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『お人好し』 3キャラ目
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突然、クサナギくんが声を潜めてそう言った。
ドキンと心臓が跳ねる。
『え、うそでしょ』
『だって』
『だって相手も女じゃん』
『だから、』
二人の声は友達同士のトーンになっていた。
ヤバい。そういえばと一連の会話と流れを振り返るな少年達。
そして、あまり普通ではない真実に気づくな少年どもよ。
『イオリ、お前』
「へ」
『……女なんか』
「はあ!?女なわけねーじゃ、ああんっ」
全力で設定を戻そうとすると、聖が角度を変えた。
パンパンと音が出る体勢に。
肉体的な快感はさほど。本来なら長引かせるための体勢だが、今はおそらく音を聞かせるためだ。
いつもは相手に侵入する側の自分が、今は侵されてる。支配されている。
そんな音が耳を通して快感を煽り、内部から気持ちよくなってしまう。
「ひっ、うっう」
泣き声みたいな声が出てくる。
男は行為の最中にこんな情けない声、たぶん出さないのだろう。
他校の奴らとケンカするイオリくんは特に。
声出して、と私は声に出さずに聖に泣き顔で頼んだ。
自分の情けない声をかき消すために、そっちが突かれてるようにしてと。
「あ、あっあっあっ。あっ」
聖はぎゅっと目をつむると、眉根を寄せて、自分が打ち付ける音に合わせて甲高い声を出す。
まるで自分が突かれてるみたいに
私のビッグマグナム一号に突かれてるみたいに。
エッロ。なにそれエッロ。
初めて見るわそんなのエッロ。だから、
「ん、ん、ん。はあっ」
こっちも声が出てしまう。ポロポロと涙が溢れてしまう。
女役の恥ずかしさ、我慢しても出てしまう声、それを聞かれてること、すべてが涙となって溢れてくる。
『イオリ』
ヤガミくんが僕の名前を呼ぶ。
対して聖は私の本来の名前を呼び、
「挿れて、挿れて」
涙目で懇願してきた。
いや挿れてなかったら今まで何してたんすか俺ら。
一瞬そう思ったが、聖が何を言ってるのかわかった。
というかすぐにわからなかった私がおかしいのか。
下から指を二本差し入れると、
「あ、あああっ」
聖が声を出す。女優が切り替わった。
快感を受ける側も。
「もっと、もっと」
これは動きではなく本数だろうと三本に増やした。
それだけで狭い聖の中はぎっちゅぎちゅでいっぱいになる。
「ああっ、あーあー」
腰が欲しがるように動く。
片手でしか抱きしめてあげられないのが辛い瞬間だ。
だからではないだろうが、向こうが両腕でこっちに抱き着いてくる。
「イキそう?」
出しうる限りの男っぽい声で訊くが、
「イク、イクイクイッちゃうイッちゃう!」
そんなの普段言わないだろうと少し冷める。
おそらくヤガミくん達へのサービスだ。
あるいはマジなのか。
今まで超えてない壁を超えたのか。
「ギュってして、ギュってしてえ」
今度はいつもの可愛いおねだりが来た。
いつものように片腕で、出来る範囲で抱きしめると更に抱き着いてきた。
『うっ、うっ』
クサナギ君の押し殺した声がした。
どうやらギュってしてで果ててしまったらしい。
結構イチャラブ好きなのかなと思っていると、
「あ、あああ、ああ」
可愛らしい、けれどしっかりしたオスの声を聞いてなのか聖も果てた。
体内の快感を最後まで堪能するように息を詰める。
今は見えないが、こういう時の聖は頬袋がエサでいっぱいなハムスターみたいで可愛いんだ。ちょっとムード台無しだけど。
一転してはあーはあーと長い息をつき、抑え込んでいたものを解放する。
全身を私の身体に預けてくる。
呼吸も汗も体温も鼓動も快感も切なさも悲しみももどかしさも、すべて受け止めてさしあげる。
身体がじいんと何かに包まれる。私の一番好きな時間だ。
この時のためにしてるようなものだ。それらをまったり堪能していると、
『おい、イオリ』
「うん…。んん?なにっ?」
やばい、忘れてた。慌てて返事をすると、
『イカせたんか』
ヤガミくんが掠れた声で訊いてくる。
「ああ。あたりめーだろ」
そっちはどうなの?イッてくれたの?と訊きたくなるが、
『中出ししたんか』
「え?」
聖と顔を見合わせる。何を?と。
「あー、いや、着けてるからさ、そういうのちゃんと」
『顔にかけたんか』
更に見合わせる。どうしたらいいの、この間違った性知識。誰のせいなの。
「えーと、そういうの嫌がるからさ」
『なんでや』
「なんでって」
うわサイアクと聖が声に出さずに言っていた。
なんかの見過ぎだと。
着けててなんで外してかけるんだと。
どんなフィニッシュの仕方だと。
意味がないじゃんと。
二人して、せっかくの快感の波が一気に引いていく。
「髪とか目に入ったら危ないしさ」
よくわからないがそんなことを聞いたことがあるのでそう答えると、
『そうか…』
少し残念そうな声が返ってきた。なんなんだマジで。
女の子をなんだと思ってるんだ。
本気でイライラしてくると、
「いいよ。中に出して」
聖がそう言ってきた。
「いいよ、今日は」
目の前にいる私ではなく、電話の向こうに言っていた。
「いや…」
私の背中がすうっと冷たくなる。
いやいやいやお姉さん。
何言ってんの?
出すものなんてないよ。
というか恐るべき3回戦が脳裏にちらつく。
それに、
『いいってさ!』
ヤガミくんがなぜかどや声で言ってくる。
『出しちゃえよ!』
『出しちゃえ!出しちゃえ!』
クサナギくんも乗っかってくる。
だから何を、と思ったのだが、なんだか試されている気がしてきてきた。
女優魂がむくむくとそそり立つ。
魂がそそり立つものなのかはわからないが。
「おっ、だっ じゃあ挿れるかんなっ」
そう言ってみるが少しだけ悲しくなった。
電話の向こうの彼らがズボンから引きずり出した、おそらく小さな水鉄砲すら自分にはない。
「うん」
それに、聖が私をまっすぐ見ながら頷く。
微笑んでいた。
彼女も、私の全てを受け止めてくれる。
こんな私でも。
ついついあっちへフラフラこっちへフラフラしてしまう私を。
その顔を見ただけで、ああ、好きと思えた。
見えない何かがそそり立つ。
上になって、まだ濡れたままの部分をぐちゅりと重ねると、
「ん、ふ」
慣れたくない卑猥さと気持ちよさに声が漏れる。
外気で冷えたがまたすぐ熱で溶けあう。
「ん、えぁ」
男らしく声を我慢する。
「はっはっ」
腰も使う。
男の子はする時どんな息遣いなんだろう。
気持ちよかったら声は自然に出るよな、と自分に言い訳しておく。
「うっうっ」
低い声をキープしつつ動いていると、聖が両腕を差し出してきた。
ギュってしてのポーズだ。ちくしょうかわいいなあもう。
身体を重ねるとすぐにキスされた。
上と下、濡れた部分どちらも繋がる。しかし、
「ふ、ああんっ」
滑り込ませてきた手で胸を揉まれた。
上と下と中間。これはいけない。声がまた高くなってしまう。
「ダメだって」
「やだ。触りたい」
「ダメ。ううん」
ダメだと言っても尚も揉んでくる。
ならばと角度と速さを変えて追い込む。
だがそれはこちらも一緒で、
「ダメ、もう出ちゃう」
我慢が効かず、自然にそんな言葉が出た。
声は随分女寄りだが、年上の彼女に甘えるボクという設定を急遽作ってご容赦願った。
「いいよ。イッて」
聖が優しく言ってくれる。受け止めるからと。
ケータイ越しにはあはあと詰めるような声がした。
「出して出して。中に出して」
何をだよ、と頭の中で声がした。
女優やのうという声も。だから、
「出すぞ出すぞ、ああ、出る出る」
こちらも女優魂を剥き出しにする。
魂って剥き出しにするもんなのかなと思いながら。
私から、びゅるっと見えない白い液体が出た。
『あ、あ』
代わりに向こうから出たらしい。
声のトーンからしてクサナギくんだろう。次いで、
『あう、くっ。うっうっ』
苦しそうな泣いてるような声が聞こえた。
こっちはヤガミくんだろう。
その声が切なくてなんだか可哀想だった。
女の子とは違う切なさ。
この声を聞く限り、私はやはり彼ら側の性とはやらないだろうと思えた。
声に混じって、ドクドクという音が聞こえてきそうだった。
どこに出したんだろう。便器とかティッシュかな。
壁とかだったらちゃんと拭かないとダメだぞ。
事案になるぞ。
『あ、はあはあ』
尚も荒い息遣いがケータイから聞こえてくる。
本日の分はすべて出しきって脱力してるのか。
四人分のはあはあが収まると、
『……ありがとう』
ヤガミくんはそう言った。
ぽつりと。
小さな声で。
北中のやつらと戦争なんかしない男の子の声だった。
「ううん。どういたしまして」
聖がそれに応えた。お姉さんの声で。
本心はなんだかんだいって3回戦が出来たからラッキーヤッピーだろうけど。
『あの』
「うん」
『また、電話していいですか』
おずおずと伺うような声で少年が訊いてきた。
だけど、それは違うだろと私は思ったので、
「ヤガミくん」
『わっ』
「ヤガミくんっ」
もう一度私は、僕は呼びかけた。
もう一度乗れと、同じ舞台に。
『…なんや、イオリ』
怒ったような声で彼はそう言った。
「ごめん。今日行けなくて」
一瞬間を置いたあと。
『お、おう。しゃあないからな。気にすんな』
「ごめんね」
『気にすんなって』
「ありがとう」
「ええって」
そんなやり取りを繰り返すと、
『……また、電話してもええ?』
最強を誓った仲間としてか、グチュグチュまぐわいを聞かせるためかわからないが、
「いいよ。俺らの仲じゃない」
私はそう応えた。
やはり俺、という言葉は恥ずかしくてくすぐったかった。
〈了〉
ドキンと心臓が跳ねる。
『え、うそでしょ』
『だって』
『だって相手も女じゃん』
『だから、』
二人の声は友達同士のトーンになっていた。
ヤバい。そういえばと一連の会話と流れを振り返るな少年達。
そして、あまり普通ではない真実に気づくな少年どもよ。
『イオリ、お前』
「へ」
『……女なんか』
「はあ!?女なわけねーじゃ、ああんっ」
全力で設定を戻そうとすると、聖が角度を変えた。
パンパンと音が出る体勢に。
肉体的な快感はさほど。本来なら長引かせるための体勢だが、今はおそらく音を聞かせるためだ。
いつもは相手に侵入する側の自分が、今は侵されてる。支配されている。
そんな音が耳を通して快感を煽り、内部から気持ちよくなってしまう。
「ひっ、うっう」
泣き声みたいな声が出てくる。
男は行為の最中にこんな情けない声、たぶん出さないのだろう。
他校の奴らとケンカするイオリくんは特に。
声出して、と私は声に出さずに聖に泣き顔で頼んだ。
自分の情けない声をかき消すために、そっちが突かれてるようにしてと。
「あ、あっあっあっ。あっ」
聖はぎゅっと目をつむると、眉根を寄せて、自分が打ち付ける音に合わせて甲高い声を出す。
まるで自分が突かれてるみたいに
私のビッグマグナム一号に突かれてるみたいに。
エッロ。なにそれエッロ。
初めて見るわそんなのエッロ。だから、
「ん、ん、ん。はあっ」
こっちも声が出てしまう。ポロポロと涙が溢れてしまう。
女役の恥ずかしさ、我慢しても出てしまう声、それを聞かれてること、すべてが涙となって溢れてくる。
『イオリ』
ヤガミくんが僕の名前を呼ぶ。
対して聖は私の本来の名前を呼び、
「挿れて、挿れて」
涙目で懇願してきた。
いや挿れてなかったら今まで何してたんすか俺ら。
一瞬そう思ったが、聖が何を言ってるのかわかった。
というかすぐにわからなかった私がおかしいのか。
下から指を二本差し入れると、
「あ、あああっ」
聖が声を出す。女優が切り替わった。
快感を受ける側も。
「もっと、もっと」
これは動きではなく本数だろうと三本に増やした。
それだけで狭い聖の中はぎっちゅぎちゅでいっぱいになる。
「ああっ、あーあー」
腰が欲しがるように動く。
片手でしか抱きしめてあげられないのが辛い瞬間だ。
だからではないだろうが、向こうが両腕でこっちに抱き着いてくる。
「イキそう?」
出しうる限りの男っぽい声で訊くが、
「イク、イクイクイッちゃうイッちゃう!」
そんなの普段言わないだろうと少し冷める。
おそらくヤガミくん達へのサービスだ。
あるいはマジなのか。
今まで超えてない壁を超えたのか。
「ギュってして、ギュってしてえ」
今度はいつもの可愛いおねだりが来た。
いつものように片腕で、出来る範囲で抱きしめると更に抱き着いてきた。
『うっ、うっ』
クサナギ君の押し殺した声がした。
どうやらギュってしてで果ててしまったらしい。
結構イチャラブ好きなのかなと思っていると、
「あ、あああ、ああ」
可愛らしい、けれどしっかりしたオスの声を聞いてなのか聖も果てた。
体内の快感を最後まで堪能するように息を詰める。
今は見えないが、こういう時の聖は頬袋がエサでいっぱいなハムスターみたいで可愛いんだ。ちょっとムード台無しだけど。
一転してはあーはあーと長い息をつき、抑え込んでいたものを解放する。
全身を私の身体に預けてくる。
呼吸も汗も体温も鼓動も快感も切なさも悲しみももどかしさも、すべて受け止めてさしあげる。
身体がじいんと何かに包まれる。私の一番好きな時間だ。
この時のためにしてるようなものだ。それらをまったり堪能していると、
『おい、イオリ』
「うん…。んん?なにっ?」
やばい、忘れてた。慌てて返事をすると、
『イカせたんか』
ヤガミくんが掠れた声で訊いてくる。
「ああ。あたりめーだろ」
そっちはどうなの?イッてくれたの?と訊きたくなるが、
『中出ししたんか』
「え?」
聖と顔を見合わせる。何を?と。
「あー、いや、着けてるからさ、そういうのちゃんと」
『顔にかけたんか』
更に見合わせる。どうしたらいいの、この間違った性知識。誰のせいなの。
「えーと、そういうの嫌がるからさ」
『なんでや』
「なんでって」
うわサイアクと聖が声に出さずに言っていた。
なんかの見過ぎだと。
着けててなんで外してかけるんだと。
どんなフィニッシュの仕方だと。
意味がないじゃんと。
二人して、せっかくの快感の波が一気に引いていく。
「髪とか目に入ったら危ないしさ」
よくわからないがそんなことを聞いたことがあるのでそう答えると、
『そうか…』
少し残念そうな声が返ってきた。なんなんだマジで。
女の子をなんだと思ってるんだ。
本気でイライラしてくると、
「いいよ。中に出して」
聖がそう言ってきた。
「いいよ、今日は」
目の前にいる私ではなく、電話の向こうに言っていた。
「いや…」
私の背中がすうっと冷たくなる。
いやいやいやお姉さん。
何言ってんの?
出すものなんてないよ。
というか恐るべき3回戦が脳裏にちらつく。
それに、
『いいってさ!』
ヤガミくんがなぜかどや声で言ってくる。
『出しちゃえよ!』
『出しちゃえ!出しちゃえ!』
クサナギくんも乗っかってくる。
だから何を、と思ったのだが、なんだか試されている気がしてきてきた。
女優魂がむくむくとそそり立つ。
魂がそそり立つものなのかはわからないが。
「おっ、だっ じゃあ挿れるかんなっ」
そう言ってみるが少しだけ悲しくなった。
電話の向こうの彼らがズボンから引きずり出した、おそらく小さな水鉄砲すら自分にはない。
「うん」
それに、聖が私をまっすぐ見ながら頷く。
微笑んでいた。
彼女も、私の全てを受け止めてくれる。
こんな私でも。
ついついあっちへフラフラこっちへフラフラしてしまう私を。
その顔を見ただけで、ああ、好きと思えた。
見えない何かがそそり立つ。
上になって、まだ濡れたままの部分をぐちゅりと重ねると、
「ん、ふ」
慣れたくない卑猥さと気持ちよさに声が漏れる。
外気で冷えたがまたすぐ熱で溶けあう。
「ん、えぁ」
男らしく声を我慢する。
「はっはっ」
腰も使う。
男の子はする時どんな息遣いなんだろう。
気持ちよかったら声は自然に出るよな、と自分に言い訳しておく。
「うっうっ」
低い声をキープしつつ動いていると、聖が両腕を差し出してきた。
ギュってしてのポーズだ。ちくしょうかわいいなあもう。
身体を重ねるとすぐにキスされた。
上と下、濡れた部分どちらも繋がる。しかし、
「ふ、ああんっ」
滑り込ませてきた手で胸を揉まれた。
上と下と中間。これはいけない。声がまた高くなってしまう。
「ダメだって」
「やだ。触りたい」
「ダメ。ううん」
ダメだと言っても尚も揉んでくる。
ならばと角度と速さを変えて追い込む。
だがそれはこちらも一緒で、
「ダメ、もう出ちゃう」
我慢が効かず、自然にそんな言葉が出た。
声は随分女寄りだが、年上の彼女に甘えるボクという設定を急遽作ってご容赦願った。
「いいよ。イッて」
聖が優しく言ってくれる。受け止めるからと。
ケータイ越しにはあはあと詰めるような声がした。
「出して出して。中に出して」
何をだよ、と頭の中で声がした。
女優やのうという声も。だから、
「出すぞ出すぞ、ああ、出る出る」
こちらも女優魂を剥き出しにする。
魂って剥き出しにするもんなのかなと思いながら。
私から、びゅるっと見えない白い液体が出た。
『あ、あ』
代わりに向こうから出たらしい。
声のトーンからしてクサナギくんだろう。次いで、
『あう、くっ。うっうっ』
苦しそうな泣いてるような声が聞こえた。
こっちはヤガミくんだろう。
その声が切なくてなんだか可哀想だった。
女の子とは違う切なさ。
この声を聞く限り、私はやはり彼ら側の性とはやらないだろうと思えた。
声に混じって、ドクドクという音が聞こえてきそうだった。
どこに出したんだろう。便器とかティッシュかな。
壁とかだったらちゃんと拭かないとダメだぞ。
事案になるぞ。
『あ、はあはあ』
尚も荒い息遣いがケータイから聞こえてくる。
本日の分はすべて出しきって脱力してるのか。
四人分のはあはあが収まると、
『……ありがとう』
ヤガミくんはそう言った。
ぽつりと。
小さな声で。
北中のやつらと戦争なんかしない男の子の声だった。
「ううん。どういたしまして」
聖がそれに応えた。お姉さんの声で。
本心はなんだかんだいって3回戦が出来たからラッキーヤッピーだろうけど。
『あの』
「うん」
『また、電話していいですか』
おずおずと伺うような声で少年が訊いてきた。
だけど、それは違うだろと私は思ったので、
「ヤガミくん」
『わっ』
「ヤガミくんっ」
もう一度私は、僕は呼びかけた。
もう一度乗れと、同じ舞台に。
『…なんや、イオリ』
怒ったような声で彼はそう言った。
「ごめん。今日行けなくて」
一瞬間を置いたあと。
『お、おう。しゃあないからな。気にすんな』
「ごめんね」
『気にすんなって』
「ありがとう」
「ええって」
そんなやり取りを繰り返すと、
『……また、電話してもええ?』
最強を誓った仲間としてか、グチュグチュまぐわいを聞かせるためかわからないが、
「いいよ。俺らの仲じゃない」
私はそう応えた。
やはり俺、という言葉は恥ずかしくてくすぐったかった。
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