100年後の君へ送る愛

ジャンマル

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100年後の君(2)

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 検査が入り精密検査を受け終わるとまるで何事もなかったかのように退院の許可が下りる。まさか……自殺を図って不死身になったなど考えられないだろうに。家族の面会は当然無く、戦争で失ったものの喪失感が再び俺を襲う。今の俺が生きる希望を見出せるのは神と名乗る男に宣言された100年後の再会のためだ。限りなく果てしない時間だがきっと生まれ変わって別人になっていても彼女を見つけられるという自信が自分にはあった。
 が……何はともあれまずはこの現代になれる必要があるのも確か。一年しかたっていないらしいが戦後の日本はいろいろと走り回ったりで忙しかったのだ。多少の大きな変化もあるだろう。まず、大きな変化は……
 そう思って新聞を横目に入れたのだがどうやら「けいたいでんわ」というものがこの寝ている一年の間に出現したらしい。もちろん貧困層の人間が買えるというほど安価なものではなかったみたいだがそれでも裕福な人間のさじ加減一つできっと一般にも普及されるかもしてれない。

「そういえばお金はどうなっているんだろう」

 ふとそう気になったのは何故か入院費等が自分の知らないところで降りていたらしい事から気になった。銀行へ直接行って確認するのはもちろんのことなのだが銀行の役人さんが話している中で少し面白いことがあった。
 それはそのうち銀行も機械が普及してどこでも引き出しとかのやり取りが可能になるかもしれないねーということだ。技術的進歩は確かに誇らしいものだが技術は時に人間の手に余るしその力のよっては本来意図していない使い方だってされる。その結果があの戦争でありそのことを俺は忘れることは無いだろう。

 自分自身の戦争で得た傷というものは物理的には治ったのかもしれないがメンタル面は自分の気の持ちようだ。いろいろと科学の発展に思うことはあるが……

「すいません、残高の確認いいですか?」
「ええっと、本人確認できるものはございますか?」
「ああ、これでいいですか?」
「大丈夫です、ありがとうございます。では確認してまいりますので、終わったらお呼びします」

 銀行のやり取りはこの時はまだ人力ですべてを行っていた。オマケに戦後間もない今の時期はより忙しくなっているのだろう。普段は見ないような数の役人たちの数だ。国から降りるお金なんて期待できないしそれどころですらないだろう。敗戦した我が国は多大な借金を返すためにいろいろな政策の見直しだったり、一説によると国連から派遣されたえーじぇんとという人たちが政治家たちに指導をやり直しているという話も出ているほど。
 混乱がまだまだ収まらず慌ただしいのはきっと不安感などがまだまだ大きいからだろう。
 何よりも戦争で使われた基地などはどうするかというのも決まっていないらしい。生き残た人たちからしたらそれは見るたびに嫌なものまで思い出してしまうものだろうに……

 銀行には子供が多く、大人の姿はあるが年寄りの姿が多かった。それもそうか……自分は生き残ってしまったけどあの時期はもう使えるものはすべて使うという国の方針により本来は戦争に出る必要のなかった学徒達まで駆り出されたのだから。
 俺たちは守るべき国民ではなく……国を意地でも守るための道具にされたのだ。まあ、今となってはそんなことすら否定されてしまうのかもしれないが……

「あの、お兄さん?」
「あ、えっと君は?」

 突然話しかけてきたのは自分の子供がいたらこれくらいだろうというくらい年端もいかない子供だった。どうやら彼は俺くらいの年齢の男にこの一年弱出会ってないらしく、両親もどこにいるのかもわからないといういわゆる「戦争孤児」というものらしかった。

「遊び相手でも欲しいのか?」
「ううん、そうじゃないよ」

 そういうと子供の口から飛び出した言葉は「お腹が空いた」という言葉だった。普通に家族がいる家庭なら職にも困らないだろうが……この子は両親がいない。食料だって国が把握している人には配られるが把握しきれていない現状、戦争孤児と判断された子たちには優先的には配れないのだろう。
 ちょうど口座の確認も終わるし、自分にできることは少ないが……まあ食事くらいなら。そう思ってこの子に食べさせるものを与えるつもりだったが。

「あ、お母さんだ!」

 少年が見つめる先にいたのは全身やけど、というほどひどくはないがおそらく生活が少し不自由だと自分が見ても感じられるほどけがをした女性だった。
 どうやらこの銀行は奇跡的に内部がきれいに残っており、役所や簡易病棟の役割もあるらしくおそらく旦那や子供が来ているのか確認しに来ていたのだろう。
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