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ジャンマル

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この世界の退屈な日々に「サヨナラ」

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「被害警報。被害警報!! スーパーセル……スーパーセルです!!」



 退屈な毎日に突如終わりを告げたその被害警報。自然災害の中でもかなり重く、被害も出る異常気象。嵐で都会の街は決壊し、ダムなどの重要な建築物も軒並み被害にあい倒壊していった。だけどもそれを怖いとは思わない。それが恐怖だと感じない。生活環境の問題から私は次第に感情を失っていった……



 ――



「ねえ、しずくちゃん」

「何? みほちゃん」

「ごめん……私それは無理」



 大事な親友に私は一つの告白をした。正直周りの生活環境が厳しすぎて、辛すぎて、打ち解けたその時に私はこの生活がさらにつらくなるんだな、そう感じた。私が同級生の女の子に感じてしまったその気持ちを……否定され、拒まれ、友情は一瞬にして嫌悪に変わった。どうして理解されないのか。そうして受け入れてもらえないのか。私はただ――幸せになりたいだけ。私はただ――不幸になりたくないだけ。

 高校生にもなって義務教育から解放された、そう思っていたのに。現実はただただ、大人が口をそろえてそれを口にする。「進路はどうするんだ」。悩んで悩んで、決まらなかった。だけどそれを周りは決めろと強要する。窮屈でつまらない……世界の狭さ。きっとこの世界は私を拒んでいるんだ……

 そう思った時だったろうか。一つの映像が脳内に移り込む。





 ―――



『不思議の国のお姫様。何も知らないお姫様。きっと彼女は待ってるよ。初老の男、フードの男。彼の元へたどりついたとき、あなたの願いは成就する。不思議な国のお姫様? ほら、待ってるよ? 不思議な草原、不思議な森。その畑を調べなさい。世界はきっと、あなたを受け入れる』



 ――



 わけのわからない映像が脳内に見えたけれど――自然と足は私を映像を基に動いていた。お姫様は私だろうか? 不思議な草原。そんなものを見たことも聞いたこともなかった私。きっと私が知らない世界があるのだろうか? 私を置いていかない、むしろ私の先を行く世界があるのだろうか?

 期待、願望、希望。感じたことのないその思いは爆発し、私は……この街の特徴である一つの草原へ足を向けていた――
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