傷者部

ジャンマル

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困った猫

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 菜緒曰く困っているのは野良猫が学校に住み着いて大変なのだという。もちろん学校でそういうのを飼うのはダメだし、飼ってたとしても学校で元々許可されて飼っているうさぎだったりだけだ。猫なんてもっぱらアウトだ。そして困っている生徒というのがその猫を匿っている生徒だと言う。もちろん本来はそういうのはアウトだけど黙って見過ごしてくれてたみたい。それを助けに行こうと言うのが本日の内容である。場所は待ち合わせで決めており校内のとある一角で落ち合おうということだ。

「おいおいここって」
「本来もう使われない校舎ですね~」
「ここで待ってんの?」
「うん」

 この学校には使われていない校舎がひとつだけ存在しており、丸々ひと校舎分が放置されている。ホコリこそ普段の掃除であまり無いがそれでも薄気味悪いってことで生徒からは早く取り壊して欲しいってことで有名な場所だ。まあ確かに、野良猫を匿うなら絶好の場所って訳だ。
 菜緒が少し怖がりながらも案内してくれた。

 校内の一回の保健室跡。器具こそ古くなってるがベッドだったりは時折清掃とか整備されているようで寝ようと思えば全然寝てるベッドが置いてあった。

「ここのはずですけどーー」
「あ、おーい!菜緒ちゃん!」
「いたいた!あの子です!」

 紹介された生徒の腕の中にはーー猫が三匹ほど抱え込まれていた。

「えっとこれは?」
「猫です」
「うん。猫だよね。で、それは?」
「猫です」

 答えようにも確かに猫以外答えようがない。だって猫だし。オマケに彼女は二年生。しかも飼育委員だ。なるほど、自分の中でなにか謎が解けた。

「飼育委員だからここで飼おうにも様子見れなかったりで不安ってことね」
「話が早くて助かります!」
「僕がお世話しますから!!」

 まあ菜緒が見るって言うなら問題ないだろうし、別に引き受けない理由も特にはなかったから言われたままにお世話をしてあげるという約束を引き受ける。もちろん菜緒が。

「ここの校舎、水もお湯も出るんですよ!」
「まるで泊まってもいいよって感じだなて……」
「まあそれなら特になにも不安はないですよね!」

 とはいえ、責任はしっかりも持つべきだからな。様子見、かな。
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