やすらぎはあなたと

【１３】

「やったわ。これでギャブも終わりね。」
「ああ、これで君は自由だよ。」
 
思わず抱き合った二人だが、そのまましばらく動かなかった。
 
「さぁ、次ね。」
「次？」
「ええ、私とあなたの事よ。」
「俺達の事？」
「私の事、気にならないの？」
「いや・・・。」
 
はっきりしないガイの対応にカレンは心配になってきた。もしかしたら私だけなのかもしれないと・・・。焦りは禁物と自身を納得させ、カラ回りする気持ちを落ち着かせた。
 
「俺はどうしたらいい？」
「あなたはどうしたいの？」
「俺は・・・。」
言葉を詰まらせて黙ってしまった。
 
場所を変え気持ちを切り替えようとカレンはガイを連れ、近くの公園へ向かった。
天気はよく、青空が広がっていた。
 
「母は私が小さい頃よく公園に連れてきてくれたわ。母はとても気のやさしい女性で父に逆らう事はなかったわ。でも私をとても愛してくれたわ。やりたい事もみんなやらせてくれた。乗馬・ピアノ・テニス・・・いつも母が連れていってくれた。父は私の事なんか気にもしていなかったわ。私が男の子だったら違っていたかもしれないけどね。」
「そうなのかい？」
「ええ、でももうどうでもいいわ。母も私が学生の時に病気で亡くなったから殆んど一人といってもいいのよ。父は父、私は私よ。」
「でも君の父親じゃないか。なんとか仲良く付き合っていけないのかい？」
「無理ね。あの父が気が変わるなんてありえないわ。」
「どうしてもかい？」
「ええ、無理ね。それよりもこれからの事を考えない？」
「ああ、そうだね。でも君も一度考えてみてくれ。」
「ガイ、はっきりさせとくわね。私はあなたが好きよ。これからも付き合っていきたいと思ってるわ。」
「俺は、・・・いや、・・・俺も君の事が気になっている。それは本当だ。だが、それが恋愛かどうかはもう少し待ってくれ。」
「どのくらい待てばいいの？」
「少しだけだ。気持ちが固まったら俺から言うよ。」
「わかったわ。」
 
 
二人は公園をあとにし、ガイの家へ向かった。