狙われたその瞳

神名代洸

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犯人が捕まったことで明るみになった事件。
それは麻薬取締法に引っかかる案件だった。
売人が売り子を使い麻薬を売り捌く。
その場所が隠れて取引できていたのがあの場所だったらしい。
俺はリジーに全部を伝える気はなかった。
コレはそういう案件だからだ。
闇の世界の話は似合わない。
だから一定の距離を取ってみたりもしたのだが、やはり無理そうだ。リジーは感がいい。
それでも黙ることを決めた。
何か言ってきてもはぐらかそう。


何日かして俺の耳に入ってきたのは元同僚のスパイ容疑。二重スパイをしていたようだ。初耳だった。まさかそんなことをするやつとは思わなかった。

だからか!
リジーの情報が漏れていたのは。
うまく俺たちの仲間に取り入って情報を聞き出していたな。
口が軽いやつも移動だ。
だがこれでもうリジーは安全だ。
これからも。
でもそこに俺が入る隙はあるのか?
まだ何も始まってない。はじまりかけて頓挫した。
今度こそと思い綿密な計画を考えていた。
リジーがイエスと言える場所。
そう、あそこだ。
彼女が最初に個展を開いた場所。
思い出深いと思う。
出会いはそこから始まっていたのだから。


それからバタバタとし、行動を起こすのに1週間かかった。リジーには動きやすい服装でと注文をつけていた。何をやるのかまでは秘密にしていたからリジーは戸惑ってはいたが嫌がってはいなかった。
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