引きこもりの僕が勇者にされた理由ーnextー

ジャンマル

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花園編

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 その後、私は無事に伊勢谷さんと、再会した。

「君、ヘレン=プランだよね?」
「は、い……」

 足を怪我していて、あまり声が出せなかった。かすれた声で、出来る限りの返事をする。
 その懐かしい声は、確かに伊勢谷さんの物だ。

「施設にこないかい? 親がいないこの為の施設を用意してるんだ」
「そ、そこにーー」
「ん?」
「花園、圭は、います、か?」

 息が切れる。それ以上に、足に激痛が走っていた。足を見れるだけの気力はない――それ以上に、圭の事が気になった。

「そんな子、いた気もするけどなあ……もう、多くの子がいて忘れてしまったよ」
「ですよね……」
「とにかく、治療しなくちゃ」
「は、い」

 そうやって運ばれた。施設に。

 ――

「みんなー。ご飯だよー!」
「ごめんな、ヘレンちゃん」
「いいんですよ。これくらいっ!」
「あのさ、ヘレンちゃん」
「はい?」

 引き止めなきゃ――ここで――引き止めなきゃ――

「僕は、旅に出ようと思うんだ」
「え?」

 声が出なかった。行動に移せなかった。
 どこかへ行ってしまいそうで、どこかで消えてしまいそうで、胸が苦しくなった。胸が張り裂けそうになった。

「世界にはもっともっと、救いを求めてる子たちがいる。そう思わないかい?」
「そう……ですね……」

 声のトーンがさがるのが自分でもわかった。それでも、「いかないで」そんな一言が言えなかった。

「もしかして――ついてきたい、とか?」
「そ、そんなこと! なくは、無いですけど……」

 ……

「ここは、任されてくれるかい?」
「それはいいですけど……」

 行かないで。

「じゃあ、行くよ」

 行かないで。

「ま、まって――」
「ん? まだ何か?」
「なんでも……無いです……」

 言えなかった。約束が――守れなかった。
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