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10 決戦のあと
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東部の私たちと皇帝派の戦いも、南部のマルコイ公と皇帝派の戦いでも、皇帝派は敗北した。
残存兵は全て帝都に逃げ込むことになる。
既に皇帝派が抑えているのは帝都のみ。
帝都周辺の領地については着々と調略が進んでいる。
皇帝派がどちらの大会戦でも敗北したのが大きいのだろう。
だが、帝都攻略は非常に苦労が大きい。
まず帝都の城壁は高く分厚い。
広大な帝都の領域を守るため、その長さも長大であるが、もともといただろう帝都守備兵に、なだれ込んだ敗残兵を合わせれば、守備兵力も十分だ。
兵糧攻めもあまり効果がないだろう。城壁内には広い都市が広がる城塞都市であり、食糧備蓄も規模に合わせてそれなりにあるだろう。
囲う場合、しっかり作られた建物の中で休める相手と、野営しなければならない私たちでは消耗に差がある。
かといって無理攻めもしたくない。
損害が大きいだろうし、何より帝都民に損害が出る。帝国の中心地であり、経済の中心でもあるここに損害を多く出したくなかった。
後は調略だが……
ひとまず繋がりがある宮廷貴族たちに私から声をかけ、マルコイ公も同じような調略を始めて数日。
とんでもないことが起きた。
アルバートが、マルーン候と、兄である皇帝を縛り上げて、門から現れたのだ。
アルバートが何かを叫んでいるのは聞こえる。マルコイ公の方を見るが、首を横に振る。彼が何かを約束したわけではないようだ。
エミールを見るが、やはり首を横に振る。彼もまた、何かしたわけではないようだ。
ならば配慮はいらない。騎兵たちを開いた門に突撃させて確保する。
城門の兵もやる気がないようで、私たちが門を制圧するのに抵抗せず、むしろ邪魔にならない位置に避難していた。
同時に、アルバートとその周辺の連中を皆力づくで制圧する。
「降伏しに来たんだ!!」
とか
「偽皇帝を捕まえたんだぞ!!」
とか
「帝国宰相に何をする!!」
とか騒いでいるが、全く無視して乱雑に全員捕獲した。
アルバートは、現皇帝とマルーン候にすべて責任を押し付ければどうにかなると考えたのだろうか。
だが、今回の一番の元凶がアルバートであるのは疑いようがない。こいつは何があろうと殺さねばならない相手だった。
アルバートはそれすらわからない阿呆だった。阿呆はどこまで行っても阿呆だったのだ。
最後はそれに助けられたのだった。
こうしてあっけなく、帝国の内戦は終了し、私たちが勝利したのであった。
その後、
元凶であるアルバートとその側近たちは、帝都の広場で磔になった。
両腕を磔台にくぎで打ち付け、ただただ衰弱するまで放置するという、最も残酷で、最も重い刑罰に彼らはなったのだ。
彼らは痛みに延々と泣き叫んでいたという。呪詛を述べるほどの元気もないあたり、根性なしである。
アルバートは、史上最も無能で、情けない帝国宰相として、名を遺したのであった。
マルーン候は、毒杯を仰いで自死した。
その上で、マルーン候の領地は、親族の間でいくつにも分割されることになった。
細かく分割されれば、マルーン大河の流通は不便になる。
だが、一つの強大な勢力に管理させると、その勢力が反乱した時に一切使えなくなってしまう。
そのデメリットをマルコイ公が主張し、マルーン候領を削らない代わりに細分化する、という事で罰とすることで決まったのだ。
マルーン大河に流通を頼っていたマルコイ公がこの意見を主張したのは意外だったが、おそらく南部で始めた流通網整備とも関係があるのだろう。
単純に流通網として比較したら、直接帝都まで行ける大河の方がよほど便利だ。
だが、こうやって不便にすれば勝ち目がある程度には、南部の流通網を整備するつもりなのだろう。
こうして、宰相すら上回ると言われたマルーン候は没落をした。
そして皇帝は、兄は……
「なぜ殺さないで逃がす? 逃がしても何もいいことはないのは、私でもわかるぞ」
「……」
政略的に見て、兄を殺すべきなのは明らかだ。
生かしておけば反乱の旗頭にされかねない。
情報を消し、一農民と舌としても、どこから情報が洩れるかわからない。
仮に今の世代で問題がなくても、子孫を作り、そこから竜の血の特徴を持つ者が現れれば、その時また問題になるだろう。
それでも兄を殺すことはできなかった。
結局私も阿呆なのだろう。
兄を北部の辺境に農民として逃がす。
そこでどう生きるかは兄次第だが、案外平穏無事に暮らすのではないかと楽観したくなっていた。
単純に私情だ。だが、それを語れるほど私もまだ成長していなかった。
「苦労を掛けたな。押し付けてすまないが、頑張れよ」
私の頭を撫で、兄は北へと向かった。
こうして私は皇帝になった。
それが私の幸せにつながるかは、まだこの時点ではわからなかった。
残存兵は全て帝都に逃げ込むことになる。
既に皇帝派が抑えているのは帝都のみ。
帝都周辺の領地については着々と調略が進んでいる。
皇帝派がどちらの大会戦でも敗北したのが大きいのだろう。
だが、帝都攻略は非常に苦労が大きい。
まず帝都の城壁は高く分厚い。
広大な帝都の領域を守るため、その長さも長大であるが、もともといただろう帝都守備兵に、なだれ込んだ敗残兵を合わせれば、守備兵力も十分だ。
兵糧攻めもあまり効果がないだろう。城壁内には広い都市が広がる城塞都市であり、食糧備蓄も規模に合わせてそれなりにあるだろう。
囲う場合、しっかり作られた建物の中で休める相手と、野営しなければならない私たちでは消耗に差がある。
かといって無理攻めもしたくない。
損害が大きいだろうし、何より帝都民に損害が出る。帝国の中心地であり、経済の中心でもあるここに損害を多く出したくなかった。
後は調略だが……
ひとまず繋がりがある宮廷貴族たちに私から声をかけ、マルコイ公も同じような調略を始めて数日。
とんでもないことが起きた。
アルバートが、マルーン候と、兄である皇帝を縛り上げて、門から現れたのだ。
アルバートが何かを叫んでいるのは聞こえる。マルコイ公の方を見るが、首を横に振る。彼が何かを約束したわけではないようだ。
エミールを見るが、やはり首を横に振る。彼もまた、何かしたわけではないようだ。
ならば配慮はいらない。騎兵たちを開いた門に突撃させて確保する。
城門の兵もやる気がないようで、私たちが門を制圧するのに抵抗せず、むしろ邪魔にならない位置に避難していた。
同時に、アルバートとその周辺の連中を皆力づくで制圧する。
「降伏しに来たんだ!!」
とか
「偽皇帝を捕まえたんだぞ!!」
とか
「帝国宰相に何をする!!」
とか騒いでいるが、全く無視して乱雑に全員捕獲した。
アルバートは、現皇帝とマルーン候にすべて責任を押し付ければどうにかなると考えたのだろうか。
だが、今回の一番の元凶がアルバートであるのは疑いようがない。こいつは何があろうと殺さねばならない相手だった。
アルバートはそれすらわからない阿呆だった。阿呆はどこまで行っても阿呆だったのだ。
最後はそれに助けられたのだった。
こうしてあっけなく、帝国の内戦は終了し、私たちが勝利したのであった。
その後、
元凶であるアルバートとその側近たちは、帝都の広場で磔になった。
両腕を磔台にくぎで打ち付け、ただただ衰弱するまで放置するという、最も残酷で、最も重い刑罰に彼らはなったのだ。
彼らは痛みに延々と泣き叫んでいたという。呪詛を述べるほどの元気もないあたり、根性なしである。
アルバートは、史上最も無能で、情けない帝国宰相として、名を遺したのであった。
マルーン候は、毒杯を仰いで自死した。
その上で、マルーン候の領地は、親族の間でいくつにも分割されることになった。
細かく分割されれば、マルーン大河の流通は不便になる。
だが、一つの強大な勢力に管理させると、その勢力が反乱した時に一切使えなくなってしまう。
そのデメリットをマルコイ公が主張し、マルーン候領を削らない代わりに細分化する、という事で罰とすることで決まったのだ。
マルーン大河に流通を頼っていたマルコイ公がこの意見を主張したのは意外だったが、おそらく南部で始めた流通網整備とも関係があるのだろう。
単純に流通網として比較したら、直接帝都まで行ける大河の方がよほど便利だ。
だが、こうやって不便にすれば勝ち目がある程度には、南部の流通網を整備するつもりなのだろう。
こうして、宰相すら上回ると言われたマルーン候は没落をした。
そして皇帝は、兄は……
「なぜ殺さないで逃がす? 逃がしても何もいいことはないのは、私でもわかるぞ」
「……」
政略的に見て、兄を殺すべきなのは明らかだ。
生かしておけば反乱の旗頭にされかねない。
情報を消し、一農民と舌としても、どこから情報が洩れるかわからない。
仮に今の世代で問題がなくても、子孫を作り、そこから竜の血の特徴を持つ者が現れれば、その時また問題になるだろう。
それでも兄を殺すことはできなかった。
結局私も阿呆なのだろう。
兄を北部の辺境に農民として逃がす。
そこでどう生きるかは兄次第だが、案外平穏無事に暮らすのではないかと楽観したくなっていた。
単純に私情だ。だが、それを語れるほど私もまだ成長していなかった。
「苦労を掛けたな。押し付けてすまないが、頑張れよ」
私の頭を撫で、兄は北へと向かった。
こうして私は皇帝になった。
それが私の幸せにつながるかは、まだこの時点ではわからなかった。
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