傷者部

ジャンマル

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照史と奈央

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 覚悟を決めた。彼女達の後押しもあって俺はこの覚悟に至った。俺は彼女に聞く。あの日のことを。聞いてしまうと壊れてしまう関係があるんじゃないかって怖くて聞けなかった。でも奈央は怖がるくらいなら自分に正直になった方がいい。そう言った。それは……確かにそうだ。前に進むことを恐れている限り俺にとっての結果は変わらない。だけど前に進もうと思ったその瞬間、結果は少しだけ変わる。今までの自分ならそれはなかっただろうな。だけどーー色々考えているうちにそうじゃなくていいことにも気づいた。周りを気にしすぎている。それもまた事実だ。

「なあ、奈央」
「なに?」
「その……聞いてもいいか?」
「やっとその気になった?」

 奈央はこの日を待っててくれた。ずっとずっと記憶から消し去りたくても消せなかった、二人のことなのに二人で考えてこられなかった。そして今日、その止まった時間を俺は自分の手で動かそうとしていた。……正直その秒針は俺には重い。でも、また奈央と二人なら何とか動かせる。そんな気がする。

「私ね、夢が出来たから突然の引越しになっちゃった」
「夢?」
「そう。一人前になってまた君のとなりに戻るって」
「一人前ってなんだよ?」
「んー……なんだろうね?お母さんたちはお嬢様学校に入れてきたけど。それも飽きちゃったしね~」

 平然と行われるえげつない発言。おいおい……

「あ、ちなみに北斗と付き合ってたってのは先生の誤解。付き合ってたってより北斗が困ってたからお母さんたちが優しくしててその繋がり」
「それを何故わざわざ?」
「だって私ーー」
「ごめん。その先はもう一度俺に言わせてくれ」

 気が変わった訳じゃない。でも、変わらなかった訳でもない。この2年ちょいで色々と経験を重ねた。人を傷つけない方法。人と接して自分を見失うから付き合わない方法。色々だ。でも、その全てがあまり効果的じゃなくて自分には合わなかった。

「俺さ……あの日からずっと後悔続けてたんだ」
「重い感じになっちゃったよね」
「まあ今はこうやって菜緒と付き合ったりしてるしさ?」
「菜緒君と付き合ってるのは本気?」
「少なくとも俺はね。おかしいかもしれないけど、そういうのって自分がいいって思ったら実際に行動してみるもんだって思うし」
「なるほどね~」

 あえてまだ言わない。あの日、彼女に伝えた言葉をもう一度。
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