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35 巫女ちゃんは宿題がこわい

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「おにいさん、宿題が終わりません」
「じゃあ今から終わるまで宿題な。がんばれ」
「お兄さんが手伝ってくれてもいいのでは?」
「宿題の意味がなくなるだろうが!」
「いたいいたいいたい!!!」

うちに来た巫女ちゃんが、そんなあほなことを言い始めるもんだから思わず顔面をわしづかみにしてしまった。
そこそこ教えているが、相変わらず頭の性能は上がっているように思えない。

『巫女ちゃんうるさい』
「お兄さんがぁ!」
「いいからさっさとやれ」

こういうのは片っ端からやるしかないのだから、一つずつやらせることにする。
見張っていればさぼることもできないだろう。
俺だけでなくこいつも見張っているからさぼるのは厳しいはずだ。

『ほら、さっさとやろうよ』
「幽霊ちゃんはいいよね! 幽霊ちゃんは学校も試験もないでしょ!!」
『試験はお兄さんが巫女ちゃん用にしてるのを解いてるよぉ』
「ちなみにこいつのほうが巫女ちゃんより成績がいい」
「なんでぇ!!!」

単純に努力量の差だろう。
遊び感覚でどんどん解いて覚えるこいつと、まったくやる気のない巫女ちゃんではある意味当然の差である。

「ちなみにあまりに時間がかかり過ぎたら、巫女ちゃんのどら焼きはこいつに食われるぞ」
『え、たべていいの?』
「巫女ちゃんが宿題終わらせられなかったらな」

やったーと嬉しそうにする向こうで、巫女ちゃんはしぶしぶ宿題をこなし始めた。



「というか、それいつまでだよ」
「昨日までです」
「先生も大変だな……」

1日で簡単にできるような量でもないし、絶対ため続けたんだろうなぁ、と予想できた。

「おにいさん、手がつかれましたぁ」
「そうか、がんばれ。あと半分だ」
「もうむりぃ」

1時間もやらせたら心が折れてしまったらしい。ぐったりとしてしまった。
そのあと多少流行らせたが、結局終わらせることはできず、どら焼きはあいつのものになったのだった。
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