるレベルにまで上がっている。

 ここまであっさり強くなると、後が怖いな。
 はやく強くならないと詰む何かが待ってる可能性があるとかね……。

 やだよ、そんな奴。
 出会いたくねぇよ。

 この街に引きこもってたら、出会わなくて済むかな?
 プロデニだと、行動を起こさないとなにもイベントは発生しないし……うん、もう絶対外に出ないようにしよう!

 そんな俺の決意は、半年もしないうちに自分の手で打ち砕かれるのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

処理中です...