傷者部

先生と

 そういえば今日は先生を見ていない。いつもなら真っ先に誰よりも早く部室に来ているのに。なんかあったのかな？いやまあ先生に限ってそんなことはないか。北斗もいなくなって先生も居なかったら色々と不安になってしまうのは無理もない話だと思う。あまり考えたくない話だけど、先生だって人間だからやらかしをしたりはあるかもしれない。先輩は先生について特には何も言ってないし何も聞いてないんだろうな、ってことはたやすく想像はできたし。まあでも何か聞いてるなら聞きたいかなとは思うよね。

「先生は今日来てないって」
「学校に？」
「うん」

 教員が欠席......割と珍しいことだし大事がないことしか祈ることしか出来ないけど先輩すら聞いてないってことは本当に心配になるな。
 先輩はそれだけ言うと急に帰る身支度を始める。なんで？とは思ったけどもしかすると先生のところに行くのかも。なんてことを考えた。もし本当にそうならまずは関係性を疑うには疑うがそんなこと気にしてたら多分先輩とやっていけないよな......だからここは黙っておく方が得って思ってたけど意外にもそれを否定したのは先輩の方だ。

「二人も来て」

 二人にも秘密を教えてあげると言わんばかりに。生徒が先生の家を知ってるのも問題あるけどお仕掛けていいのだろうかっていう疑問こそあったがまあ先輩が誘って平気って言ってるんだし平気なんだろう。あとはこのことを誰かに言ったりしなければいいんだと思うし。というかもし言ったらあとが怖いしね。

「遠いんですか？」
「ううん。すぐ着くよ」

 菜緒が家から近いのは知ってたけどもしかして先生もそんな感じなんだろうか？だとしたら真裏とかそんな感じの近さなんだろう。

「あ、注意。匂いにだけ気をつけて」
「え？匂い？」

 人の家に上がるのにそんな忠告あるだろうか。家で何をしてるんだ？実験か？それとも怪しいことか......簡単に考えられるのはタバコの匂いだったが先生が吸ってるところは見たことないしなぁ......謎に忠告された気がした。